グリムガルの冒険者   作:龍神王聖人

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1週間ぶりです。感想、ありがとうございます。第二話どうぞ。( ・∀・)つ


第一話 職業と出会い

 

 それなりに活気が溢れる夜の町に情報収集のために歩いている。

 

 町は石造りの建物が多く急斜面に立てられてひしめいている。

 ここはおそらく商店街か何かだろう。

 あちこちに店や屋台に売る商品を並べて、通りゆく人々に声をかけている。

 

 俺はとりあえず、近くの屋台で串に刺して焼いた肉を買って頬張りながら、町の人々に情報を集めて回る。

 因みに、この串焼きは4カパーという値段で、1シルバーでお釣りが96カパーだった。 

 袋にそれを入れるが、かなり嵩張ります。本当に。すぐに一杯になったし。

 

 まあ、それは置いといて、ざっと2時間程かけ好奇な目線に晒されながら、情報収集を行った事でわかったことがある。

 

 まず、一つ、義勇兵、見習い義勇兵はギルド(組合)に入る必要があるようだ。入ることで得られるメリットは各ギルドで得られる職業だ。

 このオルタナで有名な職業は大きく分けて、七つある。

 戦士(ウォーリア)魔法使い(メイジ)盗賊(シーフ)神官(プリースト)狩人(ハンター)聖騎士(パラディン)暗黒騎士(ドレッドナイト)

 これらの他にも鍛冶師や武士など、特殊な職業があるらしい。

 それら職業に入るとギルドの後ろ盾ができて、他からの横槍が入らなくなるらしい。他にも、各職業にはスキルや魔法があるらしく、習得できる種類はギルドで様々だ。

 ただ、ギルドの掟やら、ギルドを出る際の制限もあるらしく、ままならないらしい。

 

 

 二つ目はヨロズ預かり所だ。お金を預けられるとそこの可愛らしい店主が言っていた。

 

 

 そのほかにも、エルフやドワーフなどと協力して戦線を維持していたり、パーティーは基本的に6人で、パーティーが同じ目標に集結した、パーティー集合体をクランを結成するといったことがわかった。

 

 因みに、この2時間であの12人と会うことはついぞなかった・・・ぐすん、寂しくないもん。やはり、ノリがキモかったのだろうか?反応が良さそうな子に絡んだつもりだキリッ。ーーーそういう問題ではない気がするがキノセイサー。

 

 さて、そんなことは(黒歴史)置いといて、とりあえず、情報収集で得た情報の元に義勇兵宿舎に入るとチェックインをすまして自室に入り、自分が入るギルドについて考えることにする。 

 

 俺としては、心を大きく揺さぶられ、一番しっくり来た鍛冶師のギルドに入りたいところなのだが、戦闘に置いて、鍛冶師は不向きらしい。いや、できるにはできるが、戦闘で役立つスキルが無いらしい。

 しかし、聞いた鍛冶師曰く、鍛冶師と戦闘を両立させたいならば、黒金連山のドワーフの里で習える戦闘鍛冶師(バトル・スミス)がお勧めらしいが、馬車で行く交通費が、2シルバーと高い。

 とりあえず、戦士か、武士のどちらかに選択を迫っていたが、とりあえず、需要の高い戦士にすることにした。暗黒騎士は入ったら最後、抜けることが難しいらしい。

 前衛職では比較的に、抜ける際の制限が少ない戦士が抜けることを前提にしている俺には合っていると感じたためである。

 

 そうと決まれば、さっさと宿を出ると、いつの間にか夕暮れ時のなっていた町を歩き、戦士のギルドへと足を向ける。

 

 

 そんな時だった、道行く人々に道を尋ね、勧められて近くの路地裏を使って近道をしていると、女性の悲鳴が聞こえてきた。

 

 何事かと声のした方へ駆け寄ると一人の女性を五人の男達が囲っていて、女性に詰め寄っている。

 

「やめて、なにするの?」

 

女性はその蒼い瞳で極寒を思わせる冷たい眼差しで自身を囲う男達を睨みつける。

 しかし、男達はそれに動じること無く、ニヤニヤと嫌らしい笑いを深めている。

 

「グへへ、なに、躾の成ってねぇ、神官様に躾てやろうと思ってな。」

 

「そうそう、あまりに目に余るものでな、しっかりとな」

 

男達はそういうとジリジリと女性ににじり寄る。

 服装を見るに全員義勇兵らしく、聞いた情報が正しければ装備からして、戦士が二人に、盗賊、狩人、聖騎士が一人といった所だろうか。

 そんな風に分析していると、一人の戦士風の男が女性につかみかかると、もう一人の盗賊風の男が女性を羽交い締めにして拘束した。 

 

「やっ、やめなさい!!なにをーーーんっ」

 

女性が前の男を睨みつけ抵抗しながら声を上げるも、前の男が口を手で塞いだ。。

 他の男達は、人がこないかを見ているらしく、「次、俺にもやらせろよ」と言っていた。

 

 戦士風の男Aが女性の服装に手を伸ばした時、俺は思わず、助けに入るために何かを(・・・)口走った気がした。

 

目覚めよ(ケラヴノス)

 

辺りに雷が迸る。

瞬く間に一人の戦士風の男Bが雷に当たり、感電し気絶した。

 驚いて、聖騎士風の男と狩人風の男がたちまち一瞬硬直した、その隙を見逃さず、聖騎士の男を首に手刀で気絶させ、狩人風の男を鳩尾を殴って気絶させた。

 三人の仲間が瞬殺されて、女性を羽交い締めしていた盗賊風の男が腰を抜かし、戦士風の男Aが俺の方を見て唖然としている。

 我に返った、戦士風の男が剣を抜く。

 

「だっ、誰だ!てめぇ!その格好、舐めた服着やがって、見習い義勇兵だろ!?な、なんのまねだ!!」

 

「お前らこそなにやってるんだ?大の大人が五人で一人の女性を囲って。」

 

「はっ、躾だよ躾!、こいつがしっかり仕事をしてくれないから、おかげでこちとら怪我だらけだ。

 傷を癒やすのがヒーラーの役割だろうが!」

 

男は女性を指さしながら、そういう。

 恐らく、怪我を負ってもなにもしなかったのだろうか。

 だが、確かに男の言い分はわかるが、女性を襲って良い道理は無い。非難や分け前をへらしても、文句は言えないが、襲うとなると過剰だろう。

 

「傷ったって擦り傷じゃない。そんなので治してたらきりが無いわ。それに治療が必要な傷は戦闘に治してるじゃない。」

 

女性がその冷たい眼差しで睨みながら、男に反論した。

どうやら、仕事はしているらしく、男の表情が僅かに歪む。

 それによく男達をみると、確かに服装は汚れていたり、破れていたりはするものの、身体には傷らしい傷は見当たらない。服装についている血痕も既に乾ききっている。

 

「てめえは黙ってろこのクソアマァ!おいてめえ、いいか?これは俺達パーティーの問題なんだ!部外者は引っ込んでろ!」

 

それでも、男はこの状況に苦し紛れに主張するも、この状況はパーティーの問題以前の問題だろう。

 

「いやいや、いくらその女性がパーティーメンバーであっても襲われている女性を見捨てる道理は無いな。」

 

男に肩を竦めてそう告げると、男は悔しげに舌打ちをして、

 

「チッ、クゾが!!」

 

悪態をついて逃げていった

 

「ま、待ってください!兄貴~」

 

盗賊風の男が情けない声で戦士風の男を追い掛けていくのを遠目に見ながら、また一つ肩を竦めた。

 そして、俺は声を掛けるために襲われていた女性に振り返った途端、一瞬、言葉を失った。

 

ーーー。

 

路地裏ということもあって、薄暗くてよく見えないが、それでもよく分かる程の絶世の美女がいた。

 さらさらそうな流れるように長い青髪を白い紐で後ろだけまとめて左肩の前にながしている。服装は白い記事に青いラインが入っていて、町の人から聞いた神官服が彼女の端麗な容姿も相まって、神秘的な印象を持たせたが、神官服の上着は開けていて艶っぽい。

 俺は彼女を見た瞬間、言葉を忘れたかのように言葉が出ない。

 一瞬、彼女と目が合う。

 

ーーー青

 

目に映った青い瞳が俺を一瞬捉えて、すぐに逸らしてしまった。

ただ、一瞬で見たその青い瞳に浮かぶ感情は一瞬の喜びのあとに恐怖と憂いといった所だった気がする。

 俺は彼女に「大丈夫ですか?」と声を掛ける。

 

「・・・ええ、大丈夫。」

 

女性は無愛想に答える。その返答には何やら冷たさを感じるが、どこか取り繕っているようにも思えた。

 さっき、襲われたばかりで、仕方ないと言えば仕方ないかもしれない。下手したら、トラウマ物だからな。

 ふと、あることに気づいた。見とれていて気付かなかったが、彼女は先程の争いで、神官服を乱れさせてしまっていたのだ。

 そして、どこか恥じらっている彼女は胸の部分を上着で隠している姿はなかなか艶っぽくヤバい。

 俺は慌てて、目を逸らした。

 

「もし、よければ送りましょうか?」

 

誤魔化すように頬をかきながら提案してみると

 

「・・・結構です。一人で帰れますから。」

 

当然のようにきっぱりと断られてしまった。

どうやら、俺の視線に気づいていたらしく、その口調から冷たさを感じる。そのあと最低限の礼儀を尽くす彼女の目もどこか冷めたようなそして、冷ややかな印象を受ける。

 しかし、やっぱりこのまま一人で帰らせるのは少し危険だ。

 

「いえ、さっきのようなことがあったばかりですので、送ります。また、あなたが襲われたら目覚めが悪いので。

 それに、」

 

俺は彼女に近づき、自身が羽織っていたマントを彼女の肩に掛けて、

 

「夕暮れ時とはいえ、貴女みたいな美女を一人で歩かせたくありません。」  

 

そう彼女の瞳を冷たさに耐えながら見つめて告げると、彼女は少し考える素振りを見せ、渋々頷いてくれた。

 彼女が泊まる宿屋の近くまでお互いに終始無言と、少々気まずかったが、初対面である以上、いろいろ踏み込むのはまずいし、今回の事があって、彼女の心は非常にデリケートに成っているはずなので、終始無言を貫くことにした。

 

 そして、宿屋の近くまで彼女を送り届けると、何を話す訳でも無く、そのまま、宿屋の方へ去って行った。

 

「そういえば・・・」 

 

二つ忘れてた事を思い出す。

  

ーーー名前、聞いてなかったな~。

 

 助けた時も、送る時も名前を聞いてなかったことを思い出す。

 ・・・迂闊だった。

 

 それから、もう一つあったのだが、

 あの馬鹿どもを気絶させる時、ケラヴノス?、と呟いたとき何故か妙に周りが遅く見えた気がしたが考えても分からないものは分からないから仕方ないと気にしないことにし、その足を戦士ギルドへと伸ばした。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

それから、俺達がこの世界に来てから七日を経過した。

 

 着く頃には夜になっていたが、ギリギリで間に合った戦士ギルドで七日間の研修で基礎や規則、役割や装備の整備までいろいろと学び、研修の終了させ、師から選別とばかりに両手剣のバスターソードと装備品をもらい、早速、腕試しの為に初心者用の森へ向かう。

 森へ続く道がある門に続く道を歩いていると、前の方に、見覚えのある集団を見かけ、話しかけるとユメやシホル達だった。

 ーーーて、

 

「なにしてんだ?おまえら。」

 

「お、おまえら・・・!

眼福だぞコノヤロウ!公衆の面前でなあ! いいのかおい! もっとやれ!」

 

ユメがシホルを抱き寄せて、頬ずりしながら、体を触っていた。その様子を鼻息を荒くして興奮して見ているランタがいた。

 

「止めんか・・・公衆の面前で何してる?」

 

 とりあえず、ランタの頭とユメの頭をスパンと叩いといた。

 ランタとユメが抗議の声を上げているが無視だ。

 マナトに気づいた眠そうな少年が「マナト!」と声をかけて、一先ず、抗議は収まった。

 その後、ランタが重大発表と声を上げて、戦士ではなく、暗黒騎士になったと高らかに宣言し、みんなの不況を買い、適当に自己紹介をしながらオルタナの門をくぐり抜けたーーー因みに、眠そうな少年はハルヒロというらしい。

 後、ランタに黒歴史を弄られて、アイアンクローを掛け、マナトから、「一緒にパーティー組まないか?」と、誘われたが、それは丁重に断り、そのかわりと、草原に座り込み、ため息を付いて項垂れている巨漢を見ながら「彼を誘ってあげなよ」と言っておいた。

 マナトは了承して巨漢ーーーモグゾーというらしいーーーを誘っていた。

 

 俺はマナト達に一言声をかけて、その場でわかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別れた後、森に入ると、森の中は意外に静かで、耳を澄ますと鳥のさえずりがどこからか聞こえていた。

 とりあえず、師から貰ったアドバイスで、とりあえず川を探すことにする。

 

 歩くこと2時間くらい経っただろうか、ようやく、小川を発見し、茂みに隠れながら、川を移動する。

 移動する度に装備がうるさいが、これは装備してきてしまった俺が悪いので仕方ない。次からは戦士の装備は外して置こうかな~、などと、考えて歩いていると前方五十メートルの位置にゴブリンを発見した。

 数は2体。装備は片手斧を持っている奴と、片手剣を持つ奴だ。

 距離を半分近く縮めた辺りで、鎖帷子の音に気づいたゴブリンがこちらを振り向くと、ゆっくりと立ち上がり、キシャアアアと威嚇しながら武器を構えた。

 

 俺も背中に背負っているバスターソードを抜き構えゴブリン達を見据えた。

 

「いくぞ!」

 

俺は一度目を閉じて、開けると淡々とゴブリン達へ告げ走り出した。

 ゴブリン達も声を上げながら武器を振り上げながら迫る。

 しかし、 

 

「遅い。構えがなってなーい!」

 

ゴブリン達が振り上げながら迫っていた攻撃はスローに見えて、軽く躱しながら、流れるようにカウンターで斧持ちの脇を切り上げるように切り裂き、次に迫り来る剣持ちゴブリンを切り上げたままの両手剣をそのまま重力に従うように当てる。

 剣持ちゴブリンは必死で片手剣で向かい打つように掲げるが、俺は攻撃をわざと外して、地面に接触するギリギリのところを横に滑らせて、勢いをそらしながら、剣持ちゴブリンの右側の脇を切り上げ、すぐさま首元で、流れるように両手剣を寝かせて水平に切り裂き、ゴブリンの首を跳ね飛ばした。

 そして、すぐさま左側の左脇を負傷したゴブリンの首を続けて跳ね飛ばした。

 

 俺は初勝利の余韻に少し浸かりながら考える。

 

ーーー弱いな。弱すぎる。命のやり取りをしているのだろうが、ここまで差があると一種の蹂躙だな。

 

俺は少しして、ゴブリン達から戦利品である、牙と欠けた銀貨にゴブリン袋に入っていた銀貨などを確認すると、次の獲物を求めて歩き出す。

 それから、ゴブリンや、穴鼠を計十八体程狩ると、今日は引き上げることにした。

 

 こうして、狩り初日の稼ぎはあちこちで買い取って貰った結果、8シルバー63カパーになった。幸先はいいな。

 特に黒狼という狼の牙は呪術的な力が宿っていると信じられていて、魔除けの材料になったりするらしく、一つ1シルバーで売れた。

 懐の暖かさに満足しながら、夕暮れの町を歩く。

 

 遠くから、俺達が降り立った塔の鐘が7回鳴り響き、午後の六時を示していた。

 辺りはすっかり夕食時になり、あちこちの飲食店から呼び子が顔を出している。

 

 ここ、オルタナの北区にある花園通りは酒場やら屋台やらが多く、食事時によく混む通りだ。

 

 しばらく、歩いていると、周りの店と比べても圧倒的に大きい酒場が見えてきた。

 店の看板にはシェリーの酒場とあった。戦士ギルドの師から名前と特徴は聞いていたが初めて来る酒場だ。師が言うには酒や料理は美味いし、義勇兵が最も集まる場所だから情報収集にはうってつけだそうだ。

 

 そっと、興味本位で中を覗いてみる。

 中には高そうな装備を身につけた義勇兵から中古品のような装備を身につけた義勇兵の他に装備を外して普段着を着て首から団章を身につけている義勇兵など、様々な義勇兵で溢れかえっていた。

 

「いらっしゃいませ~!」

 

ウェイトレスに挨拶されながら、中に入ってみると、想像通りの騒がしさが店内に広がっており、ウェイトレス達が世話しなくテーブルと厨房を行き来していた。

 店内はほぼ満席らしく、俺が仲間と店に来ていたら吸われないところだった。

 席は一応二階にもあるみたいだが、二階はクランやパーティーといった団体専用の席しかないようだ。まあ、わざわざ孤立するために行くつもりはもうとうないがな。

 どうやら、開いている席はカウンター席しかないようで、殆どのテーブルはパーティーを組んでいる人達で満席状態だった。

 とりあえず、空いているカウンター席に向かう。

 

「隣、いいですか?」

 

と空席の隣に座っている青髪の女性に尋ねてみる。

女性はチラリとこちらを見て驚いた様子を見せた。

 ぶっちゃけ、俺も驚きだ。

 だって、何時ぞや暴漢から助けた女性だ!なにこの偶然!こんな美人さんとまた会えるとは!今日は本当に運が良い。

 

「・・・別に。」

 

気にしない。と暗に了承を示して青髪の女性は相も変わらず無愛想な印象を漂わせて応えた。

 俺は遠慮せずにその席に座り、カウンターの向かい側の気のよさそうな、オッサンに酒と適当に料理を注文する。

 

「おう、いらっしゃい!おめぇ、ここ初めてだろ?」

 

気のいいオッサンがカウンターの向かい側で酒が入ったコップを置きながら話し掛けてきた。

 

「ああ、幸先がよかったんで、情報収集も兼ねて初めて寄ってみたんです。」

 

無難に理由を述べて、出された酒と料理を堪能する。

 それを聞いてオッサンは顎に手を当てながら、頷いた。

 

「なるほどな。ここはよく義勇兵が集まるからなぁ。ところで、『幸先がよかった』ってぇこたぁ、新米の見習い義勇兵か?」

 

「はい、今日が初日です。最も幸先がよくても、ソロなので、喜びを分かち合う仲間が居ないんですけどね。あっはははは。」

 

とりあえず、笑っとく。笑う門には福来たるっていうしね。・・・あれ?何だっけ、この言葉。

 

「へぇ、ソロで初日をねぇ、ーーーって、ソロ!?兄ちゃん、今、ソロって言わなかったか、ソロって!?」

 

引っ掛かった言葉で思考にふけりそうになると、オッサンの驚く声が酒場内に響いて、一瞬、酒場内の視線が俺達に集中したが、オッサンが一つ咳払いをすると、小声で話し掛けてきた。

 

「ヴォホン、オイ、兄ちゃん。」

 

「はい、何でしょう?」

 

先ほどとうってかわって、真剣さを纏って話しかけるおっさんの声音に思わず姿勢を正してしまう。

 おっさんはそれに構わず、話を切り出した。

 

「悪いことは言わん。今すぐ仲間を探してソロは辞めといた方が良い。」

 

「ええ、辞めるつもりですよ?一人では何事にも限界がありますから。」

 

「ソロは確かに儲けを独り占めできるが・・・は?今なんていった?聞き間違いでなければ、辞めるって・・・」

 

オッサンは話を切り出したは良いものの、思わぬ返しに理解が追いついておらず問いを投げかけていた。

 俺は「ですから」と言って、さっきと似たような答えを繰り返して真っ直ぐ、オッサンを見た。

 

「じゃあ、ここに来たのは仲間集めもかねているのか?」

 

「うーん、今日はただの様子見のようなもので、情報収集も周りの話を聞いたり、雰囲気を見るだけに務めようとしているだけで、仲間集めは今日は兼ねてませんね。」

 

俺がそう答えると、オッサンは顎に手を当てながら難しい顔をしている。

 何か俺の発言に問題でもあったのだろうか?

 

「うーん、オメェさん、明日もソロで挑む気か?」

 

神妙な顔で、そうたずねてくるオッサン。

やはり、さっきの発言は良くなかったらしい。声音も相も変わらず、真剣な様子だ。

 

「はい、明日もソロで行くつもりです。狩り場も師から聞いた森より効率的なダムロー旧市街に様子見で行く予定です。」

 

あくまでも、真剣にオッサンを見据えて答える。

 

「はあ、そこまで言うなら止めねぇが、精々気ぃつけろよな。常連に成りそうな客をそうそうに無くしたくねぇからな。」

 

おっさんはそういうと溜息を吐いて、しょうがない奴を見るように見て肩をすくめた。

 

「ははは、ありがとうございます。」

 

俺はそう答えると、酒を一口飲む。

 ふと、隣から自分に向けられている視線に気づいた。

 気になって横を見ると、話を聞いていたのか青髪の女性が青い瞳で呆れを纏った眼差しでこちらを見ていた。

 

「・・・まあ、無理しない程度に精々頑張れば?」

 

と一言、女性はそう言うと再び静かに食事を再開した。

 その食事を取る姿はやはり絵になる程で思いがけずかけられた言葉も相まって見入ってしまった。

 

 すると、目の前のオッサンが女性の発言に反応した。

 オッサンはなにが可笑しいのか、隣の女性を見てニヤニヤし始めた。

 

「ほほう、そんなに心配なら、お前がついて行けば良いんじゃ無いか?メリイ。」

 

「なっ」

 

オッサンから放たれた言葉に青髪の女性ーーーメリイさんが一瞬、硬直した。

 

「心配なんだろ?普段は無関心を貫いていたオメェが話に食いつくなんて珍しいからな。」

 

「・・・別にそんなわけじゃ、ありません。助けてくれた人が明日にも帰らぬ人になっていたら目覚めが悪いと思ったから。」

 

オッサンが続けざまに放った言葉で硬直がとけたメリイさんが無表情で淡々と答えた。

 

「そんなこと言っても、結局は心配なんじゃねぇか。行ってやれよメリイ。オメェ、今日もパーティーを首になって暇なんだろ?」

 

「いえ、暇と言うわけでは・・・」

 

オッサンに押され気味になりながら何とか言葉にするが、

 

「だったら、良いじゃねぇか。パーティー探しているなら、ついて行ってやれよ。オメェの方がキャリアも上だし、先輩としてアドバイスくらいしてやれ。」

 

「・・・いえ、私は神官で」

 

神官では戦士のアドバイスは難しいと答えようとしているのだろう。

 

「だったら、ヒーラーとして、ついて行ってやれよ。その方が心強いだろうしな。」

 

「ヒーラーとしてとか、そういう問題では無くてーーー」

 

 しかし、オッサンは相も変わらずお構いなしにメリイさんを説得にかかる。

 それから俺が見守る中でオッサンがメリイさんをどんどん攻めていく。あるぇ~、俺の意思はどこに?カムバック!俺の意思!って、最初から心にあるけどさ、あるけどなんだろう?にしても、オッサン、すげーな、おい。冷たい眼のメリイさんも普通に押されているよ。

 

「だがよ、何かは聞かねぇが、恩があるんだろ?」

 

「・・・」

 

オッサンのこの言葉にメリイさんは黙り込む。

 

「店主、悪いが、そこまでにして貰いますか?さすがにそこまでしてまで仲間になって欲しいとは思いません。あれは、当然のことをしたまでであって、仲間に誘う目的でしたつもりはありませんから。

 あなたも、あの事は気にせず、イヤなら断って下さい。俺は大丈夫ですので。

 ですが、もしよければ、パーティーに加わってくれませんか?ヒーラーがいるだけでも怪我を気にせず、戦えますから。

 実は少し不安でもありましたし。」

 

「不安なら、やめたら?ダムロー。何で行きたい訳?」

 

相も変わらず、冷たい眼で見据えながら話すメリイさん。

 しかし、それを聞いた俺は無意識に笑っていて、こう言っていた。

 

「俺は冒険者です。冒険せずして、前に進むことはできませんし、止めるつもりもありません。それにーーー」

 

切れた息を深呼吸で補いつつメリイさんの瞳を見据える。その瞳は未だに冷ややかだ。思わず、竦みそうになる。

 しかし、諦める道理はない。俺の意思のため、この信念を伝える為に。

 俺は再び言葉を紡ぐ。

 

「それに、俺は諦めを知りません。何事にも、諦めるつもりはありません。ですが、メリイさんがイヤだと言うなら、諦めますが、もし、そう出なければ是非来て欲しいです。

 戦闘に支障がない怪我なら直さなくても大丈夫ですから。分け前だって、半分渡します。

 お願いします。パーティーに加わって下さい。」

 

そう言い終わるとメリイさんに頭を下げた。

 これで駄目なら諦める。

 そう心に決めながら。

 メリイさんはしばらく考えている様子で、視線を一点に見つめながら、顎に手を当てる仕草をしていた。

 そんな中、途中からなり行きを見守っていたオッサンが声を潜めてメリイさんに聞こえないように話し掛けてきた。

 

「・・・おうおう兄ちゃん、男を見せるじゃねぇか。」

 

からかいを含んだような様子で俺の背中を強めに叩いた。

 

「店主の流れに乗ったようなものなので、大したことではありません。」

 

俺は視線に非難を含ませながら、オッサンに答えた。

 すると、そんなことをしているうちに考えが、纏まったのか、こちらを見据えるメリイさん。やはり、その瞳はこの時も変わらずに冷たいままだ。

 普通なら萎縮するだろうこの状況であっても、メリイさんの眼を逸らすつもりは毛頭無いがな。

 

「・・・良いわ。受けてあげる。そちらが本気ならね。、戦闘には参加しないし、分け前だって半分貰うわ。

 ・・・それで良い?」

 

相も変わらず、無表情無愛想で淡々と告げるその言葉に俺は、

 

「ああ、構わない。むしろ、参加しない方が都合が良い(・・・・・・・・・・・・)。」

 

いつの間にか敬語が取れた口調でその条件に了承を告げた。

 

「大分遅れたけど自己紹介だ。俺の名前はヴェルス。 明日はよろしくな。」

 

俺は片手を上げて、挨拶した。何故か握手では無く、コレなのかは、なんとなく、彼女は握手を求めてもしない気がしたからだろう。

 

「・・・メリイよ。よろしく」

 

そうメリイさんは最低限の挨拶で済ませてお辞儀もせず淡々と答えた。

 

 その後、集合場所と時間を決めて、食事を食べ終えると、お代を置いてーーーメリイさんを含めて二人分置いとこうと思ったが、「・・・見損なわないで。新人(ルーキー)に奢られる程、困ってないから。」と言われた。ーーー、メリイさんに挨拶を澄ますと、酒場を出た。

 

 予想外の展開だったが、パーティーメンバーが増えるのは嬉しい。

 聞いた限りでは、前衛では無く、後衛を中心にやっているようだし、俺の戦闘スタイルと相性が良い。

 それに、美人さんだし。名前聞けたのは大収穫だろう。メリイさんかぁ・・・いいな。

 うん。ここまでにしとこう。 

 余り考え過ぎると明日、顔合わせ辛くなりそうだし。

 

 そこまで考えると、俺はそこで思考を切って、拠点を構えてる、義勇兵宿舎に帰宅した。

 

 

 

 




助けて貰っているので、メリイさんは少し丸めです。

誤字脱字、ありましたら指摘してください。
感想お待ちしてます。<(_ _)>
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