『あなたが今欲しいものはなんですか?』
姫路瑞希の答え
『クラスメイトとの思い出』
教師のコメント
『なるほど、姫路さんらしい良い答えですね』
土屋康太の答え
『成人向けの写真集』
教師のコメント
『成人になるまで我慢してください』
吉井明久の答え
『誘惑に耐えられる理性(そろそろ限界がきそうなので)』
坂本雄二の答え
『束縛されない暮らし(切実に)』
教師のコメント
『? 確かにそれらは手に入れ難いものではありますが……括弧の中の文はどういう意味――』
高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、
アリサ・バニングス、月村すずか、アリシア・T・ハラオウンの答え
『明久(アキ)(くん)(君)』
霧島翔子の答え
『雄二の部屋(鉄格子付き)』
教師のコメント
『あー……(察し』
「さてみんなも鉄やんにしょっ引かれて戻ってきたことやし、『清涼祭』の出し物を決めるでー」
壇上に立つはやてがFクラスの床にござを敷いて座る僕たちを見下ろしながらそう宣言したことで、Fクラスの出し物を決める議事が始まった……ん? なんでFクラスにいるのかって? それは清涼祭の出し物をFクラスの教室で出すからだよ。
学園長曰く、「確かに授業はAクラスと一緒に受けることは認めたけど、行事は別さね」ということらしい……このことを聞かされたとき、とあるFクラスの代表が思わず歓喜の声を出し、Aクラスの代表に直ぐ様〆られたのはいい思い出だ。
「……………………」
ちなみにその件のFクラス代表である雄二は、西村先生に貰った一撃が原因で死んだように眠っている。
さっき議事をさせるために一度起こしたんだけど……意識が朦朧としていて使い物になりそうになかったから、実行委員だけ決めてもらって休ませた。かなり頑丈な雄二が一撃でKOされるなんて、あのときの西村先生の一撃ってどれだけ威力があったんだろう?
「それじゃ早速意見を出し合ってもらうで……っと、その前に副実行委員を決めなアカンかったわ」
『はい! 立候補します!!』
はやてがすっかり忘れていたという風に呟くと、その言葉に反応して我先にと手を挙げて立候補するFクラスの男子たち。何故だろう、立候補の動機が不純な気がしてならない。
「あー、立候補してくれるのはありがたいんやけど……アキ君、副実行委員頼むわ」
「ん? 僕?」
『何故手を挙げてない吉井を!?』
はやてが手を挙げていない僕に副実行委員を頼んだことに疑問の声を上げるFクラス男子……確かに普通なら手を挙げた人の中から選ぶからこの反応は当然だろう、といか本当になんで僕なんだ?
「せやったら聞かせてもらうけど……あんたらやったら大事な行事の重要な仕事、真面目な生徒と不真面目な生徒、どっちに任す?」
あ、あー……そういうことか、納得。
『真面目な生徒だな』
はやての質問に即答するみんな……どうやらはやてが言いたいことはわかっていないみたいだね……
「つまり……出し物決める話し合いの時間に、野球しに遊びに行く阿呆にこんな仕事は任せられへんちゅうことや」
はやてが結論を口にすると、僕と秀吉以外のFクラスの男子はバツが悪そうに顔を背けた。あ、みんなも遊ぶのは駄目なことだとは一応わかってはいたんだね、我慢できなかっただけで。
「ならなんで吉井を選んだの? 別に女子でも良かったと思うんだけど」
と少し不機嫌そうに疑問を述べる島田さん……今のやり取りでどこか不機嫌になる要素ってあったかな?
「もしかしたら力仕事とかあるかもしれへんからや。さすがに女子2人で力仕事とか嫌やろ?」
「確かにそうだけど……」
「なら、なんも問題はあらへんな」
はやてが女子もいる中で僕を選んだ理由を言い、島田さんもそのはやての考えを肯定したことではやてはそこで口論を終わらせた。肯定した島田さんはまだ納得していないという表情をしていたけど、他の反論要素が見つからなかったのか渋々引き下がった。
……秀吉も野球をしに行かなかった男子なのに、その点について何の指摘もしなかったことについては秀吉の名誉のためにも触れないでおこう。
「みんなも納得したようやし、議事再開するで。アキ君は板書をお願いするわ」
「ん、了解」
ボロボロの黒板の前に立ち、懐から職員室から調達してきたチョークを取り出す。
「それじゃ出し物でやりたいものがある人は挙手してや~」
「…………はい」
「はい、土屋くん」
最初は康太か……どんな出し物をするつもりなんだろう……康太なら写真館とか言いそうだな……まぁ、そんな訳あるはずが――
「…………写真館」
予想的中。康太ェ……
「んー……ちょっと怪しいけど、一応書いといて。アキ君」
「……わかったよ」
自分の予想が当たったことに若干気落ちしつつ、1つ目の提案として写真館を書く。
「はい」
「ほい、須川君」
次に当てられた須川君は立ち上がり、自分の案を話した。
「俺は中華喫茶を提案する……色物じゃない本格的なやつをな」
「ほぅ~、ちゃんとまともな案も出せるんやな、FFF団の会長さん。アキ君、これも書いといて」
「はいはい」
2つ目は中華喫茶……一応中華料理も作れるし、この案が可決されたら僕は厨房に回ろうかな。
「さて次は……フェイトちゃん」
お、次はフェイトか……はてさて一体どんな提案をするのか楽しみ――――
「えっと……キャバクラ、なんてどうかな?」
キィキィキィィィィ!! ガタタンッ!!
『ぎゃあああぁ!! 黒板を引っかく音はラメェェェェ!!』
予想の遥か斜め上を行くフェイトの案を聞いた僕は思わずこけてしまった。そしてその際黒板を思いっきり引っ掻いてしまい、それによって発生した音にクラスメイト全員が絶叫を上げ、のたうち回っている……要因の1人の僕が言うのもなんだけど、なにこのカオス空間?
「……フェイトちゃん。それ、意味わかって言っとる?」
一瞬で出来上がったカオス空間の中、はやては引き攣った顔でフェイトに意味を知ってるのかと尋ねた。
「うぅ……み、耳が……え、意味?……私が聞いたキャバクラってお客さんと仲良くお話したりする喫茶店、なんだけど……違うの?」
確かにお客さんと仲良く話したりもするけど……どうやら彼女は間違った知識を教えられたみたいだ。一体誰だよ、フェイトに間違ったこと教えた奴は。
「…………ちなみにその情報、誰に聞いたんや?」
「え、お義兄ちゃんから……だけど? この前、妻子持ちなのに仕事の接待で連れて行かれる、って愚痴を言ってたからどんなところなのかを聞いたら教えてくれたんだけど……」
あの
「あのKYかい……なのはちゃん」
「ここで私に振るんだね、はやてちゃん……まぁいいよ。フェイトちゃん、耳を貸して」
「? わかったよ」
はやてが自分になにをさせたいのかがわかったらしいなのはは、若干嫌そうにしながらもフェイトに耳を貸すように言う。フェイトはその親友たちのやり取りに首を傾げつつも耳を貸し、なのはの話を聞き始めた。
「……アキ君」
はやてが僕にしか聞こえないぐらいの声で話しかけてきた。
「なに? はやて」
「エイミィさんにこのことを連絡や、内容は任せるで」
「OK……『あなたの夫(クロノ)が純粋な義妹(フェイト)に、キャバクラの意味を湾曲させて教えた』でいい?」
「上出来や……ほな、フェイトちゃんもなのはちゃんから話を聞き終えたみたいやし、議事に戻るで」
はやてはそれだけ告げると、フェイトとなのはがいる方を向く。僕も同じようにフェイトたちがいる方へと視線を向ける。するとそこには、
「…………//////」
「あはは……」
顔は両手で隠して縮こまっているフェイトと、フェイトの様子を見て苦笑いを浮かべているなのはの姿があった。隠してて見えないけど、顔はすごく赤くなってるんだろうなぁ……
「あー、フェイトちゃん?」
「!(ビクッ)」
「提案……取り下げる?」
「ッ!!(コクコクコクコク)」
声をかけられて肩を跳ねさせるフェイトだが、はやてが提案を取り下げるかと聞くとすごい勢いで何度も首を縦に振った……顔を両手で隠したまま。
「それじゃフェイトちゃんの提案は取り下げやね……他に出し物の案がある人はおらへんか?」
「はい」
「じゃあ、なのはちゃん」
はやてが再度提案がないかと聞くとなのはが手を挙げた……ないとは思うけど、フェイトみたいなことを言い出したりは……しないよね?
「私は執事喫茶を提案するよ」
……よかった、提案としては許容範囲内だ。
「執事喫茶か~……確かにうちのクラスは男子が多いからええかもしれんなぁ。アキ君、これも黒板書いといて」
「了解」
3つ目の候補に執事喫茶と書いていく……さてさっき手を挙げてたのはなのは以外いなかったし、これで候補は全部かな?
「もう提案がある人はおらへんか? ……おらへんみたいやから黒板に書かれてる候補の中から出し物を決めるで」
お、やっぱり候補はこれで全部か……ちょっと数は少ないけど、まぁあるだけマシか。さてFクラスの出し物はこの中のどの候補になるんだろう――――
「あ、そや。なのはちゃん、もしも執事喫茶になったら私らは衣装なにを着るん? メイド服?」
「うん。さすがに執事だけじゃバランス悪いからね。まぁそこは嫌なら希望を取って嫌な人は制服でやればいいと思うよ……私は提案者だからメイド服を着ようと思ってるけど」
「あ、それやったら私も着るわ。さすがになのはちゃん1人だけがメイド服やったら浮くやろうしな……っといい加減時間が押してきたし、今から多数決を取るで。自分がやりたいと思った奴に手を挙げてな~」
――――あ、これ決まったな。今のやり取りを聞いた男子全員の目が輝いてるし。
僕のそんな予想は、この後に行われた多数決でFクラス男子の圧倒的支持により執事喫茶に決定したことで的中するのであった……どれだけ分かりやすいんだよ、うちのクラス。
今回はキリがいいところまでで終わらせたので、いつもより短めでした。