炎の憑依者も異世界から来るそうですよ?   作:夜明けの月

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どうも、更新早くなるかもとか言って普通に遅くなって申し訳ない気持ちでいっぱいな月です。
遅れた原因は三つですかね。

一つは、ネタが途中で完全に切れたこと。
書いてる途端に詰まってしまい、そこから書けずじまいで日数が過ぎてしまったことですかね。

二つ目は、まあ主にゲームしてたせいですね……。
これは完全に僕が悪い。執筆そっちのけでFGOやってた僕が悪いです……………というかイベントに参加するためにはここまでするしかなかったんですよ。まぁ、そのおかげでイベントも無事参加はできました。

三つ目は健康管理をしていなかった故の風邪ですかね。
久々に風邪ひいたので死ぬかと思いました。正直、そうなってから1週間はろくに外に出歩けませんでしたし(ちなみに風邪になったのはGWの1日前)

とまあ、ぐだぐだと言い訳してすみません。
これからは早めるようにいたしますので、何卒よろしくお願いします。

では、本編をお楽しみください。




そしてゲームは終わりを迎える、そうですよ?

英太達と別れた司と十六夜、ジンの三人は英太と耀の人間ならざる動きで取った不可視のギフトがついた兜により、道中誰一人として三人に気付くものはおらず、最上階へとたどり着くことができた。

 

最上階へと立ち入ると、三人はかぶっていた兜を取る。

 

「十六夜さん、司さん!それにジン坊ちゃんまで」

 

「……あれ、もう着いたんだ」

 

「んなことも予想がつかないとは、相当頭が弱いと見えるな」

 

「へぇ……、それは挑戦と受け取っていいのかな?」

 

「………………」

 

挑発したにもかかわらず、値踏みしたように見てくるルイオスを睨む。だが、ルイオスは怯むことなく飄々と告げる。

 

「まったく、あいつら本当に使えないな。後でまとめて粛清しないと」

 

「…………っ!」

 

「司、落ち着け。あんな奴の話まともに聞いてちゃお前の身がもたないぜ?」

 

「………そう、かもな」

 

「お前が怒りを感じたなら、それはゲームで見せろ。あいつに直接その感情をぶつけるチャンスじゃねえか」

 

「…………そうだな」

 

「何こそこそ話してるの?さっさと始めるよ」

 

ルイオスはつまらなさそうな顔でそう言って、椅子から降り立つ。そして、両手を広げ、軽薄な笑みを浮かべて告げる。

 

「どうしようかな、恒例のセリフ言わなきゃいけないけど……面倒だからいいや」

 

「御託はいい。さっさとかかってこいよ英雄さん」

 

「言われなくても。来い、アルゴォォォォォォル!!」

 

ルイオスは首のチョーカーについていたストラップのようなものを外すと、それを天に掲げて叫んだ。

その途端、そのストラップから光が放たれ、一面が白く染まる。

少しして光が収まったかと思うと、ルイオスの隣には巨大な女がいた。

 

「RAAAAAAaaaaaaGAAAaaaaa!」

 

「そ、そんな……あれはーーーー」

 

「「ペルセウスが倒したとされるメデューサもといアルゴール。魔王みたいなもので石化の能力とか持ってると思って問題ないはず」」

 

「ーーーーあればアルゴー…………え、えっ!?」

 

「お前、絶対俺らが知らないと思ったろ」

 

「なんのための三日間だと思ってんだ。少しぐらい調べてるっての」

 

「も、もしかしてお二人って結構な知性派だったりします?」

 

「あ?俺はバリバリの知性派だぜ」

 

「どっちかというと使ってるの知性じゃなく腕力……」

 

「ストップ司。それ以上は言うな」

 

心底意外そうな顔をする黒ウサギにドヤ顔で返す十六夜だったが、普段から知力を使わず腕力だけで解決している十六夜を見ている司は全くもってそんなことを思えなかった。

 

「お、お二人共!話している場合ではありません!あれは星霊の一種です。なめてかかれば死ぬこともーーー」

 

「んじゃ、俺があのデカブツを殺る。司はあのボンボンを殺ってくれ」

 

「了解だ。塵も残さねえよ」

 

「全然話聞いてないじゃないですか!だいたいーーー」

 

「おチビ、お前は俺たちが負けるかもしれない、と不安なんだろ?」

 

「なら黙って見てろって。俺と十六夜ならこんなの楽勝だっての」

 

「で、でもーーー」

 

「「俺たちがここで力を示す。だからそれを見とけよ、おチビ」」

 

「ーーーーー!」

 

司と十六夜は言いたいことが言い終わると、ルイオスたちに向き直る。ジンは即座に踏ん切りを決め、二人に対して叫ぶ。

 

「なら、ここでお二人の力を見せてください!僕らのコミュニティに足る力なのかどうかを、僕に見極めさせてください!」

 

「へっ、チビのくせに言いやがる」

 

「負けはしないさ。それと、お前の期待以上の結果を見せてやる」

 

二人はそう言い残すと、戦闘態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らさぁ……なんか勘違いしてないか?」

 

「あ?なんだよ、ボンボン七光り」

 

「おい、その不名誉な呼び方はなんだ!!……ま、まあいい。というより、何お前ら勝手に僕を戦闘員として見てるの?」

 

は?、と首をかしげる二人だったが、ルイオスはそれを見て楽しむかのように口元を歪ませる。

言われようもない不安感に襲われた司はルイオスを警戒するが、それはなんの意味もなかった。

 

「お前らもお目にかかるのは二度目だろ。とは言っても、前回とスペックが段違いだがなぁ!」

 

仰々しい言い放つと、司が立っている場所に向けて黒い槍のようなものが幾らか上空から降り注ぐ。司は間一髪で避けられたが、先程まで立っていた場所が鋭い刃物で切り刻まれたかのような傷ができていた。

その黒いものは、やがて持ち主の元へと帰って行く。そこにいたのはーーーー

 

「れ、レティシア様!?」

 

黒ウサギが目を見開いて驚愕の声を上げる。一度会っている十六夜も声を上げないにしろ、同じような表情であった。

 

「おい、金髪吸血鬼。お前を助け出そうってのに邪魔するのか?」

 

「…………………」

 

「チッ……無視かよ。ああいいぜ。そっちがその気なら容赦はしねえ。覚悟はいいんだろうなぁ!」

 

拳を握り、レティシアの元へとかけだそうとする十六夜。その間、レティシアはなんの反応も示さず、ただ生気のない目で十六夜を見ていた。

レティシアが現れた瞬間、変な違和感に気づいた司はレティシアに襲いかかろうとした十六夜を羽交い締めにして止める。

 

「離せ司!あいつを助ける義理はねえ!こっちを殺す気でーーー」

 

「しっかりしろ十六夜!さっき知性派って言ってただろうが!少しは落ち着け」

 

「落ち着いてるし、俺は知性派だっての!」

 

「じゃあ握ってる拳開いてくれませんかね……」

 

「よし分かった。………行くぞゴラァ!!」

 

「誰も拳じゃなくて平手で戦えなんて言ってない!少し止まれって言ってんの!」

 

司の必死の呼びかけの末、舌打ちと同時に十六夜はどうにか止まり司は胸をなでおろす。

レティシアが現れてすぐに感じた違和感を十六夜に話すと、十六夜は一瞬怪訝そうな顔をしたが、思い当たる節でもあるのか、顎に手を当てて考察し始める。

 

「何止まってんのかなぁ。それじゃあ、ただの的じゃないか!」

 

ルイオスはギフトカードから炎の弓を取り出し、すぐさま矢を射る。

十六夜は考えにふけっており、黒ウサギは参加権はない。ジンに至っては戦闘の際には全くもって戦力には加算していない。

このままでは一人一人矢で射られてしまう。

 

「(とりあえず……十六夜の考えがまとまるまでは)」

 

司は左手をルイオスに掲げ、拳を握り、そして開く。

ルイオスが放った炎の矢は一定距離進んだところでぐにゃりと歪み、燐光を散らしながら消える。

 

「き、消え、た………!?」

 

「そんなに不安なら返してやるよ」

 

パチンと指を鳴らすと司の指先に拳ぐらいの大きさの火球が発生する。

それは蠢き、形を変えて行き、最終的にルイオスが放ったものと同じ大きさ同じ形の矢となる。

形が安定し始めると、司は腕を振るう。炎の矢は一度通った軌跡を逆に戻るように通り、ルイオスへと直進する。

 

「チッ、反射系のギフトか……。でもなぁ、名無しの攻撃がこの僕に通じるとでも?」

 

ルイオスは炎の弓を番える向かってくる矢に向かって放つ。

その二本の矢は距離が縮まっていき、やがてーーーーー

 

ルイオスの放った矢が無残にも消え去った。

 

打ち勝った司が放った矢はルイオスの左肩を射抜く。

ルイオスは肩の痛みに顔をしかめるが、すぐさま切り替えて矢を数本放つ。

だが、これも司まで届かずに消滅してしまう。

 

「何なんだよお前ッ!?なぜ当たらないんだよ!」

 

「さぁ、腕が足りないんじゃないの?ほら、まだまだ行くぞ!」

 

「貴、様ァ………!」

 

「(本当のことを言うと、あの矢が炎だからっていう単純なことなんだがな)」

 

司は先程からルイオスが言っていたようにあの矢を反射していたわけではない。自分に届く前に潰し、そして自分が作り出した矢で反撃していただけだった。

術中にハマるわけでもなく、ただ勘違いで激情したルイオスは空中で漂っているアルゴールとレティシアに叫ぶ。

 

「アルゴォォォル!それと吸血鬼!あいつらを殺せ!塵すらも残すな!」

 

「Ra、GYAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

「………………」

 

その声に応えるかのように強烈な叫び声をあげるアルゴールと虚ろな目で何の反応も示さないレティシア。

次に来る攻撃は流石に耐えきれないと感じ取った司は未だ突っ立ったまま考え込む十六夜に声をかける。

 

「おいこら十六夜。頼むから戦いに加わってくれないか?」

 

「あぁ、悪い。初っ端はあの金髪っ子について考えてたが、後半はお前のこと見てた」

 

「……………それはギャグか?」

 

「見てたってそういう意味じゃねえよ馬鹿野郎。お前の戦闘をだ」

 

「あれ見ても何の参考にもならないと思うけど?」

 

「それは俺が決めることだ。さて、いきなりなんだが、あのボンボンと星霊様は俺がやらせてもらうぜ」

 

「んじゃ、俺はレティシアさんを足止めしてる。………愚問だとは思うが、負けんなよ?」

 

「ハッ、それこそ愚問だな。俺が負けるわけねえだろ。お前こそ、殺されんなよ」

 

「……なーんか十六夜に言ったのより敗北した時の状態が天と地ほど差がある気がするんだが」

 

「気にしたら負け」

 

「………ああ、そうかい」

 

そう言って会話を終わらせると、十六夜はアルゴールに、司はレティシアに向かって駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その巨体からは到底想像もできそうにない速度で向かって来るアルゴールに、十六夜は何も臆することなく拳を握る。

 

「GYAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaa!」

 

「ギャアギャア五月蝿えし、それにそんな見え透いた攻撃なんぞに当たるわけねえだろ!」

 

十六夜はアルゴールの進む速度を乗せた攻撃を難なくかわし、拳を振り切って無防備なその体に回し蹴りを叩き込む。

アルゴールがボールのように地面を跳ねるが、それを逃すまいと十六夜は壁に激突する前に回り込み、拳を振り下ろす。

間髪入れずにサッカーボールのように蹴り、壁まで蹴り飛ばす。

アルゴールはあたりに舞っていた土煙を破って反対側の壁にめり込む。

 

「ヤハハ!おいおいどうした。その程度の強さかよ、星霊の名が泣くぜ」

 

「Ra、Ga………………」

 

「何をしているアルゴール!?さっさとそいつを殺せ!」

 

「そんじゃ、まあ、さっさと終わらせちまうか。メインディッシュが待ってることだしな」

 

「ヒッ…………!?」

 

十六夜は獰猛に笑いながらルイオスをしたから睨む。それに怯えたのか、ルイオスは顔を青白くし、後ずさる。

 

「さてと、もうちょい楽しませてくれよ星霊さんに英雄ペルセウス」

 

そう言って笑う十六夜の拳には淡く光る幾何学的な模様が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE 司

 

 

十六夜の方から何やら轟音が聞こえて来るが、あれはただ互角に戦ってるだけだろう。決して十六夜が一方的な虐殺劇(ワンサイドゲーム)をしているわけではないと思う。決して。

 

と、あっちの状況を考えるのはここまでにするとして、今はこの状況をどうにかしなければならない。

 

目の前に対立しているのはコミュニティ"ノーネーム"の元仲間、レティシア=ドラクレアであり、英太達がルイオスに宣戦布告した理由でもある。………あいつは憂さ晴らしとか言ってたけど。

というわけで、大怪我を負わせるわけにはいかないし、殺してしまうなんて以ての外だ。

 

だからといって正々堂々と戦うのは気がひける。なにせ相手は女の子なのだ。女の子を殴ったことなんてないし、傷つけたこともほとんどない。

 

そもそもレティシアは右手に白銀に輝くランスを持っており、どう考えても今の状況では負ける運命しか見えない。

 

どうしようか、と悩んでいるとあたりに影がさす。

背筋に悪寒が走り、後ろに飛ぶ。

またも黒いものが降り注ぎ、地面を切り刻む。

 

「ったく、あの黒いのはなんなんだよ!変幻自在に変化しやがって………ってまたか!?」

 

地面を削った黒い物体は地面から抜けると俺にその矛先を向ける。

それを遮るように炎の壁を張るが、その壁はほとんど意味もなく、黒い物体は難なく貫通し、右腕をかする。

 

「司さんっ!」

 

「……大丈夫、かすり傷だ」

 

黒ウサギが悲痛な声で叫ぶので、とりあえず安心させようとしたけど………こりゃダメだな。かすっただけでざっくり切れてる。

次は当たらないようにしなければならない、がどうやっても避けられる気がしない。

何かしらの武器、せめてあれが当たっても折れないような武器があればいいのだがーーーーー。

 

俺はあることを思い出し、左手でギフトカードを取り出す。

そこにある項目で俺が目をつけたのは"等価錬成"と"平穏の鎖"だった。

 

白夜叉によると、"等価錬成"は対価にしたものと同等の能力、硬度を持ったものを錬成できるというもの。そして、"平穏の鎖"はレイルですら使い道のわからない代物だ。もしかしたら、それはかなり重要なギフトで、対価に使って無くしてしまえば何か"良くないこと"が起こるかもしれない。

 

だけど、そうだとしてもーーーーーー

 

 

 

 

今はそんなこと、どうだっていいか。

 

 

 

 

「"変革せよ、改変せよ。平穏を破り、汝を断罪する剣となれ。其の鎖は刃となりて、我を護る力と成せ。今ここに化現せよ、紅炎の剣よ"!」

 

前に掲げた掌が赤熱し、炎をもらす。やがて、その炎は拳大の球体となり、徐々にその形を変えていく。

炎は細長くなり、地面へ突き刺す巨大な針のような形となった。

 

「…………!?」

 

突如妙な違和感が全身に駆け抜ける。身体の内部を何かが蠢くような、そんな感触が身体全体に現れる。

身体中を駆けた違和感は突き出した右腕に集約し、そこからまるで体の内部にあった(・・・・・・・・)かのように鎖が飛び出す。

 

"平穏の鎖"って俺の内部にあったってのか……。でも、俺はこんなの一度も見た覚えはないぞ……!?

 

俺の思惑を知ってか知らずか、腕から出た鎖は炎の針に吸い込まれるようにして入って行く。

全ての鎖が出切ったのか、腕から違和感が消え去り炎の針は光を増して燃え続ける。

 

レティシアは隙だらけだと思い込み、黒い物体と共にランスを構えて突撃してくる。

 

それを俺はーーーーーーー

 

 

SIDE 司 END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音が響き、土煙が舞う。

司の姿はレティシアによる攻撃によって土煙の中に隠れてしまう。黒ウサギはその中で司は必ず無事なはずだと願う。

だが、その思惑をあざ笑うかのように土煙が晴れた場所は悲惨の一言だった。

 

司の衣服はボロボロになり、所々に裂傷が目立っている。そこから溢れるように血が流れ出ている。

 

「司さん!?」

 

悲痛で今にも泣きそうな声で呼びかけると、いたって何もなかったかのように起き上がり黒ウサギをジト目で睨みつける。

 

「んな簡単にやられるわけないだろ。ガルドの時、あれだけ傷負ったのに生きてたんだから」

 

「そ、それはそうですが……!」

 

「そうも何もクソもあるか。だいたいあの黒いの何なんだよ!変幻自在で追尾もしてくる。もう完全にセンサー付きの何かにしか思えねえぞ、あれ」

 

「"龍の遺影"というギフトです。レティシア様の影だとお思い下さい。それよりも、大丈夫なのですか!?」

 

「大丈夫な訳ないだろ見て分かれ!こちとら、意識持っていかれてないだけマシなんだよ!十六夜みたいな基地外と一緒にすんな!」

 

レティシアのことなどすっぱり忘れ、口論する黒ウサギと司だったが、その間に降って来た瓦礫によってその口論は中断される。

瓦礫は地面に落下するや否や、それらが全て弾き飛ぶ。

弾き飛ばしたのは、ルイオスとアルゴールと交戦していたはずの十六夜だった。

 

「司、さっさとそいつ何とかしろ!あの星霊、途端に強くなりやがった!」

 

「な……!?あの鬼畜問題児の十六夜でもか!?」

 

「とりあえずお前は後でぶっ飛ばす……じゃねえ。さっさとその元お仲間、正気に戻すか意識失わさせてこっち手伝いやがれ!」

 

「了解。準備もできたし(・・・・・・・)、すぐ終わらせる」

 

十六夜はそれを聞き終わると、地面を蹴りアルゴールへと突進する。

一方、司は立ち上がった場所から動かず、上空に佇むレティシアを見上げていた。

レティシアは無機質な目で司を一瞥すると、先ほど同様に足元から影を操り、串刺しにしまいと打ち出す。

 

司はそれを確認していながら、全く動こうともしない。

それどころか、笑っているようにも見えた。

 

「司さんっ、避けて!」

 

ジンの悲鳴じみた声も虚しく、避けようともしない司に向かい、影の威力が強すぎたのか、数本の影が地面に突き刺さった途端、土煙がまた舞う。

 

ジンと黒ウサギは、その光景に言葉を失う。

だがーーーーーーーー

 

 

 

「盛れ、"平穏閉ざす炎の剣(レーヴァテイン)"」

 

 

 

突如、熱風があたりを吹き荒れる。

その熱風で土煙は完全にはれて、そこには刀身が黒い剣を地面に突き刺し、炎を纏う司がいた。

司に突き刺さらんとした影は全て炎に遮られていた。

 

「まあ、こんなもんか」

 

司は地面に突き刺した剣を抜き、その刃先をレティシアに向ける。

 

「呑み込み、捕らえよ"レーギャルンの箱"」

 

司がそう唱えると、レーヴァテインから炎が溢れ、その炎はレティシアを取り囲み、箱の形を成す。

 

「少しだけでいいから、そこで大人しくしててくれ」

 

司はレティシアを炎の中に閉じ込められたことを確認すると、十六夜が戦っている方を向く。

司は振り向きざまに剣を薙ぐ。

その軌跡は、赤熱した衝撃波となって飛翔する。

十六夜を相手取るアルゴールに声を荒げることに夢中で周りの見えていないルイオスに向かって飛び、衝撃波はルイオスの腹を抉る。

 

「ガ、ァッ………!?」

 

履いているブーツの能力で空中に浮いていたルイオスはバランスが取れなくなり、地面に墜落する。

何もせず騒いでいるだけだったルイオスの声が止んだことに、何かを感じ取った十六夜はアルゴールを壁まで殴り飛ばす。

 

「終わったなら終わったって言えっての。………なんだその剣は」

 

「創った。これは後で説明する。まずは……あれだろ?」

 

「だな。あいつが強くなったカラクリは分からねえが、やるしかねえな」

 

十六夜は拳を握り、司は剣の柄に力を込める。

 

「アルゴォォォォル!!奴らを殺せ!なんでもいい、何をしてもいい。殺し尽くせぇ!!」

 

ルイオスの命令に従ってか、身の危険を察したのか、アルゴールはその瞳から褐色の光を打ち出す。その光は何よりも禍々しく思えたが、二人は全く気にせず構える。

 

「今更そういうのはずるいと思うが、まあいいか……………。"我、万象を破壊、如何なるものも打ち砕く者。我が前には何も残らず、全ては潰える。立つ者はおらず、故にそこにあるのは破壊のみなり"ーーー消し飛びやがれ【破壊式:ゼロ・デストラクト】"」

 

「炎よ、喰らい尽くせ"追い縋る炎(ハウンド・ヴェイル)"」

 

十六夜は目の前に構築された魔法陣を殴り、司は炎を纏う剣を突き出す。

魔法陣からは鈍色の奔流が、剣からは赤く燃え盛る炎が虚空を疾る。

それらはアルゴールが放った褐色の光をものともしなかった。

その二つの奔流が消えると、そこにはアルゴールが浮いていたが、その姿は悲惨の一言に尽きた。

 

右上半身と顔の半分は消し飛び、かたや左半身は黒く炭のようになっている。

 

「GA、………ra………………」

 

「アルゴール!?」

 

もうすでに空中に浮く力も残っていないのか、仰向けのまま地面に墜落し、アルゴールの姿形が霧散する。

 

「ふ、巫山戯んな!アルゴールが、あのアルゴールがやられるなんて………あり得るものか!」

 

「目の前で起こってるのが現実だっての。………さて、あれが消えたわけだが、お前には二つ選択肢がある。といっても、二つに一つ、しかも二つとか言っておきながら選択できるのは一つしかねえという、クソみたいなものだがな」

 

「な、なんだと?」

 

司はアルゴールが消えたことに狼狽えるルイオスに、剣の切っ先を向けて告げる。

 

「ここで諦めるか、俺たちと最後まで戦うか」

 

「もし、前者を選ぶなら、このゲームの報酬としてお前らの旗印をもらう」

 

「は、はぁ!?目的はそこの吸血鬼じゃなかったのかよ!?」

 

「勿論そうだが。別に、そんなのは順番の話(・・・・)だろ?」

 

「このゲームが終われば、お前ら"ペルセウス"の旗印をもらう。その次はそれをかけてゲーム。で、またこっちが勝てばそっちから………そうだな、名前を貰おうか。んで、最後にレティシアさんを貰おう」

 

「ふ、巫山戯んなよ!?そんなことしたら、本当に俺たちは………」

 

「だから、言っただろ。二つに一つだって」

 

呆れたように司は溜息を吐きながら零す。その隣にいる十六夜は獰猛な笑みを浮かべてルイオスに一つしか残らなかった選択肢を投げつける。

 

「んな状況になりたくないなら、俺たちを全力で楽しませろ。もちろん、俺と司をな」

 

「あ、俺はパスで。さすがにキツイ」

 

「…………こういう時にいうか、普通。まあいいか。なら、俺だけだ。俺を全力で楽しませろ。結果によっちゃ、さっき言ったのを全部撤回することがあるかもしれないからな」

 

まだ遊び足りないといった十六夜の笑みにルイオスを恐怖からか、それとも自分のコミュニティの存続がかかっているという重圧からくるものか分からない震えが襲う。

だが、ルイオスは立ち上がり、ギフトカードからハルパーを取り出し、十六夜に切りかかった。

 

 

 

 

 

 

その結果は言うまでもなく、コミュニティ"ペルセウス"とのギフトゲームは、"ノーネーム"の勝利によって終わりを迎えた。

 

 

 




いつにもまして酷い文ですみません………。前までの感覚取り戻さないと……。

では、次回もお楽しみに。


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