炎の憑依者も異世界から来るそうですよ?   作:夜明けの月

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あまり間隔が開かずに投稿できて嬉しい……けどもそろそろまた試験地獄……。
まあこの際気にせずに行きましょう。
ということで後編です。
原作とは……あまり変わってはないと信じたいです。




問題児達が祭りに行くそうですよ? 後編

司達が手紙を読んでいる頃、手紙を書いた張本人達はあるところに向かって街中を歩いていた。

 

「で、何処に行こうっていうんですか?まさか、アテがないとかですか?」

 

「アテがなくて行動なんてできるか。とりあえず、あの招待状がどういうもんか聞きに行くだけだ」

 

「ま、そこに行けば移動手段、移動費、目的地までの道のりなど諸々の問題が一気に解決するわけなんだけどね」

 

「………十六夜君と英太君ってそういう準備だけは早いわね」

 

「「全力で楽しむためには何事にも全力を尽くさなけりゃ普通は駄目だろ?」」

 

「………こういう時は息ぴったりよねホント」

 

「こういうもんですよ快楽主義者(この類の人)は」

 

呆れたように零す飛鳥に愛理沙はジト目で二人を見る。だが、それを気にした様子もなく意気揚々と二人は歩みを進めて行く。

そんな中、唯一状況が掴めていない耀は隣にいた満に状況を聞いていた。

 

「なるほど…………黒ウサギ絶対に怒るよね?」

 

「おそらく怒る、という度合いで済むかどうか怪しいところだね。まさか、脱退とまで言いだすとは思わなかったし」

 

「止められなかったの?」

 

「僕と九条がそのことを伝えられたのは出発する直前だったから。もう少し耀が起きるのが遅ければ何とかいうことができたんだけど」

 

「私はそんなに寝坊はしない」

 

「ドヤ顔で誇ってるところ悪いけど、愛理沙が『叩き起こさなかったらいつまでも寝てそうだった』って疲れた表情で言ってたけど?」

 

「………私寝坊なんてしないもん」

 

「声震えてるって」

 

「そんなことはどうでもいい。それで、どこに行くつもり?」

 

「そろそろ目的地は見えて来ると思うけど。………ほらね」

 

満がそう言って視線を向けた先は、双女神の旗が揺れ、いつものように店先を掃除している割烹着の女性店員がいる"サウザンドアイズ"の支店だった。

そういうことか、と耀は何となくの状況を理解する。そしていつものごとく、そこにいるはずの割烹着を着た女性店員に止められるかと思ったがーーー、

 

「おや、愛理沙さんではないですか」

 

「あ、店員さん、昨日ぶり!」

 

「「「「「…………は?」」」」」

 

気さくに挨拶してきた女性店員に手を上げて挨拶し返す愛理沙を呆然と眺める五人。

当然だろう。"ノーネーム"お断りを本人は謳っており、今までもそっけない反応をされてきた者にとっては、同じコミュニティのはずの愛理沙だけ待遇が違うのが異様に思うはずである。

愛理沙はそんなことには気づく気配もなく、女性店員に歩み寄る。

 

「それでどう?参考になった?」

 

「はい。なかなか興味深いとは思うのですが………流石にあんなものが私に似合うとは思えませんし」

 

「大丈夫でしょ。葵さん綺麗なんだし」

 

「……そういう問題では」

 

「似合うって、私がデザインしたメイド服!」

 

「ですからあんな……その……可愛い系は似合わないと言いますか……」

 

「ギャップ萌え狙えそうで逆にいいと思うけど」

 

「白夜叉様も大概ですが、貴女もかなりのものですね」

 

「可愛いものを愛でて何が悪い!?」

 

「逆ギレしないでください」

 

楽しそうに話す愛理沙と振り回されつつも少し楽しそうな女性店員を呆然と眺める一行だったが、次の瞬間、その空気がガラッと変わることになる。

 

「イヤッホォォォォォォオオオオ!!よぉく来たな小僧共ォォォォォォオオオオ!!」

 

大声の主、"サウザンドアイズ"の幹部である白夜叉はスーパーアクセルを豪快に決めつつ、荒々しく地面に着地する。

 

「ぶっ飛んだ登場の仕方しないと気が済まないのかここのオーナーは」

 

「言ってやるな十六夜。あれがデフォなんだよ」

 

「なるほど」

 

「…………………………」

 

先ほどまでの表情は何処へやら、激しく頭が痛むのか辛そうな表情でこめかみを抑える女性店員。それを全く気にする様子もなく、白夜叉は六人にドヤ顔を決める。

おそらく先ほどの登場においてのドヤ顔だろうが、英太は完全にそれを無視して懐から封に入った招待状を白夜叉に見せる。

 

「招待ありがとよ。んで、当然案内はしてくれるんだよな?」

 

「うむ。まあその話もせねばならんし、とりあえず中に入るが良い。茶でも出すぞ」

 

「んじゃ、お言葉に甘えて」

 

そう言って白夜叉に続いてぞろぞろと店の中へと入って行く。愛理沙は店内に入る前に女性店員の手を握って励ます。

 

「大丈夫。愚痴なら後で全部聞くから」

 

「お願いします……。このままじゃ私保ちませんので……」

 

「うん、それまでにいい感じのカフェ探しとくね!後メイド服楽しみにしててねー」

 

「それは未来永劫着ることはないので結構です!」

 

そうやりとりを交わし、愛理沙は先に入って行った英太達を追って店内に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず最初に聞くが、何故ジンは伸びておるのじゃ?」

 

「「楽しさの代償、かな」」

 

「かっこいい事言ったみたいなこと思ってるかもしれませんが、騒がれたら困るからとかいう悪どい理由で意識刈ってませんでした?」

 

ジト目で睨まれながら愛理沙に言及されるが、そっぽを向いて二人は口笛を吹く。英太に限っては掠れて口笛というには程遠いものになっているが。

白夜叉はその二人を気にすることなく話を進める。

 

「まあこの際よい。この招待状は私が送ったものだが……いや、話す前に一つ確認がある」

 

「何かしら?」

 

「おんしらが魔王に対するトラブルや厄介事を引き受けてくれるとの噂があるらしいのだが、それは真か?」

 

「トラブルや厄介事じゃなくて"打倒魔王"だけどな。それとこの招待状に何の関係があるっていうんだ?」

 

「実を言うとだな。その"打倒魔王"を謳っているコミュニティにこの東の"階層支配者(フロアマスター)"から正式に頼みたいことがあるのだ」

 

「頼みたいこと?しかも"階層支配者"から直々に?」

 

「うむ。まぁ、とりあえず聞くがよい」

 

白夜叉が頼みたいこととは以下のことだった。

 

・北の"階層支配者"がサンドラという幼い女の子がなるということ。

・それをよく思わない輩、もしくは組織があるということ。

・その"火龍誕生祭"にて何か良からぬ事が起こる可能性があるので、それを未然に防げるようにボディーガードなるものをして欲しいということ。

 

この三つのことだった。

これを聞いていた気絶していたはずのジンが目を見開いて驚く。

 

「な、サンドラはまだ12歳では……!?」

 

「お、なんだ?御チビの彼女か?」

 

「違いますよ!!恐れ多いこと言わないでください!」

 

「おお、赤くなってら。……これは脈アリではありませんかな十六夜さんや」

 

「あぁ、そうだな英太。これは弄りがいがあrゲフンゲフン楽しそうだ」

 

「全く言い直せてませんしほとんど意味変わってませんからね!?」

 

意識が戻ったことをいいことに、やりたい放題弄り始める二人だったが、愛理沙は別の懸念要因を白夜叉に尋ねる。

 

「ねぇ、その話ってもしかしなくても長くなる?」

 

「うむ。まあ、1時間はゆうにかかるかのぉ」

 

「はっ、白夜叉様!どうかこのまま話をーーーー」

 

「ジン君、『黙りなさい』!!」

 

「ーーー!ーー!?ーーーーー!!」

 

「ナイス、あーちゃん!」

 

白夜叉にどうにか時間を稼いでもらおうというジンの魂胆は飛鳥のギフトによって完全に霧散した。

それを確認した十六夜は豪快に笑いながら白夜叉に言う。

 

「白夜叉、今すぐ(・・・)北側に向かってくれ!」

 

「む、むぅ?別に構わぬのだが、急用でもあるのか?それと、内容を聞かず受諾してよいのか?」

 

「構わねえよ!というか、そっちの方が面白い(・・・)!!」

 

「面白い、か。ならば仕方あるまいな!」

 

白夜叉は十六夜の言葉に笑い、両手を出して柏手を打つ。

そうすると、満足気に白夜叉は頷く。

 

「ーーーーふむ、これでよし。北側に着いたぞ」

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

思わず素っ頓狂な声を上げる一同だったが、すぐさまその支店の外へと出る。

そこにあったのは、橙に煌めく街並み、赤壁、そしてガラスで彩られた街だった。

 

「わぁ………綺麗……」

 

「今すぐ降りましょう!あのガラスの歩廊に行ってみたいわ!いいでしょう白夜叉!」

 

「構わんよ。話の続きは夜にでもしよう」

 

許可を取れた飛鳥が北側の街並みに目を輝かせ、その他の一同もそこへと散策に出ようとした瞬間だった。

 

 

 

「見ィつけたなのですよォォォォォォオオオオ!!」

 

 

 

怒気を含ませる声を一帯に響かせた主は土煙を上げながら十六夜達の背後に降り立つ。

数十秒後、土煙が消え、見えてきたのは緋色の髪に頭からウサギ耳を生やした少女、黒ウサギだった。

 

「ふ、ふふふ、フフフフフフフフフ…………よぉやく見つけたのですよ問題児様方!」

 

普段の淡い青色の髪の色は見る影もなく、緋色の髪を戦慄かせて怒りのオーラを振りまく。あれではもはや帝釈天の眷属ではない。いうならば仁王、もしくは修羅のそれである。

「チッ、面倒なのが来やがったか」

 

「日頃は仕事しないことで定評の黒ウサギが来たぞ!」

 

「仕事してますよ!!皆さんが気づいてないだけです!………それと、巫山戯ていられるのも今のうちですよ?」

 

黒ウサギが先程の怒気を鎮め、顔を引きつらせながら忠告する。

その次の瞬間、あたりの温度が数度上がり、空から何かが飛来する。

それは大きな鳥の姿をしており、地面に降り立つとその背中からもう一人の"ノーネーム"所属者である司が姿を現わす。

 

黒ウサギ以上の怒気を滲ませながら、清々しい笑顔で。

 

「やぁ…………なんだか楽しそうじゃないか。俺も混ぜてくれよ………なぁ、みんな」

 

瞬間、あたりの温度が上がったはずなのに英太達の体感温度が急激に下がった気がした。

 

「……ヤハハ、どうにもあれが司には見えないんだが……声は司だったよな?」

 

「い、いえ、あれが同じ人間だとは思いたくないのだけれど。もはや修羅や鬼じゃないかと疑うくらいなのだけれど」

 

「み、三毛猫が気絶しちゃったんだけど……。泡吹きながら」

 

「お、おおおおお、落ち着け司!とりあえず心を鎮めて座禅組んで無心になるんだ!」

 

「篠宮先輩、落ち着いてください」

 

「そう言いながら満も膝ガクガク震えてるじゃない!!」

 

「そういう九条は泣き出しそうになってるじゃないか」

 

「な、なにおう!?」

 

「ーーーーーおい、いい加減にしろよ」

 

『!?』

 

落ち着きがなくあたふたしていた六人に司は冷たい声を浴びせる。その顔に一切の表情はないが、先程よりも怒りの度合いが高まっているように感じられる。

 

「コミュニティに入るとか言ってておきながら勝手に脱退宣言だと?それにもかかわらずリーダーを拉致、挙げ句の果てには黒ウサギやレティシア、そしてコミュニティの子供達にも迷惑をかけるような行為をしてなお、そこら辺のことを考えずに祭りを楽しもうと?はははは、ちょっと笑えませんね」

 

「お、おーい司、お前かなりキャラがブレてるような」

 

「黙れ魔法しか脳が無い馬鹿野郎が」

 

「これまでのより一番心に刺さるぞその言葉!」

 

「とにかく、だ。俺もそこまで鬼じゃない。ああした理由くらいは後でなら聞こうじゃないか。うん、後でなら(・・・・)

 

「あ、後でならってことは先に何かあります……よね?」

 

心配そうな愛理沙の問いに、司はここに来て最高の笑顔で答える。それも、英太達どころか黒ウサギや白夜叉でさえも凍りつくような笑顔で。

 

「あぁ、その前に改心して土下座して謝るまでエンドレス♢O☆HA☆NA☆SHIタイムだ」

 

「「…………三十六計逃げるに如かず!」」

 

「わ、私も連れて行きなさい英太君!」

 

「ちょ、私逃げる気ないって離してください逆廻先輩!!」

 

ノータイムで駆け出す英太と十六夜。飛鳥は英太に頼み、愛理沙は十六夜に掴まれその場を逃げ出すことになる。

だが、反応が遅れた耀は空中に逃げ出そうとするが、

 

「逃がすわけないのですよ!」

 

「わ、わわっ……!?」

 

足を掴まれ、空中に逃げる前に捕らえられる。

 

「後でたっぷりO☆HA☆NA☆SHIしてあげますからね♪」

 

「りょ、了解……」

 

鬼気迫る物言いに押され、黒ウサギの言葉に頷く耀。黒ウサギは、耀を白夜叉のいる方向へと放り投げる。

 

「きゃ………!」

 

「グボァ!?お、おい黒ウサギ!最近おんしは些か礼儀を欠いておらんか!?」

 

「耀さんのことよろしくお願いします!」

 

「無視か黒ウサギ!?」

 

「あれこれ言わずに耀さんの監視しててください!」

 

「理不尽じゃあ!!」

 

喚く白夜叉を完全に無視し、黒ウサギは未だ変わらぬ表情で歩廊見下ろす司に歩み寄る。

 

「それでどうしましょうか、司さん」

 

「とりあえず黒ウサギは西の方面を回ってくれ。俺は東を回る」

 

「了解なのです。その……暴れ過ぎないでくださいね?後処理が大変に……」

 

「分かってるさ。他人には迷惑はかけないよ)

 

「ならいいのですよ。それでは、黒ウサギは先に参りますので。後ほど!」

 

そう告げると地面を蹴って街の方へと跳んでいく黒ウサギ。司はそれを見届けると、黒ウサギが跳んで行った逆の方向へと飛び降りる。

 

「さて、じゃあ鬼ごっこといくか。ま、逃がしたままにする気は到底ないけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こうなったからには問題児達は逃れられない……みたいな雰囲気になっちゃってるような気がする今日この頃。
でもまあ、あの人たちなら逃げ切ってくれますよきっと!(フラグ

とにかく、次は鬼ごっこ編です。
それでは、次回もお楽しみに。

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