「次はいよいよAクラス戦だ。まず先にこれだけは言わせてほしい。ここまで来れたのは、
皆の協力があったからだ。だから皆には礼を言わせて貰いたい」
2日間の補充試験を終えた日の昼休み、雄二が壇上に立ち、最初に礼を述べてAクラス戦についてのことを話し始めた。
「Aクラス戦だが、これは代表同士の一騎討ちで決着を付けたいと考えている」
それを聞いたほとんどのクラスの皆は相当驚いたようで、ざわつき始める。驚いていないのは、昨日のお昼に先にこの話を聞いていた僕らだけだ。
「馬鹿な坂本が勝てる訳が…」
チッ!! サクッ!!
「次は当てるぞ」
「イ、Yes,sir!」
雄二が、暴言を吐いた人に向かって、カッターナイフを投げつけた。投げられたカッターは、
件の人の頬を掠め、畳に突き刺さる。とりあえず、一言。
「雄二、駄目だよ。畳が傷つくじゃないか」
「「「心配するのそっち(なの)(なん)!?」」」
僕がまさかそんなことを心配するとは思わなかったのか、僕の言葉に驚きの声を上げる幼馴染3人。
おっと、僕も知らず知らずにFクラスに毒されてきていたようだ、注意しないと…。
「話を戻すぞ…具体的な方法だが、一騎討ちではフィールドを日本史に限定するつもりだ」
「日本史?霧島は日本史が不得意とは聞いたことが無いんじゃが…」
「あぁ、あいつには不得意科目はねぇ。ただ日本史といっても、その内容は限定するつもりだ。
レベルは小学生程度、方式は100点満点の上限有り、召喚獣勝負じゃなくて純粋な点数勝負にする」
秀吉の疑問に答え、さらに説明を進める雄二。
「それで勝てるのか?上限有りなら、坂本のほうが分が悪いんじゃないか?」
「まさか、運任せ、なんてことは言わないよな?」
「話を最後まで聞け。俺がこのやり方を取ったのは、『ある問題』が出れば確実にあいつが間違えると知っているからだ」
「『ある問題』?」
『ある問題』?それって一体…
「ああ、その問題は……『大化の改新』だ」
「『大化の改新』…小学生程度の問題ということは、年号とか?」
「その通りだ。その年号を問う問題が出れば、俺たちの勝利だ」
なるほど…でも、それって雄二が100点取れなかったら意味無いような…。そう考え、その点について指摘しようとするが、姫路さんの質問によりそれをする機会は無くなってしまった。
「あの…坂本くん」
「ん?なんだ、姫路」
「坂本くんって、霧島さんと仲がいいんですか?」
「あぁ、俺とあいつは…幼馴染だ」
「総員、構えぇーーーー!!!」
「「「「「Yes,Sir!!」」」」」
雄二が霧島さんと幼馴染と知ったFクラスの皆が、須川くんの号令で上履きを構えた。こういうときのやる気(殺る気)をもっと勉強に費やすことはできないんだろうか…。
「な、なんで須川の号令で、ほとんどのやつらが上履きを構える!俺が何をした!?」
「黙れ、男の敵が!!Aクラス戦の前に、お前は俺たち、FFF団が殺す!!」
「「「「「霧島さんと幼馴染なんて、羨ましいんじゃボケがーー!」」」」」
今にも雄二に上履きを投げつけそうになっているFクラス、いやFFF団。いつの間にか死神のようなローブも着てるし…。とりあえず止め…
「そ、それなら明久はどうなるんだよ!?」
「ちょ、ちょっと雄二!?」
FFF団を止めようと動く前に雄二がいきなりそう言い出し、慌てる僕。そんなこと言ったら確実に僕にも襲いかかってくるじゃないか!?
「そいつは美人の幼馴染3人に囲まれて、さらに毎日その幼馴染たちに弁当を作ってきてもらってるんだぞ!」
「「「「「よし、先に吉井を殺ろう」」」」」
訂正、雄二がお弁当のことを話したことにより、完全に僕に標的を変えていた。くそ、雄二め!
「くそ、戦略的撤った…」
「あの、吉井くん」
「何、姫路さん!?今ちょっと大変なんだけど!?」
この場から離脱しようとしていた僕だが、姫路さんに呼び止められたことによって気勢を削がれる。
一体何の用なんだ?
「吉井君は、霧島さんみたいな娘が好みなんですか?」
「それ、今聞くようなことなの!?いや、美人だとは思うけど…」
「…」
「けど好みかと聞かれたら…って姫路さん、なんで若干不機嫌そうな顔をしてるの?
そして島田さん?君は何故教卓なんて物騒な代物を僕に向けて投げようとしているの!!」
FFF団に危機感を覚えながらも姫路さんの質問にそう答えると、何故か姫路さんは頬を膨らませ、島田さんは教卓を持って僕に投げつけようとしている。なんかさらに状況がカオスになったような…
「と、とりあえず…俺は小さなときに翔子に間違えて嘘を教えたんだ」
僕らの様子を無視して話を始める雄二。できればこの場を先にどうにかして欲しいんだけど…。
「あいつは一度覚えたことを忘れることがない。
だから今回はそれを利用して、Aクラスに勝つつもりだ!」
雄二がそう言って話を締めたが、ほとんどの人たちは聞いておらず、話が終わったのを
合図に僕に襲いかかってきた。
昼休み、僕らは宣戦布告のためにAクラス教室前に来ていた。…ん?あの後どうなったかって?
あの後、FFF団に昼休みまで追いかけられていたんだけど、いい加減に鬱陶しく感じたので、剣道部から竹刀を(無断で)拝借し、それを使って襲いかかってきたFFF団全員を叩きのめた後、西村先生に引き渡した。
味方が一方的に倒されても襲い掛かってくるFFF団に、こんなことをするからモテないのに…と思ってしまった僕はおかしくないと思う。
ちなみに島田さんはというと、FFF団と一緒に僕を追いかけていたが、途中でDクラス所属のドリルヘアーの女子生徒に遭遇したと同時に逃走に入り、今も校舎のどこかを逃げ回っている。
「失礼するぞ。Fクラス代表の坂本雄二だ、Aクラスの代表はいるか?」
「今は代表がいないから私が話を聞くけど、何の用かしら?」
そう言って僕らの前に、秀吉によく似た1人の女子生徒がやってきた。彼女の名前は木下優子、秀吉の双子の姉だ。何故か2人が並べて見比べると、優子さんのほうが男にしか見えなくなるから不思g…」
「吉井くん…それってどういう意味かしら?」
なぜか優子さんが口元を引き攣かせ、こめかみに青筋を立てていた。
…あれ、なんで怒ってるんだ?
「アキ君、何故か~のあたりから口に出てたで」
「あ、そうなの?ごめんね、優子さん」
「別にいいわ…家に帰ったら秀吉にこの鬱憤をぶつけるから(ボソ)」
「姉上!?今ボソッと恐ろしいことを言わんかったかのぅ!?」
優子さんが後半の部分を小声で喋り、その声を耳聡く拾ってしまった秀吉が思わずといった風に叫ぶ。ごめん秀吉、今度何か奢るよ。
「ゴホン…話を戻すぞ」
「あ、ごめんなさい」
「…今回ここに来たのは、Aクラスに一騎討ちを申し込むためだ」
「却下よ」
それまでの思考を直ぐ様切り替えた優子さんは、雄二の提案を一蹴する。
「おいおい、せめて最後まで話を聞けよ、こちらから出るのは俺だぞ?」
「そんな本当かどうか怪しいことを真に受けるとでも?あなたたちのクラスの高町さんとハラオウンさん、八神さん、そして観察処分者である吉井くんが教師と同等かそれ以上の点数を取ることができることはAクラスも知っているのよ?それなのにそんな提案受けるわけ無いでしょう?
それに例え言ってることが本当だとしても、無闇矢鱈とリスクを侵す理由もないわ」
だからそんな提案はもっての外、と締めくくる優子さん。やはり、僕たちの点数については知られていたか…。
「そうか…話は変わるが、お前たちはBクラスとやりあう気はあるか?」
「Bクラスって2日前に来た、あの…?」
雄二の言葉を聞いた優子さんがその時のことを思い出したのか、口に手を当てている。よく見ると、周りで話を聞いていたAクラスの人も今にも吐きそうな顔をしている。…そんなに気持ち悪かったのか、あの
「あぁ、アレが代表をやってるクラスだ。ちなみにあの戦争は『和平交渉で集結』ってことになってるから、いつでも攻め込めるらしいぞ?もちろんDクラスもだ」
「それって、脅迫?」
「いいや?ただのお願いだが?」
どうしてだろう、雄二が物凄く生き生きしているように見えるんだけど…
「うーん…」
「……いい、その勝負受ける」
雄二の話を聞いて悩む優子さんに、僕たちの後ろからそんな声が掛けられた。そちらの方を見ると、Aクラス代表である霧島さんの他に3人が立っていた…って…
「……ただし、勝負は7対7の一騎討ち7回」
「そうね、それが妥当だと思うわ」
「私もそう思うかな」
「試召戦争かー。おもしろそうだね!」
僕の耳に彼女たち4人の声が届くが、驚きすぎて思考が停止している僕には、
それに何の反応も示すことができなかった。
…なんで、3人がここに?辛うじて考えることができたのはそれだけだった。
「……それでいい?雄二」
「あ、あぁ、それで構わない。ただ教科はこちらがすべて選んでも構わないか?」
「……条件がある」
「なんだ?その条件ってのは」
「……まず、7つのうち3つは私たちが選ぶ。……そして負けた方は、なんでも一つ言うことを聞く」
カチャカチャ!!
「わかった。それじゃ開戦は今日の放課後でいいか?」
「……うん、それで構わない」
「そこでカメラの手入れを始めてる人には、誰も何も言わないのね…まぁいいわ。
そんなことよりそろそろそこで固まってるバカとお話をしましょうかね。久しぶり、明久」
雄二と霧島さんのやりとりが終わり、幼馴染の1人である彼女、アリサ・バニングスがそう話を切り出してきた。今は、長かった髪を切ってショートカットにしているみたいだが、どうやら気の強いところは全く変わっていないようだ。
「そうだね。久しぶり、アキくん♪」
次に話しかけてきたのは、紫色のロングヘアーを腰まで伸ばしている幼馴染の月村すずかだ。
こちらも、昔と変わりがないようで、柔らかな微笑みを僕に向けてくる。
「アキ、ひっさしぶりー!」
最後に話しかけてきたのは、フェイトの姉のアリシア・T・ハラオウン。
金髪の長い髪をポニーテールにしており、それが活発的な彼女にはとても似合っている。
そこでようやく再起動することに成功した僕は、彼女たちに声を返す。
「う、うん、久しぶりだね、皆」
「うん?知り合いなのか?明久」
それだけしか言えなかった僕に、雄二が聞いてくる。
「うん。彼女たちも僕の幼馴染だよ」
「ほぅ…それは前言ってた高町の友だちっていうやつか?」
「正確にはなのは
ガシッ!!
僕が雄二にそう説明していると、突然両腕と肩を掴まれた。何事かと思って見てみると、
「さて…明久。これからじっくりと
「そうだね…いきなりいなくなったこととか今まで連絡してこなかったこととかも、
ちゃんと
「昼休みはまだまだたっぷりあるから、いっぱい
目のハイライトを消した3人の幼馴染の姿が僕の目に映った。腕も外そうとしても外れそうにないぐらいの強さで握られている。あぁ…またこのパターンなんだね…
「なのは、フェイト、はやて」
「「「何(や)?明久(アキ)君」」」
「できれば助「「「無理、諦めて」」」…ですよねー…」
僕はなのはたちに助けを求めるが、言い終わる前に拒否されてしまう。
「「「それじゃ逝きましょう(こう)か」」」
そう言って、僕を人気が無いところに向かってどんどんと引き摺り始める3人。
僕たちがAクラスから出た後には、転入生3人の豹変ぶりに惚けるAクラスの生徒たちと、これから行われるであろう
どうも、ソルレインです。
今回はAクラス戦前のお話です。
次話からいよいよAクラス戦が始まりますが、原作とは違い、7対7での対決となります。誰と誰が戦うことになるのか、どうかお楽しみにしておいてください。
そして今話でついに登場したアリサ・すずか・アリシア!!
これによって幼馴染陣全員が勢揃い!
果たして、作者はうまく彼女たちを使うことができるのか!乞うご期待!(オイ