Lがデスノートを拾った世界   作:梅酒24

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3x冊:ウエディの奇妙な冒険’(特別編)

もっとも、その名で呼ぶ者はほとんどいない。

裏の世界では、私はウエディと呼ばれている。

 

鍵。

金庫。

電子セキュリティ。

 

これらを破る能力に関して言えば、世界でも五指に入る――と自負している。いや、控えめに言っただけだ。実際にはもっと上かもしれない。

 

だが、人というものは妙なもので、どれほど優れた才能を持っていても、別の分野では平凡であることが多い。

 

私の場合、それが潜入だった。

 

泥棒としては悪くない。

しかし、プロの犯罪者としては決して完璧ではない。

 

その弱点ゆえに、私はかつて一人の男に捕まった。

 

L。

 

奇妙な姿勢で椅子に座る、あの世界的名探偵である。

 

もっとも、彼は私を刑務所へ送らなかった。

 

その代わりに提示された条件は単純だった。

 

――私の力を貸せ。

 

それだけである。

 

Lの依頼がない時は自由。

しかも、仕事をすれば驚くほど高額な報酬が支払われる。

 

犯罪者としては、これ以上に合理的な契約はなかった。

 

そして今回の依頼は、驚くほど簡単なものだった。

 

日本の一般家庭に忍び込むこと。

 

それだけだ。

 

私は黒ずくめの服に身を包み、サングラスをかけていた。

 

長い金髪が背中に流れている。

 

自分でも思わず笑ってしまう。

 

まるで――

銀河鉄道のメーテルのようだ。

 

もっとも、あの女性が鍵を破ったり監視カメラを仕掛けたりする姿は、あまり想像できないが。

 

午後一時三十分。

 

私は夜神家の玄関に立った。

 

Lから家族の外出時間は聞いている。

 

家の中に人の気配はない。

 

私はポケットから一本の鍵束を取り出した。

 

その中でも特別な一本。

 

私はこれをこう呼んでいる。

 

『盗賊の鍵』

 

民家の鍵など、この一本で十分だ。

 

ちなみに、どんな錠前でも開けられる改良版もある。

 

そちらは

 

『魔法の鍵』

 

と名付けている。

 

もちろん、どちらも私の自作だ。

 

この鍵たちは、世界中の“勇者”――つまり泥棒たちに愛用されることになるのだが、それはまた別の物語である。

 

鍵束を探すのに九秒。

 

鍵穴へ差し込む。

 

回す。

 

二秒。

 

カチリ。

 

合計十一秒。

 

私は静かに扉を開けた。

 

――ちょろい。

 

私は小さく笑う。

 

せっかくだ。

 

日本でも「盗賊の鍵めぐり」をしてみようかしら。

 

そんな軽口を頭の中でつぶやきながら、私は二階へ上がった。

 

今回の目的は、夜神月の部屋だ。

 

Lは言っていた。

 

「非常に頭の切れる青年です」

 

だから注意しろ、と。

 

私は思わず肩をすくめた。

 

――私が見逃すわけないでしょう。

 

ドアノブを握る。

 

ゆっくり回す。

 

扉を開いた瞬間――

 

ひらり。

 

一枚の紙が舞い落ちた。

 

同時に。

 

床を転がる小さなガラス片。

 

私はしゃがみ込んだ。

 

そして微笑む。

 

――なるほど。

 

紙はドアの隙間に挟まれていた。

 

扉を開ければ落ちる。

 

そしてガラスの破片。

 

位置が変われば、侵入が分かる仕組み。

 

高校生にしては悪くない。

 

だが。

 

私は肩をすくめる。

 

――この程度で私を捕まえられると思ったの?

 

紙を拾い、机の上へ置く。

 

ガラス片はそっと元の位置へ戻す。

 

あとで紙をドアに挟めばいい。

 

これで痕跡は残らない。

 

私は部屋を一瞥した。

 

整理整頓された空間。

 

模範的な優等生の部屋。

 

しかし。

 

私はこういう部屋を信用しない。

 

本当に賢い人間ほど、何もない部屋を作るからだ。

 

私は机を調べる。

 

引き出し。

 

一つだけ。

 

開かない。

 

私は口元を歪めた。

 

――怪しい。

 

盗賊の鍵を差し込む。

 

カチリ。

 

中には――

 

日記帳。

 

私はぱらぱらとめくる。

 

……。

 

好きなアイドル。

 

テレビ番組。

 

日常の感想。

 

私は思わず笑った。

 

――真面目な息子、ね。

 

アイドル趣味を隠したい年頃なのかもしれない。

 

引き出しを閉める。

 

本棚も調べる。

 

特に異常なし。

 

私は次に目を向けた。

 

デスクトップパソコン。

 

これは私の専門分野だ。

 

履歴を消しても無意味。

 

データは必ずどこかに残る。

 

私はキーボードを叩く。

 

パスワード突破。

 

数分。

 

画面が開いた。

 

私は小型PCを接続する。

 

データコピー。

 

削除履歴復元。

 

ログ解析。

 

そして気づく。

 

――このPC。

 

改造されている。

 

セキュリティ侵入の痕跡を消す仕組み。

 

足がつかない設計。

 

私は小さく口笛を吹いた。

 

――高校生にしては、やるじゃない。

 

本当にこの少年がキラかもしれない。

 

私は監視カメラを取り出した。

 

設置開始。

 

昨日の夜を思い出す。

 

Lの家。

 

ワタリ。

 

アイバー。

 

そして私。

 

三人でゲームをしていた。

 

スマブラ。

 

任天堂64。

 

カービィが強すぎるゲームだ。

 

ワタリは昔マリオ使いだったらしい。

 

確かに昔の写真を見ると、どこかマリオに似ている。

 

そういえば去年。

 

ワタリは二メートル近くジャンプして天井に頭をぶつけ、ブロック塀を壊した。

 

――マリオみたいに。

 

私はカメラを取り付けながら考えた。

 

そしてふと思う。

 

――まさか。

 

昨日遊んだハードは。

 

64。

 

私は頷いた。

 

監視カメラ64台。

 

それで決まりだ。

 

私は月の部屋だけでなく、家全体にカメラと盗聴器を設置した。

 

すべて完璧に。

 

誰にも気づかれず。

 

それが私の専門だ。

 

仕事を終えると、私はLへ報告した。

 

電話越しに彼の声が聞こえる。

 

静かな声。

 

「なるほど……」

 

彼は気になった点を挙げた。

 

ドアの紙。

 

鍵付き日記帳。

 

そして。

 

パソコンの侵入痕跡。

 

私はデータ解析を始めた。

 

そしてついに見つける。

 

痕跡。

 

隠されたログ。

 

ロシアのサーバー。

 

父親のパソコン。

 

消された通信。

 

私は言った。

 

――Xは夜神月。

 

この少年は。

 

警察のデータへ侵入していた。

 

この痕跡は、私でなければ見つけられなかっただろう。

 

報告を聞きながら。

 

Lは目を閉じていた。

 

***

 

 

そして静かに呟いた。

 

心の中で。

 

――夜神月。

 

君をキラに仕立てあげる。

 

たとえ君がキラでなくても。

 

私がキラだと言えば、君は私をキラだと疑う。

 

そして君は証明しようとする。

 

私は君を追い詰める。

 

君は私を追い詰める。

 

それは。

 

探偵と犯人の。

 

最も純粋な戦い。

 

電話を切った後、私は窓の外を見た。

 

冬の東京。

 

灰色の空。

 

そして私は微笑んだ。

 

どうやら。

 

このゲーム。

 

とても面白くなりそうだ。

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