「……キリト君」
「……何だ?」
「君はベータテストの時もこのクエストを受けたと言っていたね」
「ああ」
「その時も胚珠はここまで出なかったのかね?」
「……ベータテストの時はもう少し確率が高かったと思う。多分調整されたんだな」
私たちは黙々と植物型モンスターリトルネペントを狩っていた
キリト君の話によると胚珠を手に入れるにはリトルネペントの花つきを狩る必要があるという
しかし今のところ花つきは出ておらず倒す際に実を傷つけてしまうと大量のリトルネペントが現れるという実つきも出ていない
「……もう二時間は立つ。休憩を取らないかね?」
「……いや。もう少し狩ろう。意外とこらえ性が無いんだな、あんた」
「…そう言わないでくれ。もういい歳したおじさんなのだよ。さすがにそろそろ疲れてきた」
多分いい歳のはずだ……
「……いや。まだ狩る」
「そうか……」
実際こんな会話が成り立つのも私たちが危なげなく狩れているためだ
キリト君のお墨付き通り私の腕は実戦で通用しているらしい
「……そこにいる奴。いい加減出てきたらどうだ。隠蔽スキル使ってこちらを伺うなんて怪しい奴以外の何者でもないぞ」
彼がそう言うと草むらから一人のプレイヤーが現れた
「……ごめん。何か声かけるタイミングが掴めなくて……」
「……キリト君、彼は今どこから現れたのかね?」
「ずっと近くにいたさ。隠蔽スキルを使えば姿を隠すことが出来るんだ。索敵スキルを持ってる俺みたいなプレイヤーには見つかるけどな」
「ほう……」
「…で、俺たちに何か用なのか?見ての通り狩りに集中したいんだが。正直早く終わらせて宿に行きたいんだ。暗くなってきたしな」
キリト君の言う通り先程まで夕暮れだった空は今は暗みがかりうっすら星が見えてきていた
「ごめん。別に君たちの邪魔をしたいわけじゃないんだ。君たちの目的も胚珠なんだろう?僕もそうなんだ。
それで…」
「協力して狩りたいという申し出なら私は構わないが……キリト君はどうするかね?」
「俺も特に異論はない。……一つアドバイスだ。これからは隠蔽スキル使って近づくのはやめるんだ。こんな状況なんだ、自衛の為斬られても文句は言えないぞ」
「うん、わかった。これから気をつけるよ」
私たちはそれからも黙々と狩り始めた。ややあって……
「……キリト君。あれかね、花つきというのは?」
「ああ。そうだ。……一体しかいないな。誰の物かは後で決めるとして……実つきも何体か混じってるな」
「……それならば最初の一個はキリト君に譲るとしよう。周りの実つきの牽制は私とコペル君でやろう。どうかね、コペル君?」
「えっ?あ、うん。僕は構わないよ」
「そうか…?じゃあお言葉に甘えて…」
「うむ。では行くぞ!」
私たちはリトルネペントの群れに向かっていった
三人の口調が安定しない……