青と赤の神造世界   作:綾宮琴葉

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朝になったら少し軽めになっていたので、昨夜に投稿予定をしていた切りの良い話までの分を投稿しました。
続きはまた様子を見てから投稿しようと思います。


第18話 原作への方針と麻帆良学園

 それから一夜が明けて、これからの方針を決める事になりました。フロウくんはいつの間にか纏めるのが得意になってるから、纏め役をしてもらう事に。麻衣ちゃんの知識が多いみたいだから、何かあれば指摘してもうって事で。

 

「それじゃ、この先最初の大きな出来事は原作20年くらい前の戦争だな。俺はぶっちゃけあまり関わるべきじゃないって思ってる。まぁジャック・ラカンは殴りに行くけどな」

 

 関わらないって言ってるのに関わるんだ……。

 

「なぜそう思う?主人公様か?しかしそいつはまだ生まれていないのだろう?」

「あぁ、けれどその父親が勝手に解決してくれるはずだ。それに戦争って事は利益や領土といったものが必ず絡む。そこにわざわざ巻き込まれに行くのは得策じゃない」

「だからって、戦争で傷つく人を見捨てて置けないと思うよ?」

「それはそれで救助隊や野戦病院だってあるだろう。間に合わない所は助けに行けば良い。ただし消極的にな。シルヴィアの目立ち具合は半端じゃない」

 

 う、それは確かに。こっそり魔法を使ってるだけで魔女狩りが来り、天使様って崇められたりしたけれど。

 

「……たしか、サウザンドマスターが、戦後の救助活動で、有名になったと思います」

「ほう。随分と立派な英雄様だ」

「魔法の力技馬鹿ってイメージしかなかったんだけれどなぁ。覚えてねぇな」

「うん。でも一応は見て回る、と思う」

 

 全員助けられる事はできないけれど、助けられるはずだった!って事にはしたくないよね!

 

「ナギと言ったか。私もそのサウザンドマスターには会ってみるとしよう。しつこくない程度にな」

「お姉ちゃん、気をつけてね?」

「もちろんだ」

「それじゃぁ次。原作の開始だ。主人公はお約束なのか最初は未熟っぽい。ネギ坊主は放っておくか?」

 

 魔法使いなんだよね?未熟って事は制御と集中力が足りないって事なのかな?魔法がちゃんと使えてるみたいだし、イメージ力はあるみたいだね。

 

「本人を見てからだろう。あまりにもダメならけしかければ良い。その時の状況でうまくやればいいさ」

「うん、魔法使いが居る学校みたいだし、大人の魔法使いがちゃんと指導するはずだよね?」

「それから、仮契約者たち。結局2003年の夏に大々的に巻き込まれるわけだからどうしようもないんだろうが、どう思う?」

 

 契約かぁ。私が本契約すると大変な事になっちゃうし。今までに重い契約はした事が無いんだよね。普通の人は仮契約してもアーティファクトがたまに出るだけで、そんなに重い事にはならないみたいだけど?

 

「そのネギという主人公が全員の面倒を見きれるとは考え難い。周りもサポートはすると思うが、こちらで面倒を見れることがあれば、こっそり見てやる程度だろうな」

「……あの、結構どたばたしてて、無理やり仮契約したり、されてたりしたと思います」

「何なんだそれは……」

 

 か、軽いなぁ~。契約って結構重いと思うんだけどね?仮契約だと全然気にしないのかな?私が気にしすぎ、じゃないよね?

 

「まぁ、それくらいか。あとは、シルヴィアの転生者探しか?」

「うん、生まれてくる年代が近づけばある程度の情報が出て、本人の目の前なら詳細が分かるよ」

 

 そうだね!後1人!今度は皆がいるから、ちゃんと協力して助けに行こう!

 

「情報屋とかを上手く使っても良いと思うぜ?あと時代にもよるな」

「あ、そういう方法もあるんだ」

「馬鹿みたいにひたすら世界中飛び回らなくて良いぞ」

 

 ば、馬鹿じゃないもん!必死だっただけだよ!

 

 

 

 

 

 

 それからは皆で修行をしたり、旅行に行ったり。そんなある日、フロウくんが「そういえばこんな事もあろうかと思って……」とか言い出して、メガロの私の家の地下深くに、世界間転移ゲートを設置してきたそうです。

 

「転移室には出入り口は無い。基本的にそこから転移魔法で外に出る仕組みだ。遠見の魔法の魔法具やちょっとしたものも置いてきた。こっちで世界樹の魔力とシルヴィアの魔力で波長を調整して、特定の方法以外で使えない様にして結界を張れば、他に誰も使えなくなるゲートの完成だ」

 

 そんな事を言って、私達専用の世界移動手段を手に入れてしまいました……。

 

 100年くらいしてから、エヴァちゃんとアンジェちゃんは、しばらく2人で世界を見回りたいと言い出したので、いったん別れることに。戦争の前には戻ってくるそうです。

 

 フロウくんもある程度定期的に、魔法世界≪ムンドゥス・マギクス≫と行き来したりして、基本的には麻衣ちゃんと2人で過ごす時代も有りました。

 時には世界樹を求めて来る人や妖怪も居たんだけれど、悪意に反応する結界を張っていた事で悪い人には利用されず、世界樹の恩恵が必要な場合はそのつど交渉をして、対価を貰ったりしていました。

 

 

 

 

 

 

 ――さらに約300年後。

 

「シルヴィア。メガロの奴等がついにこっちに来るみたいだぞ。認識阻害は使うけれど、基本は俺と2人で交渉だな。場合によっては力を見せる事になるかもしれない。必要があれば麻衣は世界樹の魔力をコントロール出来る範囲で良いから動かしてくれ。姿は見せなくて良い」

「うん、わかったよ」

「……はい、やってみます」

 

 

 

コンコン

 

「失礼。どなたかいらっしゃるか?」

「はい、どちら様でしょうか?」

「私どもは地質とその土地の植物研究を行っているものです。こちらの御神木の調査をさせて頂きたいと考えて来たのですが……。周囲で調査したところ、木の側にある家の方が土地ごと管理されていると聞きましたもので、ご相談させて頂きたいのですがよろしいですか?」

 

(白々しいな。はっきり世界樹をよこせって言うのかと思ったぜ)

(それはいくら何でも強引じゃないかな?世界樹の周りには結界が張ってあるから、魔法使いなんだし、さすがに気づいてると思うよ?)

 

「まぁ、どのような研究をなさいますの?よろしければお聞かせ願いますかしら?」

 

(フロウくん、またそれなの?)

(これが1番分かりやすいんだよ)

 

「私達は御神木と共に生きている者です。そう安々と調べさせて欲しいと言われましても、簡単には差し出せません」

「それは困りました。私どもも引くに引けない事情がございまして、お金でしたら相応の用意はございますが……。何かお求めのものがあれば用意する準備はあります」

 

 そう言って、魔力を高める数名の男達。こちらが女2人と見て、いざとなれば強襲する様子が見て取れた。

 

(こいつら拙いな……。いきなり手の内を晒すか?しかも弱え)

(比べちゃダメだと思うな~)

 

「申し訳ありません。力づくで物事を解決しようとする方と、これ以上の交渉はできませんわ。お引取りいただけて?」

「それは残念だ。おい!」

「「「はっ!」」」

 

 交渉に当たっていた男の掛け声で、数名の男達が戦闘態勢を取る。

 

(麻衣!魔力を高めろ!)

(はい!)

 

「(遅延呪文)開放! 魔法の射手・戒めの風矢!」

「咸卦法!」

 

捕縛魔法を待機させていた私は、遅延呪文で発動して男たちを捕縛。

 

 フロウくんは麻衣ちゃんへ念話を送り、発光こそしないものの世界樹の魔力が急激に高まる。そして右手に気、左手に魔力を纏わせて合成。咸卦法を発動させ、交渉していた男の前に立ち言い放つ。

 

「正当防衛、ですわよね?これ以上荒事で交渉されるのでしたら、物言わぬ骸を晒す事になるかと思いますが、いかがでしょうか?」

「気と魔力の合一(シュンタクシス・アンティケイメノイン)!?こんな島国の小娘が究極技法(アルテマ・アート)だと!」

「馬鹿な、何だこいつらの魔力は!しかも世界樹の魔力を操っているだと!?こんな奴らだなんて聞いて無い!」

 

 明らかにうろたえた様子の男たちに向かって、先程の争いを感じさせない穏やかな表情を作って話しかける。

 

「私達は手荒な事は望んでいません。どうか冷静なお話をお願いします」

「ぐ……!」

「失礼。お嬢さん方。後から来て申し訳ないが、交渉を続けさせて貰えないだろうか」

「どちら様でして?彼らよりも冷静なお方かしら?」

「それはもちろん。我々にも引けない事情がある。部下の非礼はこのとおり詫びよう。」

 

 そう言った壮年の男性は、頭をきっちりと下げこちらに向き合ってきた。

 

 

 

 ――それから交渉を続け数時間。

 

 予想通り学園都市を建設したいという話でした。今回は内容を詰めて一度解散。彼らが組織の責任者に内容の確認を取るという事になり、再び交渉の席を設けて、契約を取り交わす事になりました。

 

 

 契約内容は――、

 

 

 『シルヴィア・A・アニミレス(世界樹と、その土地を管理する者)及びその身内』を以後『管理者』とする。

 

 『魔法使い人間界日本支部』に身を置く関係者を、以後『学園関係者』とする。

 

 『学園関係者』には一般人を含まない。ただし籍を置くものはその限りではない。

 

 

1、『学園関係者』は『管理者』の者や家等へ攻撃をしない。

 

 『管理者』や家が増えた場合は、学園側に通達をする。

 

 攻撃とは、魔法や薬それに準じた手段を使う事。また過剰な身辺調査を含む。

 

 これらが破られた場合は、報復として関わったものを一方的に処罰する事が出来る。

 

2、『管理者』は『学園関係者』への理由無き一方的な攻撃をしない。

 

 攻撃とは、物理的・魔法的な身体への害である。

 

 これが破られた場合は、謝罪と世界樹の葉を一定枚数提供。その年と翌年の後述の土地の使用料を無料化。

 

 例外として、理由があり攻撃した場合は、後に説明をする。

 

3、世界樹に関しての調査は、傷をつける事を認めない。一般人を使ってもならない。

 

 調査の際は依頼という形を取り、あらかじめ計画書を提出。採取は別件とする。

 

4、世界樹の葉・枝等の採取は、あらかじめ資料を提出。

 

 内容を確認し、問題の無い場合は対価と交換。

 

5、『学園関係者』は世界樹の周囲に建造物を造らない。魔法を含めた監視をしない。

 

 破られた場合は1に順ずる。

 

7、建造物は世界樹を覆ってはならず、一定の距離を保つ。

 

 破られた場合は1に順ずる。

 

8、『学園関係者』は建造物の土地の使用料を年単位で更新。

 

 使用料は時代に見合った金銭を支払う。

 

6、必要な人材を『管理者』に求める場合は、依頼という形をとる。

 

番外として、

 

 全ての契約は『学園関係者』が撤退の意思と行動を示すまで有効とする。

 

 『管理者』は身内と世界樹に対して『学園関係者』が有害であると判断した場合、強制的に処分する事ができる。学園は理由を求める事が出来る。

 

 契約の変更は、両者の合意の下で行う。

 

 

 こんな感じの内容になりました。結構細かくて厳しい内容の様な気がするんだよね~。

 

「要するに、余計な事はするな。手伝って欲しいときは依頼しろ。って事だ。これでも甘いぜ?もっと足元見てやっても良いくらいだ」

 

 甘いらしいです……。

 

 それから段々と人や資材が集まって学園の建設が開始。建設が始まる頃にはエヴァちゃん達が戻ってきた。旅の間には色んな事があったみたい。

 2人は世界樹から少し離れて比較的学園に近い場所に、新しくログハウスを建てていました。

 

 私は自分の家があるのでそのまま自分の家を使う事に。けれど、気になっていた最後の転生者。新しい時代を迎えても情報が本に現れないまま、時間だけが流れてしまいました。

 

 そして1900年後半。

 ついに魔法世界は戦争の雰囲気を纏わせ始めた――。




契約内容に関しては、執筆当時にネタとして使うかどうかの前に『現実的に考えてこんなことはありえる』と言う考えを元に細かに作ったものです。
本編中に細かな内容を駆け引きに使うことは無いので、覚えて頂かなくても大丈夫です。

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