たとえ全てを忘れても   作:五朗

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第一話 汝は剣なりや

 多くの人の会話をする声と食事の音。

 談笑と笑い声の狭間に薪が燃えてはぜる音が響いている。

 燃え盛る炎を中心に、円となって笑い語り合っているのは【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】の一団。

 ここはダンジョン。

 それも深層と呼ばれる中でもなお深い―――50階層。

 普通なら考えられないことではあるが、【ロキ・ファミリア】にとっては『遠征』の度に行われる恒例の行事の一つであった。

 ここまでの戦闘で護衛の必要性を感じさせない強さを見せていた上級鍛冶師(ハイ・スミス)達でも、ここまでの深さまで潜ったことはなく。何処と無く不安そうな雰囲気を漂わせていたが、それも【ロキ・ファミリア】の団員達と語り合ううちにゆっくりとほどけるように穏やかなものへと変わっていった。

 短くもなく、長くもない宴が無事に終わると、次は今後の最終確認が始まる。

 フィンを中心にして行われた話し合いは、これといった問題はなく行われ。

 予定通りここ(51階層)からは、フィン達を中心とした選抜メンバーのみが下へと進み。【ヘファイストス・ファミリア】を中心にした残りはここ(ベースキャンプ)の防衛に当たることとなった。

 その後は【ヘファイストス・ファミリア】が注文を受けていた【不壊属性(デュランダル)】の武器をフィンを初めとした主力の5人に対し渡すと解散という流れとなった。

 フィンが解散と口にすれば、集まった者達は各々ばらばらと散り始めていく。

 その中でアイズもまた、両手に掴んだ渡された新たな剣の感触を確かめるようにその柄を撫でながら離れていこうとする。その背中に、近付いてきた椿が声をかけてきた。

 

「のう、剣姫」

 

 背後からの声に対し、肩越しに振り返ったアイズの目に椿の眼帯に覆われていない赤い右目が映る。

 

「そちらの方も整備が必要であろう。折角だ。みてやろう」

 

 椿の赤い瞳がアイズの目から離れると、両手に持つ先ほど渡された剣ではなく、腰にはいた『デスペレート』に向けられた。

 確かに幾ら一級線の特別製の武器とは言え、これまでの戦闘により多少の歯こぼれがある。

 上級鍛冶師(ハイ・スミス)の中でも最上位に位置する彼女の手による整備を受けられるというのならば、嫌な筈はなかった。

 ただ、アイズとしては何処か戸惑ったものがないとは言い切れなかったが。

 

「……はい、お願いします」

 

 

 

 

 

 

 誰もいなくなった夜営地の中心で、剣が磨がれる音が響いている。

 規則正しく。

 機械的にすら聞こえるその音は、時折途切れることもあるが、少しすればまた響き始める。

 離れた所からは、同じように武器の整備をしているのだろうか誰かが話し合う声や物音が響いていた。

 何処か燃え残りの燻りにも似た雑音が微かに耳に残るなか、アイズは目の前で腰を下ろし剣を磨く椿の背中を見つめていた。

 女としては広く大きな。しかしそれでもしなやかで女性的な背中の前を、一つに纏められた黒髪がゆらゆらと揺れている。その様を、何処か呆けた様子で見つめていたアイズは、

 

「―――【剣姫】」

 

 不意に自分を呼ぶ声にはっと顔を上げた。

 そこには相変わらずこちらを向かず、剣の整備に集中する椿の背中があった。

 

「初めてお主に会ったのは何時だったか?」

「えっと……十年、ぐらい前?」

 

 唐突に話しかけられ、戸惑いを露に首を傾げていたアイズだったが、椿の問いに少しばかり考えを巡らせるも直ぐに口を開いて答えを返した。

 

「そうか、もうそんなに経っていたか……あの小娘がなぁ……今や都市を代表する冒険者の一人か」

 

 小さく笑いながらも作業を続ける椿は、そのまま独白めいた様子でアイズに話しかけ続ける。

 

「予想が外れるとは。手前はな、早々に死ぬと思っておったんだが」

 

 物騒な事を言われながらも、アイズはそれに対し何の言葉を返さない。

 いや、返せない。

 間違いではないからだ。

 自分はあの時、何時死んでもおかしくない心持ちと状況であったから。

 

「正直に言うとだな【剣姫】。手前はあの頃お前に武器を作ってやる気など欠片もなかった」

 

 はは、と何処か空虚な雰囲気を纏った笑いを一つ上げた椿は、自身が打ち上げた『デスペレート』を確かめるように掲げ持つとその刃へと目を走らせる。

 

「何故ならば、手前の目にはお前は武器を振るう冒険者ではなく、手前等が作り上げる『武器』そのものにしか見えなかったからだ」

 

 何処か満足がいかなかったところがあったのだろうか、もう一度『デスペレート』を砥石の上に戻した椿は、またゆっくりとその刃を研ぎ始めた。

 

「当時は、何時折れるのかだけが気になっておったな」

 

 ピタリと、剣を磨く椿の動きが止まり、その視線が剣から離れると首を回しアイズを見た。

 じろりと。

 感情がわからない。

 全身―――いや、その奥底。

 魂すら見定めるかのようなしっかとした眼差し。

 その赤い瞳で剣の品定めをするかのような視線を向けられたアイズは、強敵と対峙するのも違う不思議な緊張感を感じながらその身を強張らせた。

 

「―――とんだ節穴だな」

「ぇ?」

 

 しかしそれも、唐突に口元に小さく苦い、いや呆れたような笑みを椿が浮かべたことで霧散した。

 抜けたようなアイズの小さな吐息のような疑問の声に応えることなく、椿は首を元に戻すと剣を磨くのを再開した。

 

「今も昔も、お前は『剣』などではなかった」

「え?」

 

 椿の真意がわからずただ疑問を浮かべるアイズに、椿は自嘲するようにその口を開いた。

 

「餓鬼の頃のお前は、やはりただの餓鬼でしかなく、今もまだ餓鬼のまんまだ―――ま、少しはましな餓鬼になったようだが」

「ガキって……それは」

 

 あまりにもな言い方に、流石のアイズもむっとしたかのように微かに眉間に皺を寄せて見せたが、しかし直ぐにそれをほどかすと椿にふと浮かんだ疑問を投げ掛けた。

 

「何で、そんな風に思ったの?」

「―――…………」

 

 アイズの問いに、暫し口をつぐんだ椿であったが、小さなため息と共に言葉を口にした。

 

「見てしまったからな」

「見た?」

 

 ぴたり、と動きを止めた椿が呟いた声をアイズは口の中で繰り返す。 

 

「本物の『剣』を」

「本物の『剣』?」

 

 続いた言葉も同じように繰り返したアイズに対し、研ぐのを止めて振り返った椿の顔には自嘲するような笑みが浮かんでいた。 

 

「全く、手前は鍛冶師失格だ」

 

 じろりとアイズを、きょとんとしたその金瞳を見つめながら、椿はため息混じりに言葉を続ける。

 

「前のめりでただやたらめったらに暴れるだけのお前を『武器』だ『剣』だのどの口が言っていたのやら。余りにも未熟。鍛冶師の風上にもおけん」

「何を―――?」

 

 ここではない遠く。

 姿形は変わっても、変わらないその金の輝きに過去の姿(幼い剣士の姿)を浮かべた椿は、未熟な当時の己を嗤う。

 

「『武器』とは『剣』とは、な。確かに数打ちの(なまくら)もあるだろが、本来の―――少なくとも手前が思う鍛冶師の打つ『剣』とは己の全霊を込めて造り上げるもの」

 

 未熟―――そう、未熟だ。

 今もまだ神の境地は遠く。

 仰ぐもその頂きの影すら見えはしない。

 それでも、今の自分は当時の己よりかはましである。

 だからこそ、見えたものがあった。

 わかるものがあった。

 

「手前の全てをぶつけ叩きつけ打ち上げるもの」

 

 剣に良し悪しがあるように。

 人にも―――武人にも良し悪しがある。

 強い弱いではない。

 在り方?

 有り様?

 本質―――とでも言えば良いのか?

 そこに至るまでの経緯―――経験―――歴史……。

 良い剣を打つために幾度も鎚を振るうように。

 余計な感情(雑念)をもって打ち上げた剣が、どれだけ良い素材を使ったとしても駄剣に堕ちるように。

 逆に決して良いとは言えない素材でも、丁寧に時間をかけ熟練の技をもって打ち上げた剣が名剣となるように。

 

「それこそ鋼のような強固な意志と揺るぎない意思を練り上げ打ち上げるものよ」

 

 あの頃のアイズは確かに剣だった。

 己を人と思わず。

 ただ一振りの剣として、ただモンスターを屠るだけの武器。

 感情のないかのような顔の下に、嵐のように渦を巻く憎悪をたぎらせ暴れまわる敵も味方もなく切り裂く狂った剣。 

 だからこそ嫌悪を抱いた。

 忌避した。

 見ないようにした。

 あれだけ良い素材(資質)が、見るも無惨な姿(鈍の姿)を見せていたのだ。

 一人の鍛冶師として認めるわけにはいかなかった。 

 

あの頃(十年前)のお前は『剣』などではなく。ただの餓鬼が暴れまわっていただけにすぎん」

「……」

 

 そう、思うようになったのは。

 『剣』を見たからだ。

 

「本物の『剣』と呼べるモノは―――そんな半端なものじゃなかった」

 

 目を閉じれば―――いや、目を閉じずとも目に―――脳に―――魂に焼き付いている。

 あの輝き。

 一対の双剣と、それを振るう剣のような男を。

 

「……それは」

()()()は確かに『剣』だった」

 

 強さ?

 雰囲気?

 言動?

 姿形?

 違う。

 そうではない。

 鍛冶師たる手前が。

 いずれ神の頂へと目指す手前が、あやつを見た瞬間『剣』だと感じた。

 嫌悪など欠片もなかった。

 『剣』だと罵り嫌悪すら抱いていた筈の幼い頃のアイズに感じたものなど何処にもなかった。

 

「鋼のような強固な意志と揺るぎない意思をもって振るわれるただ一振りの『剣』」

 

 ただ―――ただ見惚れた。

 奴の振るう双剣に。

 そしてそれを振るう奴自身に。 

 

「あれほど見事な『剣』は、手前にはまだ打てん」

 

 まるで、そう。

 主神(ヘファイストス)が打ち上げた未だ仰ぎ見るしかない『神剣』を見るかのように。

 

()()()()()()()()?」

「……」

 

 何処か陶然としたような顔をする椿を見つめながら、アイズは「誰」だと人の名を尋ねた。

 そう、口にするアイズの脳裏には、何故か一人の男の後ろ姿が浮かんでいた。 

 

「様子が、おかしかった」

「……」

 

 椿の目の焦点がアイズの金瞳で止まる。

 見つめ合う二人だが、椿の口からは何も言葉が現れない。

 そこへ、アイズが確かめるようにもう一度問いかける。

 

「あなただけじゃない。レフィーヤ……ガレスさん……ううん……先行していた人たちみんな―――」

「……」

 

 最初は、疑問に感じなかった。

 いや、気付いていなかった。

 自分も―――いや自分達もそれどころではなかったからだ。

 ベル―――ベル・クラネル。

 あの、白い少年が。

 駆け出しの筈のあの子が―――『冒険』をした。

 あの子の強さは知っていた。

 どんどん強くなっていっているのも。

 でも、だからこそわかっていた。

 彼の強さの限界も。

 だから、勝てるとは思えなかった。

 だけど。

 あの子は勝った。

 英雄(父の姿)を思い浮かべる程の姿(輝き)を見せた。

 挑み、戦い、そして勝って見せた。

 敗北の象徴であった筈のミノタウロスに。

 その姿に震えたのは。

 私だけじゃなかった。

 皆当てられた。

 熱に受かれたように、ここまで全力で駆け抜けてしまった。

 だから、ここにくるまで、少し落ち着くまで気付くのに遅れてしまった。

 皆の様子がおかしかったことに。

 

「何が、あったの?」

「さて、な」

 

 少しばかり前のめりとなったアイズの問いかけに、しかし椿は逃げるように顔を前に戻す。

 そしてアイズに背中を向けたまま、手元にある剣を見下ろしながら自問するかのように小さく呟いた。 

 

「手前らは、一体何を見たのやら」

「―――? どういうこと?」

 

 疑問に疑問を返され頭を傾けるアイズに、椿は手にある剣に触れる。

 硬く、強固で。

 冷たく、確かな。

 現実という重さを確認するかのように触れながら―――椿は呟いた。

 

「有り得ぬものを見た」

「有り得ない、もの?」

 

 (現実)に触れながら、目を閉じて闇の中に浮かぶのは、『剣』の姿。

 

「少なくとも、手前らの常識から外れたものを、な」

「それが、『剣』?」

 

 黒い刃と白い刃を持つ一対の双剣。

 そして、それを振るう一振りの『剣』。

 

「―――そう、だな。()()()は確かに『剣』であったよ」

 

 あの男と初めて出会ったのは何時だったか。

 もうずっと前からの知り合いのように感じているが、実際はまだ一年どころか数ヵ月しか経っていない。

 そこらの鍛冶師では及ばない程の剣を打ち上げた姿に、初めは上級鍛冶師(ハイ・スミス)だと勘違いしていた。

 それが、ただの、しかもつい最近冒険者になったばかりの男だと知った時は暫く開いた口が塞がらなかったな。

 

「強い、弱いではない。ましてや感情や意志のそれでもない……一体何が違うのか」

 

 最初から不思議な男だとは思ってはいた。

 現実主義というか、堅実というのか。

 そして色々と常識外れな男ではあった。

 剣を打つ理由も自分で造った方が安上がりだといった理由。

 なら鍛冶師として働けばもっと儲かるんじゃないかと言えば、(ヘスティア)が泣くからなと肩を竦めて見せる。

 何処か飄々とした雰囲気もある男。

 

「ただ、手前の目には、何の疑問も感じることもなく『剣』としか映らなかった」

 

 だが、何よりもあの男が普通とは違ったのは、あの『強さ』。

 手前らが当たり前の常識として知る『レベル』という『強さ(常識)』から外れた力だ。

 その強さを初めて目にしたのは、あ奴が冒険者だと知る前だった。

 そういえば、あの時も手前は見惚れていたな。

 『剣』のようだと思いはしないまでも、戦う姿を綺麗だと感じて。

 

「嫌悪を抱く所か、目を奪われてしまった程に、な」

 

 今思えば、あの頃に感じたものもあの時と同様のものを感じていたのだろう。

 晴れ渡った夜空に輝く月に見惚れるように。

 あらゆる無駄を廃し、ただ一つの機能を突き詰めた剣に感じるそれと同じように。

 何故なのだろうか。

 他にも強いもの。

 美しいものなど幾らでもいるだろうに。

 何故、あの男(シロ)だけにそうまで感じ入ってしまうのは。

 

「私と、何が違ったの?」

 

 そう、例えばこのアイズのように。

 強く、美しい者はいる。

 あの幼い頃より、神からも『剣姫』と讃えられている程だというのに。

 手前は、どうしてあの男にこうも目を奪われるのか。

 

「……確かに、当時のお前も『剣』であったといえば『剣』であったのかもしれん。だが、な―――そうであれば、お前は『剣』は『剣』でも(なまくら)な『剣』であったのよ」

 

 幾ら切れようとも、モンスターを屠ろうとも、どれだけ美しかろうとも。

 その強さは、美しさは妖刀の類いでしかない。

 一度枷が外れれば、敵も味方も切り刻みかねない危うさがあった。

 そんなものは、幾ら上等なものでも手前にとっては(なまくら)でしかない。

 

(なまくら)……」

「憎しみ、怒り、悲しみ、嘆き、寂しさ―――それらを無理矢理押し込み『復讐』という鋳型に流し込んで燃え上がる感情をもって焼き上げただけの『(なまくら)』よ」

 

 肩を落とし項垂れ落ち込んだ様子を見せるアイズの姿に、当時の―――初めて見たときのような危うさはもう感じられない。

 もう、(なまくら)とは言えない。

 その(剣姫)に恥じない冒険者だ。

 

「……」

「未熟とはいえ、鍛冶師である当時の手前が嫌悪を抱くのも仕方のないことよ」

 

 訳知り顔で偉そうなことを口にしながら、見るからに萎れた様子のアイズの姿に笑う。

 その姿からは、最早当時の鈍な剣(人形のような姿)は思い浮かべることは出来ず。

 都市指折りの冒険者どころか、ただの美しい少女としか見えない。

 しかし、それでもこの少女の奥底には未だ渦を巻く黒い泥のような熱がある。

 当時嵐のように吹き荒れていたそれは消えたわけでも無くなったわけでもない。

 ただ、心の奥底で澱んでいるだけだ。

 だからこそ、問いを掛けた。

 

「なあ、【剣姫】よ」

「?」

 

 顔を上げたアイズの目をしかと見つめる。

 

「一振りの剣たらんとする剣の姫よ」

「―――っ」

 

 手前の目に何を見たのか、アイズは息を飲み身を竦めるように身体を固めた。

 

「手前は、見た」

 

 瞬きもせずにアイズの目を、その奥底に沈むものを見定めるようにして。

 打ち上がる経過の剣を見るかのような眼差しで。

 

「『剣』のような男を」

 

 問いを掛ける。 

 

「鋼の意志をもって、膨大な経験を炎に、鋼鉄の身体を打ち上げ己を一振りの『剣』と化した男を」

 

 見たからこそ、わかる。

 あの()もまた、ただ純粋とは言えないことを。

 自分の眼力では見抜くことは出来ずとも、感じられるものがあった。

 手前が感じたそれが何なのかは検討もつかない。

 神ならぬこの身では未だその欠片すら手に掛けることは出来なかった。

 それでも、感じたものがある。

 それでも、美しいと感じた己がいた。

 

「手前は、見た」

 

 あの頃のアイズと、あの男との違いは何なのか。

 それはまだ答えることはできない。

 

「神の如き『剣』を」

 

 ただ、あの時、手前は見た。

 頂を。

 確かな一つの頂を。

 手前が目指している頂きとは異なる位置にある頂き。

 

「神が打ち上げた『神剣』とも違う。手前らが造り上げる『魔剣』とも違う。歴史を背負い意思すら感じられる刀身を持つ『剣』を」

 

 ああ、そうだ。

 もしかしたら、あの『(双剣)』を見たからかもしれない。

 手前らが知るどの剣とも違う。

 根本から違う剣を見たから。

 

「手前は見た。剣のような男を―――神のような剣を」

 

 剣のような男。

 神のような剣。

 二振りの剣。

 

「故に問おう【剣姫】よ」

 

 剣を冠する二つ名を持つ少女。

 アイズ・ヴァレンシュタイン。

 何時かこの少女も、あの頂きに至るとするならば。

 手前は何を思うのか。

 目を逸らすのか、見惚れるのか。

 どの様な過程を経るかはわからずとも、打ち上げるのは彼女自身。

 だから、問う。

 

 

 

「己を一振りの『剣』足らんとするならば―――お前はどんな意志を持って『剣』となる?」

 

 

 

 お前はどんな『剣』となるのだ、と―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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