青と赤の神造世界   作:綾宮琴葉

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少し会話回が続きます。戦闘描写を続けた後なので、物足りないと感じるかもしれません。
内容の進展というよりは、タイトル通りの確認回になります。


第45話 話し合い。これからの事。

 修学旅行が終わった翌日、学園長の依頼についてきちんと話し合いをしておこうと言う事で、私達はエヴァちゃんの家に集合しています。それにネギくんが来て大分経ったから、今後の確認もちゃんとしておこうって事で話し合いの最中です。

 それから茶々丸ちゃんには悪いけど、プライベートだから録画をしない様にお願いしてあります。

 まず最初はネギくんの修行の話。それと他の一般生徒が魔法の事を聞いて来た時の対応の打ち合わせかな?どっちも学園長からの依頼と、契約書の結果なんだけど。出来るだけ悪いようにはしたくないんだよね。

 

「エヴァちゃんはネギくんの事どう思う?」

「知らんな。それにぼーやが懇願して来たら、という話だろう?それに二度も茶番をする気は無いぞ?」

「だがな、これからもネギ坊主と3―Aが騒動の中心だってのは間違いない。頑張ってもらう事に越した事は無いぜ?」

「ふん。それならお前が見てやればよかろう?仮に私が見るにしたって、タダで教えてやるのも癪だな。そうだな、どうしてくれようか……。ふふふ」

 

 やる気は無いって言ってるけど、実は乗り気になってたりするのかな?あんまり変な事しないと良いんだけどね。この間の事もあるから、変な悪巧みをしないように、ネギ君がエヴァちゃんのところに来た時は、ちゃんと見張っていないとね。

 

「その事ですがマスター。ネギ先生は古菲さんに中国拳法を教えて欲しいと頼んでいました」

「なんだ。ぼーやは魔法使いは諦めたのか?」

 

 え、そうなの?もしかしてこの間の事がショックで魔法使いをやめる……なんて事は無いね。あの異様にキラキラした目つきを見たら、魔法使いをやめるというか、マギステル・マギを目指すのを止めるなんてとても思えないよ。

 それにしても何で中国拳法なのかな?茶々丸ちゃんは何か理由を知ってたりする?

 

「先日のフェイトと名乗る少年対策の様です。相手の動きが複合的な中国拳法であった為かと考えられます。古菲さんにもその様な事を話されていました」

「あの詭弁のガキか……」

「ふぅん……。て事は魔法拳士にでもなる気か?おもしろい。千雨。やっぱりおまえネギ坊主に喧嘩売って来い」

「やらねぇよ!何でそうなるんだよ!」

 

 なるほどね。ネギくんの今のスタイルは後衛型の固定砲台のスタイルだものね。湖の祭壇でフェイトくんと戦って、目の前で体術と魔法で圧倒されていたみたいだから、それを考えたら体術も必要って考えたのかなぁ。

 それにネギくんはかなり怒ってたみたいだし、フェイトくんの事を相当気にしてるんだねぇ。それともまさか、ただがむしゃらに強くなりたいってだけだったりは、しないよね?

 

「良いじゃねぇか。ジジイに契約させた条件だ。こっちに来たらボコボコにしてやろうぜ?」

「修行方法に口を出さず、結果はぼーやの責任で、と言うやつか。先日の様な手心は加えずにとことんやれと言った所だな」

 

 程ほどにして欲しいんだけどね?エヴァちゃん達が本気でやってネギくんが再起不能になっちゃっても困るかね?うん?どうしたの千雨ちゃん。夕映ちゃんの事?この間助けたからやっぱり気にしてたんだね。

 う~ん、夕映ちゃんとは席が隣だったよね。それじゃぁ、きちんとどうするか考える様に言っておいてくれるかな?私達と学園との関係まで言わなくて良いけど、魔法の世界に踏み込むのと踏み込まないのでは大きく人生が変わっちゃうからね。

 

「分かった。ちゃんと考える様に言っとくよ」

「他の奴らでも同じだな。面倒見切れねぇからしつこい様ならネギ坊主にでも押し付けるか?慈善事業じゃねぇんだ」

 

 え、それって結構な人数だよね?明日菜ちゃんとのどかちゃんがいて、修学旅行で関わった四人も加わって、そうするとネギくんがとても大変な事になっちゃうよ?今年の夏には3-Aの生徒達が魔法関係に巻き込まれるのは分かってるけど、今の時点で踏み込まずに戻れるなら、安全面とも含めてその方が良いと思うからね。

 

 って、エヴァちゃん!?ネギくんに覚悟を示してもらう事にするって何!?前みたいに意地の悪い悪戯はだめだよ?ちゃんとフェアに解決する方法じゃないとお金を取らないって契約した意味が無いよ?分かったって本当?フロウくんも考えておくなんて言ってるけど、そんなにやり笑いをしながら答えても説得力がないよ……。

 千雨ちゃん、エヴァちゃんがネギくんに変な事言い出さないように見張っててね?そんな、無理とか言わないで出来る範囲で良いからね?

 

 

 

 うんそれじゃ、ネギくんと今回関わってしまった生徒達の放心決めはこれで終わりね。そうしたらさ、後は今後の事の話をしたいんだけど良いかな?確認しておきたい事もあるからね。

 

「あぁ、原作の話しだな。そんな話をするって事は京都で何かあったか?」

 

 ちょっとね。確かにこれからの事も話したいんだけど、京都でフェイトくんって名前の男の子と戦ったんだ。白い髪のいつも半目になってる石化魔法の使い手なの。一度目は青年に成長した姿だったんだけど、戦った時はネギくんと同じくらいの身長に若返ってたんだよね。だからちょっとどっちが本当の姿か分からないんだけどね。

 

「フェイト……!?」

「あの詭弁のガキだな。シルヴィアの鍵の魔法に興味があると言っていたか?世界を救うためだと言って鬼神を復活させたが理由が掴めん。アレを使わんでもそれ相応の実力はある様に見えたぞ?」

「……思いだしたぜ!あいつは完全なる世界≪コズモエンテレケイア≫だ!それからシルヴィアの鍵の魔法の『リライト』だ!」

「え!?それって『セフィロト・キー』の?」

 

 吃驚したー。フロウくんてば急に大声上げるから何かと思ったら、まさかここで『リライト』がまた出てくるなんてねぇ。しかも『完全なる世界』?あれって、20年前の大分裂戦争を裏で操っていた秘密組織だよね?

 

『彼らは世界を滅ぼすつもりです』

 

 なんて事を紅き翼≪アラルブラ≫のアルビレオさんが話していたんだよね。それってどう言う事かな?フェイトくんは世界を救うって言ってたのに滅ぼす?

 でも私には『良い返事』を期待してるって言ってた。フェイトくんの期待って言うのは、間違いなく『セフィロト・キー』と『リライト』だよね?誰かを救いたいって思ってるのかな?

 

「あぁ。もううろ覚えだが原作知識だ。実は最初シルヴィアの『リライト』で死ぬと思ったんだ。原作でアレを食らったやつが次々と消滅してたからな。原子分解魔法≪ディスインテグレイト≫って言ってた奴がいた気がする。だがシルヴィアのは逆に再構成だ。それで転生者を全部救い終わって、もう必要無いって思ってた」

 

 げ、原子分解ー!?女神様ってばそんな危ないアイテム私に預けてたの!?でも、実際は大丈夫だったんだよね?じゃ無かったらフロウくんはここにいないし……。いや、その確かに女の子にしちゃったけど、もともとその雌竜だったじゃない。今ここで蒸し返されても困っちゃうよ。

 えぇと、とりあえずね?フェイトくんが世界を救うって言うならば、その魔法を使うのはおかしいよ?アルビレオさんが言うように、世界を滅ぼす為の魔法って言うなら考えられるけどさぁ。

 

「ならばそこに何か理由が有るのだろう。あの鍵の魔法は魔法理論を大幅に無視していた。おそらく奴にとってそこが重要なのだろう。世界を救うだの言っても矛盾だらけだ。現時点で敵だという事には違いない。盾突いてくる様なら叩き潰せば良い」

 

 エヴァちゃん、それはまた極端だよ。たしか別の面から見たらそれはそうかもしれないけど、世界を滅ぼす組織と、世界を救いたいフェイトくん。もしフェイトくんがその組織の中で悩んでいるなら、私は話を聞いてみたいって思うよ。

 あれ?そう言えば『グレートグランドマスターキー』は?あれも鍵だよね。女神様が、鍵を手に入れる事で世界を存続させるって言ってたし、もしかしてあの鍵でも誰かを助ける事が出来るって事?

 

「さぁな。とりあえず気にし過ぎんなよ?フェイトと戦う事になっても、あの本に『リライトの影響を受けません』って書いてあったはずだ。最悪は俺達が向かえば良い。だから余計な心配はするんじゃねぇぞ?」

 

 うん。ありがとう。とりあえず私達転生者フェイトくん、というか完全なる世界の魔法に対抗する手段があるって事だよね。気を付けなくちゃいけないのは、千雨ちゃんにエヴァちゃん達だよ?分解なんてされたら、さすがに治療は難しいと思うからさ?

 

「あぁ、必死で避ける。分解なんてされてたまるかよ。さすがにそれで直すとか無理だろ……」

「要は食らわなければ良い。どんな効果があると言っても魔法なのだからな。発動と着地点に気を付ければどうと言う事は無い」

「ハイ。ご忠告ありがとうございます」

 

 本当に気を付けてね?特に千雨ちゃんは生身だから、治癒魔法で直すのにも限界があるからね。エヴァちゃんなら再生が得意だから全身で受けなければ何とかなるかな?茶々丸ちゃんは、ロボットだからなんて言い方はしたく無いけど、無理な事はしないでね。皆、大切な家族だって思ってるんだからさ?あ、そうだ、こっちの事も確認しておかないと。

 

「皆に聞いておきたい事があるんだけど、誰か『グレートグランドマスターキー』って聞いた事あるかな?」

「何だそれは?お前の『セフィロト・キ-』以外にも魔法の鍵があったのか?私は知らんぞ?」

「記憶が擦れるくらい、むか~~しに言ってた使命の話しか?……俺も覚えてねぇな」

「麻衣ちゃんにアンジェちゃんは何か覚えてる?」

「……覚えて無いですねー。前に言った分だけですよ」

「私はお姉ちゃん事くらいだよ~。漫画も最初しか読んでなかったもん」

「フフ♪私の事だけを覚えて居てくれたとはな。さすがはアンジェだ!」

「わ~い♪お姉ちゃ~ん♪」

 

 あ~、うん、いつもの事なんだけど仲良いよね。抱き合っちゃってるし。二人とも幸せそうな顔をしてるけど、みんなも呆れ顔になっちゃってるよ?とりあえず話を進めようかな。

 

「それじゃ『造物主』って誰か記憶にある?夏が近づいて来たけどぜんぜん情報が無いんだよね」

「思い出せねぇな……。それが何だ?」

「その造物主って人が、『グレートグランドマスターキー』の持ち主だって聞いてるんだよね」

「例の今年の夏の話か。そいつがフェイトと関係あるのかどうかなんて分からねぇぜ?」

「何だ。分からない事だらけじゃないか。だが結果的にそいつとは戦う事になるんだろう?」

「うん、それはそうだね」

 

 これは私がこの世界に居る使命だからね。女神様は必ず倒すようにって言ってけど、どんな人か解らないって言うのがネックなんだよねぇ。今の時点でどんな事をしてる人なのかも分からないし、戦争を起こすなら単純に悪い人なのかな?だからって決め付けはよくないし、フェイトくんみたいに話が出来るかもしれないよね。

 

「まぁ。あんまり気にすんなよ。分からねぇ事だらけって言っても。戦う事は分かってんだ。それまでに備えられる事は備えれば良い。現時点で戦争の空気なんて欠片もしねぇぜ?」

「そうだね……。でもフェイトくんには会う事があったら話をしてみるよ」

「それ相応の実力者だ。いかにお前の魔力が高いと言っても気を付けろよ?」

「うん、ありがとう」

 

 後はこれから起きる事だね。私達だって何が起きるかはっきり分からないから、予測を立てて情報収集をするくらいしか、今は出来ないけれど、分かってる事を大きく纏めると……。

 

 

・もうすぐ始まる麻帆良学園祭中にトラブルが起きるという事。

 格闘大会でネギくんが結構頑張るという事。

 仮契約者が増えるという事。

 

・今年の夏に魔法世界≪ムンドゥス・マギクス≫に行って、大きな戦いがあるという事。

 

・グレートグランドマスターキーの能力も場所も解らない。

 鍵の持ち主の造物主は誰か分からない。

 

・そしてフェイトくんは完全なる世界に関係があると言う事。

 『リライト』に気を付けないといけないと言う事。

 

 

 とりあえず今、気を配らないといけないのは学園祭かな?夏の事は私達だけじゃなくて、ネギくんや明日菜ちゃん達こそ魔法世界に行く事になると思うから、結局は学園長が修行を見てくれって言っていた事に繋がると思うんだよね。

 

「そうだな。とりあえずネギ坊主はボコボコだな。俺は格闘大会が気になるぜ?」

「な、なんか違わないかな!?」

「ふむ、格闘大会か……。麻衣は何か覚えているのか?」

「ちょっと!フロウくんてば!」

「……ネギ君が出た事くらいですねー。ぜんぜん覚えて無いですよ」

「もう、全然聞いて無いじゃない」

 

 それでもやっぱりネギくんのレベルアップは必須だよね?今回の修学旅行で色々と学ぶ所があったと思うんだけど、ネギくんは糧にしてくれてるかな?

 学園祭が六月末だから、それまでにある程度実力を付けてもらわないと夏に間に合わなくなっちゃう。って、あれ?もしエヴァちゃんの弟子になったら、ダイオラマ球って多分使うよね?もしかして最悪ネギくんを年単位で放り込んだりとか……。流石にしないよねぇ?

 

「まぁ良いじゃねぇか。最悪千雨が何とかするぜ?」

「だから何で私ばっかりそういう役なんだよ……。お前の方が強いだろ?」

「だから俺より強くなってもらうんだよ。アーティファクト使い切れてねぇだろ?あと魔力制御と咸卦法も上手くなれ」

「無茶ばっか言うなよ……」

「と、とりあえずさ、格闘大会以外も何かあるんじゃないかな?」

「そればかりは分からんな。各自で周りながら警戒しかあるまい。あとは結界を張り巡らすか?」

「そうだね。麻衣ちゃん、世界樹の結界お願いできる?」

「……はい。大丈夫ですよー」

「あとネギ先生の仮契約はどうするんだ?多分、クラスメイトなんだよな?宮崎の事考えたら綾瀬とかか?他には朝倉くらいか?アイツはやめて欲しいんだがな……」

「うーん。契約者が増えるのは妨害しても起きるはずだし、様子を見る事しか出来ないかも?」

「マジか……。見てるだけってのはツライぞ」

 

 あんまり気にしないでね?千雨ちゃんが日常を大切にしたい気持ちは分かるからさ。

 魔法使いの道に入る事しかなかったのは何とも言い難い所はあるんだけれど、千雨ちゃんがある程度は割り切ってくれてるのは分かってるよ。私達だって出来るかぎりサポートはするからね?

 

「取りあえずこれくらいか?それだったら今度メガロのゲート開いてくれるか?ちょっと調べ物とかしてくる」

「え?あっち行って来てくれるの?」

「あぁ、情報屋とかも当たってみる。まぁあまり期待しない方が良いぜ」

「うん。解ったよ。よろしくお願いね」

「おう。こっちの事は任せたぜ」

「……逃げた様に見えるのは私の気のせいかよ?」

「よし。じゃぁグラニクス行くか?一ヵ月くらい」

「断る!誰が行くか!」

「くくく。それじゃネギ坊主の相手だな」

 

 なんて話をしながら盛り上がりつつ、今回の話し合いは終了です。まずは次の登校日――来週の月曜日だね。そこでネギくん達の姿勢を確認して、それからフロウくんの情報を待つ事になりました。


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