短いですかね?
「おんしらが望むのは〝挑戦〟か────もしくは、〝
刹那、五人と一匹の視界に爆発的な変化が起きた。
彼らの視覚は意味を失くし、様々な情景が脳裏で回転し始める。
白い雪原と凍る湖畔────そして、
「今一度名乗り直し、問おうかの。私は〝白き夜の魔王〟───太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への〝挑戦〟か? それとも対等な〝決闘〟か?」
魔王・白夜叉。少女の笑みとは思えぬその凄味に、再度息を呑む僕ら。
「水平に廻る太陽と・・・・そうか
「流石魔王を名乗るだけのことはありますね。」
「褒めても何も出んぞ。──如何にも。この世界こそ、私が持つゲーム盤の一つだ。」
ぱっと見はノルウェーやフィンランドを髣髴とさせるこの場所。
それが全てゲーム盤だというのである。
「これだけ莫大な土地がただのゲーム盤……!?」
「如何にも。して、おんしらの返答は?〝挑戦〟というなら手慰め程度に遊んでやる。だが〝決闘〟を望むのなら話は別じゃ。私の命と誇りの限りを以て戦おうではないか。」
これは十六夜たち問題児が売った喧嘩。
それを自ら取り下げるなど、格好がつかない。
しばしの静寂の後───諦めたように笑う十六夜が、ゆっくりと挙手し、
「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉。」
「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるということかの?」
「ああ、これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。アンタには資格がある。──いいぜ。今回は黙って
なんとも可愛らしい意地の張り方をした十六夜を見て、腹を抱えて哄笑をあげる白夜叉。
「く、くく・・・・して、他の童達も同じか?」
同意を示す二人と、どちらでもいいという一人。
「も、もう! お互いにもう少し相手を選んでください! 〝階層支配者〟に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う〝階層支配者〟なんて、冗談にしても寒すぎます!」
一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろす。
「それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」
「何? じゃあ元・魔王様ってことか?」
「はてさて、どうだったかな?」
ぐりふぉん が あらわれた。
「本物のグリフォンですか・・・・。」
絶句する一同。
「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。〝力〟〝知恵〟〝勇気〟の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」
白夜叉が手招きすると、グリフォンは彼女の元に降り立ち、深く頭を下げて礼を示した。
「さて、肝心の試練だがの。おんしら三人とこのグリフォンで〝力〟〝知恵〟〝勇気〟の何れかを比べ合い、背に跨って湖畔を舞うことが出来ればクリア、ということにしようか」
白夜叉は虚空から羊皮紙を出現させ、指を滑らせると問題児達にそれを寄越す。
記されたゲーム名は〝鷲獅子の手綱〟。
耀が今までにないやる気を見せていた。
まあ、誰も反対しなかったため、耀がやることが決定した。
「耀。」
「真尋?どうしたの?」
「ちょっとジッとしてて。」
真尋はそういうと目を閉じ、極小さな声で何かをブツブツ言いながら、手で変わった印を結びだした。
しばしの間の後、耀の体が淡く光ったかと思うと、すぐにその光は収まった。
「・・・・なに?今の?」
「私の故郷に伝わるおまじない。」
「・・・・??」
「とにかく頑張って。」
「うん。」
そう言って耀は微笑んでいた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
結果として、耀はグリフォンを乗りこなし、ギフトゲームはクリアされた。
「お前のギフトって、他の生き物の特性を得るギフトだったんだな。」
「・・・・・・違う。これは友達になった証。」
そして、ギフトゲームに勝ったため、白夜叉は〝
「白夜叉様にはこの御四人様のギフトを鑑定していただきたいのです!」
白夜叉はうげっ、と言葉を詰まらせて、
「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなんじゃがなの。」
白夜叉はゲームの商品として、依頼を無償で引き受ける予定だったのだろう。
困ったように白髪を掻きあげ、着物の裾を引き摺りながら四人の顔を両手で包んで見つめる。
「どれどれ・・・ふむふむ・・・・うむ、四人ともに素養が高いのは分かる。しかしこれではなんともいえんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」
「企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「ごそーぞーにお任せするです。」
「うおおおおい?さっきまで敵だった者に自分のギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろうに。」
全員非常に身勝手であった。
流石問題児。
ううむ、と頭をひねる白夜叉。
正直残念な頭の中身をしていることはウサギとの絡みで分かってしまっている以上、真尋はあまり妙案を期待してはいなかった。
しかし、白夜叉は次の瞬間悪戯に成功した子どもの様なニヤリ、という笑みを浮かべた。
「少し贅沢なものじゃが、コミュニティ復興の前祝いだ、受け取るがよい!」
白夜叉がパンパンと柏手を打つと、四人の前に光輝く四枚のカードが現れる。
それぞれに彼らの名前とギフトの名称が記されていた。
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム〝
ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム〝
パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム〝
そして真尋の目の前にも同様のカードがあった。
ゴールドイエローのカードに中里真尋・ギフトネーム〝
「これは・・・ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「
「違いますよ! というか何で皆さんそんなに息があってるのです!?最後のは良く分かりません!」
全員が全員ボケに走ったので、黒ウサギは一人突っ込む。
「ギフトカードというのは、顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの〝生命の目録〟だって収納可能で、それも好きな時に権限できるのですよ!」
「ちょーべんりなかーどなんですね(棒)」
「なんで棒読みなんですか!?」
ぜえぜえと肩で息をする黒ウサギ。
垂れた耳が哀愁を漂わせている。
「そのカード、正式名称は〝ラプラスの紙片〟と言ってな。これ即ち全知の一端、そこに刻まれた名称を見れば、大体のギフトの正体が分かるはずだ」
「へえ? じゃあ俺のはレアケースってわけだ?」
十六夜のカードには〝正体不明〟の文字。
「馬鹿な!?」と驚く白夜叉。
「(さ、流石に全知から私の神格は隠せない・・・か。)」
ひとり遠い目をしている真尋。
ひたすら真顔で控えている店員。
なんだかカオスなことになっていた。