炎の憑依者も異世界から来るそうですよ?   作:夜明けの月

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はい、すごく時間が空きましたねぇ……(訳:反省してます)

今回、英太君の本性?が明らかになりますかね。というかこれ書いた本人ですら怖いんですが………。

あと、急ごしらえで書いたので悪い点があるかもですのでご了承ください。

では、本編をお楽しみください。


交渉決裂だそうですよ?

「嫌だね」

 

ピシャリと言い放つルイオスに黒ウサギは息を詰まらせる。

だが、それもつかの間、すぐに表情に怒りが見え始める。

 

「ふ、巫山戯ないでください!」

 

「巫山戯てないし。それにあいつは俺が買ったもんなの。それにもう買い手が決まってるし」

 

「なっ………!?」

 

ルイオスの言葉に息を飲んで戦慄する。

 

現在黒ウサギ達は"サウザンドアイズ"に訪問しており、その幹部、ルイオス=ペルセウスに"ノーネーム"の元仲間であるレティシア=ドラクレアを取り返しに来たのだが、真っ向から断られていた。

 

「買い手が何を考えてるかわかんねえけどさ、あいつを箱庭の天幕の外に出して牢屋に閉じ込めておきたいんだとよ。でもそれ想像したら意外に良くてさぁ。たまんねえよなぁ?」

 

「あ、あなたは………っ!!」

 

「おっと、んな癇癪起こしても取引には応じねぇぞ?こちとら商売であれを売ってやってんだかーーー」

 

ドパァン!とルイオスが言い終わる前に辺り一帯に発砲音が響く。

その音源は、まるで汚物でも見るかのような目でルイオスを見る愛里紗の手に収まる38口径のピストルだった。

 

「黙って下さい。それ以上あなたの下品な声を聞きたくありません」

 

「ーーーーあ?なんだ、やるのか?」

 

ルイオスはギフトカードから歪曲した剣、ハルパーを化現させて構える。両者が火花を散らしていたが、先ほどまで何も声を発していなかった白夜叉がその二人を睨みつけ、怒気のこもった声を上げる。

 

「……小僧ども、ここで始めようものなら門前に叩きだすぞ」

 

「…………分かりました」

 

「………ちっ」

 

白夜叉に言われ、渋々といったように武器を下す二人。そんな緊迫した空気の中、ずっと俯いて黒ウサギはルイオスに言った。

 

「………私が、そちらのコミュニティに入ればレティシア様は開放してくれるのですか?」

 

「………っ!ああ、その通りにするぞ」

 

「黒ウサギさん、何言ってるんですか!?」

 

その発言にルイオスは驚きながらも喜び、愛里紗は悲鳴のような声を上げる。

 

その二人を見ることなく黒ウサギは俯いたまま告げる。

 

「ならーーー、私が」

 

黒ウサギが言葉を発しようとした瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「………っ!?」」」」」

 

内心喜びにくれていたルイオス、狼狽えていた愛里紗、多少苛立っていた白夜叉に俯いていた黒ウサギ、そして静観を保っていた十六夜でさえ息を呑む。

 

全員の目がそれを引き起こしたであろうもう二人、静観に徹していた人物に集まる。

 

それは、部屋に入ってからふざけたことしか言わなかった英太とコミュニティを出てから一言も喋っていない満の二人だった。

 

「黙って聞いてりゃ取り引きがどうとか言いやがってからに………。んなもんに興味はねぇっての」

 

「それはそうですね。もとより僕達はそういう話をしに来たのではないのですから」

 

「は、はぁ!?おま、僕らが所有するあの吸血鬼を取り戻しに来たんじゃないのか!?」

 

「そ、そうですよ!二人して何言ってーーー」

 

困惑する二人をよそに、空間の歪みが増し、その場に普段感じているものの二倍の重力がその場の全員を襲う。

 

それは、一定空間内に倍の重力をかける《増幅する重力(グラビティ)》という英太が得意とする魔法のうちに一つであった。

 

「いいか?もう一度言うが、俺は取り引きなんぞに興味はない。んなもんがしたいなら、どうぞ他でやってくれ。そのぶんにはどうこう言う気はない」

 

「……ほほう?ならば、おんしは何をしに来たというのだ?目的もなしに来たわけではあるまい」

 

脂汗を浮かべ、引きつった笑みを浮かべながら白夜叉は英太に問う。

 

超過した重力に耐えながらも言葉を発することができるというのは、さすがといったところだろう、と英太は感心しながらニヤリと笑みを浮かべて言った。

 

 

「俺たちは"サウザンドアイズ"に()()()()って言ったはずだぞ?なのに、なんで穏便な取り引きなんぞで終わらせなきゃいけねぇんだよ」

 

 

その瞬間、愛里紗はまさか、と顔を青くし、十六夜はなるほど、と得心がいったように笑みを浮かべる。

 

「乗り込むって言ったからには、其れ相応のことはしねぇとなぁ?」

 

英太はうっすらと笑みを浮かべながら言った。その目には振りまかれる怒りがこもっていた。

 

「ええ、僕もそのつもりです」

 

「満まで!?」

 

対して満はいたって無表情だが、ルイオスを睨む瞳には侮蔑がこもっている。

 

二人の表情を見たことがあるのか、愛里紗は顔色をさらに青白くして声を震わせる。その他はというと、二人の雰囲気の変わり具合に息を呑むことしかできず、襲い来る重力と威圧に言葉を発せずにいた。

 

「お願いですからここでことを起こすのだけはやめてください先輩!先輩が本気出すと、ここら一帯が消し飛ぶ可能性あるんですから!」

 

「うん?だからどうした?別に、それで消えるなら消える程度のやつだったってことだろ?」

 

「………司先輩が悪魔化しますよ?」

 

「…………それは、避けたいな。はぁ、しゃあねぇか」

 

英太は指をパチンと鳴らす。すると、先ほどまで部屋を軋ませていた超重力は嘘のように消え去る。緊張が消え去って安心したかのように十六夜達は息を吐く。

 

だが、白夜叉だけは英太に戦慄していた。

 

この状態だとしても、自分を完全に押さえつけられるものがいるのか、と。

 

そんなことはつゆ知らず、当の本人の英太はもう用がないというように立ち上がる。

 

「とりあえず、()()()()だ。お前は必ず潰す。お前はもちろん、お前の手先から何から何まで、これまでの行いを悔い、泣いて土下座して『もうしません許してください』っていうまで潰してやる。覚えとけ、出来損ないの英雄(親の七光り)

 

そう言い残して英太は部屋を後にする。それに続いて満も出て行き、愛里紗が慌てたように後を追う。

 

十六夜と黒ウサギは状況が飲み込めずにいたが、一方は楽しそうに口角を歪め、もう一方は顔面蒼白で部屋を出て行く。

 

余談だが、残った白夜叉とルイオスの二人は数分無言のまま、固まっていたらしい。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「何してくれちゃってるんですか!?」

 

言うことだけ言ってそそくさと"サウザンドアイズ"支店から出た英太に追いつくなり黒ウサギは声を荒げる。

 

「何がだ?」

 

「何故あのような怒らせることを言うのですかと言っているのです!しかも挑発に加えて宣戦布告!?何を考えているんですか!?」

 

「じゃあ、逆に聞くけど、お前と取り替えっこしてさ、俺らが満足するとでも思ってるわけ?」

 

「うぐっ………それは、その……」

 

英太に痛いところを突かれたのか、ごにょごにょと言葉を濁す。

 

それに、と英太は付け足す。

 

「これはあいつらに対する()()()()だ」

 

「えっ………?」

 

「宣戦布告っつう感じにしなきゃ(あの馬鹿)は何しでかすか分からんからな。ここであいつの行動を縛っておけるなら縛っておく方がいいんだよ」

 

真剣味を帯びた英太の言葉に黒ウサギは困惑を示す。何故ここで司が出てくるのか理解ができなかったが、自分より付き合いが長い英太の方が詳しいのだろう。だが、『どうして』と疑問に持つ黒ウサギのことは眼中にないのか、英太は黒ウサギから視線を移して言う。

 

「満、愛里紗と黒ウサギ連れて先にコミュティに帰れ。あと司に説明は絶対にしとけ」

 

「分かりました」

 

「わ、私には指示なしですか……?」

 

「愛里紗は司が先走らないようにしといてくれ。まあ、俺が言ってたって言ってくれればなんとかなるだろうよ」

 

「りょ、了解です」

 

指示を伝え終わると、満が黒ウサギの腕と愛里紗の腕を掴む。

 

先ほどから一切言葉を発していなかった十六夜が、期待を込めた声音で英太に問う。

 

まるで、これから楽しいことが起こるかもしれないというように。

 

「んで、どうするんだ?俺は楽しけりゃなんでもいいが」

 

「ま、とりあえずは権利を取りに行く。三日ありゃ終わるだろ。司の準備もな」

 

英太の顔が狂気的な笑みに変わる。

 

黒ウサギと愛里紗が見る景色が変わる寸前、怒り、楽しみが混ざり合った声音が聞こえてきた。

 

「それじゃあ楽しみに待ってろクソ英雄。テメェみたいな外道、真っ向から叩き潰してやるよ」

 

それを聞こえた瞬間、その場から三人が消え去る。

 

十六夜と英太は夜の街を歩き出した。これから起こす、盛大な楽しい出来事のために。

 

 

 




………さて、次回どうなることやら。

では、次回もお楽しみに!

感想、評価、指摘などもお待ちしております。
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