『…それでは、私達の3人でその学園の技術について、調べてくればいいのですね』
そう言ったのは、髪をサイドポニーにまとめた少女で、その右手の薬指にはピンクの指輪が
はめられていた。
『あぁ、そうだ』
上司であり、友人でもある男性がそう言うが
『でも、なぜ私達3人に?』
『せや、こんぐらいの任務やったら、1人でも充分じゃないんか?』
3人に内の残り2人、金髪の少女と茶髪の少女がそんな疑問を返す、
その少女たちも先の1人と同じように、金と紫、それぞれの指輪をはめていた。
『うん…、そうなんだけどね、君たちは激務を繰り返してたから、
休暇の面もあるし、それに加えて高校の勉強もできるからね』
『『『うっ』』』
そういう彼に、思わず呻いてしまう3人。
しかし、彼はそれには取り合わず、
『それに…その学園を事前調査したみてわかったことがあるんだ』
『? それって?』
『それはね…』
もったいぶるように言う彼に訝しむ3人だが、
『どうやらその学園の2学年に、6年前に僕達の前から姿を消した「あのバカ」がいるみたいなんだよ』
『『『!?』』』
彼がそう言った瞬間、疑問が氷解した。
『『『そ、それって本当なの(んか)!?』』』
『あぁ、本当だ』
彼が3人の問いにそう答えた瞬間、
『『『ふふふフフフ…』』』
3人から凄まじく黒いオーラが漂いはじめた。
『うぉ!?』
そのあまりのオーラに怯む彼だが、
『ようやく、ようやく見つけたの…』
『自分だけで問題を勝手に解決して、勝手にいなくなって…』
『それでどれだけ、私達が悲しんだことか…』
そう言う少女たちには、彼の行動は目に入っていなかった。
『…クロノ君(義兄ちゃん)』
『な、なんだ…』
3人に声をかけられ、いつもなら金髪の女性の「義兄ちゃん」発言を注意する彼、
クロノだが、今は彼女たちのあまりの迫力にたじろいでいたため、それを指摘することはなかった。
『『『その任務、受けるよ(で)』』』
『あ、あぁ…た、頼むよ』
『『『ウフフフフ…ハヤクアッテ、カレトOHANASHIシタイナァ…』』』
『凄まじいな…だがあのバカは、それだけのことをやらかしたんだし…まぁいいか…』
少女たち、なのは・フェイト・はやての様子を見て、冷や汗を流しながらも、
それも仕方ないかと、友人であり戦友でもある「あのバカ」に思いを馳せるクロノであった…。
「ふぁあぁぁ…ふぅあ!? 何、今凄まじい寒気が!?」
4月の桜が舞う中、6年の時を経て、少年から青年へとなった彼は、欠伸を
しながら自分が通う高校に向かっていたが、その途中で凄まじい悪寒に襲われた。
「気のせいだったのかな…、それにしても…昨日は懐かしい夢を見たなぁ…」
彼は昨晩、夢で6年前のあの日のことを、少女を治療し、一方的に別れたことをみていたのだ。
「元気にしてるかな、皆…」
そう呟く彼に、
『まず間違いなく、怒っているのは確実でしょう』
っと、相棒であるエクスが言う。
「うっ…。そう言われると会いたくないなぁ…、会いたいけど」
『どっちなんですか…』
エクスに言われたことに、渋面を作り、どっちつかずのことを言う彼に、
エクスは呆れを含ませた言葉を言う。
『それよりも、認識阻害はしっかりしておいてくださいね。また先生に
私を取られるなんてこと、絶対に無いようにしてくださいよ』
「うっ…わ、わかってるよ…、もうあんなヘマはしないよ…」
『それならいいんですがね…、マスター、どこか抜けてますから』
「最近容赦無いよね、エクス」
『マスターのデバイスですから』
そんなやり取りをしながら、学校へと続く坂を登って行き、校門の前にたどり着く。
「おはよう」
ドスの効いた声が聞こえ、その声がした方に視線を向けると、
そこにはスポーツマン然とし、いかにも厳しそうな男の先生が立っていた。
「おはようございます、スネーk――鉄人先生」
彼は、頭を下げ、挨拶をした。
「今、伝説の傭兵の名前を言いかけなかったか?そしてなぜ言い直したのに間違っておるのだ…。
まったく、西村先生とは言えんのか」
『(マスター…)』
先生とエクス、それぞれから呆れを含んだ声(エクスは念話)をかけられた。
「あはは…」
「まぁいい…それよりも、ほれ、受け取れ」
先生が手渡したのは、彼の名前が書かれた封筒だった。
頭を下げ、それを受け取り、中を見た。
それを見ながら、西村先生は言う。
「それにしても…なぜ、お前は真面目にテストを受けないんだ…。
真面目に受けていたなら、確実にAクラスに行けていただろうに…」
そう。彼は『
Aクラスの代表をも超えているのである。
しかし、そのことを知っているのは、少数の先生と生徒だけであり、
西村先生はそのうちの1人である。
「うーん…どうも雄二がおもしろそうなことをやりそうだったので、
どこのクラスに行くかを聞いて、そのクラスに入るように調整をしたんですよ。
まぁ、あのクラスなら、調整なんてしなくても行けるんですけどね」
苦笑しながら、彼はそう言う。
「ふむ…、それなら構わんが…」
そう言う西村先生だが、顔は明らかに納得していないようであった。
「まぁ、あとはやる気が起きなかった、というのもありますね」
「なるほどな…、それなら納得だ」
大事な試験をそう言う彼も彼だが、それで納得する先生も先生であった。
「それでは、そろそろ時間になりそうなので教室に向かいますね」
そう言って、彼は自分のクラスに向かって行った。
「うむ、急いで行くんだぞ、」
そして、西村先生は急かすように
「
彼の名前を、言った。
『吉井明久 所属 Fクラス』