今、新たな挑戦者達が挑む。伝説の戦いの火蓋が切って落とされる!
時はお昼時。外は猛暑。夏の灼熱の太陽がギラギラと輝いている真夏のある日の出来事。
【レストラン・ホワイトベース】の店内。お昼時を少し過ぎた頃。真夏の灼熱の猛暑の外とは違い店内中で涼しいクーラーに当たり涼みながら料理に舌鼓を打っていた客達に衝撃が走った。
「チャレンジメニュー【セブンサミット】入ります。」
ざわざわざわざわ・・・・・・ざわざわざわざわ・・・・・・ざわざわざわざわ・・・・・・ざわざわざわざわ・・・・・・ざわざわざわざわ・・・・・・ざわざわざわざわ・・・・・・
店内に店員のよく通る声で“ソレ”が告げられた瞬間、衝撃が走り“ざわざわざわざわ”と嵐に襲われたかのような客達の驚きとどよめきで騒然となった。
「ア、 アレをやるのか?」
「まさか・・・・アレを・・・・・」
「あれをチャレンジャーがまだ居たとは・・・・」
「ばかな、アレをだと!?」
注文を待っていたある会社員は思わず飛び上がってしまいそうなほど驚愕し、同じテーブルの大学生は驚きに目を見開き、そして店内に居る全員の客がほぼ同時に壁に貼ってある1枚の大きなポスターへと目を走られた。
『チャレンジーメニュー【Seven Summits(セブンサミット)】7大陸の世界7大山脈をモチーフにした7つのコースメニュー。
お値段2万円(注文時にテーブルに置いていただきます)
30分以内に完食すればタダ!更に完食者には賞金100万円を贈呈!
正し少しでも料理が残っている場合は完食とは認めません!
《食っていいのは――――――――――――――――払う覚悟のある奴だけだ!!》』
「確か、この店が開店してから10年。今まで数多の挑戦者が挑んで敗北して完食者がいないアレを?」
「ああ・・・単品でも完食するのが難しいのにそれが7品。今まで完食に成功した者はいない」
「今までよくて4品目までいった奴が最高だ。そして最難関と云われる“エベレスト”に到達した挑戦者は1人もいない」
「別命“フードファイターのバミューダトライアングル”とも呼ばれるメニューだ。あいつ等、知っていて注文しているか?」
「というよりも“フードファイター殺し”と云われたメニューに挑戦するあの集団は一体、何者なんだ?」
その頃、厨房ではソレが告げられた瞬間、文字通り【戦場】となっていた。
料理人は怒声を浴びせ、素早く作るのが難しい料理の一斉注文に対応していた。
「赤色警戒態勢(レッドアラート)!赤色警戒態勢(レッドアラート)!各自、第一種戦闘配置!気合を入れよ!」
「左のなべ、具が薄いぞ。砲s、料理人!何やってるの。」
「右の鍋、具が薄いぞ!何やってるの!」
「ルーにハバネロ、一束入れろ!」
「タバスコ、瓶ごと持って来い!」
「ターメリックとラル・ミルチ(トウガラシの一種)、マスタード入れろ!」
「大皿、スタンバっとけ!」
厨房では料理人の怒号が飛び交い、鍋と包丁が忙しく動き回っていた。
「あの客達は一体ナニモノだ!」
「テンチョー、わかりました!」
厨房では店長が憤りながらも料理人達に大声を上げて指示をしていると、フロアスタッフの1人が用紙を持って厨房に駆け込んできた。
「全日本飲食店連合に照会しましたら奴ら全員がブラックリスト入りの特S級警戒フードファイターです!
〈腹ペコ騎士〉セイバー〈マーボー神父〉言峰綺礼〈劇甘シスター〉カレン・オルテンシア
〈カレーシスター〉シエル〈カレー吸血鬼〉カリー・ド・マルシェ〈銀河姉妹〉スバル&ギンガ
〈重箱の交渉人〉桂木弥子〈大食い名探偵〉夢水清志郎〈緑の悪魔〉木乃〈大食い仮面〉チョウユ
〈虎喰い〉逢坂大河〈正喰者〉不知火半袖〈ラーメン皇女〉四条貴音〈ブルーホール〉如月千早
〈ノースマイルキャット〉筒隠 月子。全員が二つ名持ちのフードファイター達ばかりです!」
「・・・・・・全員、有名な化け物共じゃないか!化け物共め!
よろしい!相手にとって不足無し!全力で相手してやる!
思えば私は待ち望んでいたのかもしれない。
新しい食を作るためには既存の食の概念を壊さなければならない。
ソレを理解できる者達がとうとう現れたのだからな!
HA!HA!HA!かかってこい!相手になってやる!」
「テンチョー!カッコつけないで手伝って下さい!」
「分かってる、往くぞ、野郎共!我々は今まで幾多の修羅場を潜り抜けてきた“戦うコックさん”だ!思い上がったチャレンジャー共を完膚なきまでに叩き潰すぞ!」
「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」」」」」
店長の言葉に厨房の料理人達はテンションMAX。歓声上げて動きを加速していく。そう。もう戦争は始まっているのだ。
数十分後・・・・・・・・
「おまたせしました!【セブンサミット】です」
店員総出で運んできたその料理は、それは恐ろしい代物であった。
人の肩幅に匹敵するほどの大皿。そこに所狭しと盛り付けられた料理の数々。
店内の客達は地球外生命体(エイリアン)を見るような目つきで見ていた。
皿がテーブルに置かれると、テーブルが軋んだ。
店主がポケットからストップウォッチを取り出した。
「・・・準備はよろしいかな?チャレンジャー諸君か?」
「「「「「「「「「いつでもどうぞ」」」」」」」」」
店長とその背後に並んだ料理人やウェイトレスが挑発的な笑みを浮かべながら聞くと挑戦者達もふてぶてしい笑みを浮かべて答えた。
店内の客達も挑戦者と店主へと双眸を向けた。店内の客達には両者の間で稲妻が走り、背後にはスタンドが居るのが見える。
“コレは幻か?”普段の彼らの神経ならそう思う。だが、今、この瞬間は違う。
“今までに見た事のない一戦が起きる”そういう確信い満ちた思いが脳内の支配していた。
『この勝負を一瞬たりとも見逃してなるまい』
店内の客達全員がその気迫で満ち満ちた熱い思いで勝負を見つめる。
(この時の勝負の模様は来店していた客の1人がニ○ニコ動画とYouT○beにアップして生放送していた)
バトルの開始を合図する店長は外面では“かかってこい!”とふてぶてしい笑みを顔に浮かべていたが心の中では今までに戦った事のない強敵と対峙して緊張で汗をかいていた。
今までの挑戦者達とは比べ物にならない程の凄まじいプレッシャーで手の平に汗が滲んでいた。
“悪魔共め・・・!”心の中で叫んだ。そうだ。相手は悪魔だ。なら、我等は倒す他ない。殺ってやる。殺ってやるさ!
“すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ”店主が大きく息を吸い込んだ。
刹那―――――――全ての音が止んだ。刹那の静寂の中「始め!」と云う店主のスタートの声が店内の響き渡っとほぼ同時に挑戦者達が電光石火の速さで一斉に動いた。
死合のコングが幕が上がった。ここに料理と胃袋の【食】で【喰】を争う戦いが始まった。後に【レストラン・ホワイトベース、襲撃事件】と呼ばれる事となる伝説の一戦。
この戦いは幾多の修羅場を己が胃袋のみを信じて潜り抜けてきた歴戦のファイター達と長年に渡りチャレンジャー達を挑戦を受け、迎え討ち、倒してきた店主との己の【プライド】を掛けた戦いの幕が上がる。