驚愕。期待に添えることができてるのかびびりつつ深夜にこっそり投稿。
相も変わらず話が進んでいない。次こそは・・・次こそは・・・
比企谷八幡の、16年と数カ月の人生は、2日前にあっけなく、なんの前振りも前触れもなく幕を閉じた。
はずだった。
俺はこうして
比企谷八幡という
2日前か、それとも目覚めた今日か、どちらかが比企谷八幡という吸血鬼の誕生日ということになる。ハッピーバースデー俺。今まで誰にも祝ってもらえたことないけど。
「なぁ、あー、き、キスショット」
「待て。儂のことはハートアンダーブレードと呼べと言ったじゃろうが」
なんでだろうな。外国人ってだけでファーストネームを呼ぶのに思ったよりも抵抗がない。挙動不審? 呼べただけマシだろ。まぁ、見た目が子供だから名前で呼べたんだけどね。おい。ロリコンじゃないっていってるだろ。
そもそも、ハートアンダーブレードじゃ呼ぶには一々長すぎる。かといってアセロラオリオンはなんかカクテルみたいだし。マスター、アセロラオリオンをそちらのお嬢さんに。ほら違和感ない。キャラに違和感ありましたね。すみませんでした。マスター、MAX COFFEEロックで。
「言ってねぇよ。あと長いから却下。言いやすいからキスショットでいいだろ。ダメなのか?」
彼女は何かを思案し、そして口を開いた。
「・・・いや。まあ、そうじゃな。うぬがそれでよいなら、かまわん」
そう言った彼女は酷く見た目に釣り合わない表情をしていた。過去に思いを馳せるような、悔いるような、そんな大人びた表情をしていた。
彼女にとって“キスショット”という名はそんなにも特別なのだろうか。なんとなく罪悪感が募る。
「その、悪かったな気安く呼んで」
「別に構わんと言っておろうが。・・・“唯一”の眷属なのじゃからそれくらいは許してろう。」
「・・・“唯一の眷属”、ねぇ」
なぜ彼女は“唯一”という言葉を強調したのだろうか。何か引っかかる。そういえば少し前に何か言っていたような・・・
―――眷属を創るのは400年ぶりの二回目じゃったが・・・―――
そうだ。彼女は眷属を創るは“2回目”だと言った。そして、俺のことを“唯一の眷属”と呼んだ。それはつまり、以前の眷属は死に絶え、こいつは400年もの間独りぼっちだった。
「うぬの考えておる通りじゃよ」
俺の考えなどお見通しとばかりに彼女は鼻で笑う。
「あやつは死んだ。太陽に身を焼かれてな。うぬが同じにように焼かれたときは肝を冷やしたわ。また同じことを繰り返したのかと、な」
「同じこと?」
顔を曇らせながら話す彼女に聞くのは少し憚られたが、思わず聞かずにはいられなかった。初めての眷属の話なのだから当然だ。それに、尊大な物言いしかしてこなかった彼女を凹ませることが心底気になったのだ。
「・・・のう。うぬは吸血鬼になったことを後悔しておるか?」
「なんだよいきなり? 藪から棒に」
「いいから答えよ」
今までの強気な視線でない、いつの日か見たことのある視線。そう。あの時の、謝罪を繰り返したときの瞳にそっくりだった。
「正直わかんねぇ。まだなったばっかりだしな」
「そうじゃな・・・。じゃが、きっと後悔することになるじゃろうな」
「・・・なんねぇよ」
「え?」
なんだか気恥ずかしくなって顔を背けてしまったが、この気持ちだけは本心だと思っている。
「たしかに太陽に焼かれるとかクソ痛かったし、二度とごめんだ。でも別にどうってことねぇんだよ。ほら、ぼっちは外に出る用事なんてねぇし」
引きこもりとかいうんじゃねぇよ。PCの検索履歴に『息子 引き籠り』って残ってたのは相談されたからに違いない。
「くはっ」
幼女に引きこもりだと笑われる男子高校生の姿がそこにはあった。俺ではないと信じたい。ちょっと八幡泣きそう。
「うぬは本当に面白いのう。気が変わったわ。少し予定を変えるかのう・・・」
「あ? 予定?」
「こっちの話じゃ。で、何か聞きたいことがあったのではないのか?」
すっかり忘れていた。何を聞こうと思っていたか思いない。なんてことはないが、少々重い話をしたばかりに切り出すにはなんとなく憚られるだけなのだ。ばかばかしくて。年齢を聞きたかっただけなのにこんな話をするなど誰が思うだろうか。
沈黙に耐え切れず、結局年齢とは別のどうでもいい質問を投げかけてしまった。
「俺はお前の従僕なんだよな? 何をすればいいんだ? 執事の真似事でもすりゃいいのか?」
こんな廃墟で執事なんてどこぞのあくまで執事しか務まらない気がするが。
「それもまぁ面白ろそうじゃが・・・」
またも言いかけて口を噤む。
「その前に我が従僕よ」
「なんだよ」
「従僕の何たるかを教えてやる前にやっておかねばならんことがあるのじゃ」
「あ?」
「うぬが儂の従僕であるという、服従の証を
「・・・は?」
服従の証? なにそれ? 3回回ってワンって言えばいいの? つーか、改めて? 一回でもそんなこと口にしてないし、跪いた記憶もワンって言った記憶もないぞ。
「何をしておる? 早くせんか」
業を煮やしたのか癇癪を起し始める少女。こうしてれば本当、年相応って感じなんだけどな。
「ふ、服従の証を、み、見せてみよ・・・」
ついには泣き出しそうになる吸血鬼幼女。え?何百年も生きてるんじゃないの?
というか威厳全くないんだけどこの主様。さっきまでの大人っぽい雰囲気はどこに行ったの? シリアスは少ししか持たないの? シリアルなの?
かわいすぎて思わずオートで発動したお兄ちゃんスキルで頭を撫でてしまう。
うわー、この髪の毛すっげぇふわっふわのさらっさらだ。おいそこロリコンとかいうな。違うって言ってんだろ。
「ふん。苦しゅうない。じゃが、その程度でいい気になる出ないぞ。もっと敬意をこめて撫でんか」
いつの間にか少女の機嫌も戻っていた。というか、つけあがってた。年齢見た目通りなんじゃないのだろうか。いや、年齢が見た目通りだと困る。主に俺の立場が。
そして結局わかないことがある。
「・・・んで、結局服従の証ってなにすればいいの?」
幼女(数百歳)がマジ泣きした。
今回の話はキスショットと初代・怪異殺しの関係を仄めかしていただきました。
たぶんですけど、阿良々木君が焼かれたとき相当不安だったと思うんですよね。だからこその原作ですし。
なので、今回はそこら辺を深くなく、かといって浅くないように書かせていただきました。
本当はもっとわかりづらくしたいのですが、原作のように後の作品で伏線回収とかできないのでわりとわかりやすく書いた・・・つもり。
後半?無理やりです。