チート戦法は使わなかったよ!あんまりにもアレだから!
でもデス様の強さをいまいち書ききれてない私。
……あと書き溜めてたストックなくなりました。てへ。
大きな土煙と爆音は、その場にいた全員の注目を集めた。ノエルたちと退治している二人のレイダーはもちろん、奥に控えていたレイダーたちの第二陣すらも、その土煙に向き直り、手にした得物を向ける。
土煙が風に流れ消え、その場に現れた巨大な影。皮膚は鰐のそれのように、ひび割れたような鱗板に包まれて。頭から生える二本の角は、凶悪なカーブを描いて湾曲しており。
そして何より特筆すべきなのは、その両手に備わった爪。スレッジハンマーの頭部ほどの大きさの爪が五本。それが左右で計十本。そしてその爪は、異形の名前でもあった。
ウェイストランド最強と恐れられた生物、デスクロー。突然の闖入者に、レイダーたちはおろか、ガービーすらも驚愕を隠せなかった。
「デスクローだと……!?一体何だってこんな所に……!」
レイダーたちは攻撃目標をデスクローへと切り替え、各々手にしていた銃で一斉に攻撃を仕掛ける。ノエルたちと対峙していた二人のレイダーも、彼女たちの視線がデスクローへと向いた隙にそこから離れ、デスクローへの攻撃に回っている。
そんな驚愕の中たった一人、ノエルだけがこの事態を冷静に把握していた。
(あちゃー、やっぱり出てきちゃったか……)
内心で頭を抱えるノエル。これこそが、コズワースをこの場に立たせなかった理由である。ゲーム内では主人公がパワーアーマーを着用し、なおかつその仲間は不死身であるので緊張感は若干薄いが、それはあくまでゲームの中の話。
パワーアーマーを着たガービーは、その爪を受けてもしばらくは耐えられるのであろうが、ことコズワースはそういうわけにもいかない。もちろん、大した防具を持たないノエル自身もそれは同じことである。
「ガービー!……やるわよ!」
「……ッフ、市民のヒーロー、ミニッツメン復活の第一戦を、まさかデスクローと戦ることになるとはな」
鼓舞するように投げかけたノエルの言葉を受けて、ガービーは皮肉げなジョークを返す。それは悲嘆や恐怖から来た言葉ではなく、ガービーの勇気が生み出した言葉であった。
その間にもレイダーたちは一斉に銃撃を続けていたが、低い唸り声と共にデスクローが跳び、手近なレイダーにその爪を振るう。その爪はレイダーの体を紙屑のように引き裂いて、地面にゴミの山を築いた。
「ったくなんて爪持ってんのよ、ウルヴァリンか、っての!」
悪態を吐きながらクランクを回し、レーザーマスケットにエネルギーを充填するノエル。レイダーたちの銃弾は確実にデスクローを捉えていたが、それは目に見えるほどの効果はなく。反撃とばかりに繰り出される爪で、銃声の数が一つ、二つと減っていく。
ノエルたちの位置から、およそ50メートルほど。人間よりも的は大きいとは言え、その動きは速く、そして大きい。
安全なその場からの狙撃を諦めたノエルは、目立たぬように物陰を使って、デスクローへと近づく。どの道このデスクローを狩らない限りは、スタージェスら入植者の命はないに等しいのだから。
「この距離なら……!」
土嚢の影に屈み、レイダーを引き裂くデスクローに狙いを定めるノエル。距離は15メートルほどか、デスクローが大きく爪を振った後の隙をつくために、息を潜めてじっとそのタイミングを窺っている。遅れてたどり着いたガービーは、ノエルとは反対側に積まれた土嚢の影に。ノエルが仕掛けた後の陽動に出る算段であろう。
そしてデスクローが最後のレイダーを生ゴミに変えた瞬間、その時は訪れた。
極限まで気配を殺し、軽口すらもなくノエルが放った深紅の光線は、見事にデスクローの頭部に吸い込まれるように命中し、その巨体が大きく仰け反る。
「ビンゴっ!」
完璧な結果にテンションが上がり、思わず歓喜の声を上げるノエル。
だが、それはぬか喜びだった。大きく仰け反ったデスクローはすぐに持ち直し、そしてその衝撃が来た方向に向き直る。それはすなわち、ノエルのいる方に。
大きな角は拉げ、恐らくは目も片方は焼け潰れていたが、残る一つの目には自分を傷つけた者、すなわちノエルへの強い敵意が輝いていた。
「うっそぉ……なんて頑丈さなの、フルチャージのレーザーマスケット、ヘッドショットよ!?」
「怯むな、次は俺がやる」
そうノエルに言い残し、ガービーはデスクローへとミニガンを向け、5mmの雨を叩きつける。だがその雨は強固な鱗板に阻まれて、有効なダメージを与えるには至っていない。さらに言うならば、その視線はノエルの側から離れてもいない。それほど痛くもない5mm弾よりも、不意打ちとはいえダメージを与えたノエルに警戒心を抱くのは当然であろうか。
「うっわ、ヘイトアタシに向いてんじゃない……」
苦い顔をしながら、ノエルは再びクランクを回し、エネルギーを充填する。デスクローが彼女の側を振り向いたおかげで的は大きくなり、狙いをつけるのは容易になった。とはいえ外すと隙を晒すことになると思ったのだろう、ノエルはその狙いを頭部から胴体へと変えて光線を放つ。
その考えは正解でもあり、そして失敗でもあった。狙い通りに光の矢はデスクローの胴体を射抜くもダメージは浅く、表面の鱗板を焦がすのみ。それでもデスクローにとっては痛みもあったのだろう。ドスンと大きな音を立てて、その足が一歩、ノエルのほうに踏み出される。
「っ、……こりゃちょっとまずいかも」
そこからの動きは速かった。デスクローの踏み出した一歩はすぐに走りとなって、ノエルへと襲い掛かる。接近してくる相手に向けて、レーザーマスケットは役に立たないと判断したノエルはPip-Boyを操作し、それを収納する。
(間に合ってよ……お願いだから!)
そうしてデスクローがノエルに向けて飛び掛るのと、ノエルがPip-Boyからシシケバブを取り出すのはほぼ同時だった。迫る死の爪が彼女に触れる寸前で、炎の刃に弾かれて止まった。
だが質量も勢いも乗ったその爪を受け止めるには、ノエルの体格ではあまりに無理な話であった。直撃こそしなかったものの大きく弾き飛ばされ、背後の車にしたたかに体を打ちつける。
「―――ッ!」
肺から空気が絞り出され、痛みは声にならなかった。だが痛みはあれど、外傷はない。もっとも凶悪な爪の一撃は、しっかりとその炎の刃で防いでおり、咳き込みながらもすぐに立ち上がる。
「くそっ、―――これでも食らえ、化け物!」
立ち上がるノエルを見て安堵するよりも先にガービーが選んだのは、その報復であった。すぐ近くまで迫ったデスクローの顔面めがけて、再度ミニガンを放つ。ダメージを受けた頭部へのダメ押しは効果があったのだろう、デスクローはよろめきながら一歩後ずさり、弾丸から身を守るようにその凶悪な手で顔を覆う。
その爪の奥から覗くぞっとするような視線が、今度はガービーの姿を捉えた。
「ガービーっ!!」
ノエルがそう叫ぶのと同時に、デスクローはガービーめがけて飛びかかった。とっさの事態に反応できず、その爪がパワーアーマーに深く食い込む。パワーアーマーにて筋力を強化された成人男性と言えど、不意を突かれた上でその質量を受け止めることは出来ず、地面に押し倒される。もちろんその一撃だけで致命傷とはなりえないが、極めて危険な状況ではある。
そうしてその状況は、ノエルにある一つの覚悟をさせるには十分であった。
(見られたらまずいと思ったけど……四の五の言ってられないわ)
立ち上がったノエルがシシケバブを横に構える間に、デスクローは倒れたガービーの頭部を噛み砕かんと、その口を大きく開いた。拳を振り上げ抵抗するガービーの耳に、謡うようなノエルの言葉が聞こえる。
「流れ星に背を向けて―――」
ノエルの構えたシシケバブの刀身が、シシケバブ自体が生み出す炎の他にもう一つ輝きを放つ。それは、ノエルが生み出したもう一つの炎。
「祈る両手の指を―――」
その輝きがさらに強まり、そうしてそれはデスクローの目にも届いたのだろう。ガービーへの攻撃すらも止め、ノエルの側を振り向く。
だがそれは、あまりにも遅い。
「ひとつずつ―――解いてッ!!」
言葉と共にノエルが横薙ぎに振り抜いたシシケバブ は、まるでレーザーのように輝く炎の刃を、振り向いたデスクローへと放った。
[クエストがアップデートされました:When Freedom Calls]
・[完了]残ったレイダーを殲滅する
・デスクローを倒す
[Perkを取得しました:Fireblade ランク1]
・シシケバブを装備した状態でパワーアタックかV.A.T.S.を使用することにより、炎の刃を射出することが出来ます
・有効距離は5メートルで、使用回数はPyrokinesisの使用回数に依存します
・使用後は2時間の間、APの自然回復速度が50%減少します。この間はFireblade、Pyrokinesisを使用することが出来ません