01
小笠原祥子さま。
リリアンの生徒でその名を知らぬ者はいない。小笠原グループの一人娘である祥子さまは、その名に恥じぬ美貌と器量を持つ。旧華族という由緒正しいお家に生まれた、正真正銘のお嬢様だ。そんな方だから、山百合会の薔薇さま方も放ってはおかなかった。現紅薔薇さまに見初められ、今では紅薔薇のつぼみとして全校生徒の憧れの的となっている。
一応小さな設計事務所の社長令嬢である祐巳だが、祥子さまというお嬢様中のお嬢様に比べたら月とスッポン。
容姿にも成績にも特筆する所のない平凡な一般庶民の祐巳は、天上の存在である祥子さまを影から応援することが精一杯だった。
夏休みもあけて9月も半ばになったが、未だ祥子さまには妹がいない。ファンの間では、一体誰が祥子さまの妹となるのか日々議論が交わされている。
さて、平凡な一般庶民であり祥子さまとの接点のない祐巳がなぜここまで祥子さまのことを知っているのかというと――新聞部が定期的に発行する「リリアンかわら版」で幾度となく特集が組まれたからだ。祥子さまの記事が掲載されたかわら版は、しっかりとファイリングして丁寧に保存している。それを時々取り出しては、うっとりと祥子さまのお写真を拝見するのである。
それはまさに至福のとき。
祐巳がこれほどまでに祥子さまにご執心なのには、もちろん理由がある。それは高等部に入学したばかりの頃――祐巳たち一年生のために、新入生歓迎式が催された際の話。
山百合会主催の歓迎式――祐巳たちの前で、祥子さまは一年生のためにオルガンの演奏を披露したのだ。流麗な黒髪を靡かせて、繊細な指を巧みに操り素敵な音楽を聴かせてくださる祥子さまのお美しい姿に、祐巳はマリア様のごとき神聖さと高貴さを感じたのだった。
そうして、祐巳は見事に祥子さまファンとなったのである。
妹になりたい、などとおこがましいことは考えたこともない。貴族と庶民が相見えることがないように、平凡な生徒である祐巳が祥子さまの妹になどなれるわけがない。祐巳と祥子さまは住む世界が違うのだ。だから、祐巳は祥子さまを遠くで見つめていられるだけでいいと思っていた。
――
秋の涼しさを肌に感じる心地よい朝。
祐巳は本日の一大イベントの為、時間に余裕を持ってリリアンの校門をくぐった。前日の夜から祐巳はあまりの興奮で中々寝付けなかったのだが、朝にはきちんと目を覚ました。今日という日に寝過ごすなど、祥子さまファンとしてのプライドが許さない。いつもより早く起きなくては、と考えていた通りの時間に起床し、今に至るというわけだ。
慌ただしく校門をくぐり抜けても、マリア様の像を前にすればぴたりと足を止めてお祈りをする。それはリリアン生に刷り込まれた習慣だ。
無事今日という日を迎えられたことに感謝の意を表し、祐巳は手を合わせた。
お祈りが終われば、祐巳は再び慌ただしく早足で下足箱へ向かう。薔薇さま方がいたら、はしたないとお叱りを受けていたかもしれない。
「祐巳さん、ごきげんよう」
靴を履き替えているところで、不意にお声がかけられた。目を向ければ新聞部に所属する真美さんのお姿がある。手元には、もちろん――今日発行のリリアンかわら版。祐巳の目にはそれがマリア様からの贈り物かのように見えた。
「真実さん。ごきげんよう」
「祐巳さん、今日は早いね。お目当てはこれかしら」
分かっているくせに、真実さんは悪事でも企んでいるみたいにほくそ笑み、かわら版を祐巳の眼前にちらつかせた。それだけでもう、祐巳の視線は釘付けだ。
「う、うん。今回は祥子さま特集だっていうから、気合を入れて早起きしたの」
「祐巳さんてば、祥子さまのことになると目の色変わるんだもの。分かりやすすぎ」
「えっ、本当?」
思わず、祐巳はすぐに顔に手を当ててみた。触ったところで分かるわけがないけれど、つい。
祥子さまのことをもっと知ることが出来るわけだから、知らず知らずのうちにその喜びが顔に表れていたのかもしれない。
「そんなに楽しみにしていてくれたなんて、新聞部冥利に尽きるわ。はい、どうぞ」
「ありがとう、真美さん!」
ともかく真実さんからかわら版を有り難く頂戴して、祐巳は嬉々として教室へと向かった。例え早く読みたいという思いに駆られているとしても、廊下で立ち止まってかわら版を熟読するなんて真似は祐巳にはできない。自分の席について、始業の時間までゆっくり読ませていただこう。
「ごきげんよう、祐巳さん」
教室に入ると、祐巳は既に登校していた子に声をかけられた。早い時間だからか、他に登校している方はいない。
「ごきげんよう」
祐巳もにこやかに答えた。爽やかな朝に、爽やかな挨拶が交わされる――穏やかなリリアンの朝の風景である。
「祐巳さん、かわら版はもうお読みになりました?」
「ううん、さっき真美さんから貰ったばかりだから、まだ」
彼女も祐巳同様祥子さまのファンだから、素敵な祥子さまのお話をすることが多いのだ。だから、祐巳がそうしたように、彼女も早くに登校してかわら版を手にしたのだろう。早く祥子さまトークをしたいらしく、ほんのり顔を赤らめてうずうずしている。無論祐巳とて早く読みたいわけで。利害は一致している。鞄を置くとすぐにかわら版に目を通す。
かわら版の一面には、紅薔薇のつぼみとして職務をこなす御姿を見事に撮影したお写真が掲載されていた。記事内容は、祥子さまへのインタビューだ。未だ妹をもっていないものだから、リリアン生の注目度は高いのだ。将来の紅薔薇さまは誰になるのか、って。新聞部はそこに目をつけたのだろう。
一通り記事を眺めて、祐巳はうっとりとした。祥子さまのお写真は、ずーっと見ていたって飽きやしない。
「このお写真、素敵よね。祥子さまがお美しく映っていらっしゃるわ」
その言葉に祐巳は心から頷く。彼女のいう通り、ただでさえお綺麗な祥子さまが、高い撮影スキルによって更なる高みへ上っている。
「祥子さま、どうして妹をおつくりにならないのかしら」
「さあ……」
雲の上の存在といってもいい祥子さまのお考えは、一般庶民の祐巳にはわからない。ただひとつ言えるのは、祥子さまの妹になる子は幸せ者だということだけ。
祐巳たちは始業の時間まで、かわら版を眺めながら、暫し談笑を続けるのであった。
さて、祥子さまから始まったこの一日は、終始ご機嫌で絶好調のまま終わった。部活動に所属していない祐巳は、お掃除を済ませばあとはまっすぐ自宅に帰るだけだ。リリアンかわら版をしまった鞄を大事に抱えて、祐巳は帰路につく。
さしたるトラブルもなく、4時を回る頃には自宅に到着した。自室に入り床に鞄を下ろすと、すぐに開けてリリアンかわら版を取り出す。今まで大切に保管してきた祥子さまコレクションに新たな作品が加わるのだ、着替える暇すら惜しい。
祐巳はかわら版を自室のファイルにそれはそれは丁寧にファイリングするのだった。
「……ん?」
紙を傷めることなくしっかりと保存することが出来、思わず破顔する祐巳だったが、ふと視界の端で何かが通り過ぎたような気がして、窓の方に視線を這わせた。カーテンは開けてあるから、窓からは夕焼けに染まる秋の空が見渡せる。
――なにもない。
けれど、妙な違和感を覚え、祐巳はついに窓を開け放して外を見渡す。
――やはりなにもない。
それでも暫しそのまま外を眺め、ついでに秋の涼風を浴びていると、夕焼け空に一筋の光が降り注いだ。
「わ、流れ星!」
今日はなんて良い日なんだろう。こうも幸運が続くと逆に不安になりそうなものだが、そこは祐巳。えへへ、今日は幸せな日だ、なんて喜ぶだけ。
「あ、そうだ願い事しなくちゃ!」
幸運に酔いしれるだけじゃなくて、ちゃんとやることやらなくちゃ。そう思って願い事を考えるけれど、さっぱり思いつかない。
考えに考え抜いて、祐巳はようやく願いを呟いた。
――祥子さまみたいな素敵な女性になれますように。
「わ、私、何言っているんだろう……」
自分で言っていて恥ずかしくなる祐巳だったけれど、まあ、願うだけならタダだ。目を瞑りつつひとりごちてなんとなしに祈りをささげる。
「ふう……」
やがて満足して目を開き――祐巳はさらにその目を見開いた。
先ほどまで流れ星が降り注いでいた茜空に奇妙な閃光が奔り、なんとこちらに向かって落ちて来ているではないか。
「な、何!?」
それもなんだか物凄い勢いで降ってくるものだから、大慌て。あれはもしかして流れ星じゃなくて隕石か、と祐巳の動揺は頂点に達した。一体どうしたらいいのか訳も分からなくなり、とにかくここから逃げようと祐巳は窓に背を向け駆け出す。けれど、もはや冷静に行動することが叶わない精神状態にある祐巳は、押して開ける扉を引いてしまった。
「な、何で開かないのっ?」
必死に引きまくるものの、そもそも押して開ける扉である。開くはずがない。
もうだめだ。
諦観しきって、祐巳は襲い来る隕石の方へ振り返り――。
「いっ!」
そして隕石はそのまま祐巳の顔面に直撃した。正確には、その額に。死が目の前に迫っているとすら思っていた祐巳だったが、自身にもたらされた実害は額の鈍痛くらいのものである。思いのほか小さな被害で済んだわけだけれど、それでも痛いものは痛い。額を押さえ痛みをこらえる。
飛来した隕石と思しきものはというと、祐巳の額への着陸に失敗し、反動で部屋の中へ入り込んでいた。それでも勢いは止まらず、あちらこちらへと室内を跳ね回っている。
「もう、何が起きてるのっ!?」
もはや理解の範疇を超えた出来事に声を荒げるしかない。
隕石は騒々しい音を立てつつ部屋の中を暫く暴れ倒した後、ベッドの上でようやく全ての動作が停止した。激しく明滅していた閃光も終息をみせると、隕石の正体が祐巳にも視認できた。
「何だろう、これ……」
そこに在ったのは、携帯電話のような機械端末である。桃色を基調としたポップなデザインで、一見したところでは危険はなさそうだ。しかし正体不明のものには変わりない。好奇心も相まって、祐巳は謎の物体に恐る恐る手をふれる。
するとそれは再びすごい勢いで発光し、何らかの心霊現象よろしくひとりでに跳ねた。
「メポー!」
「きゃあああっ! ゆ、幽霊!」
ぱかりと携帯がひとりでに開くと、そこには画面――ではなく、そこにはなにやら可愛らしい小動物の顔がはめ込まれていた。異様な光景だったが、それ以上に奇妙な声を上げたことが驚きだった。
「お前誰メポ?」
「……しゃ、喋ったあぁっ!」
訳の分からない展開が続いて騒ぎ放題の祐巳に対し、彼は落ち着き払った態度である。
「女の子メポ?」
「え?」
「僕のお世話をするメポ!」
「へ?」
次から次へとまくし立てられるその勢いに気圧される祐巳。もう何が何だかわからない。
どう返答したものか見当がつかない。口をこまねいていると、ドタバタと廊下を駆ける慌ただしい足音が祐巳の耳に届いた。かと思うと部屋の扉が激しい音を上げて開かれる。
「祐巳、どうした!?」
ノックもせずに乙女の部屋に勢いよく侵入してきた不届き者の正体は、弟の祐麒である。きっと、さっきの祐巳の悲鳴を耳にして飛んできたのだろう。その表情には焦りがありありと浮かんでいる。
いつもなら勝手に入ってくるなと言うところだが、今の祐巳にはまさに渡りに船だ。祐巳は涙ながらに祐麒に助けを求めた。
「ゆ、祐麒ぃっ! 部屋に変なものがっ」
「変なもの?」
祐麒は祐巳の並々ならぬ様子にどたどたと部屋に入ってくると、祐巳が指差したものを訝しげに拾い上げた。
「なんだこれ、携帯?なんで祐巳がこんなの持ってるの」
「そ、外からいきなり降ってきて、中に変な生き物が入っててっ!」
「お、落ち着けって」
祐麒が携帯をチェックしたが、なにもない。もちろん、音もしない。喋りもしない。確かにさっきまで謎の小動物が入っていたはずなのに、その面影すらなかった。360度どこを見ても、単なる携帯電話である。何の問題もないことを確認した祐麒が、じとっとした目で祐巳を見た。
「なにもないじゃん」
「あ、あれ……? お、おかしいな。さっきは喋っていたんだけど」
言い訳のようにぼそぼそとつぶやいていると、祐麒の表情は同学年の姉を責めるような表情から憐れみのそれへと変わった。
「……祐巳、疲れてるんじゃないか? 少し横になったら?」
うわあああっ。
幻覚でもみたのかと思われてる。
心配してくれるのはありがたいけど、そうじゃないのにっ!
見る見る顔を赤らめていく祐巳だったが、冷静な祐麒の姿を見てだんだんと落ち着きを取り戻していく。
よくよく考えてみたら、確かにいろいろとおかしい。
突然空から降ってきた携帯電話みたいな物に生き物が入っていて、しかも饒舌に日本語を話しはじめた。そんなことが、ありえるだろうか。いや、普通はありえないだろう。
つまりは、やはり幻覚か、あるいは変な夢を見てしまったのかもしれない。
「……うん、そうする。ごめんね、心配かけちゃって」
「熱はないのか?」
「横になっていれば大丈夫だよ。……それより、乙女の部屋に勝手に入るなんて、デリカシーがないんじゃないの?」
冷静さを取り戻したとなれば現金なもので、祐巳は弟がマイルームにノックなしで入ってきたことへの糾弾をはじめた。
「あんな悲鳴が聞こえたらノックなんてしてらんないよ」
「……そ、そんなにうるさかった?」
「ああ」
「そ、そう。騒がしくしてごめんなさい。でも、もう大丈夫だから。部屋に戻っていていいよ」
「お、おいっ」
祐巳はまだ心配する祐麒の背中を押して部屋を追い出しにかかる。特に抵抗も見せなかったので、そのまま押し出した。それに祐巳が続き、二人して部屋を出たところでゆうきはちょっぴり不満げに声を洩らす。
「わっ、とと……乱暴だなあ」
「ね、ゆうき」
「ん?」
「ありがとね、心配してくれて」
「……別に」
素直じゃない年頃の弟の様子に思わず笑みがこぼれるのを抑えられない。あれでけっこう可愛いところがあるものだ。
心配して損した、などと愚痴を零しながら自室へ戻っていく祐麒を見送ってから、彼の言う通りに横になっていようと祐巳も再び部屋へ戻る。
「あれ……何、これ?」
例のアレがあるのはさっきと同じだとして、明らかに異質なものが部屋の中にあった。
なにやら長方形のカードのようなものが床に複数枚散乱していたのだ。タロットカードのようにも見えるが、生憎祐巳は占いには詳しくないためわからない。ともかく、全く心当たりのないものが部屋に突如として現れていたのである。
怪しげなシロモノだけれど放置してはおけない。祐巳はそれらを拾い上げ、まじまじと絵柄を眺める。
暫くカードを見ていると、祐巳は視界の端でぴょんこぴょんこと何かが動いたのを捉え、すぐにそちらの方に目を向ける。
――足もないのに、跳ねながら件の携帯電話がひとりでにあるいていた。
「~~っ!」
祐巳は再び叫び声をあげそうになったが、さっきゆうきが大慌てでやってきたことを思い出してなんとか堪える。それでも、かなりの驚愕があったのは確かだった。
さっきの光景はやっぱり現実だったのか、それともまた幻覚を視ているのか。祐巳には未だ判断がつかない。
「んっ……よっ……」
時折少し苦しそうに声を洩らしつつも懸命にぴょこぴょこ動いているのを見て、これが夢なのか現実なのかはさておき、祐巳は彼のことが心配になった。咄嗟にカードを制服のポケットにしまって、彼に声をかける。
「ど、どうしたの?」
「はあはあ……自分で動くのは辛いメポ」
「だ、大丈夫?」
どうやらひどく疲れているご様子だ。動くのをやめてはあはあと息を整えている彼の様子を見ていると、幽霊だなんだと恐れているのが馬鹿らしく思えてきた。人に害を加えるような存在でないことはもはや明白である。むしろ、よく見れば愛らしい見た目をしているとさえ思えた。
介抱しようと手を伸ばすと、彼は真摯な目つきで祐巳を見た。
「おい、そこの女子。僕を希望の姫君ミップルの元へ連れて行くメポ!」
「き、希望の姫君? ミップル?」
お願いというより、命令。その言葉にも語調にも、貴族が召使に命を下すような不遜な態度が現れていたが、祐巳の頭にはハテナマークが大量にうかぶばかりだ。だって、彼が何を言っているのか分からないから。
「うーん……」
分からないから、肯定も否定もできない。返答に窮し口を濁す。すると彼の態度は一変し、今度はうるうると涙目になって懇願してきた。
「お、お願いメポ! ほ、他に頼る人がいないメポ~!」
「そ、そんなこと言われても……そのミップルって子の居場所が分からないとどうしようもないし……」
「大丈夫メポ、僕はミップルの気配が分かるメポ! 僕が案内するから、連れて行ってほしいメポ!」
だから心配いらないのだと豪語する彼に対し、祐巳はほとほと困り果ててしまった。彼も困っているみたいだから力にはなってあげたいけれど、分からないことが多すぎる。
「ちょ、ちょっと待って。何が何だかわからないんだけど……そもそも、貴方は何なの?」
捲したてる彼を制止し、祐巳は現状理解のためにまず最も重要な事項について尋ねた。まずは目の前の謎の小動物搭載携帯電話の正体を知らなくては、と。彼が意思疎通を図ることのできる存在であったことは幸いだった。
彼は一瞬きょとんとしてみせてから、自己紹介を忘れていたメポ、と照れたように笑う。
そして。
「--僕は、光の園からやってきた選ばれし勇者、メップルメポ!」
数瞬の沈黙の後、自信と自尊心に満ち満ちた表情で、彼--は堂々と自分の名を告げたのだった。
「ひ、光の園? 勇者?」
訳のわからない単語が連続する。
「光の園をドツクゾーンの魔の手から守るため、僕はここにやってきたメポ!」
はてさて、話を聞いてもやはり分からない。祐巳が唯一理解できたのは、彼がメップルという名前だということだけだった。
まあでも、謎の多い生物だけど悪い子ではなさそうだ。何より可愛らしいし、信頼は出来るだろう。
祐巳は目の前のメップルに一礼し、自分の名を告げる。
「えと、よく分からないけど……私は、私立リリアン女学園一年桃組の福沢祐巳です。よろしくね、メップルさん」
--これが、祐巳とメップルの出逢いであり、大いなる戦いの始まりでもあった。