Fallout:Funfiction   作:いまさと

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なんやかやでものすごい時間が空いてしまいました。
悩みに悩んだ末に消化不良感もありますが、まあ、ひとつの救いにはなったのではないかと。

次の話からはとうとう四人が合流することになります。
騒がしい一行になりそうです。(ネタはあがってない)


にじゅーさんにちめ:ダイヤモンド・シティの守護天使 Part3

「友達、……友達だって?」

Dr.クロッカーにとって、それはまさしく寝耳に水であった。命を奪おうとしている相手は、少なくとも自分に武器を向けてはおらず、かつ、予想だにしないことを口にしている。

「そう。アタシも知らなかったんだけどね。薬売りのウルフギャング、知ってるんでしょ?」

その名前を口にしたノエルに対し、少しだけ敵意が落ちたのだろう。わずかに銃口が下がり、Dr.クロッカーが口を開いた。

「……う、ウルフギャングか。随分久しぶりに聞く、な、名前だ」

Dr.クロッカーのその言葉は、遠い記憶を懐かしむようなもので、そしてそこには一抹の寂しさのようなものが滲んでいた。

「彼は、元気なのか?最後に会ったのは、も、もう随分前になる。……それとも、彼に何か……あったのか?」

目の前の女が【伝言】という言葉を口にしたことで、不吉な考えが頭をよぎったのだろう。不安げな声で問い返すDr.クロッカーに、ノエルは小さく首を横に振った。

「ううん、アタシが会ったときにはピンピンしてたわよ。アタシがこっちに向かうって言ったら、彼がキミにこれを渡してくれって」

Pip-Boyからノエルが取り出したのは、ウルフギャングから託されたアディクトールの包み。ノエルは一歩だけDr.クロッカーへ近づくと、それを二人の間にある手術台の上に置いた。

そして手術台に近づいたことで、ノエルは今まで見えなかったアールの姿を目にする。無論血に汚れて、命は落としているようだが、少なくともその死体は、むやみに傷つけられてはいない。

Dr.クロッカーは包みを受け取ると、それを開き、中に入っていた注射器をしばし見つめて。やがてその中身に思い当たったのか、大きく、大きく息を吐き出した。

「……あ、アディクトール、じゃないか。……こ、これを渡されたとき―――彼はなんと言っていたんだ?」

「さっき言ったとおり、キミにそれを渡してくれ、ってね。それ以上のことは聞いても教えてくれなかったわ」

再び、小さく首を横に振って、ノエル。わずかに間を置いた後に、―――だけど、と続ける。

「―――だけど、彼はキミのことを心配してたんじゃないかしらね」

「……心配、だって?」

「だってそうでしょう?ヌカ・コーラや食料とかならともかく、そういう用途が限られたものを贈るって、相手が必要としてると思ってるから、じゃない?」

「そ、それは……そうかもしれないが」

言い淀むDr.クロッカーの脳裏には、あの皮肉めいた顔のウルフギャングの姿があった。

見た目はあまり穏やかではない男であり、言葉は憎まれ口ばかりであったが、だがそれでもそれは、決してクロッカー自身に嫌な思いをさせるものではなかったのだ。

それを考えれば、彼のこの【贈り物】の真意は、彼女の言葉の通りなのではないか。

「……い、いや、そうだな。そう……なのかもしれない」

ノエルに向けられていた銃口は緩やかに下がり、地面を向き、そしてクロッカーの手を離れた。それを目にしたノエルが、小さく頷いて笑みを浮かべる。

「起きてしまったことは、取り返しがつかないわね」

諭すようなノエルの口ぶり。ほんの少しだけ間を置いて、だけど、と続ける。

「だけど、貴方がしようとしていたことは、決してやってはいけないことのはずよ」

ノエルの記憶の中にある、この話の結末。

アール・スターリングの死体を切り刻み、証拠隠滅を図ろうとしたDr.クロッカー。説得に成功したあとのDr.クロッカー。

そのどちらもノエルにとっては許せないものであったからこそ、はっきりと言い放つ。

「アールが失踪したことにすれば、確かにインスティチュートの仕業に見せかけることはできるかもしれない。そしてキミは医療を続けられるかもしれない。けど、それはさ。……裏切ることになるんじゃないかな、ウルフギャングの気持ちを」

「…………」

血の臭いのする地下室が、沈黙に包まれる。ノエルは正面からDr.クロッカーを見つめ、その【Sincere】を受け止めきれず、俯いたままのDr.クロッカー。

やがて沈黙に耐えきれなくなったのか、Dr.クロッカーが力ない口調で呟いた。

「私は……取り返しのつかないことを、してしまったのだな」

「…………」

「私は……罪を犯してしまった。そして、罪を塗り重ねてしまうところだった」

Dr.クロッカーは、まるで懺悔のように、血を吐くように言葉を絞り出す。

「……今に始まったことではなかった。ジェットに溺れてしまった頃から、この罪は……始まっていたんだな」

すべてを理解したDr.クロッカーが、白衣のポケットに手を入れようとしたその時。

「Dr.クロッカー」

それを押し止める、静かなノエルの声があった。

「キミがやろうとしてること。……それもさ、ウルフギャングの気持ちを裏切ることになるんじゃないかな」

ノエルが見たこの話の結末。

アール・スターリングはその命を失い、そして元凶となったDr.クロッカーは、罪の意識に耐えかね、自ら命を絶った。

だが、それではダメなのだ。

物語の中ですら後味の悪かった結末なのだ。そんなことを現実で起こしてしまうことなど、到底ノエルは見過ごせるわけがない。

「―――だが、だが……私が起こしてしまったことは、到底許されることではないじゃないか……!」

「……キミがいなくなったら、罪は赦されるの?」

「っ!」

ノエルのその一言は、今度こそ明確な鋭さをもって、Dr.クロッカーに突き刺さった。

「厳しいことを言ってると思うわ。けど、キミは人を救う力もあるし、その意志だってまだ……あるでしょう?」

だったら、と、小さく息をついてノエルは続けた。

「もうわかってるでしょ、キミのやるべきこと。しっかり自分を見つめ返して、もう一度人を助けること。そして―――」

いつの日か、友に会いに行くこと。

 

 

ダイヤモンド・シティの噂になっていた、アール・スターリングの失踪事件は、思いもよらぬ形で決着を迎えた。

メガ整形外科センターの医師、Dr.クロッカーの自首により、市民はアールが命を落としていたことを知ることとなる。

だが、医療行為中の事故ということで、Dr.クロッカーに課せられた刑は比較的軽いものとなった。

その事件の結末の裏に、一人の異邦人と一体の執事ロボットの活躍があったことは、ごくわずかな者しか知らない。

 

 

「さあ、事件も解決したし、今日くらい飲みに行ってもいいわよね、コズワース?」

「仕方ありませんね。財布の中身を空にしないよう、私もお供いたしますよ、ノエル様」

 

 

 

 

[クエストが完了しました(ノエル):The Disappearing Act-Retake]

 

 

[クエストがアップデートされました(ノエル):TRACING "SOLE SURVIVOR"]

・[完了] コズワースと共にダイヤモンド・シティへ向かう

・ダイヤモンド・シティ内で時間を潰す

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