えー、とりあえずコラボの方は延期させていただきます。おそらく第2章と同時進行で書くか、第2章が終わってから書くことになると思います。
そのところ、ご了承下さい。
もう言ってしまいましたが、今回から第2章に入ります。
では、本編をお楽しみください!
問題児達が祭りに行くそうですよ? 前編
燃える、
全てがことごとく燃えている。
何一つとして例外はなく、辺りは全て赤く、黒く染め上げられている。
鳴り響くは崩れ落ちる音。積み上げたものが崩れ落ちていく音。
そして、誰かも分からぬ呻き声、痛みから生じた甲高い悲鳴、愛する者や親しき者を亡くしたものの悲しき慟哭。
それら全てが辺りを埋め尽くす。
1人の少年はそれを呆然と見ていた。涙を流すこともなく、その光景を目に焼き付けるでもなく、悲嘆に暮れるわけでもなく。
心を亡くしたような目で、生気すら感じさせない瞳で。
まるで、心を壊されたかのように。
少年の前に黒い刀身の刀を持った青年が姿をあらわす。
青年は問いかける。何とも思わないのか、泣いてやらないのかと。楽しそうに、愉しむように。
少年は答えない。それどころか、青年すら視界に入れていない。
青年は顔から笑みを消し、告げる。
『ーーーーーーーーー死ね、出来損ない』
少年の意識はそこで途切れる。刀を振り上げる青年を捉えるでもなく、周囲が燃えている光景を目に焼き付けるでもなく、少年が途切れる直前見たのはーーーーーーーーーーー
「…………………ッ!!」
"ノーネーム"本拠の一室、充てがわれていた部屋で司は目を覚ます。
その顔、体全体を汗だくにして。
「なんだ、夢かよ………」
司はほっとして肩をなでおろす。
脳裏に浮かぶのは、先ほど夢で見たとされる一面が赤と黒、悲鳴と慟哭で覆われる世界だった。
その光景を忘れさせるかのように頭を振って浮かんだ光景を霧散させる。
「………シャワーでも浴びるか」
司はベッドを降り、寝ている間に出てしまった汗を流すため、風呂場へと向かった。
******
司が風呂場へと向かった同時刻、十六夜と英太は本拠にある図書室で徹夜で本を読み漁っていた。
「おーい、おチビ。起きてるか?」
「………ぐぅ」
「……まあそりゃそうか。徹夜だったしな」
「それに、本読んでたら眠気誘われるしな。それも疲れていたら余計に」
「なんだ?俺が疲れさせた、とでも言いたいのか?」
「様々なギフトゲームで圧勝し、主催者泣かせとして有名な十六夜さんや。その後処理として働かされているのはどこのどいつだい?」
「おチビだな」
「だったら少しは労ってやれよ……」
「反省も後悔もしなければ謝りもしない。それが俺だ」
「ああ、あんたはそうだったな………」
何も非がないと言いたげな顔でドヤ顔をする十六夜を英太はジト目で見る。
その後、何を言っても無駄だと諦め、机に突っ伏す。
「なんだ?寝るのか?」
「………魔法使いにも睡眠は必要なの」
「目が醒める魔法とかないのか?」
「なんだそのしょぼい魔法は。んなもんはない。それよりあったとしても魔力が勿体ねえよ」
「そうか。なら俺も惰眠を貪りますかね」
「惰眠って言うな。睡眠と言え」
「どっちも一緒だろ」
十六夜は背もたれにもたれかかり、惰眠を貪ろうと目を瞑るが、誰かが急いで階段を降りてくる音によってそれを遮られる。
ドアが勢いよく蹴り破られ、そこには険しい表情の飛鳥が肩で息をしていた。
「い、ざよい……君、と……ぜぇ……英、太……く、んはいる、かしら……」
「「OK分かった、とりあえず落ち着けお嬢様」」
流石にきつそうに見えたのか、二人は無理に言おうとする飛鳥を制止し、落ち着かせようとする。
「ふぅ……もういいわ。本当なら跳び膝蹴りくらい食らわせて起こそうかと思ってたのだけど」
「ははっ、久遠の体力じゃ飛んだところですぐに墜落するって」
「…………………………………ふんっ!!」
「いってぇ!?」
英太の物言いにイラっときたのか、英太の脛をつま先で力強く蹴る。余程痛かったのか、瑛太は飛び上がり、蹴られた部分を押さえて蹲る。
「で、そんなに急いできたってことは何かあったのか?」
「えぇ、まずはこれを見てちょうだい」
飛鳥は十六夜に手紙のようなものを手渡す。それを見た十六夜は、意地悪そうにニヤリと笑う。
「へぇ………、こりゃ楽しそうだな。おい英太、お前も読んでみろよ」
「こっちはそれどころじゃ……何々?北と東の"
「ノリノリじゃないの」
「ヤハハ、やっぱりお前は俺と一緒の人種だな」
英太がキラキラと目を輝かせて宣誓するのを呆れる目で見る飛鳥と仲間を見つけて嬉しそうな十六夜。
その三人の声が流石に大きかったのか、熟睡していたジンは突っ伏していた机からむくりと起き上がる。
「………みなさん、どうしたんですか?」
「おう、ジン!聞いてくれよ。俺たちにこんな招待状が来てたんだぜ!」
「……え?招待状?……どれどれ…………………ってこれ隠しておいたはずの"火龍誕生祭"の招待状じゃーーーーはっ!!」
咄嗟のことで思わず口を滑らせてしまったジンだったが、それも後の祭りである。
ある一言はしっかりとその場にいた問題児達の耳に入っており、三人の目が怪しく輝いている。
「隠していた………?」
「信頼できる仲間に……?」
「よりにもよってコミュニティのリーダーが……?」
「あ、いや、そうではなくて、その、なんというか…………」
三人の疑問にあたふたとしながら狼狽えるジン。
それを確認した三人は、わざとらしくうな垂れる。
「私達、こんなに頑張ってるのに嘘なんて吐かれるのね……ぐすん」
「まさか信頼できるはずの仲間に隠し事をされるとは思わなかったよ……ぐすん」
「これは少しばかり痛い目にあってもらわなきゃいけねえな……ぐすん」
ニヤァと意地悪げに笑う三人を、コミュニティのリーダーであるジンはただただ震えて見ながら願うしかなかった。
願わくば、大変なことにならないように、と。
******
一方その頃、黒ウサギとレティシア、そしてその二人について来いと言われた司は"ノーネーム"本拠にある農園
「これは酷いな……」
「あぁ。土地が死んでるし、これをまた使えるようにするとなると、多大な労力と費用が必要になるぞ」
「やっぱりそうですよねぇ……」
二人に言われてウサ耳を力なく曲げる黒ウサギ。
レティシアはそこにある土を触りながら黒ウサギに問う。
「だが、ここをどうにかしなければコミュニティの存続すらも怪しいのだろう?」
「は、はい。司さん達が稼いで来てはくれるのですが、それでも少し足りません」
「なら俺の飯の量を減らせ。半分くらい減らせば、ちびっ子1人くらいだけどどうにかなるだろ」
「だ、駄目です!司さん達には其れ相応の対価が……!」
「自分のこと優先してまで小さい子達に無理させたくはないって。それに、食事の面なら俺がカバーするから大丈夫だって。節約レシピなら多少は頭に入ってるしな」
「はい……」
司がそう言うも、黒ウサギは申し訳なさそうに俯く。
どうしたものかと頭を掻く司だったが、何かを思いつく前に何処からか声が響いてくる。
それは可愛らしくも、何か切羽詰ったような声で。
「黒ウサギのお姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「え、リリ?どうかしたのですか?」
「こ、これ!!」
荒い息を吐くリリは肩を上下させながら封に入った手紙を黒ウサギに手渡す。
司とレティシアは黒ウサギの横からその手紙を読む。
『黒ウサギへ
北側四○○○○○○外門と東の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。あなたも後から必ず来ること。あ、あとレティシアもね。
私達に祭りのことを意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合、
P.S ジン君は道案内に連れて行きます』
「………………」
「………………?」
「………………!?」
たっぷり黙り込むこと十数分。黒ウサギは天を仰ぎ、大きく息を吸い、胸の内を叫ぶ。
「何言っちゃってるんですか問題児様方ーーーーーーーーーーー!?」
思い切り叫んだ後はがっくりと項垂れる。
一方、司は顔から表情が抜け落ちていた。
手紙には『七人の脱退』と書かれていたが、今ここにいない途中から入った者は六人。そう、一人足りないのだ。
つまり、その一人というのが、
「は、はははっ………」
乾いた笑い声を出す司のことだった。
レティシアは疑問符を浮かべて、司に尋ねる。
「七人とあるが、司も辞める気なのか?」
「えぇ!?そうなのですか!?」
心配そうな目で見るレティシアと涙目で縋るように司を見る黒ウサギ。
司はその二人を視界に入れず、俯いたまま答える。
「いや、辞めないしそんなこと言った覚えもない」
「そ、それでは……」
「勿論、"ノーネーム"でいるつもりでいる。だけどな…………ちょっとこの冗談は
一瞬、あたりの空気が二、三度下がる。言われようもない悪寒に襲われた黒ウサギとレティシアの二人は恐る恐る司の前に歩み出て、司の表情を確認する。
「「ひっ………!?」」
「………………?」
その表情は"箱庭の貴族"である黒ウサギとかつては魔王と謳われたレティシアでさえ怯えさせるには十分なものだった。
「今回ばかりは
ガタガタと震える二人を尻目に、司は問題児達に鉄槌を下すため、本拠から出る。二人が震える原因である司の顔を見なかったリリはその場にいた三人をぽかんと眺めるしかなかった。
今回は短いですがこの辺りまで。
では、次回もお楽しみに。
感想、評価、指摘なども気軽にお願いします。