バカと魔導師たちと召喚獣   作:ソルレイン

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試召戦争後日談?
休日…2度あることは3度あるって諺、知ってる?


「おはようございます、鮫島さん」

 

Aクラスとの試召戦争が引き分けに終わった翌日、僕は迎えに来てくれた旧知の人物、鮫島さんに挨拶をする。アリサが迎えを寄越すと言っていたから執事の誰かが来るだろうとは思っていたが、まさか執事長の鮫島さん本人が来るとは予想外だった。

 

「おはよう御座います、明久様…長い間お目にかからなかった間に青年らしく健やかに成長なされたようですな」

 

「いえ、そんなことは…」

 

「ふふ…謙虚なところは余り変わっておられないようですな」

 

鮫島さんは微笑みながら挨拶を返すと、すぐに僕の成長を褒めてくれた。僕はほめられたことに照れてそんなことはないと否定するが、鮫島さんに軽く流されてしまった。

 

「さて…昔話に花を咲かせるのもいいでしょうが、お嬢様たちがお待ちですので話はここまでにしましょう。どうぞ、こちらへ」

 

「ありがとうございます」

 

そう言って話を切り上げた鮫島さんは、マンションの前に止めていた数台のベンツのうちの1台のドアを開けてくれた。それに僕は鮫島さんに礼を言って車に乗り込む。

 

「それでは、私はこの後別件の用事がありますので失礼させてもらいます。ですが代わりの運転手がしっかり目的地に連れて行ってくれますので、目的地に到着されるまでゆっくりとしていてください」

 

「あ、わかりました」

 

鮫島さんとの会話が終わるとすぐに車が動き始めた。てっきり鮫島さんが連れて行ってくれると思ってたんだけど…用事って一体何なんだろう?

 

車がカーブを曲がるときに後ろを振り向く。それによって見えたのは、携帯でどこかと連絡を取っている鮫島さんの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

「…こちら、鮫島。ターゲットが車に乗車しました」

 

『…わかったわ、それじゃ後は手筈通りにお願いね』

 

「畏まりました。では我らは今から準備に取り掛かります」

 

『抜かりはないようにね、鮫島。それじゃこちらも準備があるからもう切るわね』

 

「畏まりました…私の分も盛大に歓迎してあげてください」

 

『言われなくてもするつもりよ、あの人たちは…それじゃあね』

 

プツッ!

 

「ふむ…この様子では、明久様は大変なことになりそうですなぁ…まぁ身から出た錆、でしょうが」

 

「執事長、準備が終わりました。ご指示を」

 

「そうか、ならすぐに取り掛かれ。丁重に扱うのだぞ」

 

「「「「承知しました!!」」」」

 

 

 

 

 

 

「到着しました。左の窓の方を御覧ください」

 

「うわ~…」

 

車に乗って十分ぐらい経ち、運転手さんが言った方へ視線を向けると、そこにはつい最近立てられたばかりの大きな屋敷があった。

 

「それでは、ここから先へは明久様お一人だけで行ってください」

 

「え? 運転手さんは一緒じゃないんですか?」

 

車を屋敷の扉の前に止めた運転手さんがそう言ってきたので、おもわずそんな質問をしてしまう。てっきり中まで案内してくれると思ったんだけど…

 

「お嬢様のご指示で、此処から先は執事長以外の使用人は入ることが出来ないのです」

 

「そうなんですか…わかりました、送っていただきありがとうございました」

 

「いえ、これも仕事ですので。それでは失礼します」

 

運転者さんはそれだけを言うと、車を出して何処かに行ってしまった。さて…ああは言ったけど本当に入っていいのかな?

 

『早く入ったほうがいいのでは? アリサさんたちも待っているようですから』

 

「うーん…それもそうだね」

 

一瞬悩んだが、エクスに中に入るように急かされたので扉に手をかけ、開けて中に入る。屋敷の中に入るとそこは転移魔法をするのにも十分なほどの広さを持っている立派なホールになっていて…

 

「ん…? 転移、魔法?」

 

カアァァァッ!

 

僕がある可能性に気づいたと同時に足元に魔法陣がまばゆい光とともに展開され、僕は強制的にどこかへ転移させられてしまった。

 

 

 

 

 

「…ここはどこだろ?」

 

光が止み、最初に僕の視界に入ってきたのは何もない荒野だった。さっきのは転移魔法…しかも魔法陣の規模からして次元転送のようだった…ということはここは管理外世界かな?

 

ガキン! ジャララララ!!

 

「え、バインド!?」

 

僕が考え事をしていると、いきなりリング状のバインドで四肢を拘束された上に、鎖状のバインドを体に巻き付けられた…って、これはリングバインドとチェーンバインド!? まさかこれを使った人物は!?

 

「久しぶりだね、明久。見ないうちにでっかくなったね~」

 

「久しぶり、明久」

 

上空から2つの声が聞こえてきた。今の声…やっぱりバインドをしてきたのはあの2人か!

 

声が聞こえてきた方向、上空に視線を向けるとそこには僕が予想していた人物、アルフとユーノの2人がいた。アルフは6年前と同じ姿だったけれど、ユーノは成長していて青年らしくなっている…って、この2人がいるってことは他にもまだ…!

 

「よくやってくれた、2人共」

 

転移させられる前に考えていたある可能性が現実味を増したことに僕が顔を引き攣らせていると、図ったかのように男性の声が聞こえてきた。そして、それと同時に僕の周囲に複数の魔法陣が現れ、その中心から懐かしい顔触れが現れてきた…って、あれ?

 

「さて…久しぶりだな、明久」

 

現れた人たちの中から、見知らぬ1人の男性が代表して親しげに僕に話しかけてくるが、

 

「………誰?」

 

僕は思わずそう口に出してしまった。

 

「…ちょっと待て。まさか僕が誰かわからない、とは言わないよな?」

 

その言葉を聞いた男性は顔を引き攣らせてそう聞いてくる。よく見ると周りにいる人たちもその男性の反応を見て、腹を抑えて笑っていたり苦笑したりしている。

 

『マスター…いくら久しぶりだからってそれはあんまりだと思いますよ』

 

「え…どういうこと? エクス」

 

『あの人をよく御覧ください、そうすればわかるはずですよ』

 

エクスの言葉に従ってその男性をジーっと凝視する…黒髪黒目、それに見覚えがある顔、さらにはそれぞれの手にデバイス、『S2U』と『デュランダル』を持っている。

 

「あ、もしかしてクロ…」

 

それらを見て僕の頭にとある執務官の戦友が浮かび上がり、その名を呼びかけるが、ふと目の前にいる男性を上から下まで交互に見て、

 

「いや違うか…すみません、名前を聞かせてもらってもいいですか?」

 

「ちょっと待て。何故僕の名前を呼びかけたのに、僕を上から下まで見てから名前を呼ぶのをやめた?」

 

僕の思い違いだと思って男性に名前を尋ねると目の前の男性は引き攣っていた口元を更に引き攣らせながらそう言ってきた…って僕の名前?

 

「え…ほんとにクロノなの?」

 

「はぁ…やっとわかったみたいだな。よく見たらすぐにでもわかるはずだろう…」

 

僕の問いかけにクロノは溜息を吐きながら言葉を返してきた。そうは言うけど…

 

「最後に見たときのクロノと今のクロノ、違いがありすぎて別人だと思うよ、普通」

 

「ほぅ…ちなみにどこが違うと言うんだい?」

 

「身長」

 

「スティンガーブレイド・エクスキューションシフ…」

 

僕の一言を聞いたクロノはいきなり自分が得意とする攻撃魔法を展開し、僕に狙いを付けた…ってちょっと!?

 

「待って!? 冗談だよ、冗談!」

 

「安心しろ、君が冗談を言ったということはちゃんと理解している」

 

僕が慌てて止めようとすると、クロノはわかっていると答えてきた…え、ならなんで魔法を中断しないの?

 

「周りの面子とその様子を見てみればわかると思うが?」

 

「面子と様子? …!」

 

クロノに促され、僕は先程考えていたことを思い出し、再び冷や汗を流しながら周囲を見回す。

 

最初に左後方を見る。

 

「「………(スチャ)」」

 

「シャマル、用意したのはこれで終わりか? 」

 

「ええ、シグナムたちの分は1箱あれば十分のはずよ。あと用意するのはアインスの分だけだから、それが終わればあなたもあの中に入れるわよ」

 

「そうか…ならば、早く運ぶとしよう。この日のためにアルフとともにコンビネーション技を特訓していたのだからな。それを無駄にはできん」

 

そこにはシグナムとヴィータがデバイスをそれぞれボーゲンフォルムとギガントフォルムに切り替えていて、こちらにいつでも攻撃できるように構えていた。よく見ると、2人の足元にはカートリッジの空薬莢が6個転がっている。

またその後ろには予備のカートリッジが入っていると思われる箱を前2人の直ぐ後ろに置くザフィーラとそれを作ったと思われるシャマルさんの姿もあり、2人して何か恐ろしいことを言っている。

 

その4人の様子に流していた冷や汗がさらに多くなったことを自覚しながら、右後方に視線を移す。

 

「久しぶりね、明久くん」

 

そこにも僕が知っている人が2人立っており、その片方の女性が話しかけてきた。髪を膝辺りまで伸ばした妙齢の女性、プレシアさんは口元に笑みを浮かばせているが、その目は笑っていない。その手に持っている杖型のデバイスからは紫電が迸っており、見ただけで集められている魔力が尋常では無いことがわかった。

 

「………」

 

残りの1人、銀色の髪と真紅の瞳が特徴的な女性、アインスはその身に闇の書事件のときに着ていた戦闘服をB()J()として纏っている。彼女の目の前には既に巨大な深い紫色の光球が集まっており、両手で構えている薙刀を振り下ろせばいつでもなのはのスターライトブレイカーとほぼ同じものを撃てるだろう。

 

そうして一通りみんなの様子を確認し終えた僕はクロノがいる前方に再び視線を向ける。えっと、これってもしかして…今から僕、あれされるのかな?

 

「ふむ、どうやら今からここにいる全員から6年前に勝手に僕らの前から消えた罰で処け…お話(OSHIOKI)を受けるということがわかったようだな」

 

「ちょっと待って! 今処刑って言おうとしなかった!? それにお話って言ったはずなのにOSHIOKIに聞こえたんだけど!?」

 

考えていたことよりもさらに斜め上の答えをクロノの口から聞かされて狼狽える僕。え、シャレにならないんだけど!?

 

「気のせいだ、これから起こることを大げさに考えているからそう聞こえるだけだろう…まぁ予想していること以上のことをされるだろうがな(ボソ)」

 

「クロノォー!? 今小声でサラッと恐ろしいこと言わなかった!? え、本当に僕今からどんなことされるの!?」

 

「安心しろ、僕は一発でチャラにしてやる…ただ主や愛娘2人を泣かされた守護騎士や母親、それに…いやこの先は言うまい。まぁとりあえずこれだけは言わせてもらおう…自業自得だ! スティンガーブレイド・エクキューションシフト!」

 

言いたいことを言い終えたクロノは上に上げていた腕を振り下ろし、静止させていた大量の魔力刃を僕目掛けて放った。

 

「翔けよ、隼!」

 

『Sturmfalken!』

 

「轟天爆砕!」

 

『Gigantschlag!』

 

「喰らいなさい! フォトンランサー・ファランクスシフト!」

 

さらにクロノが腕を振り下ろしたのを合図にシグナム、ヴィータ、プレシアさんの順に魔法が放たれ、

 

「…咎人に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け! 閃光! スターライト・ブレイカー!」

 

最後にそれまで無言で目尻に涙を浮かばせ、その紅い瞳に怒りや哀しみ、その他にも様々な感情を浮かばせて僕を睨んでいたアインスがなのはの最大魔法を僕目掛けて全力全壊で撃ってきた。

 

「…エクス」

 

『…何でしょうか? マスター』

 

僕目掛けて襲いかかってきている魔法の数々を諦めの境地で眺めつつ、エクスに話しかける…とりあえずこれだけは言わせてほしい。

 

「…僕、このOHANASHIが終わったら…彼女たちに告白するんだ」

 

『マスター…それ、思いっきり死亡フラグですよね!?』

 

僕らの会話は、ちょうど皆が放った魔法が僕に直撃したことにより発生した轟音により、当事者2人以外の耳に入ることはなかった。




どうも、大学が始まってから執筆速度が低下したソルレインです。

なんとか1週間に間に合ったのですが…オリジナル展開なのでやはり色々と雑なところが否めません…。
文章がおかしかったりするところが多々あると思われますので、ここはおかしいだろうと思ったら気軽に感想で言ってください。
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