そこには、学園都市の第一位能力者、
「よォ、久しぶりだな、三下ァ。このあと空いてッか?いや、空いてなくてもあんときの場所に来い」
それだけ言うと、一方通行は帰って行った。
おそらく、“あの時”と言うのは、俺が一方通行と闘った時のことだろう。
つまり、俺がこれから向かう先はあの送車場であっているハズだ。
とりあえず、隣で少し怯えながら困惑しているアリサに状況を告げる。
「アリサ、悪いが急な予定が入った。とりあえずアリサは先に『あの場所』へ行っててくれないか?俺も案件を片付けてからすぐに向かうから」
俺はアリサに出来るだけ心配をかけないようにそう言ってから軽く頬にキスをしてそのまま下へ降りていく。そして、ビルから出たあと、人気(ひとけ)のない場所まで行き、例の魔術を使って高速移動をし、あの場所へと向かった。
俺達にとって因縁のあるその場所には、直ぐに着いた。そして、そのままコンテナ群の中をゆっくりと歩く。すると、左から声をかけられた。
「ようやく来たかァ、三下ァ」
「ああ。で、何のようだ?」
「ンなのとっくに気付いてんだろォが」
「……やっぱりか。まあいいぜ、やろう。俺はこのあと用事があるから早めに終わらせねぇといけねぇし」
「テメェ、なめとんのか三下ァ!!」
そう言うと、言うが早いか突っ込んできた。
そのまま一方通行は左拳を握り、一発打って来た。それをかわすと、そのまま体勢を崩して左側を下にして倒れる形になる。反撃に出ようとしたその時、一方通行の右拳が逆ラリアットみたいな形で俺の顔に向かって来た。どうやらわざと体勢を崩して俺を誘ったらしい。ギリギリでそれを左手でいなし、距離をとる。
「おメェ、能力が使えんのは右手だけじゃねェのかよ」
「ちょっとした事情でな。詮索は不要だぜ?」
「チッ、まあいいかァ。丁度良いハンデだ」
そう言うと、再び突っ込んで来る。先程の戦闘から、どうやら一方通行も少し喧嘩をして拳の使い方を学んできたらしい事が分かった。なので、俺も舐めてかからず全力で叩く。
「オラァァァ!!!」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
一方通行の右拳をギリギリで避けながら、その体勢をそのまま利用して渾身のキックを腹に見舞う。それを一方通行が肘で止め、そのままいなし、もう一度、今度は左で突いてくる。俺はそれをそのまま転んでかわし、再び距離をとる。そして今度は、息つく暇もなく再び互いに相手を射程に入れて、一方通行は今度は前方宙返りの手を着いた形から、その足を俺に向けて蹴って来た。ちなみに、ここまでの動作はかなり速い。
それを右回し蹴りで迎撃し、体勢を崩させる、そしてもう一歩踏み込んで渾身のアッパー気味の右ストレート。そしてこれがようやく当たり、短い声をあげて一方通行は斜め上に吹き飛んだ。
だが、さすがは第一位。吹き飛ばされながらも空中で姿勢を変え、地面を滑りつつも両手両足を使って着地に成功していた。
俺は、空かさず高速移動をして追撃に向かう。だが、一方通行も反応が早く、一発目の左をガードされ、二発目の右は当たりはしたが、俺も一発、あいつの右拳を頬にくらった。
「ガハッ!」
「グッ、」
そして、そこからは体力と根性とその他もろもろの削り合いだった。
互いに相手を殴り、そして互いに踏みと留まってしまったため、そこからは互いに一歩も退かず、超至近距離での殴り合いになっていた。
「ガッ!オラァァァァ!!」
「グハッ!えゃぁぁぁ!!」
そして、殴り殴られ体感で二分位たった頃、遂に一方通行が膝をおって後ろに倒れた。
「ハァ、ハァ、ハァ、負けた……のかァ?」
「ハァ、ハァ、ああ。お前は負けた…のさ」
そして俺はそのまま続けた。
「なぜ負けたか教えてやろう。ハァ、ハァ、それはな、一方通行。『守るべき者』がいたかどうか、だ。俺にはアリサがいた。これから会う約束もしてる。お前はどうだ?一方通行。いないだろ?つまりそういう事だ」
そう言って、俺はその場を後にした。
とりあえず、魔術を使って急ぎながら、同じく魔術を使って治癒能力を高め、体の怪我を治していく。そして、第三学区に着く頃には怪我はもう既に治っていた。
我ながらチート的だな、なんて事を考えながら公園前に着地し、携帯を取りだしてアリサに連絡をとる。
「もしもし?アリサか、今どこにいる?」
『今は公園内だよ。当麻くんは?』
「公園前にいるぜ。今はそっちに向かってるとこだ」
『分かった。先に行って待ってるね♪』
そして通話はそこで切れ、俺は再び急いだ。
ーー(アリサside)ーー
通話が終わった後、少し歩くとあの場所に着く。そして、ビニールシートや他のものを用意して当麻くんを待つ。
(なんかこうしてると夫の帰りを待つ嫁みたい///)
なんて事を考えながら待っていると、遠くから声をかけられた。そちらを見ると、遠くからこっちに向かいながら手を振っている当麻くん。そして、そのままこっちに走って来て、
「悪いアリサ、少し遅れた」
と言って私が用意したシートの上に座る。
「そう言えば、あの後どこに行ってたの?」
と聞くと、当麻くんは答えを濁してごまかした。そして、当麻くんを見ていた私は、自分でも驚くような行動に出てしまった。
ダキッ。
「あ、アリサ!?」
「当麻くん、別に全部一人で抱え込まなくてもいいんだよ?……時には私も頼ってね」
と、そう言った後、驚く当麻くんに顔を近づけ、そのままキスをした。
「ん!?………ん」
最初こそ驚いていたものの、すぐに受け入れてくれた当麻くんは、一度唇を離し、私と向かい合うように座り直してからもう一度キスをしてくれた。
そのまま、どれくらいの時間がたっただろうか。お互いに時間を忘れてキスをし続けていた。
それが終わり、今は当麻くんの肩に寄りかかる形で休んでいる。
「そう言えばアリサは
「うん。他には……んーと、学校対抗能力騎馬戦以外は全部当麻くんと同じ種目だよ?」
「そうなのか。ま、お互い頑張っててっぺん目指そうぜ」
「うんっ♪」
そうして、この後しばらくここにいたんだけど、その間にインデックスちゃんが当麻くんの家に来ていて、結局誰もいなくて帰ったのはまた別のお話です。