----シリカside----
シリカ「…ん、あ…さ?」
私は耳元で奏でられるチャイムで目を覚ました。ここはどこ…?と思うのもつかの間、昨日の事を思い出した。そう言えば、私、ハチマンさんとアスナさんの家にお邪魔してたんだ。
ふと、私が寝たベッドを見るとユウキさんが気持ちよさそうに寝ている。そして隣のベッドを見るとアスナさんとハチマンさんが寝ていた。
そこまではいい…、いや良くないが。
昨日の段階ではアスナさんがハチマンさんに抱きついて寝ていたのに今現在はアスナさんがハチマンさんに抱きつき、尚且つハチマンさんがアスナさんに抱きついて寝ていた。
私の目がおかしいんだろうか?だってこの2人付き合ってなくてこんなことしてるんだよ!?いつから世界の常識が変わったの?と本気で疑うレベル…。
そんなことを思っていたらアスナさんが起きたようだ。
アスナ「…ん、おはようシリカちゃん。」
シリカ「あ、おはようございます。」
アスナ「うん。あ、ところでユウキは起きてる?」
シリカ「気持ち良さそうにまだ寝てます…」
アスナ「ならシリカちゃんはユウキ起こしてもらえる?私はハチマン君を起こすから。」
シリカ「あ、はい!」
こうして私とアスナさんは2人を起こした後、みんなで朝食をとった。
…それにしてもハチマンさんのあのアホ毛?は重力に逆らって立っているのがすごいな。
朝食を食べ終わった後私たちは転移門へと歩いていた。ユウキさんも来るのかな?と思っていたが
ユウキ「あ、今日僕用事あるから行ってくるよ〜。」
と、朝食を食べてすぐに出て行ってしまった。でもアスナさんにも思ったけどユウキって名前どこかで聞いたような…。
そんなこんなで転移門に到着した。あ、でも…
シリカ「そう言えば私、第47層の街の名前知らないです……。」
アスナ「そこは任せて私達が指定するから。ね、ハチマン君?」
ハチマン「え、あ、そうだな。」
アスナ「じゃあ行こっか!」
シリカ「はい!」
2人「「転移!フローリア!」」
第47層「フローリア」主街区
シリカ「うわぁ。 綺麗な所ですね!」
私は思わず歓声を上げた。
アスナ「此処の層は通称《フラワーガーデン》って呼ばれていて、街だけじゃなくてフロア全体が花だらけなんだよ。 時間が有れば、北の端にある《巨大花の森》に行けるんだけど、今回はそこまではゆっくりしていられないからまた今度でもいいかな?」
シリカ「はい!ぜひよろしくお願いします!」
ハチマン「じゃあ行くか…。と、その前にこれ持ってろ。」
シリカ「これは…転移結晶?」
ハチマン「ああ、もし万が一やばいと思ったらそれ使って勝手に逃げろ。基本俺とアスナがいるから大丈夫だとは思うがな。持ってて損はないはず?だ。」
アスナ「多分使う機会はないと思うけど保険だと思ってくれればいいからね?」
なるほど、なら持っとおけば安全度が増すならありがたくもらっておこう。
シリカ「あ、ありがとうございます!何から何まですみません。」
ハチマン「ま、本当にやばい時は俺が1番に逃げるから安心しろ。」
いやいやどこを安心すればいいんですか!?
アスナ「もう、そんなこといって。捻デレさんなんだから。」
ハチマン「うっせ…。」
アスナさんがハチマンさんの頬をツンツンとつついてハチマンさんは照れているのかそっぽを向いた。…ブラックコーヒー欲しいな。
と、そこで
アスナ「あ、そうだ!せっかくだしシリカちゃんのレベリングをしよう!」
シリカ「れ、レベリング?」
アスナ「うん、ハチマン君があげた装備と今のシリカちゃんのレベルならここの層は問題ないと思うけど、上げといて損はないでしょ?目的地に着くまでだけどやろう。ね?危ないと思ったら私とハチマン君でサポートするからどうかな?」
ハチマン「俺はどっちでも。」
シリカ「私的にはとてもありがいですけど本当にいいんですか?」
アスナ「もちろんだよ!じゃあそういう方向で行こうっか。」
----フィールド----
シリカ「ぎゃあああああ!? なにこれー!? 気持ワルー!!やっやあああ!! 来ないでー。 ハチマンさん。そいつ倒してください!!」
ハチマン「了解。」
するとあっという間にハチマンさんがモンスターをポリゴン化してくれた。
ハチマン「そいつでこうなっていたらこの先大変だぞ。 幾つも花が付いている奴や食虫植物に似たモンスターや、ぬるぬるの触手が山ほど生えたモンスターとか」
シリカ「キエー!!」
アスナ「もう!ハチマン君、シリカちゃんをからかいすぎだよ〜!」
そんなこともありどんどん倒して行ったのだが
シリカ「わわわっ!!」
今度は食虫植物みたいなモンスターが私を宙づりにしてきた。やばい!このままだとスカートの中がハチマンさんに見られちゃう!
と思ったが
ハチマン「あれ?なんか目の前が真っ暗で何も見えん…。」
アスナ「シリカちゃん、今なら大丈夫だよ。」
アスナさんがハチマンさんの目を手で覆って見えなくしてくれた。今なら大丈夫!
シリカ「はっはい!! このっいい加減にしろっ!!」
私は短剣ソードスキル《ラピッドバイト》を叩き込みモンスターをポリゴンに四散させた。
スカートの中はアスナさんのおかげで見られずにすんだのだが、よくよく見るとアスナさんのむ、胸がハチマンに当たってる!?いや、まさか当ててるの!?それとも無意識?
それから何回か倒していき、やっとの思いで《思い出の丘》に着いた。
シリカ「ここに咲く花が……」
花畑の中央に白く輝く大きな岩が見える。私はすぐさま岩に駆け寄り、その上を覗き込む。
しかし…
シリカ「花が…ない。そんな…」
ハチマン「おい、シリカ。もう一回見てみろよ。」
ハチマンさんに言われ私は再び岩の上に視線を戻した。
シリカ「あ……」
柔らかそうな草の間に、今まさに一本の芽が伸びようとしているところだった。二枚の真っ白い葉が貝のように開き、その中央から細く尖った茎が伸びていき、純白の花へになった。私は花の茎に手を触れ、花を取った。
シリカ「これで、ピナが生き返るんですね?」
ハチマン「ああ。」
アスナ「ええ、此処で生き返させるのは危険だから1度街に戻ろっか。」
シリカ「はい!!」
帰りはそれほどモンスターには遭遇しなかった。後は1直線に進むだけだ。ふと、周りを見るとあれ?ハチマンさんがいない?
シリカ「アスナさん、ハチマンさんがいないんですけど?」
アスナ「気にしないで、さっき少し散歩してくるって言ったから。だから先に行きましょう、ね?」
シリカ「そうですか…」
そんな会話をしてから数分後、突然アスナさんが止まった。
シリカ「アスナさん?」
アスナ「……そこで待ち伏せている人、出てきなさい!」
すると、橋の向こうから1人のプレイヤーが現れた。真っ赤な髪、赤い唇、エナメル状に輝く黒いレーザーアーマーを装備し、片手には細身の十字槍を携えている。そのプレイヤーを私は知っている。
それは…
シリカ「ロ、ロザリアさん!?」