Fallout:Funfiction   作:いまさと

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ゲーム中では序盤の序盤で、装備もレベルも整ってなくて緊迫感があるけど
ノエルさんは比較的高レベルなのであまり緊迫感がありません。
嘘です。彼女の性格と私の未熟さのせいです()


いつかめ:We're Minutesmen

身を低くして乗り込んだおかげか、レイダーたちはノエルの侵入に気付かなかった。

正面の上階に積んだ木箱で簡易的なバリケードを作り出したのは、先程のミニッツメンであろうか。だがそのバリケードは既にミニッツメンの手を離れ、レイダー二人が用いている。

そうしてその二人は、木箱の陰で何事か話し合っていた。声こそ聞こえないが、こちらに注意を払っている様子はない。

「コズワース、今はあいつらには手を出さないわ」

「賢明な判断です。頭上を取られているこの状況なら、先ずは上へのルートを探すのが合理的でしょう」

正面には閉ざされた門、右手には開いたドア。互いの意見が一致したノエルとコズワースは、そのまま上階の二人を放置して右手のドアをくぐる。細い通路を通って小部屋に足を踏み入れた瞬間、壁の向こうから声が聞こえてきた。

『英国支配はもうたくさんだ!!』

電気的に歪んだその声は、自由博物館の展示物からのものであり、レイダーたちのそれではない。だがその電気的な声こそが、レイダーたちの注意を引いた。

「今の声は……!?」

壁の向こうから、何者かがこちらに向かってくる気配を感じたノエルは、展示物のマネキンの影に隠れてレーザーマスケットを構える。

「えっと確か、こうやって使うんだっけこれ……?」

ゲームの中でこそ使用したことはあれど、実際にどういう仕組みで使用するものなのかは理解しておらず、ゲーム中に主人公がやっていた動作を真似して、クランクを回転させる。その銃身の光が強くなっていくのを見て、ノエルは初めてそれがエネルギーを充填する行為だと理解した。

「なるほどね。大体これくらいやってたら十分なのかしら」

「そのコンデンサであれば、4回転ほどで最大容量まで充填されますね」

コズワースの言葉に頷き、きっちりクランクを4回ほど回転させて。レイダーと思しき声の聞こえた側の入り口に向けて、レーザーマスケットを構える。

「出ておいで、優しく早くするから。信じて!」

警戒させないための言葉なのか、それともむしろ威圧するような意味合いなのか図りかねる言葉を投げながら、部屋の出口側に現れた男の格好は外で屠った者たちとそっくりの、まさしくレイダーのそれであった。

数多くのマネキンに紛れたノエルに男は気付いておらず、部屋の中に足を踏み入れる。そしてその不用意さこそが、男の命取りとなった。

無言のうちにノエルが放った赤い閃光が男に命中すると、男は悲鳴すらあげることも許されず、その存在が消し飛んだ。

後に残ったのは、床に散らばった男だったもの―――灰の山のみ。

「ビューティフォー……」

「どこでそんな様式美を覚えてきたのよ、コズワース」

コズワースのリアクションに面食らったノエルは、思わずコズワースにツッコミの言葉を投げる。だが当のコズワースは「紳士の嗜みです」と、黙秘を貫いている。ノエルは小さく嘆息して、皮肉げな一言を返した。

「貴方のジョーク作成アレイも大概なものじゃない。……まあいいけど」

軽口を言い合いながら、上階への道を切り開く二人。コズワースの火炎放射がレイダーを焼き払ったかと思えば、離れたもう一人をノエルのレーザーマスケットが灰に変える。

苦もなく展示物の部屋を抜けると、そこは中央の床が大きく崩れ、階下への穴の開いた広間のような場所だった。

「コズワース、ちょっと辺りを警戒しててくれる?」

「承知いたしました、ノエル様。ですが一体どちらへ?」

「ま、ちょっとした野暮用よ。すぐ戻るわ」

コズワースに言い残すと、ノエルは床の穴の下へと足を進める。そうしてすぐにノエルの目の前に現れたのは、鍵のかかった扉と、そのすぐ横にターミナル。

扉の前でしゃがみ、Pip-Boyを起動させるノエル。タブをいくつか進めて、所持品のリストを画面に映し出す。

「さすがにヘアピンの一本くらいは持ってるでしょ……」

ノエルのPip-Boyの画面には確かに言葉通り、ヘアピンの文字があった。ただし、一本だけ。安堵と落胆の入り混じった微妙なため息をつきながら、ヘアピンを取り出す。

「もう100本くらい持っときなさいよ……心許ないわねぇ」

ともあれそのヘアピンを鍵穴に差し込み、数度、角度を変える。手に伝わる感触が変わったところで、今度はそのままドライバーを差し入れ、鍵穴を回す。数秒の沈黙の後にカチ、と小さな音が響き、扉の鍵が解錠された。

「ま、こんなものよね」

冒険者とは総じて鍵との戦いを避けられない者たちである。行く手を遮る扉こそ腕力や魔法で破壊すればいいが、迷宮の奥に眠る財宝の宝箱を同じ手段で解決すれば、その中身すら破壊してしまうことになる。そうしてノエルはそんな鍵との戦いに長けた者であった。

苦もなく開いた扉の奥には恐らく発電機であろう、なにやら大仰な機械があり、その中心にボトル程度の大きさの物体が刺さっている。

「まあさすがにノーラさんここスルーしちゃってたわけだし、そりゃあるわよね当然」

それはフュージョン・コアと呼ばれる、小型の核電池であった。本来ならばこの場所のフュージョン・コアは主人公、ノーラが近い後に使用するのであるが、今回その役目はノエルが受け持つことになる。

発電機に書かれたEJECTの文字のあるボタンを押すと、数度の瞬電の後にコアは発電機から外れた。それをPip-Boyに収納し、ノエルは降りてきた穴を再び登る。

「ただいま。何か変わったことはあった、コズワース?」

「いいえ、こちらには。残ったレイダーたちは上の階に向かった様子ですが」

「あ、ヤッバ。あの人たちの方に向かってるじゃない、早く行かないと」

コズワースの答えに慌てて階段を駆け上り、ミニッツメンたちが立てこもっていると思しき部屋まで走っていくノエル。

手摺は崩れ落ち、今にも床すら落ちそうなその部屋の前の通路に、レイダーは3人。そしてドアの向こうでレーザーマスケットを構える、先程のミニッツメン。その緊迫した状況で、ノエルは忍び足でレイダーの集団に近づくと―――

「えいっ」

完全に不意を付く形で、どん、とレイダーのうち、一人の体を突き飛ばした。バランスを崩したその男は吸い込まれるように、本来は手摺のあった場所を越えて、その体が何もない空間へと投げ出される。

「…………えっ?」

素っ頓狂な声を上げた男は次の瞬間、自分の状況を理解する。だがその頃には既に男ははるか階下へと落下していき、そして悲鳴をあげるにはその時間はあまりにも短かった。階下から嫌な音が響き、気配が一つ消える。

「なっ―――何しやがんだ、テメエ!」

仲間の一人を失ったことに激昂したレイダー二人がノエルに向き直り、手にした拳銃を突きつけ、そしてバットを振りかぶる。

どちらも当然当たればただではすまない凶器であり、対してノエルは男を突き飛ばす際に、レーザーマスケットもシシケバブも収納していたので丸腰である。

だが銃弾もバットも、ノエルを傷つけることはなかった。拳銃を持ったレイダーはその弾丸を放つこともなく、灰となって消える。ドアの奥のミニッツメンが放ったレーザーが、男を消し飛ばしていたのだ。

そしてもう一つ、振り下ろされたバットがノエルに当たらなかった理由は。

「まったく。ノエル様、私は無理をなさらないようにと申し上げたはずですよ」

コズワースの回転鋸が、器用にそのバットを受け止めていた。わざわざ鋸を回転させ、バットが鋸に食い込み、抜けなくなるような細工までして。

コズワースの叱責に小さく舌を出すと、ノエルはレイダーから奪い取った拳銃をPip-Boyから取り出した。それを男の額に突きつけると、ひとつ言葉を投げかける。

「ゲーム・オーバーね、レイダーさん」

投げかけたのは言葉だけでなく、火薬の音と鉛の弾をセットにして。放たれた弾丸は当たり前のように男の額に穴を開け、赤い花を咲かせた。

遅れて、男が地面に倒れるドサ、と言う音。その音を最後に、博物館の中に静寂が訪れる。

「あは、また助けられちゃった。ゴメンねコズワース、ありがと」

「私の温度センサーが数度下がったような気がしました。以後気をつけてください、ノエル様」

緊張感の感じられぬ口振りのノエルと、独特の言い回しで心配を伝えるコズワース。そうしてその会話も落ち着いたところで、ノエルは拳銃を収納してミニッツメンの元へと歩いていく。

「間に合ったみたいね、大丈夫?」

「やれやれ、誰かは知らないが、タイミングが完璧だったな」

安堵のため息を漏らしながら、ミニッツメンの男がノエルへと言葉を返す。

「俺はプレストン・ガービー。コモンウェルス・ミニッツメンだ」

 

 

 

[クエストがアップデートされました:When Freedom Calls]

・[完了]自由博物館の中のレイダーを一掃し、ミニッツメンの男と話す

・外のレイダーを撃退する手段を探す

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