「ただいまー…、ごめん、勝てなかったよ」
「おかえり、別に気にしないでいいよ。今ので試合が決まった訳じゃないんだし」
「あぁ、むしろあの状態からよく引き分けに持っていってくれたな。助かったぞ」
すまなそうに謝ってきたフェイトに、僕たちは労いと称賛の言葉をかけ、温かく迎える。
「そうだよ、フェイトちゃん。私もまさかあのタイミングでグラムを出してくるとは思わなかったもん」
「そやそや。アリシアちゃんのあれはかなり初見殺しやったからな~、引き分けでも儲けもんやと思うで?」
「なのは、はやて…うん、ありがとう」
さらに親友2人からの励ましを受けて、フェイトはようやくいつもの調子に戻ったようだ。
「Fクラスの方から、早く次の選手を出してもらえませんか?」
「おっと、すみません高橋先生」
「あ、すみませんでした」
どうやら、次の試合に出るAクラスの人は前に出ているようで、高橋先生が催促してきた。
Aクラスの方からは誰が出たんだろう…そう思い、対戦相手を確認するために前を見る。
「(ニコニコ)」
そこには穏やかな笑みを浮かべて僕たちの方を見ている幼馴染の1人、すずかが立っていた。あ、僕の視線に気づいたみたいだ。控えめに手を振ってるや。
「あれは…確か、明久の幼馴染だよな?成績はどんなもんなんだ?」
「うーん…僕よりもはやてたちに聞いたほうがいいかな?最近まで一緒にいたはずだし」
「すずかちゃんかぁ…詳しくはわからへんけど、成績は私たちと同じぐらいやで」
「それほどか…なら八神か明久のどちらかに行ってもらってもいいか?」
「そんなら私が行くわ」
雄二が僕らにそう聞いてきたので、はやてと相談しようとするが、その前にはやてが自分が行くと言った。
「すずかちゃんやったら得意科目なら勝ち目があるんやけど、もしアリサちゃんが出てこられたら多分アキ君しか勝てる人がおらへん。やから私が行くで」
「なるほど…そういう理由ならわかったよ。すずかとの試合、頑張ってきてね」
僕が聞くより早くはやてが何故自分が出たほうがいいのかの理由を説明してくれた。僕はその理由に納得し、はやてに応援の言葉をかけ送り出した。
「もちろんや!」
僕にそう言って、はやては前に出て行った。
「それでは両者位置についたようなので、4試合目を始めます。教科は何にしますか?」
「世界史でお願いします」
思っとった通り、すずかちゃんは世界史を選択した。私はそのことに心の中で安堵した。
国語とかじゃなくてよかったわー、不得意科目は今必死に勉強しとるけど200点取れるかどうかなんよね…。
「世界史ですね…設定しました。では召喚してください」
「わかりました、試獣召喚!!」
「試獣召喚!!」
Fクラス 八神はやて VS Aクラス 月村すずか
世界史 658点 VS 693点
お馴染みのセリフで召喚獣がそれぞれの足元に召喚される。
私はBクラス戦で見せた姿でシュベルトクロイツを右手に持っとる。すずかちゃんの方は
白を基調としたドレスを身に纏い、レイピアを右手に持っていた。
「おいおい、600点台だと!?」
「月村さんはAクラスだからまだ納得いくけど、本当にもう1人はFクラスなのか?」
私らの点数を見た生徒たちからそんな声が聞こえるが、私らは特に気にせず、
「へぇー、すずかちゃんの召喚獣はそんな感じなんやね、似合っとるで、そのドレス」
「ふふ、ありがとう。はやてちゃんの格好も堂に入ってるよ」
「せやろ?」
お互いの召喚獣を褒め合っていた。しかし、すぐに真剣な表情をして無言で武器を構える。そのまま睨み合いをしていたが、
「それじゃあ行くよ!」
すずかちゃんがそう言うと同時に召喚獣がレイピアを構えて召喚獣に向かってきた。その動きは予想以上に早かったが、なんとかシュベルトクロイツでレイピアの初撃を防ぐことができた。追撃が来る前に私はすずかちゃんの召喚獣を弾き飛ばし、それによって距離が開かれる。
「すずかちゃんの召喚獣、そんな格好やのにかなり動きが速いんやね。さっきの攻撃はわりと危なかったで」
「私も最初に召喚獣を動かしたときはそう思ったよ。だから、さっきの一撃が防がれたのはちょっと驚いたかな」
私の言葉に、笑いながらそう言うすずかちゃん。…いや、笑いながらやと
ホントに驚いとるのかどうか分からへんのやけど…
「まぁええわ。さっきの攻撃で今のままやとこっちが分が悪いのがわかったから、これを使わせてもらうで!腕輪発動!!」
私が腕輪を発動させると私の目の前に魔法陣が発現し、その上に1冊の本が現れた。これは…なるほど、そういうことかいな。
「来たれ、夜天を守る騎士たちよ!」
本を開きそう言った直後、私の前に3つの魔法陣が現れる。そして、その中から2体の召喚獣が現れた。1体はピンクのポニーテールに剣を持つ騎士服を着た女性。もう1体は小さな赤毛の女の子で、手にはハンマーを握っている。どちらも私がよく知る、大切な家族だ。
「それは…!なるほどね、はやてちゃんの腕輪の能力は…」
「そや、私の召喚獣の腕輪は『夜天の書』、その能力はこの書の主を守る騎士を召喚する能力や」
Fクラス 八神はやて&剣の騎士&鉄槌の騎士
世界史 258点 400点 400点
私とシグナムたちの点数が表示される。シグナムたちの点数は、私が召喚するときに使った点数の2倍の点数を持っている。普通やったらもうちょい少なくてもかまへんやったろうけど、すずかちゃん程の点数の相手にケチケチなんてしてられへん。
「それじゃ、今度はこっちから行くで!」
そう言った直後、シグナムがすずかちゃんの召喚獣へと走りだした。すずかちゃんは向かってくる騎士に連続で突きを繰り出してけど、その攻撃は躱されたり逸らされたりして当たっていないみたいや。
その間に私は砲撃の準備をし、準備が終わったのでシグナムにその場から離れるように指示を出す、それを聞いたシグナムはすずかちゃんの召喚獣に一撃を当ててその場から後ろに引いた。それを見た私は召喚獣目掛けて砲撃を放った。
「来よ、白銀の風、天よりそそぐ矢羽となれ…フレースヴェルグ!」
ドオォン!
私の攻撃がすずかちゃんの召喚獣がいたところに着弾し、煙を巻き上がらせる。これで終わってくれてると楽なんやけど…
私がそう思っていると、煙の中から何かが飛び出してきた。やっぱりそう簡単には終わらへんよな!
Aクラス 月村すずか
世界史 615点
「ふぅ~…危なかったよ、はやてちゃん」
すずかちゃんの召喚獣は傷ついていて、ドレスもところどころ破けてはおるようやけど痛手と言える程のダメージは負っておらんみたいや。できればもうちょい点数減らしたかったなぁ…。
「それじゃあ私も腕輪を使わせてもらうね、発動!」
すずかちゃんの召喚獣が腕輪がついている方の腕を前に出す。そうするとさっきの私のように目の前に魔法陣が形成され、その中からメイド服を着た召喚獣が現れた…ってなんでメイドなんや?
そんなことを考えて呆けている間も次から次にメイドが魔法陣から出てきて、最終的に6体のメイドがすずかちゃんの召喚獣の後ろに立っていた…前に立たないのはメイドやからかな?
「私の腕輪の能力は『自動人形』、はやてちゃんの腕輪と似たような能力だけど、違うのは召喚するときに使った9割の点数を持つことと一度に召喚できる数が固定されてるぐらいだね」
Aクラス 月村すずか&メイド×6
世界史 315点 270点
すずかちゃんの言葉を証明するかのように召喚獣たちの上に点数が表示される。
点数はシグナムたちのほうが上やけど、人数は向こうのほうが多い。長期戦はこっちが不利、ほんなら…
「騎士たち!足止めをお願いや!」
広域攻撃で一気に戦死させる!
そう思った私はシグナムたちに指示を出した後空中に飛び上がる。そして一定の高さまで上がったところで停止し、発動のための準備にとりかからせた。準備に入ったことにより魔法陣が私の召喚獣の下に浮かび上がった。
「!行って!」
私の指示を聞いたすずかちゃんは何かを感じ取ったようで、メイドとともに攻撃を仕掛けてくる。
やけどシグナムが自分が持つ剣を連結剣に変え、それを振り回すことですずかちゃんとメイド数人を抑え、残りのメイドをハンマーを巨大化させたヴィータが相手どってくれとるから、攻めあぐねているようや。
でも今んところはなんとかそれで防げとるけど、そう長くは抑えられそうになさそうやな…。そう考えながらも私は準備を続け、あとちょっとで準備が終わるというときに、
「そこ!」
ついにすずかちゃんの召喚獣がシグナムの攻撃を掻い潜り、私の召喚獣に迫ってきた!
「ヤァァァァ!!」
すずかちゃんの召喚獣はレイピアを私の召喚獣に向けたまま突進してくる。そして、そのレイピアの切っ先があと少しで召喚獣に届くといったその時、
ドンッ!!ジャララララ!!
すずかちゃんの召喚獣に青い犬(狼?)耳を生やした男性、ザフィーラが自分の体をぶつけて攻撃を阻止してくれた。さらに緑の髪をした女性、シャマルが体勢を崩したすずかちゃんの召喚獣を鎖型のバインドで拘束し、動きを止めてくれた。
「なっ!!」
「危なかったー…保険かけといて正解やったわ」
Fクラス 八神はやて&盾の守護獣&湖の騎士
世界史 128点 130点 130点
驚くすずかちゃんに私はそう言い、最後の詠唱を告げた。
「仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ…来よ、
そう言った直後、私の召喚獣の周りに発生していた4個の立方体から相手を凍らせる冷気が放出された。それはいたる所に着弾し、着弾したとこからフィールドを凍らせ始めた。それはメイドたちはもちろん、動きを止められ躱すことができんかったすずかちゃんの召喚獣も凍らせた。そして、凍らせられたすずかちゃんの召喚獣は、
ドゴンッ!!
Fクラス 八神はやて&鉄槌の騎士 VS Aクラス 月村すずか
世界史 28点 326点 VS 0点
空に飛び上がることで難を逃れとったヴィータの一撃を受けて戦死した。
どうも、ソルレインです。
今回の話は4試合目、はやてとすずかの試合でした。
この2人の召喚獣の装備、腕輪の能力の詳細もAクラス戦が終わった後に書く予定です。