遥か昔、黒き燃え上がる炎を纏った龍が人々を苦しめていた。生き物生き絶え、空も黒く染まり、大地も枯れた。しかし、その龍を討った者が現れた。人々はその者を勇者と称え、龍を「黒炎龍」と名付けた。
そして、勇者と龍戦いから早500年が過ぎた。
「ああ、つまらねぇ。ここにぶち込まれてから面白ぇ事がねぇな。」
青年はそう呟く。彼はこの腐った世界に対しての苛立ちは今も忘れない。何かを殴りたい。だが、手錠が、運命の鎖がそうさせないのだ。そう、今の様に彼は運命の地下牢獄にいるのだ。
所変わって地上では大騒ぎになっていた。王妃が誘拐されたのだ。それは突然の出来事だった。隣国の王子ジェンマとの結婚式の最中、竜と共に現れた竜騎士が王妃を攫ったのだ。護衛の兵士は重傷で動けず、隣国のジェンマ王子も気絶したままだ。では誰が王妃を救う?町から兵士を集めるか?他国に救助を頼むのか?王はどちらも選ぶ事が出来なかった。町から兵士を抜くと町の治安が悪くなる。他国に頼むと見返りに不安がある。そして、何よりあの瞳を持っているのは王妃である。あれを悪用されれば世界の最悪が再び起きる。どうすれば良いのか?王は悩んだ。すると、地下牢獄を看守が焦った表情で入って来た。
「こ、国王様!奴が、奴が暴れだし始めました!」
「腹が減っておるのじゃろう。適当に食事を・・・いや、儂が行こう」
「国王様!まさか!」
「ジルよ、事は一刻を争うのだ」
国王は大臣のジルを退け、闇と言う名の希望を賭けたのだ。
「おい!飯はまだか!?」
「ひぃ!お、大人しくしてろ!!」
鉄の檻の前には気絶した看守が転がっていた。全て檻の中にいる者がやったのだ。
「これは凄まじいな」
「こ、国王様・・・」
「あ?国王がこんな所に何の用だ?」
「貴様!国王様に無礼を!」
「良いのだ。囚人、ディノ・アルスター。貴様を釈放する」
突然の事に周りはどよめいた。それもその筈、絶対に外に出してはならない者を出すと言う事だからだ。言われた本人も少し動揺したが、冷静になり、
「随分思い切った事だな?地上の騒ぎと関係してんのか?」
「無論只とはいかん。貴様に任務を与える」
「生憎、俺は任務を受けるつもりもねぇし、そもそも、ここから出るつもりもね「我が孫娘、マヤ王妃が攫われた」・・・あ?」
「ディノ・アルスター、貴様に王妃救出任務を与える」
王は賭けた。彼の血統アルスター家は勇者の末裔である。彼は勇者の血を引いているはず。王は囚人に託した。実の孫を、世界の平和を。
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では次回、第2話 世界は腐った様だ(仮)お楽しみ!(多分楽しみにしてないけど