Fallout:Funfiction   作:いまさと

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恐ろしく間が開きました。
そして完全に繋ぎ回です。ゴメン。

まだ生きてるよ!


24th day:意図せぬ再会

「…………ええええええええええ!?」

ダグアウト・インの中に響いた叫び声はまさにノエルのもので、そしてその声を耳にしたヴェズーヴァは、しかめ面で顔を背けた。

「相変わらず響く声しやがンのナ、ノエル」

しかめ面をしていたのはヴェズーヴァだけでなく、周りの客も同じであった。が、そんな冷たい視線にすら気づかぬほどノエルの驚きは大きく、ついでに見開いた目も大きかった。

「いや、そりゃ驚くでしょ。なんでアンタがここにいるのよヴェズーヴァ。しかも……」

そこで初めて、ノエルはヴェズーヴァの後ろにたたずむ女性に視線を向けた。シルバー・シュラウドの格好をしたその女性こそ、ノエルが探していた人物で。

「しかもなんでノーラさんと一緒にいるのよ。ナンパ?」

「違ぇヨ、オマエを探すために協力してもらってたンだっての……んん?」

ノエルの言葉に違和感を覚えたヴェズーヴァの表情が怪訝なものに変わり、次いで、その視線がノエルとノーラの間を往復する。

「なンだ?ノエル、オマエどうしてノーラのことを知ってンだ?」

ヴェズーヴァはノーラがノエルのことを知っている可能性は想定していたが、その逆については考えていなかったようで、ストレートにその疑問をぶつけた。

「なんでって、そりゃ……ああ、そっか」

ノエルはこの世界がゲームの中だということを知っている。もちろんそれは、ノエル自身が【それ】をプレイしたことがあるからである。

だが、同じ世界の住人であるからといって、ヴェズーヴァがそうであるとは限らない。

「そういえばアンタ、コンピューターとか苦手だったわよねぇ」

「……会って早々ケンカ売られてるような気がすンだがヨ」

「そうじゃないわよ。どこから説明したらいいか考えてるだけ。……それに、アンタにも聞きたいことがあるし」

ヴェズーヴァがノエルに疑問を抱くように、ノエルにもヴェズーヴァに対して疑問があった。だがその疑問をノエルが口にする前に、割って入ったのはノーラだった。

「まあ、ノエル……ちゃんでいいかしら。立ち話もなんだし、私の家で話をしない?」

そこまで言って、初めてノーラはノエルの後ろに控える、金属の球体然としたロボットに目を向けた。

「私も色々と、あなたに聞きたいことがあるもの。どうして私のコズワースを連れ回しているのか、とかね」

 

 

ノーラの家は、ダグアウト・インよりもより球場の中央、市場に面した場所にある。昼夜を問わず喧騒に溢れていて、落ち着かないことを除けば、利便性に優れた場所である。

当然その家の中は荒廃した世界らしく、壁や天井はボロボロであった。が、室内は広く、かつ、調度品などは大戦前のものであるが、比較的状態の良いものを揃えてあった。

「さあ、それじゃあ聞いてもいいかしら。ノエルちゃん、貴方どうして私のコズワースと一緒にいたのかしら」

ノーラの放った問いは穏やかな語調であったが、その奥には、静かな疑念が見えていた。そしてそれを感じ取ったのか、ノエルの答えもいつもの茶化した様子ではなく、真面目なもので。

「そうねぇ、どこから説明したらいいのかしら」

しばし考えるそぶりを見せるノエル。ややあって、自分の中で話の流れがまとまったのか、改めて口を開く。

「アタシはね、もともと連邦の人間じゃないのよ。ノーラさんがボストン生まれだったのと似たような意味でね」

そこのヴェズーヴァも同じよ、と続けたところで、一旦言葉を切り。一呼吸置いた後に、続ける。

「ノーラさんはほら、時代が違うでしょ。アタシは時代じゃなくて、世界が違うのよ。にわかには信じられないでしょうけどね」

「……まあ、信じる信じないの話で言えば、今この状況も悪い夢みたいなものだけれど……」

曖昧に頷くノーラ。釈然としない様子ではあったが、理解はしたのだろう。追求の言葉はなく。

「……私がボストンの生まれって言うのは、コズワースから聞いたの?」

「そうよ。それ以外にも色々聞いたわよ。例えばそうねぇ……」

一瞬言葉を止めて、ノエルはニヤリ、と笑みを浮かべた。それはとても悪戯げな顔で、そして。

「それを話す前に、一杯貰えないかしら。……ウォッカ・マティーニを、ステアでなくシェイクで」

「……あら」

ノエルのその試すような言葉に、一瞬、呆けたように口を開くノーラ。しかしすぐにノエルの真意に気づいたのか、その顔が笑みへと変わる。

「仰せのままに、と言いたいところだけれど、御免なさいね。生憎とキナ・リレを切らしているの」

そうして二人暫しの間を置いて、ほぼ同時に吹き出した。

「うん、やっぱり聞いた通りの人だわ、ノーラさん」

「なるほど、ね。そりゃあコズワースも親近感を覚えるはずだわ。不思議な話だけれど」

しかしその会話で、ひとまずノエルに対する不信感は払拭されたのだろう。ノーラの笑みに、ノエルが小さく頷く。

「コズワースもアタシも、キミを探してたのよ、ノーラさん。ご主人を追いかけてひとりで旅するには、ちょっとこの世はファンキー過ぎるからね」

利害の一致があったことを示せば、それは自然な形でノーラの中へと落ちた。ただひとつの疑問を除いては。

「そうね、コズワースを連れてきてくれたのはとても嬉しいわ。有難う、ノエルちゃん。…………じゃあ、もうひとつだけ聞いていいかしら?」

今度は、先程のように鋭いものではなく、ただ純粋な疑問で。

「ノエルちゃんがそこまでして私を探したかった理由。一体どうしてなのかしら?」

その問いかけはもちろん、ノエルの想像するところではあったのだが、不意にノエルは言葉に詰まった。

ノエルの知っているこの世界の知識。そしてその未来。それがどの方向を向いているのか、いまだノエルには見えていないからだ。

ノーラはガービーと出会っておらず、それはすなわちミニッツメンの支配する未来の道にはたどり着いていないと言うことになるが、それ以外の状況はノエルにはさっぱり分からないのだから。

「……えっとね、これはコズワースにも黙っていたことなんだけどね。アタシ、ノーラさんにいくつか聞きたいことがあったのよ」

ノーラのノエルに対する知識は、ノエル本人から語られたものを除けば、ヴェズーヴァから聞いた『緊張感のない美人』、そして『幸せそうに食事をする』程度のものである。そのノエルからの質問が想像できず、ノーラは小首を傾げた。

「私の答えられることであればいいのだけれど、生憎と最近のグルメ事情には詳しくないわよ?」

なにせ起きたばかりだもの、と、冗談めかしてノーラは言うが、当然それは本心の言葉ではない。それは当然ノエルも分かっていたのか、あはは、と小さく笑い返すに留まって。

そうして続けられた言葉は、ノーラの思いもよらないものであった。

 

「インスティチュートのショーン君には、もう会った?」

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