20時55分。私は自室で時計の秒針を見つめながら、少し震える手で紅茶を置いた。月君も同じ時間、どこかで同じ光景を見ているのだと思うと、胸がきゅっと痛くなる。テレビに映る第二のキラへの呼びかけは、警察に協力するよう求める内容だった。でも、私はわかっていた。あの呼びかけに応じてはいけない。キラはたくさんの命を奪った人。私の手で助けてしまえば罪に加担することになる。
けれど、胸の奥では何かがざわめいていた。どうしても、月君のそばで、彼の世界に触れたい――その思いで、私の心は熱く、そして甘く震えていた。
「……警察には、教えるつもりはない……」
小さくつぶやきながら、私は髪を二つ結びにする。お風呂上がりの髪はまだ湿っていて、指先で束ねるたびに胸が高鳴る。クローゼットを開くと、黒いロリータ服がずらりと並んでいた。その中から、今の私を一番可愛く、そして強く見せられる一着を選ぶと、心臓がぎゅっと締め付けられた。
『こんな時間に、どこへ行くつもりだ?』レムの声が、頭の中で柔らかく響く。
「名乗り出るの」
私は小さく息を吐き、胸の奥で弾む鼓動を感じた。思い浮かぶのは、あの夜、青山で月君に抱きかかえられ、守られたときの温かさ。あの瞬間から、私は少しずつ、彼に恋をしていたのかもしれない。
玄関先の「夜神」と書かれた表札を見つめると、息が詰まるほど心が震えた。指先が少し震えながら、私はインターホンを押す。
“月君に会える――”
その思いだけで、胸は甘く痛む。
ドアが開き、目の前に月君の妹が立っていた。
「月君、ノートを届けに来た子が来ています」
そう告げられ、私は小さくうなずいた。心の中で、「月君、私、ちゃんと届けに来たよ……!」とつぶやいた。
妹さんの視線が私を一瞬とらえた気がしたが、気にせず奥へ進む。階段を上がり、月君の部屋の扉を開ける。足元から胸の高鳴りが全身に広がる。椅子に座らされ、数分後、母親が紅茶を届けてくれた。温かい香りに、少しだけ落ち着きを取り戻す。
「キラが誰か知っていると言っていたけど、それはキラ?それとも第二のキラ?」
月君の声は静かで、でも私の胸に直接響く。
「やっぱり月君も、キラが二人いると思ってるんですね。第二のキラです」
その一言を告げると、胸が甘く締め付けられた。目の前の月君が、真剣に私を見つめる。その眼差しに、胸がどきどきと高鳴る。あの青山の夜の記憶が、鮮やかに蘇る――彼に抱きかかえられた瞬間の温もり、柔らかい手の感触、守られた安心感……。
(……月君、こんなに近くで……私、どうしよう……)
心の奥が揺れ、顔は少し赤くなった。息を整えても、鼓動は治まらない。月君の存在が、私を全部引き寄せる。
「その第二のキラが誰なのか、聞いてもいいのかな?」
月君の声に、私は小さくうなずく。胸の奥で、言葉にならない熱い思いがせり上がる。
「はい……私がキラです」
その瞬間、胸がぎゅっと熱く締め付けられた。透き通った瞳で月君をまっすぐに見つめると、心の奥で何かが震える。彼の目が、私を受け止めてくれる――そんな気がして、胸がいっぱいになる。
(……月君、私、あなたのことが……)
心の奥に芽生えた想いは、確かに恋という炎となり、私を包み込む。初めての、でもどうしても抑えられない感情。胸が高鳴り、息が甘く弾む。
その夜、私の世界は月君で満たされていた。目の前の彼の存在だけで、私は夢中になり、胸が切なく疼き、そして熱く燃えていた。