バカと魔導師たちと召喚獣   作:ソルレイン

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 ……どうも、昨日約4年に渡ってやっていたMMOのアカウントをハックされ、IDまで書き換えられたせいで泣く泣く引退せざるを得なくなったソルレインです。
 垢ハクのことは話として聞いていたんですが、実際にやられると堪えますね……装備だけならまだしもIDごとやられるとなると特に……

 ……まぁそんな作者に襲いかかったどうでもことは置いといて本編をどうぞ!


営業妨害する相手なら遠慮なんていらないよね?

「えー、それでは第1回戦を始めます」

 

 試験召喚大会が行われる特設ステージに到着すると、直ぐ様ステージ上に上げられた。

 

「一般公開は3回戦からですので、緊張せずに全力を出してください」

 

「初戦から2年最強と言っていい相手と当たるなんてついてないけど……勝つわよ、律子」

 

「わかってるわ、真由美。私たちの力、見せてあげましょう」

 

 対戦相手の女子2人が僕を見て呼びかけ合う。見たところ僕らがFクラスだという油断はないようだ。んー、どこかで見た気がするんだけど……あ、Bクラス戦で姫路さんに瞬殺された人たちか! だったら僕を警戒するのにも納得がいく。

 

「それでは、召喚して下さい」

 

 

「「試獣召喚!!」」

 

Bクラス  岩下律子 & Bクラス 菊入真由美

数学    179点  &       163点

 

 

 先生の合図とともに相手の2人は召喚獣を召喚する。相手の召喚獣は2体とも頑丈そうな鎧と長剣を身に着けている。ふむ、さすがはBクラス、いい装備をしているね。

 

「それじゃ僕らも召喚しようか」

 

「そうだな」

 

 

「「試獣召喚!!」」

 

 

 現れる僕らの召喚獣。僕の召喚獣はアリサとの勝負のときに見せた鎧姿ではなく、いつもの黒のスーツ姿に日本刀を装備している。そして雄二の召喚獣はというと――

 

「……雄二」

 

「……何だ、明久」

 

「君の召喚獣はハワイに遊びにでも行ってたの?」

 

「俺が知るか!! というかなんだこのふざけた装備は!? 訓練中はこんな服じゃなかっただろ!?」

 

 雄二の召喚獣は武器として紅い槍を、そして防具として――アロハ服と長ズボンを着ていた。武器は見ただけで僕の召喚獣の日本刀よりも良い物だってわかるのに、身に付けてる防具(服)が酷すぎる。前は普通の装備だったのになんで変わってるんだ……?

 

「いくわよ、えーっと……」

 

「律子、攻撃特化の紙防御コンビよ」 

 

 ……否定できる要素がないね。

 

 

Fクラス  坂本雄二 & Fクラス 吉井明久       

数学    179点  &      731点

 

 

 そんなやり取りの中、僕らの点数が遅れて表示される。

 

「あれ……前より点数が上がってない? 雄二」

 

 雄二の点数が上がっていることに疑問を持ったので尋ねる。それに対し雄二はポツリと呟く。

 

「……前に、翔子に言われたんだ」

 

「何て?」

 

「………………結婚式は何処で挙げたいか、って。パンフレット片手にな」

 

 なんだ、まだ決まってなかったのか。

 

「俺は、負けられない! 次で勝たないと、俺の人生は……! 俺の人生あべしっ!?」

 

「落ち着いて雄二。じゃないと殴るよ?」

 

「あ、明久……それは殴ってから言うことじゃないぞ……」

 

 雄二が正気を失いそうになっていたので殴って落ち着かせる。全く、手を焼かせてくれる。

 

「坂本君も正気に戻ったようなので開始してください」

 

 立会人である木内先生がそう告げて、僕らから距離を取る。

 

「真由美!」

 

「律子!」

 

「「行くわよ!」」

 

 相手の2人はお互いの名前を呼び合うと、僕らを挟みこむように移動してくる。さてどうしようか?

 

「どうする、雄二?」

 

「各個撃破で行けるだろ。お前は点数が高い方を頼む」

 

「オーケー。それじゃ行くとしますか!」

 

「おうよ!」

 

 軽い打ち合わせの後、僕らは召喚獣を相手に突っ込ませる。

 

「は、速!?」

 

「驚くのはいいけど、懐に入られてる状況でのそれは致命的な隙だよ?」

 

「え? あ……!」

 

 僕の召喚獣のスピードに驚く相手に刀を振るうと、刀はまるで豆腐を切るかのように軌道上にあった剣を、さらには鎧を切り裂き、相手の召喚獣の上半身と下半身を泣き別れさせた。

 

「う、嘘……こんなあっさり……」

 

 自分の召喚獣が何も出来ないまま瞬殺されたことに呆然とする相手。

 

「これで終いだ!」

 

「きゃああ!」

 

 そして少し遅れて雄二の召喚獣の槍が相手の召喚獣の急所を貫き、相手の点数を0点にした。

 

「ま、初戦ならこんなもん……なのか?」

 

 初めての召喚獣での戦闘の感想を首を傾げながら呟く雄二。いとも簡単に倒せたせいで物足りないみたいだ。まぁ今までの相手が僕やフェイト(なのはとはやてだと空中から一方的にやられる)だったから仕方ないと思うけど。

 

「勝者、坂本・吉井ペア」

 

 木内先生が勝者の名を告げる。

 

「んじゃ試合も終わったことだし店に戻るか、明久」

 

「オッケー」

 

「それじゃあな、Bクラスの岩下と菊入」

 

「あー、コホン……それでは失礼させて頂きます、お嬢様方。もしもお暇があればFクラス経営の出し物、執事喫茶までお越しくださいね?」

 

 Bクラスの2人に軽い挨拶とついでに宣伝を行い、その場を後にする。さて次の試合まで仕事頑張りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……真由美、気のせいかな? 今さっきの吉井くん、制服のはずなのに一瞬執事服を着てるように見えたんだけど」

 

「……奇遇ね、律子。私も見えたわ」

 

「…………後で行ってみようか、執事喫茶」

 

「…………うん、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっす。今戻ったぞー」

 

「ただいま~」

 

「む、おかえりなのじゃ。雄二に明久。いいところに帰ってきてくれたのぅ」

 

「…………よく帰ってきた」

 

 着替えを済ませ、厨房に入ると直ぐ様秀吉と康太が駆けつけてきた。何か問題でもあったのかな? なんか心なしか店内の雰囲気も悪いみたいだし。

 

「どうした秀吉にムッツリーニ? 何か問題でもあったか?」

 

「うむ。少々面倒な輩が来ておってのぅ」

 

「面倒な輩?」

 

「…………見れば分かる」

 

「どれどれ?」

 

 康太の言葉に従い、教室の中を覗き込む。

 

「おいおい、いつまで客を待たせんだぁ? この店は」

 

「遅ぇなー。所詮、最低のFクラスは出し物も最低ってことか~?」

 

 そこには大声で威張り散らす坊主頭とモヒカン頭の二人組が教室の中央のテーブルに座っていた。

 

「ついさっき来たばかりじゃというのにずっとあんな風に文句を言っておるのじゃ」

 

「は? なにそれ? 堪え性がないにも程があるでしょ」

 

 秀吉の話を聞いて思わず呆れる。見たところ3年生なのに、下級生の出し物で偉そうにするなんて馬鹿なのではないだろうか……

 

「八神はどうしたんだ? 付き合いは短いがあいつならすぐにでもあんな奴等追い出すと思うんだが……」

 

「八神なら高町たちと一緒に小休憩に入っておるのじゃ。たぶんそろそろ帰ってくるとは思うのじゃが……」

 

「なる程な……仕方ねぇ、ちょっくら行ってくる」

 

「あ、一人は任せてもらっていい? お仕置きにはちょうどいいものがあるから」

 

「? まぁ別に構わねぇが……何する気だ?」

 

「食品廃棄。ちょうどどうしようか迷ってたんだよ……それじゃ取ってくるね」

 

 雄二たちにそれだけ言って厨房の中へと引っ込み、目的のものが入っている冷蔵庫へと近づく。

 

 えーっと、どこにやったっけ……うーん、確かここに……お、あったあった。

 

 目的の物を見つけ、それを持って店内に戻る。すると腕を振りきった雄二とその振りきった腕の先の方へ倒れている坊主頭の先輩、そして何かに驚いているモヒカン頭の先輩が目に映った。

 

「現在、責任者は席を外しておりますので代理として私こと、坂本雄二が承ります。何かご不満な点でも有りましたでしょうか?」

 

「不満も何も、今目の前で連れが殴り飛ばされたんだが……」

 

 あ、やっぱりあの坊主頭の人が倒れてるのは雄二に殴られたからなのか。

 

「それは私のモットーである『パンチから始まる交渉術』に対する冒瀆でしょうか?」

 

 それを交渉術と言い切れる当たり、雄二は大物だと思う。そう思いながらもモヒカン先輩の後ろへと認識阻害魔法を使いながら近寄る。

 

「ふ、ふざけんじゃねぇ、この野郎……! それは交渉術じゃナイジェリア!?」

 

「そして『キックで繋げる交渉術』です。最後には『プロレス技で締める交渉術』が待っておりますので」

 

「わ、わかった! こちらからはこの夏川を交渉に出そう! だから――」

 

「ちょ、ちょっと待てや、常村! お前、俺を売ろうと――」

 

 坊主先輩を身代わりに、自分は難を逃れようとするモヒカン先輩――が、そうは問屋が卸さない。

 

「俺はなにもしないから交渉はいら――ングッ!?」

 

「どうも、厨房担当の吉井明久と申します。今行ったのは私めの交渉術、『【極辛シュークリーム(一口サイズ)】による交渉術(暗殺術)』です。お気に召したでしょうか?」

 

 モヒカン先輩が大きく口を開けた瞬間に、認識阻害を解くと同時に例のシュークリーム(再現度80%)を後ろから口に放り込む。

 

「――――――――(バタッ)」

 

 何かを喋る暇すら与えられずに意識を刈り取られて倒れるモヒカン先輩。たった20%再現度を上げただけでこれか……流石の威力だね。

 

「つ、常村ーー!? てめぇ、一体なにを……」

 

「今のはまさか……明久のやつ、エグいことをしやがる……というかいつの間にあのモヒカンの後ろに回り込んだんだ?」

 

 僕がなにをやったのか理解し戦慄しながら坊主先輩の腰を抱え込む雄二……って何やってるの?

 

「おいこら、お前。なんでさり気なく後ろから俺の腰を抱え込んでんだ?」

 

「いやいや。先輩こそ何言ってるんだよ? まだ最後の交渉術が残ってるだろ?」

 

「ちょっと待て!? 俺もう何もしてないよな!? なんでそんな大技をげぶるぁっ!?」

 

「これにて交渉は終了だ」

 

 バックドロップを決めて平然と立ち上がる。できればあの交渉術は門外不出であって欲しいものだね。

 

『(それはマスターの交渉術も同様ではないでしょうか……)』

 

「(大丈夫、自覚はあるから。もうするつもりも作るつもりもないよ……余程のことがない限り)」

 

 エクスの指摘に対し、そう返す。流石に僕もこの交渉術を何度も行うのはちょっとね……下手したら死人出るかもしれないし。

 

「お、覚えてろよ……!」

 

 フラフラと覚束ない足取りでモヒカン先輩を引き摺りながら去っていく坊主先輩。あの様子ならもしまた来ても馬鹿なことはしないだろう。

 

「皆様、お騒がせして大変申し訳ありませんでした」

 

「先程の謝罪の意味を込めて、今いらっしゃるお客様方の代金は3割引きとさせて頂きます」

 

 坊主&モヒカンコンビ……もとい常夏コンビがいなくなったのを確認して、店内のお客様に謝罪をすると、次いで雄二も頭を下げた。

 

『気にしないでいいですよ』

 

『むしろあの2人に痛い目をあわせてくれて感謝するわ。見てて苛々したもの』

 

『折角の学園祭であんなことするなんて馬鹿なんじゃないかしら』

 

『全くだな。あ、こっちにコーヒーとシュークリームを一つずつお願い……シュークリームはもちろん甘いやつね?』

 

 そんな僕たちに対し、思い思いの感想を述べるお客様たち。どうやら事なきを得たようだ。

 

「ありがとうございます。それではごゆっくりどうぞ」

 

 もう一度頭を下げ、厨房に下がる僕ら。その後は営業妨害をするようなお客は現れること無く、店内にいたお客様たちは満足して出て行った。




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