インフィニット・ストラトス Re:Dead《完結》   作:ひわたり

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彼のいない日常

シャルロットは一夏のISである白式の調査をする為、彼に練習をしないかと持ち掛けた。

すんなりとOKが返ってきたので、先に行ってると準備をする。アリーナで待っていると、数分後に現れた一夏は、何故か箒と鈴、そしてセシリアを引き連れていた。

「私達も一緒にやっても良い?」

「構わないけれど」

そこまでして一夏と一緒にいたいのかと呆れる反面、自分もシャルルといつでも一緒に居たいと思っているので気持ちも分かる。

「中国の代表候補生とイギリスの代表候補生に教えて貰ってるなんて、結構贅沢な環境じゃない」

「……だと良いんだけど」

一夏の苦笑いに首を傾げたが、その理由はすぐに分かった。

「こう、ガーっとやってバーッとやるのよ!」

「一夏、こうだこう!こう動け!」

「先ず、飛ぶ角度ですが……」

感覚だったり、体で示したり、論理重視だったり、三者三様であったが一言で言えば人への説明が下手である。

「……どうだ?」

「うん、これはちょっと……」

ISを動かして期間が短いシャルロットであるが、彼女達の説明が酷いのは明らかであった。

「あーと……取り敢えずボクと練習してみようか」

「頼む」

情報収集の為だけでなく、単純に一夏が可哀想になったシャルロットだった。

「飛ぶのも、まだ不安でさ」

「不安?」

「だって、これってどうやって飛んでるのか分からないだろ?セシリアから重力とは反重力の話とかなったけどさ」

「仕組みはあるからね。ただ、一夏が不安がっているのは、多分そういうことじゃないよ」

シャルロットはトントンと足先で地面を叩く。

「地面という足場がなくなるのが、支えがなくなるのが不安の正体だと思う」

だから逆にさ、と空を指差した。

「空を飛ぶことを楽しもうよ」

「空を?」

「うん」

シャルロットは笑顔で頷いて空を見上げた。

「理論とか、試合とか、企業とか、男性操縦者だとか、そんなの考えないでさ。空を飛ぼうよ」

人は歩く生き物だ。

だから空に憧れる。

「折角、自由に駆け回れる翼を手に入れたんだから」

いつだって人は、空を飛ぶことを夢見る。

「空を飛ぶのを楽しむ、か……」

一夏はアリーナから吹き抜ける空を見て微笑んだ。

「そうだな。確かに、色々と忙しくて、そんなこと考えてる余裕なんてなかった」

一夏がふわりと浮かぶ。軽く、軽やかに浮き上がる。

「おーい、皆も飛ぼうぜ」

言われて、箒達が目を合わせた。

「確かに、練習ばかりだったからな。息抜きも必要だろう」

「スピード勝負でもしてみる?」

「それ結局練習じゃありませんの……」

皆も一夏に続いて空へと浮かんだ。その光景を、シャルロットは何処か眩しい物を見るように目を細めた。

「シャルルも来いよ」

シャルロットは一瞬驚いた表情で皆を見た。

見上げると、そこには一夏達が笑いながら待っている。

「……うん」

シャルロットは飛んだ。

何ものにも縛られることなく、宙へと浮かんで、自由な空へ。

そこは孤独な場所ではなかった。

 

 

いつの間にかこのメンバーで練習が日課となっていた。

今日も練習の為にアリーナに来ていたシャルロット達。そこでシャルロットが驚きの声を上げる。

「え、一夏の武器ってコレしかないの?」

「ああ」

情報収集の為もあったが、自身の興味もあって一夏に専用IS白式の武器を聞いた所、剣しかないとの返答が来た。

零落白夜。相手のエネルギーを全て奪い取る必殺武器。シールドエネルギーですら貫く攻撃は非常に魅力的だが、自身のシールドエネルギーを使用する為に、使い所が難しい武器である。

「いや、この武器自体は良いんだけどさ……。え、本当にこれだけなの?」

問題なのは、白式の武器がコレしかないということである。武器を多く装備するシャルロットからすればあまりに信じられない事実だ。嘘でしょうとシャルロットは確認するが、一夏は苦笑いしか浮かべない。

「信じられないでしょう?私も最初聞いた時、馬鹿じゃないのって思ったわよ」

鈴が隣で呆れてみせる。

白式の攻撃は正に一撃必殺。近距離での一撃にのみ全てをかけた戦いになる。

「……戦い方に応用も何もないね。精々、相手の攻撃の躱し方と移動方法くらいしかないじゃない」

「前向きに考えるなら、初心者でもやり易いというのが利点か」

「接近戦に持ち込めなければ確実に終わりますけどね」

わいのわいのと好き勝手話す女性陣。

「大体、何でこれだけなの?」

「何故かは知らないけど、武器の空き容量がないらしくて、それでいっぱいいっぱいらしい」

「なんて欠陥機……」

男性操縦者に何でこんな機体を渡すのかさっぱり理解出来ない。男性操縦者でなくても、試合用のISとしては出来損ないだろう。

「試しに銃とか撃ってみる?」

「お、良いのか?実は結構やってみたかったんだ」

「そうなの?」

「いやあ、撃ってみたいだろ、男心擽るじゃないか!」

そんなものかなと思いながら、シャルロットは銃を展開して一夏に渡す。

的に向けて試し撃ちを繰り返し、少しばかり指導してやるとかなり良い線まで行っていた。

的の中央を幾つも撃ち抜く。

「おお……」

一夏は自分で自分に感心した。

「……一夏、武器変えるか、別のISにしたらどうだ?」

「私もその意見に賛成ですわ……」

「あんたって何で料理とか家事とか、別方向に才能発揮させるのかしらね」

割と好き放題言う女性陣であった。

その後、試合形式をしながら互いの悪い点を指摘し合う。練習としては有意義な時間が過ぎて行った。

シャルロットはそれが楽しかった。

楽しくて、そして苦しくて。

心の何処かで、ずっと痛みが残っていた。

 

 

夜。

一夏が風呂へ入っている間にシャルロットは自動販売機で飲み物を買いに行った。

紅茶を選び、その場で開けて喉を潤す。

「……はぁ」

大きな溜息。

これで良いのかとシャルロットは疑問を抱え込む。一夏の情報とISの情報は得られはするが、少し調べれば誰でも分かることばかりだ。何より、本人が一番知識を持っていない。

本人が知らなければ、聞いても答えが分からないのでは仕方がない。

「どうしたものかなぁ……」

情報を得るのに苦労するかと思っていたが、情報そのものが空っぽだとは思っても見なかった。頭が痛い問題である。報告しようにもこれだけの情報ではデュノア社長が納得しないだろう。

「………か……ですか…!」

「……ん?」

庭の方から叫び声が聞こえると、軽く足を向けてみる。

「教官……!」

……教官?

はてと頭を傾げた所で、脇を誰かが凄い勢いで去って行った。慌てて避けたが、銀髪が靡いていくのが暗がりでも見えた。

「……ラウラ・ボーデヴィッヒ?」

前に視線を戻せば、千冬が少し暗い表情で立っている。

「……ん、デュノアか。どうかしたか?」

「いえ、叫び声が聞こえたもので気になって」

彼女とお知り合いなのですかと聞くと、千冬は、まあなと気の無い声で答えた。

「昔、ドイツ軍にいたことがあって、そこで少しな」

「ああ、だから教官ですか」

ラウラ・ボーデヴィッヒはドイツ軍出身の少女だ。あのような少女が軍人かと驚いたが、ISを纏えば年齢は関係なくなる程の力を得られる。

「どうやら、私を引き戻す為にIS学園へ来たらしい。まったく、参ったものだ」

「大変ですね」

シャルロットの言葉に、千冬は何でもないように言った。

「お前程じゃないさ」

その言葉に、シャルロットの肩が跳ねる。動揺してしまったことに冷や汗をかきながらも、千冬の顔を見た。千冬は腕時計を見ていて、シャルロットの方は見ていない。

「…………」

……まさか、気付いているのか。私の正体を、私の目的を、見抜いていて、その上で放置しているのか。

「…………」

全てを言ってしまいたくなった。

シャルルを覚えてるかと聞きたかった。

助けてと叫びたかった。

でも、それは出来ない。

ただ泳がされてるだけなら構わない。知らないフリをしてるなら良い。

だが、もし本当に知らなかったら。

下手に知られて退学に追い込まれたなら、その時は危険が及ぶ。シャルルに危険が迫ってしまう。

だから、それだけはできない。

自分が退学になるような真似は、一つでも行えない。

「……それでは、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

シャルロットは背を向けて去って行く。一人で暗闇の向こうへ去って行った。

「…………」

千冬は黙ったまま、その背中が見えなくなるまで見送った。

 

 

暗澹たる思いを抱えたまま帰路に着くと、寮の曲がり角で女生徒が数人固まってるのが見えた。

どうやら曲がり角の向こう側を見ているようだ。見た顔もあるので話しかけて見る。

「皆、どうしたの?」

「あ、やっほー。今いい所なんだー」

間の伸びた声の少女が答える。

布仏本音。皆からのほほんさんと親しまれており、着ぐるみとお菓子をこよなく愛す少女である。

「いい所?」

はてと、シャルロットも向こう側を見てみると、部屋の前に一夏と箒がいた。

「……今度のトーナメント戦で優勝したら私と付き合ってくれ!」

おお、とシャルロットは吃驚した。

告白の場面を見るのは初めてだったので、少しばかりドキドキと鼓動が高鳴った。

「ああ、良いよ」

「ほ、本当か!?嘘じゃないな!?」

「?ああ」

だが、一夏の顔を見て悟る。あれは分かっていない顔だと。

ここで出て行って説明するのも野暮だし、誰かに聞かれていたということで箒が逃げ出してしまいそうである。どうしたものかと悩んでいると、話が終わったらしい箒が去って行ってしまった。

「あ……」

「これはニュースだよ!」

「あ、ちょっと皆……」

シャルロットが止める間もなく本音達は行ってしまった。やれやれと箒に同情しながら一夏の元へ歩いて行く。

「一夏」

「お、シャルル、おかえり」

いつも通りの顔で挨拶が返ってくる。この反応で完全に分かってないと判断した。

「一夏って朴念仁て言われない?」

「え、何だ急に」

シャルロットの冷たい目に、一夏は混乱するのだった。

 

 

翌日、学園には一つの噂が蔓延していた。

学年別トーナメント戦で勝てば一夏と付き合えるという噂だ。シャルロットの耳に直接入ってくることはなかったが、周りの女生徒の話を盗み聞きしたり、ソワソワしてるのを見れば嫌でも分かる。

 

 

「……とまあ、箒の告白が曲解されたのが原因なんだけどね」

いつも通りのアリーナで、シャルロットと箒、鈴とセシリアが集まっていた。

ISを展開して、軽く運動しながら雑談をする。

一夏は少し遅れてから来る予定で、あの噂は本当かと気になった鈴が真相を尋ねてきたのだ。

「そんなことだろうと思ったわ」

一夏の性格をよく知る鈴が呆れ、セシリアは同情の目を箒に向けた。

「箒さん……」

「言わないでくれ……。頼むから何も言わないでくれ……」

自分が発端となった所為で変な噂が出てしまったことに、いらないライバルが余計に増えたことにショックを受ける箒であった。

「一夏も一夏で意味を分かってなさそうだったし……。っていうか、そこまで言えたなら恋人になって下さいとか、優勝したらなんて言わずに、付き合って下さいで良かったんじゃない」

「い、いや、それは流石に恥ずかしいというか……」

箒の基準は曖昧だが、どうやら直接は恥ずかしい部類に入るらしい。

「……ん?」

周りが俄かに騒つく。何かと視線を追いかけて見ると、ISを纏ったラウラが此方へ来るのが見えた。

第三世代型、最新式のISである。流石は軍人といった所か、装備一式は相応の物を揃えているようだ。

「こんにちは、ボーデヴィッヒさん」

そう言って、シャルロットはISを解いた。予想外の行動に全員が驚く。ラウラも目を見開いた後、溜息を吐いて自身もISを解いた。

「……なかなかに、食えない奴みたいだな」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

ラウラはISを使って軽く脅しを掛けるつもりだった。目的は織斑一夏であることに変わりはない。箒達は一夏と取り分け仲が良かったように見えた為、ここで闘いを嗾けて一夏に揺さぶりを掛けようとしていた。

しかし、先にシャルロットがISを解いてしまった。生身の人間に攻撃することはただの一方的な暴力だ。それでは意味もないし、学園に目をつけられてしまう。

「向こうで話そうか」

「……良いだろう」

シャルロットの提案にラウラは頷く。

箒達はその場で待つようにお願いし、二人はアリーナの外へとやってきた。

「理由は聞かないけどさ、そこまでして一夏を狙いたい?他の人間を巻き込むのは、正直感心しない」

シャルルを人質に取られているシャルロットだからこそ、その行いには許せないものがある。

「ボーデヴィッヒさんの目的は織斑先生を引き戻すことでしょう?一夏が関係あるの?」

シャルロットの言葉にラウラが目を細めた。

「何故知っている」

「夜にたまたま話しているのを聞いちゃってね」

「チッ」

ラウラは舌打ちをしてから口を開く。

「教官は私の憧れだ。貴様は教官の実力を知っているか?」

「モンドグロッソ優勝者、ということくらいには」

「それだけではない。信じられないかもしれないが、教官はISと生身で戦える程の力を持つ。ISをファッションか何かと勘違いしてるお気楽な女達がいる、こんな学園で燻って良い人じゃない」

ラウラから千冬に対する絶大な信頼と憧れ。あの夜、他ならぬ千冬に拒否されたが、それでもラウラは納得出来なかった。

「それでも、織斑先生の選んだ道だよ」

「そんなことは分かっている!」

ラウラの叫びに、シャルロットは理解した。

彼女は頭の中では理解しているんだ。理解はしているが、感情がそれを妨げている。

感情は個々の持つ意思の表れだ。それをどうこうする術をシャルロットは持たない。自分も感情で左右されてしまう面を持つ為に、それが出来ない。

「……なら、一夏を狙う理由は?」

「奴は教官の経歴を汚した。第二回のモンドグロッソで、教官は誘拐された一夏を救う為に決勝戦を放棄したのだ」

モンドグロッソでシャルロットは記憶を思い返した。決勝戦が無くなって不思議に思っていたが、そんな理由があったのかと初めて知る。

「……成程」

つまり、ラウラの感情の逃げ場所がそこにしかないのだ。

恐らくは軍に居た時からラウラは散々千冬を引き留めたのだろう。それでも無理で、千冬に拒絶され、自分を見失いそうで、壊れそうで。

完璧である筈の、ラウラにとって完璧でなければならない千冬の唯一の汚点。それが一夏。そこに感情を向けなければ崩れてしまいそうなのだ。一夏が本当に憎いわけではなく、誰かに押し付けないと気が狂ってしまう。

自分が壊れない為に他人を傷付ける。

そうしなければ、保っていられない。

歪な心は、多分自分自身が一番理解している。

「……なら」

ならばと、シャルロットは提案した。

「今度、学年別トーナメントがある。そこでなら、一夏を合法的に叩きのめせるよ」

「…………」

「アレは二人一組での参加。ボクがボーデヴィッヒさんと組んで、一夏と一対一で戦わせてあげる」

流石に驚いた様子でラウラが目を見開いた。

「……何故そこまでする」

「別に同情とか、そんなのじゃないよ」

そんなことでこんなことはしない。

「ただ、ボクの代わりに、一夏を一発殴って欲しいだけだよ」

ラウラはジッと眼を見た。シャルロットは逸らさずに見返す。

「……自己満足だぞ」

最初の日にシャルロットがラウラへ告げた言葉を返された。

「分かってる」

理不尽だと分かってる。

自分勝手だと知っている。

自己満足だと納得した。

「分かってるよ、そんなことは」

でも、感情を完全に抑えられる程、まだ大人になり切れない。

「……良いだろう」

ラウラは頷いて答えた。

「これから貴様とは、共犯だ」

「うん、宜しく」

二人は握手を交わし、契約を交わした。

 

 

シャルロットがアリーナに戻ると一夏も揃っており、シャルロットが戻ってきたのを見て皆が近寄って来た。

「大丈夫だったか、シャルル」

「うん、別に問題無かったよ」

最初に一夏を殴ろうとしたイメージが強いだけに、ラウラに少し危機感を覚えていたが、何もなかったなら良かったと安心する。

「ただ、今度のトーナメント戦でペアを組むことになったけどね」

「えっ、どういう経緯でそんな」

「別に仲良しになったわけでもないけど、流れでね」

どういった流れでそういうことになるのかと首を捻る一夏達をサラリと流すシャルロット。

「あー、でもそうか。ペアを決めなきゃいけないのか」

どうしようかと腕を組む一夏に三人が群がった。

「私と組もう!」

「いや、あたしと!」

「いえいえ、ここは私が!」

誰も譲らないのを見て、シャルロットは一言で終わらせる。

「じゃんけんすれば?」

斯くして、決死の戦いが始まった。

稀に見る真剣勝負である。

「やったあ!」

「くっ!」

「努力が足りませんでしたわ……」

こうして、勝利の女神は箒に微笑んだ。

「…………」

シャルロットは内心、一夏が近接戦闘型だから、遠距離戦闘型のセシリアが良さそうだと思っていたが、口には出さなかった。

無駄な火種を散らして巻き込まれたくなかった故である。

 

 

トーナメント戦が翌日まで迫ってきた頃。

アリーナから帰ったシャルロットはベッドに座って考え込む。

一夏は飲み物を買ってくると席を外していた。

「…………」

これ以上一夏から情報を得られるかとなると、限度がある。一夏本人が知らなければどうしようもない。手詰まりな状況で、これ以上どうすれば良いのか。

早くシャルルを解放したい為に、シャルロットは焦っている。また、心の何処かで学園生活を楽しんでいる自分がいて、そんなことをしてる場合ではないだろうと、自分を叱咤していた。

『楽しんで』

シャルルのメモを思い出す。

色んな思いが複雑に胸に黙り込み、どうしようもなく持て余した。

「シャルル……」

シャルロットはリボンを外してそれを見た。

手の中で彼のプレゼントを握り締める。

手放せない。

もう、これ以上は。

どうしようもない。

手詰まりなら、いっそ。

「あれ、まだ風呂に入ってなかったのか?」

一夏が帰ってきて、シャルロットが服装もそのままだったので声を掛けた。

しかし、シャルロットから反応がなく、首を傾げる。

「一夏」

俯いたシャルロットから言葉が落ちた。

「何だ?」

シャルロットが顔を上げる。

決意に満ちた瞳が一夏を捉える。

そして、彼女は伝えた。

「ボクは……私の本名は、シャルロット・デュノア」

一夏が目を丸くする。その名前の違いが意味する事を、一夏は理解した。

「……女の子?」

これは、賭けだ。

「助けて、一夏」

彼の善意を利用した、賭けだ。

 

 

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