大和型戦艦 一番艦 大和 推して参るっ!   作:しゅーがく

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第55話  低身長欧米金髪碧眼童顔ロリっ子ビッグ7(笑) その1

 ゆきからの指令が下った翌日。早々に俺は出立の準備をしていた。改革以来、出撃頻度が高くなっている我が呉第二一号鎮守府は、近頃は比較的騒がしさを取り戻していた。深海棲艦との鎬合いも優勢になりつつあり、前線をゆきの後輩に当る鎮守府に任せているのだ。もっぱらの任務は後方支援や補給路の保守、近海警備等々。損傷して帰ってくる艦娘も減ったのだ。

俺は特別に編成された艦隊に配属され、これから消費資材を無視した枯渇ギリギリまで北方海域キス島周辺海域外縁部を目指す。つまるところレベリングだ。

レベリングのために編成された艦隊は、レベル上げを行う艦を旗艦に置いており、指揮・戦闘を行いながら熟練艦からの指導を受けるというもの。いつぞやも急遽レベリングした記憶があるが、あの時は改装出来るところまでは上げた。しかしそれまでだったのだ。

 キス島周回艦隊は2つ用意されている。メインは俺が旗艦を務める『第一艦隊(旧:私の彼は最強戦艦 ※強い反対により削除)』。傘下に重雷装巡洋艦 北上、重巡洋艦 摩耶、戦艦 伊勢、軽空母 瑞鳳、正規空母 加賀。基本的に鎮守府内でも高練度の艦娘が選ばれており、さらにゆきによる厳正な審査を通過した艦娘が割り当てられていた。基準が全くもって分からないが、言及したところで分かる訳がないので黙っておく。

『第二艦隊』にはつい最近仲間になったコロラドが旗艦を務めている。曰く、『日本のビッグセブンが前線で大活躍ですって?! ステイツを代表するこの私に出来ないことはないわ!!』と騒ぎ立てた為、黙らせる意味も込めてレベリングに編成されたんだとか。とっとと改装させて、すぐさま後方支援と補給路確保に当たらせる気らしい。

 

「で?」

 

「で、って言われてもねぇ~」

 

 北方に向かいながらの航海。十二分に搭載した燃料・弾薬で、旗艦限界と少し余分に残るまで延々と外縁部に居座り続ける気ではある。しかしながら、やはりこの編成はいけない。何せ混ぜるな危険でお馴染みの加賀がいる。その他は無難だったかもしれない。北上や摩耶、伊勢、瑞鳳。特段男だからと比較的過剰反応しなかった艦娘たちだ。北上は何時も通りで、摩耶と伊勢、瑞鳳は緊張した様子を見せることもあるが、特段変態行動を起こしたりはしない。全員が全員、部屋に凸って来るような艦娘でないことは分かっていたが、実はこれほどいたとは思わなかった。これから普通に仲良くなっていければいい、そう思っていた。思っていたのだが……。

 

「北上、摩耶、伊勢、瑞鳳……助けてくれ……」

 

「私だけでは満足しませんか?? 海に立つことでドーパミンでも出てきたんですか?? ここで致すんですか??」

 

「何言っちゃってんの、この空母」

 

「いいえ、まだイってません。これから貴方がイかしてくれるんですよね??」

 

「……」

 

「貴方と……イきたい……っ!!」

 

 北方海域に到着する前に、加賀の暴走で俺が轟沈しそうだ。

 

「とりあえず黙っててくれ」

 

「私の口を何で塞ぐんですか??」

 

「……」

 

 自分で唇を噤んでくれ、と言うのも億劫になる。ひとまず加賀は無視して、先を急ぐとしよう。

 

※※※

 

 終始暴走している加賀に纏わり付かれながらも、北方海域キス島外縁部に到着した俺たちは、早速発生している深海棲艦の掃討を開始した。特別なことは何もしていない。瑞鳳、加賀が偵察機を飛ばしながら、俺のデフォルトで搭載されている電探を使用している。精度も性能はあまり期待出来ないが、ないよりかはマシだろう。

 

「偵察機が敵艦隊を捕捉。方位040、予測進路260、速力12ノット。編成。軽巡1、駆逐4」

 

 加賀が先程と変わらぬ淡々とした口調で報告をする。それにすぐさま応え、指示を出した。

 

「全艦戦闘態勢。北上は先制雷撃、片舷一斉射。瑞鳳、加賀は第一次攻撃隊を発艦させろ」

 

「「「了解」」」

 

「俺は先制砲撃。加賀、詳細」

 

「はい。方位038、進路変わらず。速力12ノット。距離23000。複縦陣」

 

瑞鳳、加賀の偵察機から遅れて、俺の水上観測機が発艦していた。艦隊を発見した加賀の偵察機から遅れて、水上観測機も捕捉していた。送られてくる詳細な位置を聞きながら準備を始める。

 艤装から砲弾を取り出す。46cm通常弾だ。信管の安全装置は解除済み。後は何かに弾頭が接触すると、信管が作動し炸裂する。戦列から少し外れ、右腕を振り被って投弾。最近はやっていなかったが、これも慣れっ子だ。観測はこっちでも行っているし、偵察情報と照らし合わせてほぼ正確な位置は把握している。ずれることはあっても、夾叉はするはずだ。

 

「弾着観測の報告。先制砲撃、命中。駆逐艦が爆沈」

 

「ば、爆沈??」

 

「偵察機も捉えています。どうやらバイタルパートに当たったみたいですね。船体側面に刺さり、内部で炸裂したのではないかと」

 

「なんともまぁ……」

 

「彼が規格外なだけです」

 

「そう、よね……」

 

 伊勢から何とも表現し難い視線を送られているが、それにはもう慣れている。というか見たのは二回目だろうか。それに、確かに変かもしれないが、出来るのならば有効活用する他ない。

既に敵艦隊は警戒態勢に入っており、偵察機は捕捉されている頃だ。既に瑞鳳、加賀の攻撃隊が攻撃に向かっている。これと同時に北上が雷撃を行っており、もうすることは決まっていた。

 

「単縦陣で一気に攻め落とす!!」

 

「切り込みは任せろッ!!」

 

「却下する。摩耶は瑞鳳、加賀の護衛。先鋒は伊勢だ。準に俺、北上。後列は付いてくるだけで良い」

 

「……分かった。だが支援はさせてくれ」

 

「頼んだ」

 

 隊形を単縦陣に変更し、指示通りの配置へと変わる。俺の目の前は伊勢が航行し、背後に北上、瑞鳳、加賀、摩耶の順番だ。

敵艦隊が視認距離に入り、電探と見張り妖精からも報告が入る。俺の目にもそれは確認出来ていた。艦隊は4隻に減少しており、丁度攻撃隊が攻撃を開始する頃だった。

遥か遠くに水柱が上がり、黒煙と閃光が連続して発生する。瑞鳳からの報告では、攻撃隊で撃沈出来たのは2隻。残りは軽巡と駆逐だけだ。それらにも、既に北上の先制雷撃が接近しつつあった。

 

「駆逐艦に被雷、轟沈。残るは軽巡だけだよ!!」

 

 既に目前に残るは軽巡ホ級のみ。攻撃をするのは……。

 

「あたしがやるよ。……大和には良いところ見せないと」

 

 そして腰を低くして構えた伊勢は、単縦陣の先頭から増速して進んでいく。一体何をしようと言うのだろうか。俺はいつでも支援が出来るように主砲を軽巡の方向に向けながら、伊勢の背中に視線を向ける。

 伊勢の接近に気付いた軽巡ホ級は、攻撃を繰り返しながら同じく接近していく。伊勢はというと、攻撃を回避していた。伊勢自身も砲撃をすればいいのに、一向に攻撃を繰り出すようなことはしない。

 

「お、おい、伊勢!!」

 

「だいじょーぶだよ!! 心配しないで見ててねっ!!」

 

 右へ左へ避けながら前進、前進。そしてもう手が触れるという距離に近付いた刹那、伊勢は右手を腰の左側へとあてる。

 

「すぅ……」

 

「……うん??」

 

「……っ!! せいッ!!」

 

「うんっ??!!」

 

 軽巡ホ級の船体が真っ二つに割れた。中身が半泣きになってるんだけど……。

 

※※※

 

 北方海域キス島に向かった俺たちは、燃料弾薬ギリギリまで戦闘を行った。終始先制攻撃で、ほとんどの敵を蹴散らした後に残った深海棲艦を甚振ってから倒していたような気がするのは気の所為ではない筈だ。

レベリングなんてそんなものだが、着実と経験値を得ていくことが出来ていた。

 遭遇した敵艦隊は6つ。全て先制攻撃と集中砲火で撃破した。もう弾薬が最低限しか残っていないので、このまま鎮守府に帰還報告を入れて戻ることにした。既に鎮守府から入れ替わりの第二艦隊が出撃している、というのは5回目の戦闘終了後に聞いているため、第二艦隊と合流次第バトンタッチをする。

 全くと言っていい程に損傷を受けていない俺たちは、艤装の調子を見ながら帰路に付いた。

既に目前まで第二艦隊が来ているからだ。

 

「こちら02-21(呉第二一号鎮守府所属) 第一艦隊 旗艦 大和。当艦隊に接近しつつある所属不明艦隊は所属を明らかにせよ」

 

『02-21 第二艦隊 旗艦 コロラドより、02-21 第一艦隊 旗艦 ヤマト。確認』

 

「確認了解」

 

 遠くに点でしか見えなかったコロラドたちが接近し、俺たちの近くまでやってくる。旋回して速度を落としながら並走する形になった。

 

「はじめまして、かしら??」

 

「おう、はじめまして。俺は大和型戦艦 一番艦 大和だ」

 

 うーん……、何だろう。この感覚は。目の前で壮厳に仁王立ちをしており、腰には両手を当てて胸を張っている。ドヤ顔というかそんな表情を向けてくる。これでもコロラド級戦艦の一番艦だ。なんだが……。

 

「ふーん。本当にいたとはね……。そういえば、アドミラルに付いていた秘書艦も大和型だったわね。なるほど、あっちはムサシって訳」

 

「そうなるな」

 

「だけどね、私はビッグ7なのよ。ちょっと船体(身長)が大きくて、攻守ともに優れていたとしても関係ないわ。デカイだけが取り柄の貴方に、後れを取る気なんてサラサラないから」

 

「……」

 

 これまでにはなかった、ツッケンドンな性格をしているみたいだ。しかし、どうだコロラドの奴。俺の目の前で立ち塞がってはいるものの……。

 

「ちっさ……」

 

「あ"ぁ"ん?!」

 

「あ、うん。確かに俺はビッグ7じゃないからな。じゃ、俺たちは撤退するから、存分に暴れてくださいな」

 

「そうするわ」

 

 コロラドたちを見送り、彼女の背中を追いかける第二艦隊の連中が苦笑いしていたのを見届けた俺たちは帰路に就いたのだった。

 

※※※

 

 あの日以来、俺は事ある毎に揉め事に巻き込まれていた。ある日は食堂で、ある日は廊下で、ある日は資料室で、ある日は散歩中に、ある日は雪風と遊んでいる時。事ある毎にあの低身長欧米金髪碧眼童顔ロリっ子ビッグ7(コロラド)が突っ掛かってくるようになったのだ。彼女に対して何かした覚えもなければ、そもそも北方海域で会ったのが初めてだった。身に覚えがなさすぎて笑える。

しかし、こう毎日毎日続くと疲れて来ていた。出歩けば必ずコロラドがいるのだ。レベリング自体、同じタイミングでやるもんだからオフも被っているというのもある。今回の件はゆきの耳にも入っているようだが、曰く『別にいいんじゃない??』とのこと。一蹴されたと武蔵が言っていた。というか不思議なのが、武蔵には普通に

接しているところだ。なんというか、俺を目の敵にしているような気がする。

 そんな毎日を送っていたんだが、ついに俺は部屋から出なくなった。だって、出先であれだけ騒ぎ立てられたら困るし、巻き添えもなんだかんだ言ってあったからな。雪風とか雪風とか雪風とか。嫌がらせされる癒やしのために、雪風のところに言っても結局コロラドが待ち構えているんだからだ。

 

『ふふん。貴方、よくこの駆逐艦と遊んでいるようじゃない?? なんだか犯罪のニオイがするわね。正義の名の下に裁きを受けるがいいわ!!』

 

と一発砲撃を食らった。当たらなかったけども。そんなこんなで、俺は絶賛引きこもり中である。もうなんなのあの娘。仲間になったんだから、それなりの関係は築きたいのに取り付く島もないんじゃなぁ……。

 




 これからまた数ヶ月開くと思いきや、ネタを思いついたので書きました。

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