あのあと、僕が意識を取り戻し最初に見たのは、心配そうに僕を見下ろす
なんとか起き上がって周囲を見回すと、フェイトとはやてに叱られている姫路さん、
叱っている2人に救世主を見るかのような視線を送っている男3人、そしてなぜか地面に倒れこんで放置されている島田さんが僕の目に入った。
姫路さんが叱られている理由は予想できるが、島田さんが倒れている理由がわからずにいた僕に雄二たちが気が付き、僕が倒れた後のことを説明してくれた。
あの後、お弁当に何を入れたのかを問い詰めるなのはたちに姫路さんは気圧されながらも、
隠し味として濃硫酸を入れたと話し、味見も太るからしていないと言ったらしい。
それを聞いた3人は激怒して説教を始めた、とここまでが雄二たちに聞いた説明。
ここからはなのはから聞いたのだが、3人の中で唯一簡易的な回復魔法を使えたなのはが、
他の皆に気づかれないように治療をしていてくれたらしい。しかし、バレずに回復させるには相手に触れていないといけなかったらしく、僕に膝枕をしていたとのこと。
目を覚ましたときに一番最初になのはの顔があったのはそういうことだったのか…。
ちなみになぜ島田さんが倒れているのかというと、膝枕された僕を見ていきなり襲い掛かろうとしてきたみたいで、それに対してなのはがOHANASHIを実行、途中で気を失ったのであの状態で放置して僕の看病を再開したらしい。
その後、フェイトとはやてにこってりと絞られた姫路さんは、泣きそうになりながら
料理を食べた人たちに謝り、今度から作ったとしても、余計なものは入れないと約束してくれた。僕たちはそんな反省した様子の姫路さんを許し、はやてが作ってきていたお弁当を分けて食べた。
…余談だが、目を覚ました島田さんは、屋上に来てからの記憶がなくなっているらしい。
いつも思うけど…なのは、君はOHANASHI中に一体どんなことをやっているんだい?
「皆、2日間の補充試験ご苦労様だったな、午後からはBクラスとの戦争があるから気を引き締めておいてくれ」
僕達Fクラスは、Bクラス戦を万全の態勢で迎えるために全教科の補充試験を行なっていたが、
1日だけでは終わりきれなかったので、2日間に分けて試験をやっていた。
今回はBクラスが相手ということなので、僕もある程度本気を出して補充試験を受けたので、そうそうやられることはないだろう。
ちなみに宣戦布告の使者は、昨日の放課後に近藤君が行った。本当は僕か須川君が行く予定だったが、僕は昼間の事件があって、体調がいいとは言えなかったので却下され、須川君は…見るに耐えないぐらい凹んでいて頼むことができなかったらしい。
宣戦布告から戻ってきた近藤君がボロボロになっていたのは言わないでもわかるだろう。
キーンコーンカーンコーン
そして昼休み終了のベルが鳴ったと同時に僕らはBクラスへと向かって走りだした。
しばらく走っていると、Bクラスがこちらに向かってきているのが見えた。2つのクラスは
徐々にお互いの距離を縮め、それがゼロになったとき、
「「「「「試獣召喚!!」」」」」
BーF間の試召戦争が幕を開けた。
Bクラス モブA VS Fクラス生徒×3
総合科目 1943点 VS 平均738点
さすがBクラスというべきか、Fクラスとの点数差は一目瞭然で、おそらく1対1なら瞬殺、
1対2でも押されていただろう。現に1対3でようやく互角、といったところだ。
「明久君、私達も行くよ!」
「あ、わかったよ、なのは」
「「Fクラス、吉井明久(高町なのは)が、Bクラス4名に数学で勝負を申し込みます!」」
僕たち2人も戦争に参加して、Bクラスの人に勝負を仕掛ける。
「吉井だと!?みんな、気をつけろ!Dクラスはあいつを1点も削ることができなかったらしいぞ!」
「高町って人、誰?1年の時にはいなかったわよ?」
「所詮Fクラスだろ?俺達の敵じゃねぇぜ!」
「それもそうだな。さっさとやっちまおう!」
どうやらDクラス戦の情報は手に入れているようだが、それでもまだ僕のことを侮っているみたいだ…。ちょっと腹は立つがそれで敵が油断するなら別に構わない。なのはは今回が初戦争なので情報が無いが、Fクラスに所属しているということで警戒はしていないようだ。
「「「「試獣召喚!!」」」」
Bクラス×4
数学 平均153点
そう言った後、数瞬遅れでBクラスの人の召喚獣が姿を現した。その装備はどれも良い物ばかりで、見た目もいかにも強そうだ。
「平均153点かぁ…。Bクラスは伊達じゃないってことかな?」
「そうだね…でも」
「「試獣召喚!!」」
そう言って、僕たちも召喚獣を召喚する。
Fクラス 吉井明久
数学 713点
Fクラス 高町なのは
数学 769点
なのはの召喚獣は6年前の最後に見たときと同じBJを着ており、武器は彼女の相棒であるデバイス、『レイジングハート』を左手に持っている。
「「「「なっ!!」」」」
「「僕(私)たちの敵じゃない(よ)!」」
「な、なんだあの点数!?」
「2人とも、700点台だと!?」
「学年主席どころか、下手したら教師を超えているぞ!?」
「な、なんでこんな点数を取る人がFクラスに居るのよ!!?」
僕たちの点数を見て驚愕し、浮き足立つBクラス。
「それじゃ僕が
「わかった、後ろは任せてね!」
「頼りにしてるよ」
そんな様子のBクラスに構わず僕たちは軽口を叩きあい、しかし、すぐにその表情に
真剣味を混じらせて相手と向かい合う。
「先手はもらうよ!アクセルシューター!!」
なのはがそう叫ぶと、なのはの召喚獣の周囲に桜色の光球が4つ現れた。いきなり現れたそれに困惑しながらも警戒する相手の召喚獣たち。そんな相手に向かって、なのはは光球を打ち出した。
「シュート!!」
「全員、その光の球には気をつけろ!何かあるかもしれん!」
「へ、こんなもん見掛け倒しだろ!たたっ斬ってやらぁ!」
「な、待て!不用意なことは…」
誰かが注意を呼びかけるが、その声を無視してBクラスの生徒が光球に斬りかかり、
上から剣を振り下ろした。その生徒は剣が光球を捉えたとき、口元をニヤッと歪ませたが、
バキン!!
「なっ!」
それはすぐさま驚愕の表情に塗り潰されることとなる。
光球は振り下ろされた剣を逆に破壊し、威力を殺されることもなく敵の召喚獣に当たり、
相手の上半身を吹き飛ばした。
Fクラス 高町なのは VS Bクラス生徒
数学 749点 VS 0点
「「「っ!!?」」」
たった1発でクラスメイトが戦死させられたのを見て驚愕のあまり、声が出せなくなるBクラス。
しかし、光球が自分たちのほうにも飛ばされているのに気づき慌てて回避しようとするが、
「な、
躱したはずの光球が、軌道を変えて召喚獣に向かっていくのを見て、
Bクラスの生徒は再び驚愕の声を上げた。
「迎撃するのも無理、避けても追われる、一体こんなのどうすればいいのよ!」
「ば、バカ!集中しろ!」
「え?キャア!!」
「くそ!こうなったら本体を叩くんだ!」
そう言って光球が猛威を振るう中、残った2体の召喚獣がなのはの召喚獣に襲い掛かろうとするが、
「残念、ここは行き止まりだよ」
僕の召喚獣が間に入り、一瞬で2体を斬り伏せる。
「はぁ、はぁ…おまたせ…しました」
西村先生が戦死者4人を連行して行ったちょうどそのとき、姫路さんが前線に到着した。
「あれは…気をつけろ、姫路瑞希だ!」
「私が行くわ!」
「私も手伝うよ、真由美!」
「「試獣召喚!!」」
「さ、試獣召喚!!」
Bクラス 岩下律子&菊入真由美 VS Fクラス 姫路瑞希
数学 189点 & 151点 VS 412点
「な!400点超え!?」
「ま、まずいわ!」
「すみません、時間をかける訳にはいかないので、これで決めます!腕輪発動!」
「「キャアァァァッ!」」
姫路さんの点数に慌てる2人を尻目に、姫路さんは腕輪を発動させてそれによる1撃で2体を戦死させる。
「岩下と菊入が戦死したぞ!」
「馬鹿な、こんな短時間で6人も戦死するなんて…!?」
「誰か伝令役になって、すぐに増援を要請しに行ってくれ!このままじゃ長くは持たない!!」
「よし、Fクラスの前線部隊総員に告ぐ!敵は怯んだ!
このまま一気にBクラス教室まで敵を押し込め!」
「「「了解!!」」」
短時間で数人の戦死者を出して慌てるBクラスを尻目に、僕はFクラスに指示を出す。
その指示に、Fクラスのみんなは大声で応えてくれた。
「この分だと楽に「明久」いけそ…う?何?秀吉」
「一旦、教室に戻ってもらえぬか?Bクラスの代表はあの根本らしいのじゃ」
「そうか、あの根本が…わかった。なのは!」
秀吉の話を聞いた僕は前線でみんなのフォローをしているなのはに声をかける。
なのははすぐに反応し、こちらに来てくれた。
「どうしたの?明久君」
「一旦教室に戻るから、ついて来てくれないかな?」
「いいけど…なんで戻るの?」
「本当なら別に戻らなくてもいいんだけどね…相手の代表が根本らしいんだ」
「?それが教室とどう関係してるの?」
僕は教室に戻る理由を説明するが、なのはにはわからなかったらしい。
僕はそれを見て補足して説明をする。
「あ、そうか、なのはたちは知らないよね。根本っていうやつは、色々と卑怯なことをするって有名なやつなんだ。なにもないと思うけど、一応用心に越したことはないからね」
「そうなんだ…わかったよ」
僕の言葉に、なのはは納得したようだ
「納得してくれたようだし戻ろうか。指揮官は…姫路さん!」
「は、はい!なんですか、吉井くん?」
教室に戻っている間、誰に指揮権を渡すかを考え、姫路さんの名を呼ぶ。
姫路さんが呼ばれたことに気づき、こちらに近寄ってきて何の用かと尋ねてくる。
「一旦教室に戻るから、僕が戻るまでの間の指揮をお願いできないかな?」
「あ、わ、わかりました。引き受けます」
「ありがとう、それじゃできるだけ早く戻るようにするから、頑張ってね」
「よ、吉井くん達もお気をつけて!」
姫路さんにその場を託した僕たちは、急ぎ自分たちの教室に走った。
「戦死者は補習!!」
「「「「「い、いやだぁぁぁぁ…」」」」」
僕たちが教室の前にたどり着くと同時に、中から西村先生の声と生徒の叫び声が聞こえてきたので、慌てて中に入るとそこにはフェイトが立っていた。
「明久となのは?それに、他の皆もどうしたの?」
「ちょっと気になることがあって教室に戻ってきたんだよ」
そこでフェイトとの会話を区切り、周りを見回す。
「だけど…ちょっと遅かったようだね」
「酷いね…」
「ここまでするとは…のぅ」
教室の中で僕たちが見たのは、壊されたちゃぶ台や文房具だった。壊された数がそこまで多くないのが、不幸中の幸いというべきか…。
「私が教室に来たときには、もういたみたいでね…。もうちょっと、早く来ていればこんな嫌がらせをされることもなかったんだけど…。それに、1人逃げられちゃったし…」
そう言って落ち込むフェイト。
「気にしないで、フェイト。フェイトがいなかったらもっと壊されてたはずだよ」
「あぁ、それにこの程度なら許容範囲だ。」
「あ、雄二。今までどこにいたの?」
フェイトを励ましているといつの間にか雄二が戻ってきており、教室にいなかった理由を聞く。
「あぁ、Bクラスが協定を結びたいって言ってきたから、それの調印のために教室を空けていたんだ」
「協定の内容は?」
「4時以降は試召戦争に関する行為の禁止、だそうだ」
なんでそんな協定を結んだんだ?考えられる理由は…
「姫路さんの体力を考慮してその協定を結んだ、ってところ?」
「話が早くて助かる。姫路は体が弱いし、何より明日の作戦の要だからな。
体調を崩されでもしたらまた一から作戦を考えなきゃならん」
「なるほどね…それじゃ教室の方は大丈夫みたいだし、前線に戻るよ」
雄二の話を聞き終えた僕は、話をそこで止め、前線に戻ることを告げる。
今もみんな頑張って戦ってくれているのだから、いつまでもここにはいられない。
「あ、私も一緒に行くよ」
「ん?アキ君たち、前線に戻るん?それやったら私も行くで」
どうやらフェイトとはやても一緒にきてくれるようだ。
「おう、それじゃ頑張れよ」
そんな雄二の応援の声を聞きながら、僕たちは前線へと戻っていった。
前線に到着した僕たちは、Fクラスの様子がおかしいことにすぐに気がついた。
「ただいま、姫路さん」
「あ、おかえりなさい、皆さん」
「みんなの様子がおかしいようだけど、何があったんだい?」
「そ、それがまずいことになっちゃって…美波ちゃんが人質に取られちゃったんです…」
今の状況を姫路さんに尋ねると、彼女はそう返してきた。…とりあえず、先に彼女から指揮権を返して貰おう、話はそれからだ。そう考えて彼女に指揮権を返してもらい、島田さんたちがいるところへ向かう。
僕に気づいたFクラスのみんなが道を開ける、そうすると2人のBクラスの生徒が島田さんと島田さんの召喚獣を捕まえているのが僕の視界に映った。…とりあえず、
「なのは、フェイト、はやて」
「「「なに(なんや)?」」」
「召喚獣を出して、攻撃の準備を」
「「「ちょっと待て(待ちなさい)!!」」」
僕がなのはたちにそう指示を出すと、指示を聞いた目の前のBクラス2名と島田さんが慌て出す。
「お、おまえ、人質が目に入んねぇのか!」
「こいつがどうして捕まったと思っているんだ!?」
「馬鹿だからでしょう?」
僕がそう言うと、島田さんが殺気を含ませた目でこちらを見てくる…。どうしたんだ?
「こいつはな、お前が保健室に行ったって偽情報流したら部隊を離れて
様子を見に行ったんだぞ!?」
「へぇー…そうなの?島田さん?」
「そ、そうよ…
あんたが瑞希の下着を見て、鼻血を出して倒れたって聞いたからお仕置きしに行ったのよ!!」
島田さんがそう叫んだとき、その場の空気が凍った。僕は教室に戻っていて、どう考えたって前線にいる姫路さんの下着なんて見れるはずもないだろうに…見る気もないけど。
「「「明久(アキ)君」」」
「何?3人とも?」
「「「あれ、殺っちゃっていい(かまわへんか)?」」」
「いいよ」
僕が呆れていると、3人がそう聞いてきたので許可を出す。
するとそれを聞いた3人はすぐさま召喚獣を出し、
「ディバイン…」
「プラズマ…」
「フレース…」
「「「なっ!!」」」
「「「バスター(スマッシャー)(ヴェルグ)」」」
砲撃準備に入る。それを見て声を上げる3人、しかし、なのはたちはそれに構わず、
準備を終えたそれを撃ちだし、島田さんもろともBクラスを戦死させた。
どうも、ソルレインです。
Bクラス戦が始まりました。
今回は、2回に分けて更新する予定です。
誤字・脱字がありましたら、感想で気兼ねなく書いていただけるとありがたいです。
それでは、次話をお楽しみに~。