炎の憑依者も異世界から来るそうですよ?   作:夜明けの月

9 / 21
遅くなってすみません。
今回、司くん出てきません。
では、本編をお楽しみください。


正体不明と規格外?達だそうですよ?

久城愛里紗は値踏みした視線を目の前の金髪の学ラン少年、逆廻十六夜に投げかける。

 

「(こんな人が、司先輩と……?野蛮で粗野で篠宮先輩と同じような快楽主義者感が漂うこの人が?先輩と行動を共に?………ありえない)」

 

愛里紗の十六夜への視線がキツくなっていく。いつしか値踏みしていた視線は、完全な睨みへと変わっていた。

 

「(あの目の腐っていたド底辺先ぱーーーじゃなくて、あの優しい先輩がこんな人と………。何かの幻想だよね)」

 

愛里紗が心の中で思っていることは、なぜ司が英太と友好的なのか、ということにもなるのだが、愛里紗はそれに気づかず、首を振って思考を振り払う。

 

「(……とりあえず今はこの人を負かすことだけ考えよう。満と二人なら楽勝だろうけど)」

 

そう決意して愛里紗が拳を握った時だった。

バニーガールのような奇抜の服装をした箱庭の貴族、黒ウサギが片手を天に掲げ、高らかに告げる。

 

「それでは、これよりギフトゲームを開始します!両者、準備はよろしいですね?」

 

「ハッ、いつでも来いってんだ」

 

「別に、いつでもどうぞ」

 

「いつでもそこのふざけた篠宮先輩みたいな男の顔面を吹き飛ばすことは可能です」

 

「おい待て、ふざけたってのは否定しないが顔面吹き飛ばすってどういうことだ」

「ちょっと待って、どうして俺そこでディスられるの?」

 

「では、ウサギさんコールお願いします」

 

「「おいこら無視すんな」」

 

「では、ゲームスタートです!」

 

「「テメェも聞けや変態痴女ウサギ!!」」

 

十六夜と英太の叫びという嘆きを完全に無視しつつ、ゲームは開始される。

コールが終わった瞬間、愛里紗は近くにあった木まで駆け寄り、その木に触れる。

愛里紗が木に触れた瞬間、木が根っこから葉まで余すところなく()()()()()()()

 

「何………っ!?」

 

十六夜はその光景に目を疑う。

引っこ抜く、砕く、投げ飛ばすならまだ十六夜でも納得できたのだが、触れただけで消すなんて光景を見たことがなかったため、驚きを隠せない。

だが、今はゲーム中。そんな時に止まっていることなど出来ず、とりあえず駆け出そうと地面を蹴る。

 

「遅い」

 

「………ッ!?」

 

蹴った途端、視界の端に黒い学ランが映る。次の瞬間、脇腹に迸る痛みに顔を歪めながら地面を転がる。

手をついて止まって見上げるとそこには、無表情で佇む雪城満が立っていた。

 

「遅すぎる。さっきの威勢はどこに行ったんですか?」

 

十六夜はその言葉を聞き入れず、さっき何が起こったか思考する。

愛里紗が木を消し、十六夜が駆け出した。これまでは良かった。だが突如、虚空から満が現れたのだ。

一瞬のうちに何が起きたか理解できない十六夜だったが、このまま考えていては拉致があかないと割り切って目の前の敵を睨む。

 

「いい蹴りじゃねぇか。でもなぁ、本当の蹴りってのはーーーこうやってするんだよ!!」

 

十六夜は、高速で満に瞬時に迫り、鳩尾めがけて蹴りをかます。

満は流石に反応できなかったのか、無防備の状態で蹴りをもろに受ける。

衝撃が強すぎたのか、満の背後にあった木を数本粉砕しながら満は吹き飛ぶ。あまりに凄まじい威力のため、土煙が立ち上がる。

土煙が晴れた時には、無残に折れた数本の木と激痛に顔をしかめる満の姿があった。

 

「ったく、なめんじゃーーー」

 

ドパン。

 

十六夜の言葉を遮る程の大きな音が辺りに響く。

十六夜はその音に聞き覚えがあった。

 

 

ーーーー銃声

 

 

そう認識した途端、右肩に異様な痛みが走る。そこに視線をやると、木の破片が深々と肩に刺さっていた。

 

「な……が………っ!?」

 

それを視認した直後、遅れて痛覚が刺激される。かつて感じたことのない痛みが十六夜を襲う。

そんな十六夜を見て、愛里紗はほくそ笑む。

 

「どうですか、私特製の木銃のお味は。木の破片をそのまま使ってるので結構痛いと思うんですけど」

 

「どう、いうことだ……?」

 

「あ、この銃のことですか?これはですね、私の"物質転換(オブジェクトチェンジャー)"で作ったんですよ。木を銃に変えて、ね」

 

愛里紗は、木製の銃を地面に置く。するとその木製の銃は消え失せ、虚空から消えたはずの木が突如現れる。

 

「ま、触れていなければ元に戻ってしまうっていうのがネックなんですけどね。では、満もノックアウトしてますし、私だけではあなたの身体能力について行けそうにないので終わらせましょうか」

 

愛里紗はそう言って、スカートのポケットから金属製のペンダントを取り出す。それを銃形態へと変化させていく。

 

「逆廻さん、でしたよね。超電磁砲って知ってますか?」

 

「………それ、がどう、した……?」

 

「超電磁砲っていうのは金属の銃弾を電力を用いて打ち出すことで、音速を超える速度を出す最高威力の兵器だと私は独自に解釈してるんですよ。で、それが私の手元にあると」

 

「………ッ!?」

 

ハッと息を呑み、愛里紗を見る十六夜。その手には、小型だが普通の銃の形態とは少々異なっており、先端の部分で青白い光がバチバチと音を立てている。

 

「まあ、これも私の想像の産物なんですがね。でも、多分あなたを吹き飛ばすことぐらいはできますよ?」

 

愛里紗は銃口を十六夜へと向ける。顔からスッと表情を消して十六夜に問いかける。

 

「降参するなら今のうちです。私、人殺しはしたくないので降参してくれるとありがたいんですが」

 

「……しないと言ったら?」

 

十六夜が不敵に笑みを浮かべてそう告げた瞬間、十六夜の頬を何かが掠った。その直後、地を震わせる轟音と木々や木の葉、岩石を吹き飛ばし、粉砕する豪風が駆け抜ける。

 

「この照準を、あなたの頭に向けることになります」

 

依然無表情で告げる愛里紗に十六夜は冷や汗を流す。

十六夜が感じるのは、ただただ牽制のための殺意、そして殺したくないという意思のみ。十六夜には、ここで自分が降りなければ必ず愛里紗は撃ってくるということがわかっていた。

そして、十六夜が出した結論とはーーー

 

 

「………はぁ、参った。降参だ」

 

 

降参、ただそれだけだった。

こうして、十六夜と愛里紗&満の暇つぶし決闘もといギフトゲームは、満身創痍の満、肩に傷を負った十六夜という風になり、実質愛里紗の一人勝ちみたいなものだった。

 

 

 




今回短くて内容が掴みにくいかもしれなかったかもしれません。
満のギフトは、次あたりに出します。
あと、次回でガルド編終了です。
では、次回もお楽しみに。

感想、評価、指摘などもお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。