Fallout:Funfiction   作:いまさと

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ノエルさん、はじめてのレイダー戦。
博物館内でのことまで書いちゃうとあんまり長くなりすぎるので、今回はちょい短め。

ようやく警告タグの「残酷な描写」に触れることになりました。
とはいえそこまで過激な描写では……たぶんないと思います。


読者クエスト用意しました。クリアしても報酬はありません()


よっかめ:じゃくにくきょうしょく

人は完全に予想し得ない出来事が起きると、思考と共にその行動すらも一瞬、停止する。

レイダーの握る拳銃に突如生まれた炎の花。それはレイダー当人の動きを止めただけでなく、その周りに居た者の銃声も奪うこととなった。

そうしてその隙はノエルにとって絶好の好機となり。得物を失ったレイダーが、路地から自らに迫り来るノエルに気付いたとき、既に彼女はシシケバブを大上段に構えていた。

「せぇいあッッ!!」

刃を振り下ろす瞬間、柄に備えられたレバーを一緒に握り込むと、刀身に纏う炎が勢いを増し。そうしてその炎刃は、レイダーの身に着けていたガラクタの鎧ごと、その命をもいとも容易く袈裟斬りにした。断末魔の声もあげさせることなく。

「な……なんだよお前はぁっ!?」

既に命を失ったレイダーが倒れる音すらかき消すような、悲鳴じみた女の叫び。その叫び声に振り向けば、距離にして5メートルほどか。地に伏したレイダーの男とほぼ同じガラクタの鎧に、頭の左右で羽根を象ったかのような奇抜な髪型の女がいた。

手にした銃も男の持っていたものと同じ、粗雑な造りの拳銃。間違いなくその女もレイダーであろう。

ノエルは振り下ろしたシシケバブを引き戻し、間髪入れずにその女レイダーへと走り出す。

「く、くそ、なんだってんだよぉ!」

動揺しながらも女レイダーは、手にした拳銃の銃口をノエルへと向ける。粗雑とはいえ銃なので、命中すればただではすまない怪我を負うであろうそれに、ノエルはまったく怯まず。

「遅いわよッ!!」

走る勢いをそのまま利用し、女レイダーに向けて左足をバネにして跳躍する。残った右足はまっすぐ伸ばし、向かう先は女レイダーの握る拳銃そのもの。

理想的なフォームのジャンプキックは、狙い違わずその拳銃を蹴り飛ばすことに成功した。

「がっ!?」

短い悲鳴と共に、痛みに利き手を押さえる女レイダー。ほぼ同時に地に足を着けたノエルが、シシケバブの柄を両手で掴み、地面と水平に構える。

「ゆっくり……おやすみッ!!」

ガラクタの鎧の継ぎ目、板の薄い腹部に向けてその刀身をまっすぐに繰り出す。それは難なく鎧を貫き、女の背中に刃を生やすこととなった。

「ぐぶっ―――」

意識こそ失わなかったものの、女の口から赤黒い雫が零れる。深々と刺さった刃をノエルが抜くと、力の入らぬ女は腹部を抑えて、膝から地面に崩れ落ちる。

「ふ、ふざけんな……畜生、畜生ッ!!」

その叫びは、今度はノエルの元よりたっぷり10メートルは離れた場所から。スキンヘッドで髭面の見るからに悪人然とした男が、野球ボールほどの大きさの黒い何かを手に持っている。

グレネード。爆風と破片で対象を殺傷する武器。そんな物を受ければ、当然命を失うことになろう。だがその男の動きを止めるには、今のノエルは距離が離れすぎている。

男がピンを引き抜き、投擲のために振りかぶろうとした瞬間。グレネードを握ったその手が、男の腕から離れる。

「さすがにそれは看過できませんね」

ひどく無機質な声は、男の背後の路地から姿を現したコズワースのもの。アームユニットの先端で冷たく輝く回転鋸が、男の手をまるでバターのように切り裂いていた。

「っ……ああああああああ!!」

一瞬遅れてやってきた激痛に、男が悲鳴をあげる。それを聞いたコズワースはほぼ音もなく路地に消えて。その瞬間、男の悲鳴はより大きな音によってかき消された。手と一緒に地面に落ちたグレネードの爆音によって。

「く、クソッ!一旦退くぞてめえら!!」

わずかな時間で3人の戦力を失ったレイダーの残りが、ノエルたちから離れていく。そうしてそんな一瞬の出来事を、建物の上にいた人影、ミニッツメンの男は全て見ていた。

「一体なんという手際のよさだ。あれだけの人材がミニッツメンに居てくれれば……」

その呟きは、当然ノエルたちが耳にすることはなかった。レイダーたちの気配が遠ざかるのを感じ、ふう、とノエルが小さく息をつく。

「助かったわコズワース。さすがにあの距離からのグレネードは、アタシじゃどうにもならなかったし」

「挟撃というより、側面攻撃のようになってしまいましたが。まあ、結果オーライと言ったところでしょうか」

ノエルの言葉に、路地の奥に消えていたコズワースが姿を現しながら返事を返す。いえい、と、小さく親指を立ててコズワースにアピールし、ノエルは手にしていたシシケバブを仕舞う。そして向き直るのは、たった今爆発で吹き飛んだレイダーだったものへ。

「すっっごい気は進まないけど、 背に腹はかえられないもんね」

「もう使うこともないのですから、彼らには過ぎた物でしょう」

多少の罪悪感を覚えながら、亡骸の懐を探り始めるノエル。だが、それを咎める価値観はこの世界ではマイノリティである。そうして現実は非情であり、ノエルにとっては死活問題でもある。

それというのも、ノエルのPip-Boyの中には通貨……ボトルキャップも食料もほとんど入っておらず、それらを入手する手段もなかったのだから。

「まあ、武器弾薬とキャップと薬や食料くらいでいいかな……鎧やジャンクまで持っていくと持てなくなりそうだし」

「多少の荷物なら私もお手伝いしますが、さすがに血まみれの服などは置いていって欲しいものです」

それなりの手際で荷物を徴収したノエルは、ミニッツメンの男がいる建物へと向き直り、小走りで駆けていく。

「入植者がいるんでしょ!手助けするわ、持ちこたえて!」

「何でそれを……!? いや、今はそれどころではないな……!すまない、よろしく頼む!」

若干の驚きと共に投げかけられた助けを求める声に頷き、ノエルは建物の入り口へと駆け寄る。が、その扉を開く前に彼女は、扉の脇に倒れて動かない男の前に屈み込む。バルコニーの上にいたミニッツメンの男と似た服装の男は、レイダーの凶弾によりその命を失っていた。

「ゴメンね、ちょっとお墓は作れそうにないわ。……まだ生きてる人たちを助けないとだから。借りてくわね、コレ」

恐らく最後までそれを振るって、彼はレイダーたちと戦っていたのだろう。上階のミニッツメンが持っていたものと同じ赤い光の弾を発射する武器、レーザーマスケット。それにそのエネルギー源であるフュージョン・セルを拾って再び立ち上がり、レイダーの待ち受けるであろうその建物、自由博物館の扉を開く。

「行くわよコズワース、ちゃんとついて来てね」

「先程みたいな無茶は、出来るだけナシでお願いしますよ」

軽い口振りで気合を入れた二人は、身を潜めながら自由博物館の扉の奥へと消えていった。

 

 

 

[クエストがアップデートされました:When Freedom Calls]

・自由博物館の中のレイダーを一掃し、ミニッツメンの男と話す

・[完了]レーザーマスケットを拾う(オプション)

 

[読者クエストがアップデートされました:Volare!]

・いずれかの冷えたグインネットを用意する

・ジプシー・キングスの『Volare』を聴く

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