Fallout:Funfiction   作:いまさと

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彼とのあのやり取りは、どうしても書きたかったのです。
サブクエストの方は、いつかアップデートされるかもしれないけど
基本的にはネタです。


なかなか戦闘やらないけど許してね。筆がどこ通っていくか迷ってて……


ふつかめ:はじめてのスピーチ・チャレンジ

「―――おや、こんにちは。今日はいい天気ですね、お嬢様」

土埃の匂いと枯れ木と瓦礫しかなかったその場所で、不意に背後から響いた声に、ノエルは振り返る。

そこにいたのは人間ではなかった。球形の胴体から生える三本のアームユニットと、三つのセンサーカメラ。

それはこの世界ではありふれた、Mr.ハンディという種類のロボットであった。そして、もちろん彼女はそのロボットのことを知っていたが、彼女の笑みとともに出てきた名前は、まったく別のものであった。

「コズワース!コズワースじゃない!」

「はて、私のメモリにエラーがなければ、貴方様とは初対面のはずですが。どうして私の名前をご存知なので?」

ロボットであるはずのそれ―――コズワースは、まるで人間のような質問をノエルに返す。その言葉に面食らったのは、むしろノエルの方だった。

(しまった、アタシはサバイバーじゃないっていうのに。そりゃあもっともな疑問よね)

「ああえっと、そこのパッケージに書いてあったわよ。名前までつけてもらえるなんてキミ、よっぽどご主人に大事にされてたんじゃないの?」

面食らいつつも、彼女の口からはすらすらと言葉が出てきている。説得力に欠ける言葉ではあったが、コズワースにとってはその言葉の後半の方が重要だったようだ。

「いやいや、滅相もない。私のようなロボットにはとても勿体無いお言葉です」

コズワースが彼女に抱いた疑念は、その言葉で霧散していた。ノエルは胸中で胸を撫で下ろしながら、改めてコズワースに質問を投げかける。

「ところでコズワース。アタシ、貴方のご主人にちょっと用事があるんだけれど、どこに行ったか知らない?」

彼女自身は、先のラジオ放送で概ねサバイバーの居場所を推測できてはいる。それでもコズワースにこの質問を投げかけるのは、別の目的があった。

(サバイバーが男女どっちなのか聞いておかないと、他の人と会ったとき困るもんね)

元となったゲーム、Fallout4の主人公は、ゲーム開始時に男女どちらかの性別を選ぶことになっている。

選ばれなかった側のキャラはゲーム開始後すぐに亡くなってしまうので、その場所に赴けば誰かに聞かずとも確認は出来るのだが、ノエルはその手段は取るつもりはなかった。わざわざ墓荒らしのような真似をしたくないという至極単純な、それでいて人間的な理由で。

そうしてコズワースから返ってきた答えは、概ね彼女が求めていたものであった。

「奥様は、協力者を求めてコンコードへ向かいました。旦那様は、奥様の話によると亡くなったと……」

コンコード。サンクチュアリ・ヒルズから歩いて数十分の近場の……かつては町だった廃墟。そもそも、この世界ではまともに機能している街のほうが珍しいのだが。

「そう……お悔やみを言うわ。キミも大変だったでしょう」

「お優しい方なのですね、貴方様は」

ロボットに褒められるという事態に違和感を覚えつつも、ノエルは考える。

先のラジオの内容からも、サバイバーがコンコードにいないことはほぼ間違いない。けれどそう断言してしまえば、コズワースの中に先程消えたはずの疑念が再び生まれるかもしれない。そう考えたノエルは、ひとつ彼、コズワースを釣るための罠を仕込んだ。

「そんなことないわよ。……でもさ、話の続きだけど。アタシ、ご主人―――ノーラさんは多分コンコードには行ってないと思うのよね」

「その根拠をお伺いする前に、なぜ奥様の名をご存知なのか、お聞きしたいところですね」

コズワースの無機質なセンサーアイが、じ、と彼女を見つめる。その疑念に満ちた視線にも負けずに、ノエルは続ける。

「なぜってそりゃあ、……キミは知らないかもしれないけど、彼女有名人なのよ、連邦では」

そう言いながらノエルはPip-Boyを操作し、再びダイヤモンドシティ・ラジオをコズワースに聞かせる。トラヴィスの流れるようなトークは、先と同じシルバー・シュラウドのニュースである。

「アタシも新聞で噂を読んだだけよ。ノーラさんは200年の時を超えた人だって。でもこのニュースの人、戦前のラジオドラマのコスプレしてるんでしょ?―――200年前のコスプレなんてそんな酔狂なことをする人が、この時代の人だとは思えないわね」

「確かに、奥様はシルバー・シュラウドのラジオドラマを全巻保存しておりました。旦那様はグロッグナックのコミックを全巻。もっともそのどちらも、あの戦争でほぼ全て失われてしまいましたが」

仕込んだ罠がうまく機能したことに、胸中でガッツポーズを浮かべるノエル。

「これはアタシの推測なんだけどさ、彼女、ノーラさんってちょっと天邪鬼なところなかった?」

「―――まるで見てきたような口振りですね。……ですが、貴方様の仰る通りです。旦那様は『ソレもアイツの可愛い所だ』とあばたもえくぼのようでしたが」

コズワースの中に、ノエルへの若干の信頼でも生まれたのだろうか。ゲーム中では描かれることのなかった話がノエルに告げられる。

「やっぱりね。……ねぇ、コズワース。ラジオによると彼女、グッドネイバーにいるらしいんだけどさ」

機は熟したと感じたのだろう。ノエルは一度、その言葉を止める。ゲーム中ではあまり意識せずに行っていた行為を、彼女は今自らの意思で行おうとしていた。

スピーチ・チャレンジ。

「アタシたちで迎えに行っちゃわない?きっと驚くわよ、彼女」

「―――少々お待ちください」

ノエルのその提案に、しばし、コズワースは沈黙した。センサーアイのシャッターを閉じて、情報の整理にだけ集中する様子を見せながら。

そうしてたっぷり一分ほどは経っただろうか、再びコズワースのセンサーアイが開いて。

「センサーから得たデータによれば、貴方様が何かを隠している確率は64%。ですが、奥様に害をなす人物である確率は4%と出ています。……疑念がないわけではありませんが、貴方様のことを信じましょう。御付き合い致します」

提案に同意するコズワースの言葉を聞いて、ぱ、とノエルの顔に笑みの花が咲く。

「ありがとうコズワース!アタシ一人で歩き回るの、実は心細かったのよ」

「それは私とて同じことです。奥様が戻る前に私が壊されてしまっては、悔やむに悔やみきれませんので」

コズワースの三本のアームユニットのうち、二本がかすかに持ち上げられる。きっと彼にとってはジョークを言ったつもりなのだろう。

しかし彼の恐らく渾身であろうジョークも、すぐに影を潜めた。

「しかし、私達が奥様を探しに行くためには、貴方様に二つほど訊いておかねばならないことがあります」

「いいわよ、アタシに答えられることなら何でも」

ノエルが快諾すると、コズワースは一度その場でくるりと回り、ノエルに問いかけた。

「見ての通り、私は家庭用モデルでございます。自己防衛程度なら多少は可能ですが、貴方様をお守りするだけの余裕はないかもしれません。―――見たところ貴方様は丸腰のように思えますが、何か護身用の武器などはお持ちなのでしょうか?」

「あ」

必要な情報を手に入れることには長けていたノエルだったが、肝心なところで抜けている。武器も持たずにこの荒廃した世界を歩けばどうなるか、火を見るよりも明らかだった。

「ちょ、ちょっと待ってねコズワース。たぶんなんか持ってるはずだから……この中に」

慌ててPip-Boyに指を走らせるノエル。このPip-Boyには、手に入れた武器やアイテムをデータ化して保管するという謎の技術があるのだが、彼女がその中から武器のタブを開くと、そこにはたった一つだけアイテムの名前があった。その名を確認するよりも早く、真っ先にソレをPip-Boyから取り出す。

銃ではない。長さは1メートル強。鈍い金属の光沢と、その光沢を打ち消すほどの赤い炎の輝き。

シシケバブと記されたその武器は、有り体に言えば炎の迸る刀であった。

「…………うわ、こいつはヘヴィーね」

「重さは関係ないでしょう?」

どこかで聞いたようなやり取りは、何一つ間違っていなかった。もっともそのやり取りを理解できる人間は、それこそこの世界にはノーラくらいしかいないだろうが。

「―――まあなんにせよ、丸腰やパイプレンチなんかよりはだいぶマシね。それでコズワース、もう一つの訊きたいことって?」

「はい。武器などよりももっと重要なことです」

問い返すノエルに、コズワースは勿体つけたような口調で一つ前置きして。次いで放たれる言葉は、それはそれはアイロニーたっぷりの問いであった。

「一緒に旅をする方のお名前も知らないのは、とても寂しゅうございますから。よろしければ、貴方様のお名前をお聞かせ願えますか?」

 

 

[クエストがアップデートされました:TRACING "SOLE SURVIVOR"]

・コズワースと共にノーラの行方を調べる

・[完了]コズワースと話す(オプション)

・コズワースに自己紹介する(オプション)

 

[クエストがアップデートされました:BACK TO THE FUTURE]

・ノーラと『あの映画』について話す

 

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