バカと魔導師たちと召喚獣   作:ソルレイン

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再会

教室へと向かった明久(とエクス)だが

 

「…うわぁ」

 

『(これは…ひどいですね)』

 

自分たちが所属するクラスの設備を見た第一声がこれであった。

来る途中に少しだけだが、Aクラスの設備を見てしまったために、

Fクラスの設備のひどさがさらに凄まじく見えたのも要因の一つではあるが。

 

「はぁ…これならちゃんと受けとけばよかったかなぁ…」

 

『(今更、言っても無駄ですよ。それよりも早く入りましょう)』

 

あまりのひどさに嘆く僕に、エクスは教室に入ることを促す。

 

「それもそうだね…」

 

僕は、渋々その言葉に従い、教室の中に入り挨拶をしようとする。

 

「おはよ『早くしやがれ、Gにも劣る糞虫野郎』う、ってなんかすごい罵倒された!」

 

扉を開けると、挨拶の途中に罵声を浴びせられてしまう。

誰が言ったのかを確かめようと、声が聞こえてきた方を向くと

凄まじく不機嫌そうに顔を歪めている1人の青年が教壇に立っていた。

 

「ん?お、明久じゃねぇか!なんでFクラスにいやがるんだ?」

 

罵声を浴びせた青年は、入ってきたのが僕だと気づいた瞬間、

不機嫌そうな顔から反転、嬉しそうな顔になり、そう尋ねてきた。

 

「雄二がおもしろそうなことをやりそうだなぁって思ったから、

点数を調整したんだよ。それより、雄二、なんで教壇の上にたってるの?」

 

雄二の行動に疑問を持ち、そのことについて質問した。

 

「担任がまだ来ないみたいなんでな、俺が代表だから暇つぶしにここから

Fクラスの質を確かめてたんだよ」

 

「なるほどねぇ…だからあんな顔してたのか」

 

僕は教室を見渡すが、そこにいるのは寝転んで寝ている者、マンガ本を読んでいる者、

カップルに呪詛を送っている者など…一言で言うと馬鹿ばかりだった。

 

「何をしている、吉井」

 

っと、そんなことを考えていると、後ろから先ほど聞いたばかりの声が聞こえてきた。

振り返ってみてみると、そこには、

 

「あれ?どうしてここにいるんですか?28号先生」

 

「誰が鉄人だ!西村先生と呼べと言っとるだろうが!」

 

『(まだそのネタを引っ張るんですか、マスター…)』

 

鉄人こと西村先生がおり、思わず言ったことについて軽く叱られてしまい、

エクスにはまた呆れられてしまった。

 

「まったく…、早く席につけ、吉井。坂本もだ」

 

「わかりました」

 

「わかった」

 

とそれぞれ返事をし、適当な席につく。ちなみに、僕の席は一番後ろで

周りの3つの席には誰も座っていなかった。

 

「全員座ったな。

では、おはよう。2-Fの担任を務めることになった西村だ、これから1年よろしくな。」

 

『『『『な、なにーーーー!』』』』

 

西村先生の挨拶に、2-Fの生徒の大多数が声を上げた。

 

「黙れ!まったく…貴様らという奴らは…。

まぁいい、それよりも設備のことを話すぞ。簡単に言おう…

 

我慢しろ! …以上だ」

 

『『『いやいやいやいやいや、ちょっと待て!』』』

 

「やかましいぞ!」

 

あまりの説明に声を上げるFクラスだが、西村先生はそれも一喝する。

 

「設備については、まぁ少し冗談を言ったが、概ね言ったとおりだ。

 何か必要なものは自分たちで用意しろ。では自己紹介を始めろ。」

 

そして始まる自己紹介。その間、僕はエクスと念話をして話をしていた。

 

「(自分で用意していいのかー…。それってなんでもいいのかな?)」

 

『(さすがにそれはわかりませんね…。あとで聞いてみては?)』

 

「(そうだね、そうするよ)」

 

「――木下秀吉じゃ」

 

「(お?)」

エクスとの念話が終わり、耳に入ってきた声につられ、今自己紹介している人を見てみると、

そこには友人である木下秀吉がいた。

 

「わしは演劇部に所属しておる」

そう、秀吉は演劇部に所属していて、その演技力はとても僕には真似できないぐらいだ。あ、そして

 

「そして、こんな見た目じゃがれっきとした男じゃ」

見た目が姉とほぼ同じという、本人にとって凄まじいコンプレックスがある。

そして、なぜか姉より男によくモテるらしく、そのことについて姉から理不尽なオシオキを食らうとかなんとか。

 

『『『『な、なんだってーーー!』』』』

どうやらFクラスの連中は女だと思ってたようだ…。

 

誰かの「秀吉は第3の性別!」という発言で騒ぎになりかけたが、そこはさすがは西村先生。

一喝して、あっさりと止めた。そして、また紹介が続いていく。

 

「…土屋康太」

お、今度は康太か。名前よりもとあるアダ名のほうが有名なやつだ。

いいやつなんだけど…将来捕まらないか、それがとても心配だ…。

その後は知ってる人もいないようだったので、順番が来るまで暇だったので、つい寝てしまった。

 

「・・・です。海外育ちで日本語は読み書きが苦手です」

…誰かが何か言ってるみたいだ。まぁどうでもいいか…Zzz

 

「趣味は吉井明久を殴ることです☆」

 

Zzz…Zzz…Zzz…

 

「ちょっと吉井! 聞いてんの!?」

 

「Zzz…ん? 今呼ばれた気が…」

どうやら今自己紹介してた人に呼ばれたようだ。

一体誰が…あぁ…なんだ島田さんか…寝よう…Zzz

 

「って何また寝始めてんのよ!」

彼女は怒鳴っているが、まだ自己紹介が終わっていないため、席を立ってまで

こっちにくることはないだろうと判断し、耳栓(どこから出したは秘密)をつけ、また寝始めた。

 

 

『(マスター、そろそろ順番ですよ)』

そうして本格的に二度寝していると、順番が近くなってきたことを

エクスが教えてくれたので欠伸を噛み殺しながらも、どうにか起きる。

見てみると、ちょうど僕の前の人が終わり、僕の番がきたようだった。

 

「吉井明久です。趣味はゲームと運動、特技は料理と剣術です」

と無難に挨拶しておいた。男ばかりの中ではさすがの僕も「ダーリンと気軽に呼んでください」なんてことは言えない、というよりも言いたくない。

 

その後は名前を告げるだけの作業が続き、

また寝ようかなと考えていたちょうどそのとき、1人の女子生徒が現れた。

 

「すみ、ません、遅れ、ました・・・」

 

『『『『え?』』』』

 

教室中から驚愕の声が上がる。

それもそうだろう。

 

「ふむ、ちょうど自己紹介をやっていたところだ。自己紹介をしろ」

 

「は、はい。姫路瑞希です。宜しくお願いします」

 

そしてその女子生徒、姫路さんが自己紹介を終えると、誰かが質問をした。

 

「質問があるんですが!」

 

「は、はい。なんですか?」

 

「なんでここにいるんですか?」

 

その言い方はどうかと思うけど…まぁ仕方ないかFクラスだし。

そう思いはしたが、どうして学年次席クラスの彼女がいるか、

僕も知りたかったので黙って聞いていると

 

「その…試験の最中に熱を出してしまいまして…」

 

なるほど…。それなら納得だ、と思っていると

 

「あぁ、なるほど俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに…」

 

「あぁ化学だろ?アレは難しかった」

 

「俺は弟が事故に遭ったと聞いてそれどころじゃなくてな…」

 

「黙れ1人っ子」

 

「前の晩彼女が寝かせてくれなくてさぁ」

 

「今年1番の大嘘をありがとう」

 

…これは雄二が不機嫌にもなるなぁ、っとFクラスの馬鹿さ加減に呆れてしまった。

 

そして、最後に代表である雄二が自己紹介を始めようとしたが、

 

「む、待て。坂本」

 

「ん?どうしたんだ、鉄人」

 

なぜか西村先生に止められてしまった。

 

「だから、西村先生と呼べと…まぁいい、その話は後だ。

どうやら遅れていた転入生が来たようだ。先にそちらを自己紹介させるが、いいか?坂本」

 

「あぁ、構わねぇぜ」

 

転入生? 一体だれなんだろう…そんなことを考えているとFクラスのバカどもが騒ぎ始めた。

 

『先生!転入生は女子ですか!』

 

「まったく、貴様らというやつは…あぁ転入生は3人とも女子だ」

 

『『『『『ウオォォォォォォォォ!!』』』』』

 

「やかましいわ!!!」

 

転入生が女子、それも3人と知って歓喜し、踊る者まで現れたがそれを

西村先生がやっぱり一喝して、騒ぎを沈めた。

 

「このバカ共は…。まぁいい、3人とも、入れ」

 

『『『はい』』』

 

ん? 今の声なんだか聴き覚…え…が…え?

 

『(まさか、あの方々は…)』

 

僕とエクスが驚きのあまり声を失っていると、その原因となった――彼女たちが挨拶を始めた。

 

「高町なのはです。宜しくお願いします」

 

「フェイト・T・ハラオウンです、1年間宜しくお願いします」

 

「八神はやてです。1年間よろしゅうな」

 

彼女たちは、そう自己紹介をした。

 

 

 

――6年前手紙と一緒に僕が置いていった指輪に紐を通したものを、首に掛けて――




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