3月10日は佐天さんの日です!

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3月10日は佐天さんの日です!
でも誰も佐天さんの作品を上げません!
それどころか佐天さん純愛物のほのぼのとするだけの作品が見当たりません! チーレムにしか出てねぇ! 佐天さんは、チョロインじゃないんだぞッ!
それでも段階を吹っ飛ばして佐天さんが彼氏彼女の事情を持っていたらという話を書かざる終えない、非力な私を許してくれ……


低レベルカップル

 現代日本において、学園都市ほど常識外れな場所はない。人間は素養なるもの所謂キャパシティスキルを持っているらしく、それを引き出すために脳をちょちょいと開発すればあら不思議、能力が自分に備わっているというものだ。もっとも俺にはそれ以上の理屈はわからない。もう少し良い中学に通えば軽い触りぐらいは教えてもらえるかもしれないが、生憎自分は低能力者、強度ランクでいえばレベル1に属する人間だ。

 この強度は全部で六段階あり、平等を唱っている学園都市ではあるが、実際はランク通りのカースド性の考えがしかれている。最高強度ランク、超能力者レベル5はその頂点に立つことを許された七人の人間たちだ。定義としては、一人で国一つと戦えるレベルであるらしい。ではカースド性でいう下から二番目である低能力者の定義は? スプーンが曲げれる程度である。

 大昔にはスプーンを念じ、曲げただけでちやほやされたと聞いたが、ここじゃあそんなの一円にもなりはしない。スプーンなど曲げれて当然なのだ、特にこの学園都市では。

 

「えー、ではこの問題を……そうだな、今日は十日だし、出席番号十番は……」

 

 カツカツとチョークで黒板を叩く古くさい教師は前から順に席を数えていって、十番目に在籍する俺に顔を向ける。生徒の出席番号ぐらい覚えておけよとも思うが、この教師はそういう人間だ。

 今時石灰の粉は体内に入るとどのような悪影響を及ぼし、それが将来にどう繋がるのか、という所まで生涯レベルでシュミレーション出来る時代だと言うのに、中々の頭でっかちだと思う

 教師はあぁ、お前か。と声をもらすと少し思い悩んだ表情をする。変に腫れ物扱いされるのも嫌なので、そっと了承の意を送って席を立つ。

 

 ――頑張って。

 

 珍しく可愛いげのある声だと言うのに、頬を緩むことはできなかった。

 

 授業も終わり、放課後ともなると待っているのは生徒それぞれに任せられる自主的自由行動時間である。勉強もよし、遊びもよし、青春を満喫するもよし。ここは科学技術だけではなく全てにおいて最先端を行く学園都市であるから、幸い後者だけで学園生活を終わらせることは余裕のよっちゃんという奴である。

 俺には就きたい仕事があるので、前者のためにある程度の時間を割くが、彼女は後者らしい。

 どうやら女子会というものは総じて心が踊るものらしく、隣の彼女も俺の前であるにも関わらずうきうきとした感情を示す音符(♪)をあっちこっちに飛ばしていた。彼女に前に聞いたところ、女子会は飲み食いしながらだべるだけのものと聞いていたので、何が楽しいのかさっぱりである。いや、男同士でもそういうのはあるらしいからやはり俺だけが世間からずれているのだな、と改めて認識させられる。

 

「ん」

 

 指定制服である青のロングスカートを揺らめかせて歩く彼女は、そうもらす。それに俺は了承の意を示してから、少し足早にして彼女を含めた同級生たちを追い抜いていく。

 

「よしっ」

 

 彼女のそのかけ声は、今から悪戯をするぞ、という意をビシビシと感じさせる中年親父がよく出すようなイントネーションにうり二つであった。ちらりと横目で事態をながめる。石詰めでレンガ模様を表現したデザインの床を力強く蹴りだすと、足音を立てずに、しかし迅速に目標へと接近していく。中年親父のイントネーションを持っているくせに、その俊敏さは忍者の如し。さながら猫にも見えるな、と思った。然もありなん。

 

「う~い~~はぁ~るぅ~っ!」

 

 一瞬の出来事であった。目標に気取られることなく背後に回った刹那、目にも止まらぬ速さでしゃがみこめば指定制服である青のロングスカートの裾を両手でしっかりと握り、立ち上がる反動も使って全力で両腕を天へとかざせば、残ってる結果はしたやったり顔の彼女が抱く達成感と世間一般でいうスカートめくりというものだけ。

 

「――――!!??」

 

 対象は急速に顔を赤くしていく、その様は熟していくトマトのよう。平然とした表情から、という意味でならリンゴでもいいだろう。頭の造花がなんの花をモチーフに作られたかはしらないが、花をモチーフとしてるならやはりリンゴを一推しとしたいところだ。トマトの花よりリンゴの花の方が可愛く聞こえる。

 

「おっ、今日は黒かぁ。大胆だねぇ」

 

「さ、佐天さんっ!」

 

 怒りと羞恥で顔色を真っ赤に染め上げて怒鳴る同級生の意からは、怒りを感じない。どうやら内心のどこかで諦めてしまっているらしい。馴れたとも取れるが。

 

「そんなもの履いて、一体どうするの? ハッ、まさかもう彼氏を……! お父さんは認めないぞ!」

 

「違います! 洗濯したのを乾かし忘れたのでルームメートに借りて……って何言わせるんですかぁ!」

 

 あっはっはっと声をあげて笑う彼女を尻目に、こちらは言及される前に言われた通りすごすごと下校を再開する。彼女たちの後ろで腰を引いている男子生徒たちとは違って見ていないから罪は軽いだろうが、それでも罰を受けることがあってはならないのだから。

 

◆◆◆

 

 彼女が帰ってきたのは日が落ちる少し前のことであった。

 

「はぁ~……」

 

それはもうくたくたですという意をビシバシ投げつけるように送ってくる彼女に、少々の呆れの意を送る。結構楽しんでいたし、自業自得だろうと。

 

「ん」

 

 対して帰ってきたのは小さな怒りの意、しかも連射機能付きらしくフル活用して送りつけてくる。さらに一発ごとに二つのお小言付きだ。流石にこれはたまらん、津々な反省の意を送ると彼女はいじらしくにんまりと笑うと

 

「弱っ」

 

 そっと許すと送ってくれる。天真爛漫からかけはなれた存在ではある彼女だが、こういう時はそんな言葉が送られる気もわかるような気持ちになる。どうあがいても、かけはなれた存在ではあるが。

 

「ん」

 

 お茶を求める声に、曖昧で適当な返事を取り繕うと、冷蔵庫に向かう。幸いこの部屋の冷蔵庫はキッチンに近い場所、つまりは玄関の近くにあるので取りに行くには全くもって面倒くさい場所だ。この間も冷蔵庫を弄っていたら玄関を開けられてとても寒い思いをしたことがある。しかし仕方がない、言われたからには従わなければ……等と言うものか。

 

 彼女の腕を力強く、痛まない程度に掴む

 

「へ?」

 

 俺がいつまでもお前の指示に従ってばかりだと思うなよ! ましてや今日は3/10の佐天の日! 尽くしてほしいなら俺と一緒に尽くすことを覚えてもらおうか!

 

「ちょ、ちょっと!? ワルツみたいに背後とらないで!」

 

 ほらほらそこにお茶があるから俺と一緒にコップへと注いでみようじゃないか! 初の共同作業としてな!

 

「あぁお代官様、お止めになって!」

 

 よいではないかよいではないか!

 

 けたたましい音をならして玄関の扉が開く。

 

「この、変態がッ!」

 

 明るいなにかが迸ったと思うと、俺の意識は暗転した。

 

◆◆◆

 

「か、彼氏ぃ!?」

 

「あはは……えっと、はい。そうなんです、恥ずかしながら」

 

 彼が気絶してしまって数分がたつが、未だに彼は目覚めない。能力の関係上、信号に頼ることもあるからそこを運悪く刺激されてしまったのかもしれない。まぁすぐに目覚めるだろう、意外とタフな一面もあるし、そういう所は男だなと強く意識してしまう。

 あの後、彼を気絶させた御坂さんは意識だけでなく生涯すら絶とうとしていたのでそれをなんとか全力で阻止。落ち着かせるために来たわけを説明してもらった。

 聞けば女子会中のぼーっとした私の態度がどうにも気になったらしく、もやもやを解消するために私の部屋まで来たんだそうな。えっと、ごめんなさい。多分その時私、彼に何をさせようか考えてただけです。

 それでこの男は誰なんだ、と御坂さんに問い詰められたので仕方なしに白状したところで、現在に至る。

 

「佐天さん彼氏いたの!?」

 

「は、はい。三ヶ月前くらいから付き合い始めてて……」

 

「三ヶ月!? えっと、大体12月だから……もしかしてクリスマスに……?」

 

「はい。彼から私に、って感じで……」

 

「わ、私よりも遥かに進んでる……!? じゃ、じゃあキスとかもあんなことやこんなことも……! 佐天さんは同じ穴の狢だって信じてたのに!」

 

「ちょっと! それどういう意味ですか!?」

 

 全くもってそれは聞き捨てならない。私だって花の女子中学生なのだ、恋もすれば彼氏もほしいと思うし作ろうと努力する健気なお年頃。その結果が単に御坂さんより早く実ったとはいえ、奥手奥手の御坂さんと一緒にされるのは全くもって遺憾である。

 

「お、オホホ。それじゃあ佐天さんは何事もなさそうだし、門限も近いしで二重苦ですしそろそろお帰りしますわ。また今度ーっ!」

 

「あっ、ちょっと御坂さん!」

 

 乱暴に薄い鞄をかつぐと、彼女はどたばたと音をならして猛スピードで帰路へつく。あんまりうるさくされると下の階の先輩に怒られるんですけど……。こいつのせいにすればいっか。

 御坂さんとの相手をさせられた赴き返しというわけでもないが、こいつのせいで疲れたのは事実なので頬をつつき回す。私のよりも白く、尚且つ柔な感触が程よく感じる肌はこちらの指を押し返す弾力を持っていた。むむ、ニキビの後もなければ傷跡もない。これは相当昔からケアをしている証拠……。あれ、こいつもしかして私より女子力高くない?

 

「……てぃっ」

 

「――――!!??!!??」

 

 思わず彼を膝から落とした私は悪くないはず。彼女よりも綺麗な彼氏など、存在してはいけないのだ。何よりすぐに目移りされそうで怖いし。――いや。

 

「……あんたには無理か」

 

 呟いた途端ににべもなく頷く彼が必死にそうに見えて、なんだか可愛く見える。そう思うと、自然と笑みが零れるのだ。

 

 ――付き合ってください

 ――へ、それだけ?

 ――俺にこれ以上望むとか高望みしすぎだろ。そもお前自分のレベル……強度じゃないぞ、見てから言えよ。

 ――今ならあんたのこと本気でコロコロしていいと思った。

 ――そうやってすぐに癇癪起こすのだからメルヘンとはいい身分なのだと改めて思い知らされるよ。全くもってヘドが出そうだ、ついでに鼻も曲がる

 ――御坂さん、今こそこのスタンガンにこいつを殺すほどの高電圧を……!

 ――待て! 嫌いとは言ってないだろ!

 ――だからもっと綺麗な言葉が欲しいんでしょうが馬鹿ぁ!




続きをかくとは言ってない

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