Fate/EXTRAとダンまちのクロス。
まあサーヴァントが出なければ白野の名前も一度しか出ないほぼオリ主みたいなものだけど。
ついでに言えば設定だけだったのを急きょ肉付けしたようなものなので全体的に雑い。
でも二日とリハビリで作ったにしては出来はまぁまぁいいと思われ。
視界に広がるのは人の波と、その僅かな切れ間から見える巨塔だった。
……懐かしい。それは昔の光景。今よりずっと幼く、未熟だった時。
小さなカバンに水と食料と僅かな量のヴァリスを詰め、そして少々の見栄を張ってナイフを身に着けて初めて世界の中心にやって来た頃だ。
背の低かった自分にとって屈強な冒険者に溢れる道は険しく、また恐ろしいものに見えていたが、出会ったばかりの主神はそんな自分の心境を知っていながらなお無視をして、有無を言わさぬ勢いで手を引いて行く。
障害物をスルスルと抜けていく主神とは対照的にあちらこちらでぶつかり怒鳴られ、疲弊したものではあるが、それでもその時が苦痛だったかと思うとそうでもない。自分には――そして目の前の主神にも――それを上回ってなお余りあるほどの、期待があった。
『ほら、ついたで』
そうして大通りや狭い路地を抜け、やってきたのは小さな家。
特にこれといって特徴のない、ごく普通の家ではあるが、世界の中心たるこの街では見窄らしく思えるのも無理はない。
そして、だからと言ってがっかりしたかと思えばそうでもない。自分が求めてきたのは家屋などではないのだから。
『ほな、仲ようしいよ。他の三人は……少し、個性的やでな』
個性的、という言葉に色々な意味を込め、乾いたように笑う主神に、笑顔を向ける。
――クセのある相手には慣れている。
『……ならよかったわ。ほんなら、始めよっか。うちらの――ロキ・ファミリアの冒険譚を!』
勢いよく家の扉が開かれる。その時は、特に珍しいわけでもないその
※※※
不意に、閉まる目蓋を越えて射してくる日差しを感じる。朝の目覚めを齎すその光は、未だ微睡みに半ば囚われている自分にとっては煩わしく感じるものだった。
――夢、か。まぁ、そうだよな……。
腕を持ち上げ目元に乗せて光を遮る。体勢は若干悪くなったが眠気はまだある。心地よい枕もあることだし二度寝でもしようかとすら考えてしまう。
しかし遠方からの、小鳥のさえずりに紛れて聴こえてくる朝食支度の音と声を耳にすると、起きなければ、という意識も自然高まってくる。料理の完成が近いのだろうか、集まった者による賑やかな会話がこちらの興味を引いてくる。
それに何より、若干肌寒いし、チクチクと痛い。ふと皮膚に意識を割けば纏っているのは衣服のみで、毛布の類は一切被っていなかった。そういえば、と昨晩の記憶を振り返ってみれば、最後の記憶が木を眺めていたところだった。花見酒、というわけでも無いため記憶の錯誤はないだろう。
ほんの少し、眺めているだけだったのだが……と、自分に言い訳をする。
現在のホームを手に入れた時に中庭の開けた場所に植えた、淡紅色の花が特徴的なサクラの木。半ば一目惚れの勢いで購入したこの木に、何故か自分は強く惹かれるのだ。遠征などの都合上、毎晩とまではいかないが、それでも年の半分はこの木と共に夜を過ごす。無論、今日のように夜通しということは早々ないが。
大分意識がはっきりしてきた所で欠伸を零す。仮にもファミリアの幹部である自分が、いつまでも外で暢気に眠りこけているわけにはいかないだろう。基本的にはアットホームな感じであるが、それでもあまりだらしない姿は晒せない。
程よい柔らかさの気持ちいい枕に後ろ髪を惹かれながらも――そこでふと気付く。ここは自室でなければベッドの上でもなく、そして眠る気などなかったが故に枕など持ってきていないということに。さらに付け加えれば、自分の枕だってここまでの柔らかさを持ってはいないし、人肌のような温かさも持ち合わせていない。
なら自分はいま何に――と懸念を抱くが、案ずる必要はないと判断する。ここは我らのホーム。悪戯好きの主審のせいで警戒無用というわけにはいかないが、気を張り詰める必要はない。しかし気になるのもまた事実。枕の正体を知るために、腕を下げて薄く目を開く。
寝起き様のぼんやりとした視界に映るのは――朝日を浴びて煌く緑髪、ピンと尖った独特な耳、端整という言葉すら生温いほどの美貌。そして穏やかな笑みを携えながらこちらを見つめる、髪と同様に新緑を思わせる澄んだ瞳に柳眉。目と目が合い、視線が重なった所で遅まきながらに全容を把握し、ようやく己が堪能していたものが彼女の膝枕なのだと気が付いた。
「おはよう。まったく、暖かくなってきているとはいえ、外で寝るにはまだ早すぎるぞ。えらく眠りが深かったが何やら面白い夢でも見ていたか、ハクノ?」
――リヴィ。
くすくすと、表情を慈しむようなものに変え、優しげに頭を撫でてくれるのは掛け替えのない
そんな彼女に釣られるように自分も顔を緩ませながら、夢の記憶を反芻するように瞑目する。
――夢を、見ていたんだ。懐かしい、出会いの物語を。
「そうか……懐かしい。あれから随分と歳月が過ぎたが、今でも鮮明に思い出せるな」
――うん、あの時のことはきっと、一生忘れられないんじゃないかな。特に自分やフィンは。
「言うな。自分でも若気の至りだったと思い返して悔いているのだ」
在りし日を思い出すように遠い目をしていたリヴィであったが、自分の言葉を聞いた途端、気まずそうに顔を逸らす。まあ、無理もない。
いまでこそ平時は軽口、戦闘では背中を預けられるほどの信頼を築いているが、出会った当初の自分たちの関係は誇張も壮語もなければ忌憚も憂いもなく、正真正銘、真正真実、これ以上ないほどに最悪だった。
具体例を挙げると
ちなみにこれは行き過ぎた謙遜などではなく、ドワーフであるガレスとリヴィに言われたことそのままである。
その所為で当初は連携などまるで考えていない単独プレイばかり。さらに二人ともなまじ優れていたがため、目を離した隙にいなくなっている、なんて事もままあったものだ。そして残ったフィンも「ま、いいや」と言って気にも留めずに二人だけで探索を続けようとするので、全体的に自分が割を喰らっていた。正直、そのあまりの酷さに見兼ねたロキやロキ・ファミリア以外の面々による気遣いがなければ、たぶん自分は心労で死んでいただろう。
何が恐ろしいか、というと軽口の類ではなかったということだ。実際にディアンケヒト・ファミリアの治療院へ入院したことだってあるのだから。なおその時の原因は過労。気遣いがなければさらに心労が加わったことだろう。
そんなことがあったが為に、二人はフィンに偶にいい笑顔でその時のことを掘り返され、自分にもこうして
……もっとも、私的な意見を言わせてもらえれば、フィンもそこまで弄れる立場ではないと思うが。当時の彼の無関心な姿勢の結果が自分に負担をかけていたのだから、彼も決して無関係などとは言えないのである。そしてそれを言うと彼もまた、二人と同様の反応をする。若気の至りとは怖いものだ。
……回顧するのもここまでにしておこう。思い返すと自分も胃が痛くなってくる。弄るには有効な技ではあるが、自分にもダメージがある諸刃の剣でもある。
未だ
対して、自分もまた行動にはしないものの、彼女の温かさに驚いていた。
――そうだ、自分の体は長時間外気に晒されていたのだ。暖かくなりつつあるが、それでもまだ夜や朝を過ごすには肌寒い季節。そんな夜を明かした自分の体は冷めているに決まっているのだ。膝枕でリヴィの温かさを感じていたのに、失念していた。
「…………まだ弄りたりないのか」
自他ともに予期しなかった追撃に、普段の聡明な彼女からは決して出ない、恨みがましそうな目と不貞腐れたような物言いが不意に漏れる。しかしそこに拒絶と嫌悪の意思は微塵もない。
自分とリヴィにとっては依然じゃれ合いの領域だが、さすがにこれ以上は時間の余裕がない。調理場から多数の食器の音が聴こえ始める。そろそろ料理の完成が近いのだろう。自分たちもいい加減、あちらへ移動していなければなるまい。
頬に添えた両手をさらに伸ばして首に回し、腕の重みを掛けるようにリヴィの頭を
自分の唐突な行動に面食らった彼女の反応は鈍く、目を丸くしている。隙だらけとさえ言える、これまた普段見ることのない彼女の姿が堪らなく可愛らしい。見惚れそうにもなる。しかしその為にしたのではないのだと自制し、自分の気持ちを伝えようと口を開く。告げる言葉は捻りもなければ裏もない、真摯な気持ち。
『白い衣装で嫁に来てくれ』
…………それじゃない。一瞬脳裏に浮かんだ言葉を片隅へと追いやり、気を取り直してもう一度。
――ありがとう。
最初に彼女が見せてくれた穏やかな笑みを、今度は自分が感謝の気持ちと共に贈る。
その言葉に一瞬、呆けていた彼女もすぐさま顔を綻ばす。その表情にはもはや苦々しいものもなければ、拗ねた様子もない。自分の気持ちは確かに彼女に届いたのだ。
「ああ、どういたしまして」
そして不意に風が通り過ぎていった。風はリヴィの髪を揺れ動かし、その美しい緑の帳から射し込んだ木漏れ日のような朝の光が、彼女の綺麗な顔を照らしだす。
――美しい。屈託も混じり気もない、光よりも眩しいその清らかな笑みに、今度こそ自分は見惚れた。
その抱いた感情により、急に向かい合いっていることと膝枕をしてもらっていることが気恥ずかしくなり、組んだ手を離し頭を上げて忙しなく立ち上がる。
そして一度、彼女に背を向けながら咳払いをして照れを隠し、気持ちを落ち着かせたところで彼女へ向けて手を差し伸べる。気取った言葉も振る舞いもない自分に対し、からかいの言葉を此方へ向けながらも嬉しそうに自分の手を取るリヴィ。そして立ち上がろうと膝に力を込める――が、いつまで経っても立ち上がる様子がない。それどころか、段々とその顔色が曇っていく。
もしや、と思い尋ねてみると――。
「ああ、どうやら足が完全に痺れてしまったようだ。まいったな……」
自分の言葉に弱々しくも首肯しながら、どうしたものかと困った表情で嘆息する。
よほど長時間、膝枕をしていてくれたのだろう。少しでも助けになればと腕を引くものの、リヴィの膝はまるで動こうとはしない。正座という慣れない体勢とはいえど、Lv6の彼女がここまでになるとは余程のことだ。
ふと思い出せば、彼女は目覚めた自分に対して眠りが深かったといっていた。朝の早いリヴィのことだ。曙光が見え始めたころには起きていただろう。そして開けた場所で眠りこける自分はさぞ見つけやすかっただろう。遠征帰りでレフィーヤの鍛錬もないし、朝から急ぐほど書類を溜め込んでもいない。それらの情報から察するに、彼女は最低でも三時間以上、膝枕を……。感謝の気持ちで胸が一杯であるが、申し訳なさも
「すまんが先に行っていてくれ。私も後で追うから……」
仕方なし、といった風に力を抜くリヴィ。
正座は足を崩した体勢へと移行し、足を横へずらした姿勢をとっている。。
しかし決して自分は離れない。それどころか、右腕を背に当て、左腕を膝裏に通して立てない彼女を持ち上げる。そして落とさないように、バランスを取り抱きしめる。それはお姫様抱っこと呼ばれる大多数の女性の憧れともいえるものだろう。
本日三度目となる予期できなかった自分の行動に、驚嘆するリヴィ。すぐさま抗議の言葉を並べるが、反抗の意思はないに等しいので、このまま食堂へ向かっていく。
というか、自分は彼女を一人放り出して勝手に行くような奴とでも思われていたのだろうか。だとしたらちょっと傷つく。
「いや、そういうわけではないが……」
――なら、いいだろう。膝枕のお礼もしたいし、させてくれ。リヴィ。
困った様子のリヴィと目を合わせる。数秒ほど見つめあったところで自分に退く気がないことを理解したのか、思わずといった様子で嘆息する。そして仕方ないな、と笑いかけ、自分にその身を委ねてくれた。
※※※
そして食堂前。さすがにこのままでは恥ずかしいという訴えに応じ降ろしたものの、結局まだ上手く立てないリヴィを支えて食堂へ入った所、それに目ざとく気付いた主神のロキが「まさか、遂にヤったんかッ!?」などと叫んだせいで、食堂に集まっていた大多数の者が暴徒化して大変なこととなった。
襲ってきた暴徒たちは全員漏れなく『
……否定はしないが、時々彼女と同じ異名で呼ばれて同一視されるのが嫌になる。まあ街のど真ん中で互いに叫びあった言葉が原因なので、変わりようはないので最早諦めてはいるが……。
ちなみに、その異名は【
ダンまちアニメ化したしと読み返してふと色々思いついたのでやってみた。召喚魔法とかロキのオヤジ魂とかフレイアのキアラ感とか、類似する点は結構あるし。
他にもフィンをレオ風に、ティオネをキャス狐枠に当て嵌めたり(あるいは貶めたり)とか色々思いついたのはあったけど短編だし、あと違和感ない様に設定するのも面倒だったしこの辺でいいやと。
真面目な二つ名? 【
ステイタスとかは深く考えていない。ただ強いて言うなら【不撓不屈】とかいう『諦めなければいつかきっと夢は叶う』みたいな『星の開拓者』系のスキルでも持っているんじゃないかなと妄想。
サーヴァント? 令呪と召喚魔法でも手に入れるか盧生になって終段で顕象でもすればいいんじゃないかな?
ちなみに桜の品種は無難にソメイヨシノ。クローンとか夢のないことはNGで。でもアーモンドでの代用は可。