どのように物語を進めるか迷っていました。
ちょくちょく間を置いては書いていたので、少し矛盾があるかもしれませんがどうぞ。
影森戦役の最中、二人と意見交換を交わしていたそんな中、
「その可能性なら、有り得るかもしれんぞ?」
鈴のような凛とした声音が辺りに響いた。
突然掛けられたその声に、一時的な沈黙が辺りを包み込んだ。
声の主を確かめるために、声が聞こえた方向に視線をむけると、
「ーーーなっ!?」
思わずその人を見て固まってしまった。
「どうしたの?ヴェルス。そんな、呆けたように固まっ・・・ッ!?」
突然固まった俺を不審に思い、訝しげに話しかけるメリイだったが、結局セリフが最後まで言い終えることは、かなわなかった。
俺達の視線の先、そこには女神と見間違う程のエルフの淑女が纏っていたフード付きローブを片手に持ちながら椅子に座り清楚な雰囲気を称えていた。
まず、印象に残りやすい翡翠色の艶があるその髪はストレートに伸ばされ、腰に届くかどうかの長さで、手入れが行き届いている事が窺える。
次に、同じ色を持つ瞳は知的に溢れ、先が尖り髪から突き出た耳は彼女がエルフだということを表していた。
服装はフィルヴィスと同様に清楚で、容姿も美しい。しかし、その容姿にはメリイとフィルヴィスとはまた違った品があり、何処かの高貴な身分を思わせる程の雰囲気を纏っていた。
「何故ここに?貴方が・・・」
「・・・!!ーーー可能性があるとはどういうことだ?その根拠を聞きたい。」
その人物を見た瞬間、目を見開き驚いた様子でそう呟くフィルヴィスは呆気に囚われているのだろう、そのまま固まってしまった。
その様子を余所に、正気に戻った俺は彼女にその根拠を尋ねた
気品に溢れた淑女はその端整な顔立ちに少々眉を寄せ顎に手を当て考えるように話しだす。
「根拠か。そうだな・・・お前達はこんな噂を聞いたことがないか?」
「噂?」
唐突な問いかけに怪訝そうに確認するヴェルスに、近くの椅子に腰を落ち着けた淑女は肯定の意を示すように小さく頷いた。
「ああ、ナナンカ領域の北西部に
それは一見、今回とは関係ないように思える
この世界ーーーグリムガルにはワンダーホールという迷宮の存在は確認されている。恐らく、彼女が言いたいその噂の迷宮はソレとは別物であると考えられるわけだが、普普段なら食い付く噂だが、今はそんな時ではない。だが、新たな迷宮の発見は大きな話題と言えよう。しかし、
「迷宮?その噂が今回の戦いと、どう関係しているんですか?」
メリイが当然とも言える問いを淑女に投げかけた。
一見、今回の戦いとその噂とは無関係に思え、むしろ、何故、今、その話題を持ち出したのか?という疑問が生まれる。
しかし、それは想定済みなのか、顔色変えずに彼女は一瞬、何かを考える素振りを見せると、やがて一つ頷き、その問いかけに答える。
「それは、
様々な種類の魔物を従えたオーク達が砦を築いていた訳だがーーー」
「ーーー今回、その魔物を従えたオーク達が攻めてきていると?」
「まあ、そういう訳だ。参考になったか?」
淑女が話した突拍子な可能性に確認を込めて繋げ、問いかけると、彼女は口元を緩めながら肯定すると、こんな状況の中、微笑みながら俺に聞いてくる。
「・・・ああ、参考になったというより、謎が見事にドンピシャにはまったよ。ありがとよ、絶世の美女さんーーーって!痛っ!?って、何すんだよメリイ。」
「・・・ふん、別に」
口元を緩めたその淑女の美貌に俺は若干照れながら軽口を交えながら調子よくお礼を言うやいなや、俺の足のすねをメリイに思い切り蹴られた。思わず半眼になりながら睨むが何が面白くないのかメリイは拗ねたようにそっぽを向き、唇を小さく尖らせていた。
その様子を可笑しく思ったのか、淑女は堪えきれないとばかりに肩をふるわせ忍び笑いを洩らしていた。
もし、状況が状況でなければ、声を出して笑っていただろう。ていうか、絶対に笑っていた。
「ふふふっ・・・っと、すまない、こんな状況に。
さて、突然、名乗りもせずに差し出がましい事をした無礼を許してほしい。
初めましてだな。私の名は『リヴェリア』という者だ。この町で義勇兵団影森支部の副団長を務めている。以後、よければ見知って置いてほしい。
良かったら君たちの名を聞かせては貰えないだろうか?」
リヴェリアと名乗るエルフの淑女は忍び笑いを抑えつつ、自ら名を名乗った。
「ーーーはっ!!、リヴェリア様!!ご無事でしたか?」
俺達としても、別に隠す必要も無いため、軽く自己紹介をし終えると、ようやく放心状態から帰還を果たしたフィルヴィスがかなり遅れて心配の声を上げた。
「え?何、知り合い?」
イマイチ状況が飲み込めきれていない俺は、「心配は無用だフィルヴィス。」フィルヴィスに問いかけると、その様子を見たフィルヴィスは「それもそうだな」と笑みをこぼした。
「リヴェリア様は森で記憶を失い彷徨っていた自分を救ってくれた恩人で、その後何かと世話になっていて、ここまでこれたのもリヴェリア様のお陰だ。」
そう言って淡々と、纏めて締めると、リヴェリアさんは軽く笑う。
「ハハハッ、それは少し大袈裟じゃないのか?
確かに私は何かと世話は焼いたが、ここまでこれたのはお前が努力を怠らなかった結果だ。
今では私より強いんじゃないか?」
「いえ、リヴェリア様、それは買い被り過ぎです。
私は仲間をーーー失礼しました。今はそんな時ではなかったですね。失言をお許し下さい。」
そう言って、フィルヴィスはリヴェリアさんに頭を垂れた。
義勇兵団に所属して、本当に何かと助けられて居るのだろう。フィルヴィスの口調には気のせいか尊敬と畏敬が溢れていた。
一方のリヴェリアは気にするなと良いながら顔を僅かに、ほんの僅かに顰める。恐らく、彼女は畏まれるのに苦手意識があるのだろうか?よく見なければよくわからない変化ーーーって、イタイタイイタイ!、メリイ!足踏んでる踏んでるって!一体、さっきからどうしたというのだろうか?全く訳わからん。そして、フィルヴィス、ため息をつきながら半眼で睨むなよ、照れーーーじゃなかった、怖いから、リヴェリアさん、笑ってないで助けて!この状況をなんとかしてください!
しばらく、場の雰囲気がだんだんとカオスと化す中、リヴェリアさんが一つ咳払いをすると、状況を整理し、これからの放心を決めようとした時、
『ーーーーーーォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』
遠くからそんな雄叫びが辺り一帯を激しく揺らした。
一瞬、何が起きたのか理解できなかった。しかし、それはすぐにわかった。何故ならーーー、
「ーーーーーーぁ」
結論を出す前に誰かがそんな声をもらした気がした。
俺達と同じ建物に避難していた町の住人達はその咆哮が遠くから放たれたにも関わらず、腰を砕かれたように床に尻もちをついていて、中には白目を剥きぶっ倒れる。何とか意識を失うことを免れてしまった住人達は絶望的な表情で自身を抱きしめたり、お互いに抱き合ったり、床に頭を抱えながら突っ伏していた。
戦意が折れかけたのだろうか?メリイは震える手でメイスを支えに恐怖による意識的限界を何とか踏みとどまり、歯を食いしばって凌いでいた。
場数を踏んでいるためか、フィルヴィスは剣を抜き身構え、リヴェリアさんは護身用のメイスを構えていた。
俺は特に構える事無く、この光景に変化した状況で何が起きたのか理解した。
|オーク達ではない何者かが放った咆哮であると《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》結論づけた。
それと同時にリヴェリアさんの仮説にかなりの信憑性を帯び、第二の可能性を確信した。
「ーーーどうしますか?」
フィルヴィスが窓から周囲を警戒しながら、背後でそれぞれの持ち場に再びついた俺達とリヴェリアさんの三人に問いかける。
咆哮の主がこの場で無いにしろ町に出現したことによって、状況は一刻の猶予も無くなってしまった。
気絶、或いは床に震える住人達の心にあるのは、オークや魔物達がいつ来るかもしれない焦りと恐怖、この先どうなるのか不透明な先行きに対する不安だ。
最悪、この町は陥落ーーー即ち、戦の敗北につながり、人類族や他の同盟種族にも小さくない影響を与えかねないし、この町の住人達は俺達を含めまず命は無いかも知れない。・・・何故か知らんが、頭の隅で異端のホブゴブが空気も読まずにーーー読む気すらないような気がするーーー激しく自己主張をしていたが、無視することにした。ていうか、空気読め。・・・たとえ最善であっても多数の死者が出る上に町の中に潜むオークの残党を狩らなければならない。それ以外にも問題は山積みだ。
どんなことがあっても、死者が最小限の数で済むといったことや、無事に町を護りきれたといった頭の中がお花畑みたいな楽観的見解は絶対にできない状況になっている。
しかし、そんなことはこの場にいる誰もが一番にわかっている。
そんな楽観的見解で
・・・いや、今は義勇兵だったな。しっかし、なんか冒険者の方がしっくりきた気がした。
それでも、
「決まっているだろ。」
俺達は立ち上がるしかない。
「そうね。」
立ち上がらなければ、何も始まらないのだから。
「フッ、
例え、無謀だとしても、例え、それによって死したとしても、
「うむ、そうだな。それでこそ
俺達の誇りは絶対に失うことはない。
そして、どんなに無様でも、生きながらえながらも、必ず、どんな絶望的な強敵すらも屠って見せよう。それが少なくとも俺の誇りだ。
「よし、征くぞ!」
「・・・ええ、そうね。」
「そうね」
「ああ、征くとしよう。」
三人三様に頷くのを確認して、しばらくして、ようやくやって来た青ざめた様子のエルフの兵士達に住人達を全員引き渡し、俺達は店を飛び出した。
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まず、目に入ったのは、火を吐く狼だった。
ギラついた赤い瞳、狼特有の長い口から生えた鋭い歯、そして、全身を覆う青黒い体毛。
俺は迷わず問答無用で襲いかかってきた狼を小っさい石斧で的確に頭をかち割った。
「ーーーギャウゥ!?」
かち割られた狼はそのまま反撃に移る事は無く、情けない声を残して
仲間が灰になったにもかかわらず、再び問答無用で襲いかかってくる狼の群れに加え、兎のような容姿に頭に尖った角が生えた魔物が狼達と同じく群れをなして襲いかかってくる。
俺はそれらの群れを兎が持ってた小っさい石斧とさっき折れた槍の先についていた矛だけを短剣のように刃の無い根元を握りながら、魔物達を屠っていく。因みに、武器は殆ど駄目になってしまっていて、身に染みた武術、持ってしても無理があったようだ。
先ほどから、同じような作業を何十回も続けている。
周りには先ほどと同じ魔物の群れがあふれかえっていて、俺達以外に戦闘音は聞こえてこなくなっていた。
辺りには既に様々な死因によって亡くなったと思われる人々の遺体やオークの死骸がそこらかしこに転がっており、職種も様々に思えた。
俺達はオーク達よって放たれたであろう狼の群れと兎の群れと交戦を余儀なくされた。
しかし、この魔物達は俺達にとっては雑魚同然らしく、各自息を切らさない程度で屠っていっている。放ったオーク達からしてみれば、むしろ、放ったであろう自分達が魔物達に襲われて、呆気なく全滅してしまう大誤算なのは間違いない。
だが、不思議なことにオーク達以外の魔物を倒すと殆どの場合、灰になってしまい、僅かに残った魔物の一部だったであろう紫色の石と希にでてくる牙や角といった体の一部だけだった。
しかし、それよりも不思議だったのが、まるで
それらのことを踏まえながら、試し試しに魔物が紫色の石を落としたと思われる部分に矛を突き立てると何かが割れると同時に灰となった。
そのことから、紫色の石ーーーイメージ的に魔ってイメージがあるから魔石がある部分を攻撃すると魔物は即死することをメリイ達に伝えると、魔物を倒す効率が格段に上がった。
メリイは特訓の成果か、メイスの『スマッシュ』を駆使しながら、殴るか、魔石を狙って屠っていく。
フィルヴィスは魔法を唱えるまでもないとばかりに、舞っているような印象を受ける剣技で、次々と魔物を灰に変えていった。
リヴェリアさんは馴染んでいない杖を使っているにもかかわらず、それを感じさせない的確な杖術でもって魔物達を翻弄していた。
やがて、そんなに時間がかからない内に魔物達を殲滅し尽くし、辺りには砕けたものや大した傷がつかなかった魔石や魔物の部位の一部だった物が散乱していた。
「ふう、何だったんだ?あの魔物達は。俺達を襲うならまだしも、オーク達まで襲われてたぞ。」
あの時、魔石持ちの魔物たちは俺達以外にも味方?というより飼い主側である筈のオーク達をも襲っていた。
だが、より不可解なのが、その場にいたオーク達もまた予想外と言わんばかりに動揺し、呆気なく全滅に追いやられていたことだろう。
「さあ?私は義勇兵としてはヴェルスよりは長いけど、まだまだ浅い方だからよくわからないわ。」
闘い終わりの祈りを終えたメリイも流石にこの事態の経験は初めてなのか、義勇兵歴が俺より長いがあまり分からない様子だ。
「私は、魔物に関しての調教には疎い。まず、それ以前に身近でやっている奴を最近は見たことが無い。」
フィルヴィスも疑問を得手がかりは無いらしい。
「リヴェリア様なら、何かご存じではないですか?」
丁重な物腰でリヴェリアさんに尋ねるフィルヴィス。
いくら恩人とはいえ、些か物腰が柔らか過ぎるような気がする。その言葉の端々には敬意まで伺える。
なんというか、自然とリヴェリアさんに対して敬意を払うべき存在と言わんばかりの振る舞いだ。
まあ、義勇兵団影森支部の副団長だから敬っても当然といえば当然なのだろうが、それと似た何かに対しても敬意を払っている気がするが、結局の所、今は関係ない。今は共に戦っている仲だ。あまり勘ぐるのは無しにしよう。
「ーーース?ーーーヴェルス?」
「ん?なんだ?」
しばらく呆けていたのだろう。メリイが声を掛けている事にようやく気づき、振り向いた。
「今の話、聞いてた?リヴェリアさんが話した事。」
メリイは怪訝そうにしながらも確認をしてくるが、生憎と考え事をしていたため、殆ど聞いていなかった。
「あー、わりぃ、聞いていなかった。少し考え事をしてな。・・・すまん、もう一度話を聞かせてくれないか?」
何となく気まずくなりながらも、何とか頼んでみると、リヴェリアさんは右手を額にあて、溜息を吐くと、「全く、しょうがないやつだ」と僅かに呆れたような笑みを浮かべ、俺が聞き逃した事を話し始めた。
「まず、我々が立っている場所はもう既に敵の手に落ちた敵地にあるわけだが、私からの提案がある。」
「提案?」
リヴェリアさんは至って真剣な表情で俺の瞳を射抜いてくるような本気さで、提案の内容を話し始めた。
「ああ、今の我々の現在の装備では、おそらく魔物やオーク達を殲滅するのは不可能に近い。可能であっても、我々の中の誰かが犠牲になることはほぼ確定している。」
確認するように話すリヴェリアさん。
戦闘狂と最近、たまにメリイからディスられるようになった流石の俺でも、それは間違いないだろうと結論づける。
先程、戦っ魔物達ならば兎も角、それよりも強力な魔物やそれを統率するオークと遭遇しかねない上に、さっきまで籠城していた建物に響いたあの咆哮は遠くから放たれたにも関わらず、一般的な住人とはいえ、何人かの意識をたやすく奪って見せたことから、ぶっちゃけ、遭遇したら、今の装備では全く刃が立たない上に、たやすく全滅に追いやられるだろうな。
そんか考えを巡らせたあと、間違いないとばかりに肯定するように頷いた。
「ああ、確かにな。いくら武器を上手く使えるからと言っても、オーク達や魔物達を撤退に追い込むのには限界がある。
しかも、さっきの咆哮を聞いた以上、その咆哮の主である魔物との戦闘になった場合、非常にらしくないと自覚しているが、俺の中では今の状態の装備で、そいつに挑んだとしても、ほぼ勝てる確率は論外に等しいと豪語できるほどに低い。むしろ、自陣に戻って立て直した方がまだ勝てる確率が良いだろう。
・・・まさか。」
そこまで、考えた時、リヴェリアさんが提案しょうとしていたことだと、気づいた。
案の定、リヴェリアさんは口元に笑みを称えながら笑みを浮かべていた。
「まあ、そういう事だ。肯定してくれるな?」
リヴェリアさんからのその問いに、俺は肯定の意示すように頷いた。
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「お帰りなさいませ。リヴェリア様。」
出迎えたエルフの義勇兵はリヴェリアさんが帰還したのを確認すると、カッチカッチな仕草で挨拶を交わした。
「ああ、ご苦労だった、ロンド。」
ロンドと呼ばれた青年の義勇兵にリヴェリアさんは笑みを浮かべながら労うとその青年は照れたように顔を紅潮させていた。
俺達は一旦敵地からまだ占領されていない、味方の領域である中枢地区に足を踏み入れていた。
地区の広さは直径約1キロメドル程で、その地区の周りをグルッと囲むように堀が掘られているその内側に森の木々に溶け込むような苔が生えた石で構成された城壁が取り囲む。
外見からはとてもでは無いが城壁には全く見えず、そこには山の斜面があるのでは無いかと勘違いしたほどである。
そんな、人工ながら自然のような城壁に囲まれながら、籠城戦に移行する。
今まで俺達が実質的に守っていた南地区はというと、住民達の避難が完了すると同時に放棄する方針だそうで、同盟都市のオルタナからの救援を待つ事にしたらしい。
そして、俺、メリイ、フィルヴィスはリヴェリアさんの案内の元、作戦指令本部に移動していた。
中枢地区はそれなりに立派な木造建築の屋敷がそこかしこに鎮座していて、作戦指令本部もその屋敷群の一つに設置されていた。
ここで、籠城戦に関する作戦が話し合われ、全体に作戦が伝えられる。
因みに先ほどの方針も俺達がこの作戦指令本部についた時に決まった方針で、すでに南地区は放棄された模様である。
再び、会議が始まると戦況の報告がなされ、俺達も例に漏れずにその戦況を報告した。
リヴェリアさんは義勇兵団の幹部としての要件だとかで、その場所で別れた。
フィルヴィスも、報告があるとかで別れた。
その戦況報告の中でやはりと言うべきか、俺達の撤退前に響いた気絶しそうな咆哮の主に関しての報告が話題に上がった。
その咆哮はこの地区にも届いており、兵士を偵察に向かわせたそうだが、未だに戻らない所を見るに生きている見込みは薄いと考えられた。
因みにその咆哮が発せられた場所からこの地区がただ離れていたのか、それとも、ここの地区の住民達の肝が据わっていたのかは不明だが、気絶した者はいなかったらしい。
会議の場にはアキラさん達の姿もあり、その姿は戦闘の激しさを物語っていた。
あの有名なアキラさん達の事だから、かなりの手練れと当たったのだろう。もっとも、知ったのはつい昨日なので、実力などの基準などまだ調べてないのでわからないがな。
そんな風に考察を交えながらしばらくアキラさん達を眺めていると、向こうもこちらの視線で気付いたのか、少し驚きながらも、笑みを見せ、近づいてきた。
「やあ、君たちも無事で何よりだ。」
アキラさんは近づきながら少し嬉しそうに声を掛けてきた。
「ふふふ、そうね。ここで死なれたら案内できないものね。」
微笑ましそうにアキラさんの姿を見ると相変わらず、その隣を陣取っているミホさんは冗談めかすように言うと歳に似合わぬ綺麗な笑みを見せていた。
「フン」
ブランケンさんも相変わらずの気難しさだが、その表情にはほんの僅かだが、安堵の色が見えた。
「あまり無茶はしてないようだね。返り血以外まったく服には汚れがついていない。」
「全く、そんな装備で戦場を歩いて、よく怪我しなかったねえ。」
「本当、あれだけ乱戦だったのによく生きてたね。」
ゴッホさんとカヨさんは不思議そうに俺達を眺め、タロウという美少年は呆れた様子で肩を竦めていた。
「まあ、大した敵と出くわさなかったというより雑魚だけだったので一度も怪我しませんでしたし、何より頼りになる仲間のお陰で危なげなく切り抜けられました。」
その発言を聞いて何故かメリイが少し表情を曇らせたような気がするが、何か気に触ったのだろうか?
たまにだが、メリイはそんな表情を浮かべる。
でも、メリイというヒーラーが背後に控えているとわかっていたから、俺は全力で戦えた訳だし別に大袈裟ってわけではないような気がするがどうしてそんな表情を浮かべるのだろうか?
もしかして、メリイの過去になにか・・・ーーーーーーいや、仲間の過去を探るのは止めておこう。
誰にだって触れられたくない過去がある。わざわざ、掘り返すのは、本人にとって辛い思い出を思い出させてしまうだろうから、本人の為を思うなら、自分から話してくれるまで待っているべきなのだろう。
・・・しかし、それが本当に本人の為なのだろうか?
もし、向き合わなければいけない過去ならば、例え本人が辛かろうが心を鬼にして立ち向かわせるべきなのでは?
だが、もし過去を掘り返した事で彼女を傷つけてしまったら、俺は・・・支えられるだろうか?
戦闘の面に置いては誰にも負けない自信がある。
しかし、相手の心のケアだとか、気持ちだとかには、ある程度の気持ちならなんとなく把握できるが、流石に深く把握することはハッキリ言って自信がない。
なら、手を出すべきではないのではないのだろうか?
・・・わからない。俺は昔から、そういう分野に置いては苦手としてきた。何故、そんなことを思えるかというと、なんとなくそう感じるのだ。
しかし、こんなことを言い訳にするつもりは毛頭無い。
できないならば、理解をするための努力をするまでだ。
俺はメリイのことをーーーーーー
「・・・ヴェルス?」
気が付くと、メリイが俺の顔を覗き込むように心配した様子で話かけてきた。
「っ!!、ああ、悪い。・・・少し考え事をしてた。」
距離が意外に近く、若干、顔が火照るのを感じながらも、メリイから視線をそらしながら答えた。
「本当?・・・何かあったら言ってね。」
先の戦闘で何かあったのかと、様子が少しおかしい俺に心配するようにまだ少し心配していたが、深くは聞かずに口元に笑みを浮かべながら、そう言われ、その美人さも相まって照れ臭い。
「あらあら、ふふふ、青春ね。昔を思い出すわね。アキラもそう思わない?」
「うむ、私達も昔は若かったものだ。様々な経験をしてきたが、今の彼らを見ていると昔を思い出して懐かしいな。」
「フン、俺にはよくわからん。」
「まあ、ブランケンにはこの手のやつは求めるだけ無駄だろうな。」
「ハニー?ブランケンに酷いこと言っちゃ駄目だよ。ブランケンにはブランケンの思い出があるんだから。
しかし、本当に懐かしいねぇ。ハニーとの思い出が蘇るよ。」
「・・・父さん、母さん、ぼくにはあまりよくわかりません。」
向こうでは俺達のやりとりを見ていたのだのだろう、懐かしそうに何か言っている年配組と、その組から弾かれている美少年が困惑な表情を浮かべていた。
その戦場のど真ん中とは思えない光景を尻目に、辺りは夜の帳が降り始めていた。
しかし、戦況は予想を上回る速度で変化していることに俺達は気づかなかった。
少しオリジナル設定が混じっていますし、遅くなったりしますが今後とも、よろしくお願いします。
それではまた。