ハリーポッターと妖精の翼   作:ファルドゥン

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まずは、大変長く待たせてしまったことをお詫び申し上げます。

はっきり言いまして、時間が伸びてしまったこと、自分の体の調子等の原因で、皆さんに満足していただける出来栄えになっているか微妙なところです。

兎にも角にもできたものは出来ましたので、投稿いたします。


第三十話 部屋の中の決戦

「そもそも何で君が……ゴーストなの?」

 

「記憶だよ。日記の中に50年間残されていた記憶だ」

 

日記の中に50年……あぁ

 

「あの日記の持ち主でしたか、確かにあれもリドルさんでしたね」

 

リドルさんが近くの柱の根元あたりを指さすと、成る程確かに日記が転がっている。

 

「リドルでも何でも良いけど、ジニーを運ぶの手伝ってくれないかな。流石に一人じゃ、重いんだ」

 

ロンさんから助けを求める声、その声に応えるようにハリーさんは手伝いに行った。

でも、私まで目の前のリドルと名乗る青年に背中を見せる訳には行かないね。

 

「君は行かなくても良いのかい?」

 

「流石に怪しさムンムンのあなたに背中を向けるほど日和ってはいませんよ」

 

「不自然な部分が多すぎる上に、あなた自身()()()()()()()()()。『秘密の部屋』まできてまさかの先客がいて、しかもここまで堂々としていられる人物なんてそれこそ継承者ぐらいでしょう?」

 

「そもそもあの本からしてよく考えれば怪しい代物ですよ。まるで人のようにものを考え、応答する本なんてそうはないんじゃないですか?推測ですが、何らかの方法であの本の中に自分自身を封じた、それとも付喪神のような存在ですか?」

 

「……驚いたな。ツクモガミというのは知らないが、まさか推測でもここまで理解が早いとは、想像以上だよ」

 

「ま、お約束ですからね」

 

この人?がラスボスだと断定してしまえば、あとは大体……ね。

 

「?……まあいい。かなり計画が前倒しになってしまったが、君たちに会える時を待っていたよ」

 

「ジニーさんは大丈夫なんですか?」

 

「素直に答えると思っているのかい?」

 

「あら、犯人はぺらぺらと計画を話してくれるものではないのですか?」

 

「……どうもやりづらいが、元から話すつもりだったからね。結論から言うと、まだ死んでいないよ。もっとも、このままだと危ないけどね」

 

「彼女はあまりにも本の中の僕に秘密を話しすぎた。あろうことか心も開いてくれて、本当に簡単だったよ。あとは少しずつ僕の魂を注ぎ込んでいって……」

 

「思うように操れるようになったわけですね」

 

「あとは君の思った通りだろうね。今ではこうして本の外に出てこれるまでに力を奪うことが出来た。こうまでして外に出たかった理由はハリー・ポッターとヨーセイ・ダイに会いたかったからだ」

 

「ハリーさーん呼ばれてますよー」

 

「……なぜそうも落ち着いていられるのか、理解に苦しむな」

 

会話中に攻撃を仕掛けたりはしないからだよ……って、ここは幻想郷でもないし、そうでもないか。今更変えるつもりはないけど少しは警戒しないとなぁ。

 

「――もう、二人でいったい何を話してるんだよ。こっちに来て君たちも手伝ってよ。それにいつ『継承者』と怪物が来るかもわからないのに……」

 

「ハリーさん、この人が継承者です……より詳しく言うと地味に違いますが」

 

そう言った途端、ハリーさんの顔が途端に厳しくなり、奥の方でジニーさんを滑り落としたと思われる音が響いた。全く……ロンさんがしっかり掴んでないとダメじゃないの。

 

「そ、それはどういう……」

 

「だから、この人がジニーさんを操ってた訳ですよ。つまりは元凶です……もしかして気づいてなかったんですか?」

 

「君たちが話してたのは……」

 

「?……敵の方との会話ですよ。普通の事です」

 

普通の事……だよね?

 

「ま、手間が省けるからいいんだ。ハリー・ポッター、君のことはジニーから散々するほど聞いているよ。その()()()()()経歴をね」

 

「それは、何が言いたいんだ」

 

「僕は知りたかったんだ。何故君が2回も闇の帝王に打ち勝つことが出来たのか。帝王はその力の大部分を失ったにも関わらず、君はその額の傷一つで済んでいる。一体何があったのか、全て聞かせてもらおうか」

 

「何故そんなことを知りたがるんだ。ヴォルデモート卿は君より後に出てきた人物じゃないか」

 

「ヴォルデモートは――僕の過去であり、現在であり、未来なのだよ。トム・マールヴォロ・リドル、簡単なアナグラムさ」

 

そう言うとリドルは自分の名前を空中に書き出し、それを器用に組み替え始めた……確かに「私はヴォルデモート卿だ」になってる。簡単かどうかは置いておいて地味に凄いね。

 

「この名前は親しい友人に対しては学生時代から使っていた。この僕が汚らわしいマグルの名前をいつまでも使うと思うかい?答えはノーだ。この名前はいずれ、魔法界のすべてが口にすることを恐れるようになると、一番偉大な魔法使いの名になると僕は知っていた!」

 

「小娘一人怖がらせていないですけどね。あー怖い怖い」

 

そう煽ると今まではある程度平静だったリドルの顔が醜く歪んだ。

 

「魔法界なんて小さな世界です。広く見渡せばどこかに人形遣いや大図書館がいるかもしれないのに、その小さな世界に縛られてしまったあなたなんて私と変わらないちっぽけな存在ですよ。私とそう変わらない人にここまで言われるなんて、ねぇ」

 

「……この僕をここまでコケにして、もしや戦うというのかい?」

 

どうやら向こうさんの我慢もそろそろ限界らしい。

 

「それなら、偉大なるサラザール・スリザリンの継承者、ヴォルデモート卿の力に有名なハリー・ポッターと、どこの馬の骨とも知れない生意気な小娘が一人、それと向こうで必死に死にかけのジニーを運ぼうとしている少年の三人で、お手合わせ願おうか」

 

「ハリー・ポッターがなぜ僕に勝つことが出来たのか、なぜ小娘が石化から復活したのかは実践の中で確かめるとしよう……」

 

そう言うと何やら蛇語を話し始めた。ちらりとハリーさんを見ると、意味深に頷き返してきたから、まぁ怪物を呼び出してるとかそんな感じかな。

 

「おいおいどうすんだ!?バジリスクが来たら僕たち程度じゃ粉微塵だぜ!」

 

そう言いながらロンさんがこちらに寄って来た。

 

「ここで何とかするしかありません。どのみちこのままではジニーさんが持たない」

 

「ジニーに攻撃が当たらないようにだけして、あとは僕らで何とかするしか……」

 

私なら時間稼ぎはできると思うけど……有効打がないんだよね。

あのバジリスクに対してとどめを刺すことが出来る何かさえあれば……

 

そんな時、何やら入口の方から深紅の鳥が飛んできた。何やらぼろぼろの布のようなものを私たちの足元に落とすと、その鳥はハリーさんの肩に止まった。

 

「フォークス…?」

 

「きれいな鳥ですね。知ってるんですか?」

 

「ダンブルドア先生が飼っている不死鳥だよ。もしかしたら何か助けに来てくれたのかもしれない!」

 

足元に目をやると、その不死鳥が持ってきた帽子……多分組み分け帽子が落ちていた。

あの先生のことだから、多分何かしら策があるんだろうけど……よし。

 

「決めました。私が時間稼ぐんで、ハリーさんとロンさんで、その帽子でこの状況を何とかする方法を考えてください」

 

「そんな……一人でなんて無茶だよ!」

 

「私に変な力があることは知っているでしょう?大丈夫ですから、早く考えてくださいね」

 

そう言って一歩前へ。

 

「小娘一人で何ができるのか、見ものだな……ほら、来るぞ」

 

「無策ではこんなことしませんよ。窮鼠だって猫を噛む時代ですから」

 

目をつぶる。今回は石になってやるわけにはいかないからね。

 

 

 

さて……弾幕をはりますか。大まかにしか狙いを付けられないからとにかくバジリスクに弾を乱射するしかない。

気配はもう目と鼻の先にまで来ている。近づく音。とにかく大量の弾を……打ち込むんだ!

 

「私に持てる限りの弾幕でもって、ハリーさん達の邪魔はさせません!」

 

気合を入れて一言、それと同時に当たりに爆音を響かせ始める。

今までにないほどのありったけの力を込めての弾幕は、どうやら少しは効いているようだ。

少なくともまだ私は無事だし。

 

「これは凄い!魔法ではないな……まだ僕が知らない力があるとは!」

 

何やらリドルは興奮してるけど、私としてはそれどころではない。

そもそも弾幕をはることがそこまで得意でもないから、幻想郷じゃ考えられないくらい力を込めたところでたかが知れている。

その上少しでも弱まればすぐに形勢は不利になる。このまま押し切る勢いで行かないと!

 

「ハリーさん!そっちはどうですか!?」

 

「まだ何も……あっ!フォークスが!」

 

「フォークスがどうしたんですか!?」

 

「フォークスがバジリスクの気を逸らすように動いてる……今なら狙いを付けることが出来るかもしれない!」

 

目で見て狙いを定められる……?

それならひそかに特訓していた()()が使えるかもしれない!

幻想郷で良く使われるような魅せる弾幕なんかじゃない、ただ当てるためだけの弾幕。

自分の周囲に大量の弾を展開してそこから自機狙い弾を一点に集中させることで火力を出す……多分私の一番強い技だ。

勇気をもって目を見開くと確かにバジリスクはフォークスに上手く気を取られていた。

まだ名前もないこの技、精度だってそんなに良くないけどこれだけ的がデカければ多分当たるはず!

 

「頼むから……うまく当たってください、ね!」

 

祈りを込めて弾幕の核となる弾を展開する。

数瞬の後、それらは一斉に火を噴き始めた。けたたましい音が連続して炸裂し、辺り一帯を煙が覆っていく。

暫くして弾が収まると、シューシューとなっていた蛇の声も聞こえなくなっていた。

 

「……もしかしてやりましたか?」

 

その時、急に視界が大きく移り変わり、体にとてつもない衝撃が走った。

グラグラと揺れる視界の中、自分がバジリスクに吹っ飛ばされたのだと気づくのにはしばらくかかった。

……どうやらとどめを刺せるほどに強力な一撃ではなかったようだね。

これではいけないと体に力を入れようにも言うことを聞いてくれない。

うすらぼんやりとした意識の中、なぜか剣を片手にバジリスクに突っ込んでいくハリーさんを見つつ、視界は暗転し意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

目を覚ました時、視界に入ってきたのは見慣れた幻想郷の自宅でも、ホグワーツの医務室でもなく、ハリーさんの覗き込む顔だった。

 

「良かった……気絶しているだけで」

 

「私は……いえ、あの後どうなったんですか?」

 

「君はあの凄い攻撃をした後、バジリスクに吹っ飛ばされたんだ」

 

そう言う声はロンさんだ。

 

「でもヨーセイの攻撃のおかげでバジリスクは偶然にも目を潰されたんだ。後はハリーが帽子の中から出してきたその剣を使って一刺しってわけさ!」

 

「リドルもこの剣を使って日記を刺したら、酷い悲鳴を上げながら消えていったよ……ほら、ジニーも無事だ」

 

そう言われて、ハリーさんが指さす方を起き上がって見ると、座り込んだジニーさんがこちらを見ていた。目には涙の跡があり、どうやらここでも一波乱あったようだ。

 

「ジニーさん……ご無事で何よりです」

 

「その……私、そんなつもりじゃなくて……でも……」

 

「あら、そんなことはもちろん分かっていますよ」

 

そう言って、いまだに上手く動いてくれない体に鞭を打ち、ジニーさんの元へ。

 

「辛かったでしょう?今はいろんなことをすべて忘れて、気にせずぶちまけちゃいましょう」

 

そう言って抱き寄せると、胸の中でジニーさんが静かに泣き出した。

その静かな泣き声は、怪物のいなくなった部屋の中にしばらくこだまし続けた。

 




はい、これにて一応秘密の部屋編に大まかな区切りがつきましたが、もう少し描写が何とかならないものかと紋々しているまさに今でございます。

今後ちょくちょく編集を加える可能性もアリアリですが、その時はまた告知します。

さて、今回かなり悩んだこととしまして、グリフィンドールの剣のことがあります。
これでバジリスクを倒さないとストーリーに大幅なんてもんじゃない変更が加えられることになるんですが、当初考えていた展開では弾幕のみでバジリスクを倒すことになっていました。
このことに気付いたのがこの小説投稿の約3時間前でして、そこから急ピッチで話を書き直して今に至るわけでございます。
どちらが良かったのかは、おそらく今後自分がどのように話をまとめていけるかによると思いますので、そこは頑張りどころですね。


また大ちゃんが作中、何やら必殺技のようなものを解き放っていますが、これは秘密の部屋に一区切りついてから挟み込むように投稿する予定の番外編で詳しく書く予定です。
弾の動き的には、平面的に説明するとやたら広く拡散して自機に迫ってくる切り返しにくい自機狙い弾と言ったところでしょうか。私、自機狙い弾には相手に弾を当ててやるという明確な敵意がこもっているような気がして、弾の種類の中でも特に好きなのです。
まだ名前を決めていないので、何かいい案でもございましたらコメントの方で言っていただければスペルカード名として採用しそうです。
特に来なければ、ネーミングセンスに定評のない私が何とかひねり出します。


繰り返しになりますが、お待たせしてしまい申し訳ありません。
この小説、こんな出来ではありますが途中で投げ出す気は毛頭ありませんので、付き合ってくれる方がございましたらこれからもよろしくお願いします!

コメント等、待っています!
誤字報告、ほんとに助かります!



それでは!
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