北条加蓮はプロデューサーの異常に気づく。気づけばいつも近くで彼のことを見続けてきたからこそ。

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アニバーサリープロデュースの頃に書いてたもの。
加蓮のあの言葉から、会話形式で。


加蓮「そういえばPさんはどうしてプロデューサーをしてるの?」

加蓮(あれはシンデレラガールズプロジェクト1周年記念のパーティーでのことだったな)

 

*****

 

加蓮「そういえばPさんはどうしてプロデューサーをしてるの? 気になるなぁ」

 

P「…加蓮や皆をトップアイドルにするため、だろ?」

 

加蓮「もう、そうやって誤魔化して…ただ、もしスカウトしてくれたのがPさんじゃなかったら…きっと私、アイドルになれなかったね」

 

P「そんなことないさ。俺が見つけなくても、他の誰かが見つけて、きっと加蓮は輝いてる」

 

加蓮「それ、なんか…やだな」

 

加蓮(Pさん以外にプロデュースされる私、想像できないよ。したくないよ)

 

P「それじゃ加蓮がずっと憧れてたアイドルになれないじゃないか。うん、それなら俺が加蓮を見つけるのが運命だったんだな、そうに違いない」

 

加蓮「また、そんな言葉を恥ずかしげもなく言うんだから…もう。あ、Pさん、お腹空いてる? 私のケーキで良ければ…食べる?」

 

P「いや、俺は大丈夫だ。加蓮、ありがとう」

 

加蓮「そっか、甘いものって気分じゃない? ふ~ん…じゃ、私が遠慮なく…」

 

加蓮(態度はいつも通り。自然と傍にいてくれるのもいつも通り。…だけど、殆ど料理に手を付けてない。顔色はいいけど…あれ、コレってメイクしてる!? ということは、やっぱり)

 

加蓮「ね、プロデューサー。正直、今日そこまで体調良くないんだ。早めに送…」

 

P「!…それはダメだ、すぐにでも送るぞ。車を回してく…」

 

加蓮「待って、せっかくのパーティーだよ? ちょっと、仮眠室で休めば大丈夫だから。少しだけ抜けさせてもらえば十分。凛や奈緒が戻ってくるまではちゃんと待ってたいんだ」

 

加蓮(実際には体調なんて悪くない。Pさんは最初の頃と変わらない扱いをしてくれるけど、私だって体力はついてきたんだ。ただ、今はとにかくPさんを休ませないと)

 

P「う~ん、加蓮がそこまで言うならいいが。ただ、あまりにしんどそうなら、分かるよな? じゃ、すぐ仮眠室の準備整えてくるからな。暖房入ってないから、冷え切ってるはずだ」

 

加蓮「うん、ありがとう。お願いするね」

 

藍子「…加蓮ちゃん、大丈夫ですか? 無理して元気な振りしてたんじゃ…」

 

加蓮(Pさんは…よし、もう仮眠室に行ったね)

 

加蓮「…大丈夫。しんどい振りをしただけ。本当に危ないのはPさんだよ」

 

藍子「Pさっ…もがもが」

 

加蓮「心配するのは分かるけど、大声あげちゃダメだよ。春菜がせっかく皆の気を引いてくれてるんだから」

 

藍子「…顔色良くなったから、大丈夫だって、思ってました」

 

加蓮「やっぱり藍子もそう思ってたんだね。あれ、私が教えたメイクのやり方だよ。多分、すごく体調悪いのをああやって誤魔化してる。私もすぐ隣にいて、顔をちゃんと見て初めて気づいたから」

 

藍子「最近、忙しくてあまりPさんに会えなかったけど、一番忙しいのってPさんだから、心配だったんです。だから、顔色戻ってホッとしてたのに…」

 

加蓮(Pさんのこと慕ってる子はちゃんと皆気づいてるよね。聞いても絶対に認めないし、私達のために無理し続けてくれてるってわかるから、強引に止められない)

 

加蓮「せっかく皆楽しんでるから、顔に出したらダメだよ。辛いけどね。…最低でも30分、仮眠室にPさんを足止めして休ませるから、Pさんがいないって騒ぎだしたら、呼びに来てほしいんだ」

 

藍子「…わかりました! 後で暖かい飲み物、持っていきます。あ、Pさん戻ってきましたね」

 

P「おーい、加蓮。準備できたぞ。あ、すまん、藍子。加蓮がしんどいみたいだから、仮眠室で休ませる。少し付き添うから、皆に聞かれたらそう答えてくれるか」

 

藍子「わかりました、任せて下さい」

 

P「藍子が頼りになるから、助かるよ。あ、遅くなったけど、その服も良く似合ってるよ。藍子のイメージにとても合ってるから、自分に合う服をよく分かってるんだな」

 

藍子「は、はい。あ、ありがとうございます…!」

 

加蓮(流石、よく見てるよね。藍子も嬉しそうな顔して。…私の新しいネイルには気づいてくれないのかな)

 

*****

 

P「さ、ゆっくり休むんだぞ。俺もしばらく隣にいるからさ」

 

加蓮「うん、ありがと」

 

加蓮(傍にいてくれるからって、体調悪いフリするの、こういうことじゃない限りやめとこ。本気で心配してくれるから、ちょっとね。だましてる感じでちょっと嫌だな)

 

P「せっかくの新ネイル、お披露目する機会だもんな。短時間で、集中して休め」

 

加蓮「!…うん、わかった」

 

加蓮(ちゃんと、気づいてくれてた…。ほんと、体調悪くて仕方ないはずなのに、Pさん。嬉しい、嬉しいけど、もう少し自分も大事にしてよ…)

 

加蓮「手、握ってていい?」

 

P「ああ」

 

加蓮(それから薄目を開いて寝たふりをすること、10分ぐらい。Pさんは疲れに負けて、椅子に腰かけたまま、寝息を立て始めた)

 

加蓮「よっ…と。起こさないようにしないとね。繋がった手、すごい熱だもん」

 

加蓮(うまく頭を下げてもらって、少しでも楽な体勢にしてあげたいんだけど…)

 

加蓮「反対側の手じゃ、うまく届かないかぁ…ん?」

 

加蓮(藍子? あ、飲み物持ってきてくれたんだね。こっちこっち)

 

藍子「限界だったんですね、やっぱり」

 

加蓮(手招きで呼ぶと藍子は静かにすぐ傍まで来てくれる。もちろん話は小声で)

 

加蓮「上半身だけでもベッドに預けてくれればって思うんだけど、手が届かなくて」

 

藍子「私がやります。加蓮さん片手ふさがってますし、これくらいの役得は…ごにょごにょ」

 

加蓮(拗ね方も可愛いよね、藍子は。役得って聞こえてるよ~。まぁ、私も手を離す気がないから、お互い様かも)

 

ぽすっ…。

 

藍子「軽く手を添えただけ、だったのに」

 

加蓮「起きてない、よね」

 

藍子・加蓮「………」

 

加蓮(寝息、聞こえる)

 

藍子(大丈夫ですね、良かった)

 

藍子「加蓮ちゃん、足にPさんの頭乗ってますけど、大丈夫ですか」

 

加蓮「自分のアイドルの膝枕ぐらい、Pさんは堪能してもバチは当たらない、かな。ふふっ」

 

加蓮(Pさんだから、せめてこれぐらいはしてあげたいよ。この重みが、手の温もりが、嬉しいし)

 

藍子「羨ましい、ですね。Pさん、なんか安心した顔で寝てます」

 

加蓮「藍子も周りの調整役ばかりしてないで、たまには率先して甘えないと。最近忙しくて、Pさん成分、不足してるんでしょ? ほら、もう一方の手、空いてるよ」

 

藍子「で、でも」

 

加蓮「明日からも、藍子の笑顔でファンが優しい気持ちに、微笑みが浮かべられるように…藍子はそのエネルギーを貯める必要があると思うよ?」

 

藍子「・・・私のアイドルとしての目標、知っていたんですか?」

 

加蓮「プロデューサーは自分の担当アイドルの話、どんどん私にもしてくれるからね。いい加減覚えちゃうぐらいにね、ふふっ」

 

加蓮(余裕なんかじゃない。だけど、Pさんは私だけのものじゃないし、私はすごく大事にしてもらってる。きらりやみくみたいに、自分からどんどんいける子はいい。ただ、藍子みたいな子は、もうちょっと報われていいと思うから)

 

藍子「…Pさん」

 

加蓮(おずおずと遠慮がちに、手を重ねる藍子…ファンが見たら悶絶しちゃうんじゃないかな。すごく恋する女の子の顔してるし、ものすごく可愛い)

 

加蓮「今は、二人占め、だね」

 

藍子「はい…」

 

加蓮「プロデューサー、気が利くのにほんと肝心な所で鈍感だから。私達がどれだけ心配してるか、どれだけ思ってるのか、多分、本気で分かってないから」

 

藍子「きらりちゃんとか、本気で好きって言っていても『俺もだよ』なんて答える人ですから、プロデューサー。困った人ですよね。だけど、とびきり優しくて、いつも一生懸命で。私は、大好きなんです。いつもプロデューサーには笑顔でいてもらいたいです。その為になら、これまでも、これからも私は頑張れますから」

 

加蓮「…私も。ずっと小さい頃から憧れていたアイドルに育ててくれたプロデューサーに、やっとこれから恩返ししていけるところまで来たんだから」




藍子さんはパッションの正妻。異論は認める。

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