ご主人様への思いが・・・。

1 / 1
思いつくままに書きなぐりました。


奴隷との生活 二次創作

糸を引くようなキスののち、互いの体液に塗れて欲望に塗れていく。

シルヴィはそうした生活に満足感を抱いていた。

 

時折ご主人様と散歩をしたり、町へ繰り出して洋服を買ったり、市場を見て回ったり、

飲食店で食事をしたり・・・。以前の悲鳴を上げる生活に比べるとなんて幸せな日々で

あることか。

 

感情に余裕があると、雑念を呼び覚ます。それも無理なからぬこと。

お店の不気味な店員さんの体は私の貧相な体とは比べ物にならないほど

大人な雰囲気を醸し出しているし、飲食店の店員さんは愛嬌がある。

 

私は・・・。繋がることでしかご主人様を満足させてあげれない。

でも、その行為は不気味な店員さんたちにはできない、私だけの時間。

 

ある時、ご主人様は私を置いて一人買い物へ出かけていった。

私は本棚の後ろに隠してあった本を引っ張り出すと、夢中で文字を追いかけた。

こういう時、読み書きの知識は役に立つ。

 

そこには以前ご主人様が市場を回っていたとき、私をここに連れてきてくれた

商人さんが渡していた本がある。あの時はわからなかったけど、今はその本の内容に

釘づけだ。

 

「媚薬・・・。」ご主人様と森を散歩していたとき、せっせと花を集めていたが、

そういうことだったのだ。お茶をご主人様が入れてくれて、その後激しく求め合ったのも、媚薬のおかげに違いないのだ。

 

「赤い花・・・。」鮮やかな花の色が思い起こされる。

ご主人様は優しい。一緒に買い物へ連れて行ってくれることもある。でも、私には

そうした連れ合いだけじゃ埋めきれない心の穴が依然として存在する。

外の世界は恐ろしい、でも魅力に満ち溢れている。

カラフルなパプリカを眺めたり、美味しい間食に舌鼓を打ったり、私はご主人様に

かけがえのない広い世界を教えてくれた。

私の視野がいかに狭かったのかはさておき、ご主人様は教えてくれるほど、外の魅力を知っているという事になる。私はご主人さまなしでは生きていられない。

・・・引き止めないと。私に釘付けになってもらって・・・それが幸せ・・・。

 

 

 

 

 

ある日、ご主人様はまた一人で買い物へ出かけていった。

寂しさはあるけれど、数少ないチャンスをつかんだという事でもある。

窓から見えなくなったのを確認して、私は急いで森へと向かった。

 

森へ着くと、風のざわめきが木々を揺らしていた。

鮮やかな赤い花を見つけるのにはそう時間はかからなかった。

いくつか群生していたそれらを摘んでしまうと、私は急ぎ足で家路へと向かった。

 

玄関前に立つ。もしご主人様が帰っていた場合、外に出ていたことを咎められるかもしれない。ご主人様を悲しませたり、怒らせることはしたくない・・・。

帰ってきていないことを確認するために、窓から様子を伺う。

幸いまだ到着してはいないようだ。

 

心躍るような気持ちでポケットに入れたカギを出そうとする。

・・・ない。どこかで落としたのだろうか。真鍮でできたカギはポケットになく、

赤い花だけが入っていた。

 

家の鍵がない・・・。どれだけご主人様を怒らせる結果になることかわからない。

そうなったら見捨てられるかも・・・。ポケットの花を見咎められるかもしれない。

こんな淫乱な子は手に負えないなんてことになったら・・・。

そう考えると理性を超え感情の赴くまま息を切らせて森へと走っていった。

 

森へ着き、赤い花があったであろう場所へ着く。

ない・・・、ない・・・。血眼になって森の出入り口から辺りを探してみるが

真鍮でできて目立つはずのそれは見つからない。

 

途方に暮れかけたころ、草むらの奥でキラリと光るカギを見つけた。

あった!声に出してそれを取ろうとする。

 

グルルルルル・・・。唸り声が正面から聞こえてきた。見ると野犬がこちらを威嚇していた。

今にも飛びかかりそうな野犬を前に、怖くてカギを取ることが出来ない。

前に暮らしていた町の話が脳裏をよぎる。

 

「あの子は残念だった・・・。」泣く母親の前に横たわるぼろ雑巾のようなそれ。

「野犬にやられたらしい。」「森へは行かない様に・・・」そうした記憶が一瞬のうちに頭いっぱいへと広がり、自分がいかに危機的状況にあるのか理解するに至った。

思わず尻餅をつき、後ずさりをする。歯はガチガチとなり、恐怖で瞳孔が開かれる。

来ないで・・・来ないで・・・そう願いながら後ずさりをするが、カギなんかどうでもよかった風に野犬が距離を詰めてくる。

 

どれくらいの時間が経ったかはわからない。迫る野犬に後ずさりして距離を取る私。

ふと、背中に感触があった。横目で確認すると、それは木であり、もう後ろにはさがれないことを意味していた。

 

野犬だけが距離を詰めてくる。もういつ飛びかかられてもおかしくない距離まで迫ってきていた。牙がちらりと見え、口からはだらだらと涎が垂れている。

一呼吸置いたかと思うと、野犬は跳躍して私に襲い掛かった!

 

もうだめだ。そう思い咄嗟に手で顔を隠し、防御の姿勢を取る。

しかし、何の衝撃もない。でも前が騒がしい。私は少しだけ目を開けると、

ご主人様と犬が揉みくちゃになって戦っていた。

 

どうしてご主人様が?一瞬呆けた気持ちがよぎるが、ご主人様が引っかかれて血を流すのを見た瞬間、体が燃え上がるような感覚を覚え、気が付くとどこからか拾ってきた枝を使い

野犬に向かって振り下ろしている私がいた。

 

野犬は数がいないことを不利に感じたのだろう。私がしたように後ずさりしながら、森へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人様!」私は夢中で息を切らし座り込んでいるご主人様に抱き着く。

「シルヴィ・・・」ご主人様は頭に手を乗せてくれたが、その手は自分の物か野犬の物か

わからない血で真っ赤に染まっていた。

 

「ご主人様・・・ご主人様・・・。」私はどうしていいのかわからず、まごついてしまう。

しかし、見るにもう疲れ果て今にも眠ってしまいそうなご主人様をこのままにはできない。

「家へ・・・」そういうとご主人様はその場で倒れてしまった。

 

一瞬目の前が真っ暗になったが、呼吸しているのを確認すると少し落ち着いた。

早く治療しないと。私は今まで使ったことがないような力を出して、ご主人様を肩で支えながら半ば引きずるようにして家へと向かった。

 

ご主人様は私が家にいないことを確認し、慌てて出てったのだろう。

無人の家はドアが開かれ、風で少し動いていた。

 

「シルヴィ・・・。」無意識だが何度もこちらを心配するような声のおかげで、

なんとか家まで連れてくることが出来た。もう結構な血が流れたように思う。

猶予はないように思う。

私は診療台へとご主人様を寝かせると、服を脱がせて裸にした。

腕のあたりに深いひっかき傷がいくつか、足は咬まれた様子で痛々しい牙の跡が

残っていた。

 

治療、しないと・・・。私は思案する。

確かお手伝いしていたときに、傷の治療のカルテがあったはず・・・。

私は急いでカルテを探し出すと、おぼろげな記憶で治療に当たった。

 

最初に、傷は消毒しなければならない。

私はご主人様がいつも傷ついた子供にするように井戸水を汲んできて傷口を洗い流す。

その後、きれいな布で傷回りを拭き上げていく。

生々しい傷が浮き彫りにはなったが、これで汚れた血は洗い流す事が出来た。

 

そして、縫わなくては・・・。

恐る恐る針に糸を通し、傷口にあてがう。

私は痛い思いをしていた時を思い出す。あの時は私が痛みを与えられる側だった。

今は、与える側・・・。手が震えてくる。人を傷つけるなんて・・・。

 

意を決し、針を突き刺す、思った以上に抵抗を感じたが、一度入るとすんなり向こう側へ

突き通す事が出来た。「う・・・。」ご主人様の顔が歪む。

私は泣きながら出来るだけ早く終わらせられるよう、ごめんなさいごめんなさいと

呟きながら縫い終えた。

 

ちぐはぐな縫い目ではあったが、出血は少なくなったので応急処置としては上出来だろう。

そう思い込み、足の咬み傷も消毒し、血を絞り出し、布をあてがい包帯を巻いた。

できることはこれだけだ。

カルテにはもうそれ以上の治療記録がない。

 

 

 

 

 

 

 

私は一気に疲労を感じ、診療台の側の椅子に座り込む。

ご主人様・・・。そう呟くと、少しの安心感からウトウトしてしまった。

 

気が付くと夜中だった。どれだけウトウトしていたのだろう。

飛び起きると診療台のご主人様に縋りつく。呼吸はしているようでふぅ・・・、ふぅ・・・。

と肩で呼吸していた。

生きていることに安心もしたが、同時に熱が出ていることを知った。

 

熱・・・。私が熱を出してご主人さまが看病してくれたことを思い出す。

その時は食事もそうだったけど、お薬も出してくれた。解熱剤・・・。

薬棚を探すと、見覚えのある瓶が出てきた。これだ!

 

診療台のそばへ行くも、ふと頭に少しの不安がよぎる。

ご主人様は長い間の治療は診療台ではしていなかったように思う。

ここで寝させておくと体に良くないのではないか。

やわらかいベッドで寝かせる必要があるように感じた。

 

ご主人様の重い体を支え、ゆっくりとベッドへと向かう。2階だったら無理だっただろう。

苦労してベッドへ移し終えると、私が飲んだ量と同じように粉薬を取り出し、匙に薬を乗せ、

飲むように促す。

しかし、飲み込むことが出来ないのか口から薬が出てきてしまう。

本能なのかわからないが、無意識に私は水と薬を含んでキスをする。

ゆっくりと時間をかけて流し込むとご主人も無理なく飲むことが出来た。

次は食事だ。私と同じように暖かな食事を・・・。

 

台所へ立つと、見慣れた袋が転がっていた。おそらくご主人様が留守番する私の為に買ってきてくれたのだろう、中にはクッキーが入っていた。

私はクッキーが好きなのを知っていて・・・。思わず涙がつたうが今はそれどころではない。

台所にはパンと牛乳といくつかの野菜が残っていた。

火をおこし、鍋に牛乳とパンを入れ、野菜を細かく切って煮込んでいく。

味付けは塩だけだ。時折ご主人様の額に置いた濡れた布を取り換えつつ、じっくりと

煮込んでいく。

 

ややあって、やわらかい食事が出来た。

こぼさない様鍋ごとベッドまで行き、そこで器に入れふぅふぅと冷ましながら

ゆっくりと食べさせた。

気が付くと、外はすっかり日が昇った様子で、カーテンから日が差し込む。

薬も飲んだし、食事も摂れた。あとはしっかり休んでもらうだけだ。

いつもは同じベッドで寝るのだが、今日はそういうわけにはいかない。

床に布を敷き、横になる。まさかこんな形で昔の生活が役に立つとは思わなかった。

夢の中では、床に寝ている私を優しく起こしてくれるご主人様がいた。

 

「う・・・」ご主人様の声で目が覚める。

「ご主人様!?」飛び起きてベッドを見るもまだ意識が戻らないのか苦痛の表情をしている。何かが痛いようだ。私が布団をまくると巻いた包帯に血がにじんでいた。

腕の包帯と布を取り換える。縫い目は上手ではないが、ほどけた様子もない。

足の咬み傷は出血していないものの、熱を帯びていた。

井戸水でしっかり冷やした布を交換しながら、食事を作り、食べさせ、薬を飲ませる。

そうして一日が終わった。

 

夜中に「シルヴィ・・・」と声をかけられた。おぼろげながら意識が戻りつつあるのか、

泣きながら縋りつく私の頭を撫でてくれた!ぎゅぅっと抱きしめたい気持ちにかられながらも、ぼろぼろと泣くことが出来なかった。

 

翌日には意識も戻り、少し会話もすることが出来た。

家にいないしカギはかかってるしで心配した事。森へ行ったら野犬に襲われているのを見て無我夢中だったことを話していた。どうして森にいたのか聞かれたが、

私は本意が言えず、謝ることしかできなかった。

 

さらに翌日には治療の甲斐あってか、ご主人様は起きだし、自分で自分の治療を済ませた。

治療の過程を褒められたが、ちぐはぐな縫い目が災いして、ご主人様の腕には

ケロイドのようなヒキツレが出来てしまった。

見るたびに心が痛む。

 

ある時、ベッドで一緒に横になってると久々に求められた。

うれしい反面、ご主人様の傷は見るのは忍びなかった。

行為ののち、傷に手が触れる。

「ごめんなさい…」思わず口から言葉がこぼれる。

ご主人様は傷を眺めた後、私の傷に触れ、「これで一緒」とほほ笑んでくれた。

 

私だけのご主人様。こんな形ではあったけど、一緒と言ってくれた。

その暖かな気持ちに包まれ、私はまどろみの中へ落ちていった。

 




初投稿であくまで自己満足です。
思いつくままに書きなぐれてよかったです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。