詳しくは8/8(水)の活動報告を見てください。
「おはよーアスナ~」
「おはよ木乃香、ってネギあんたはまたー!」
「す、すみませーん!」
あははは。アスナは朝から元気やなぁ。ネギ君もお姉さんが恋しいのも分かるけどそろそろお姉さん離れせんとアスナに怒られっぱなしやで~。それにしても何やら不思議な感じや。この間の修学旅行であんな事があったのに、もうすっかり元通りの生活やなんて。そうは言ってもウチもあれからはちょっと普通の人から離れてもーたなぁ。って、二人ともいつまでやってるん? アスナは新聞配達のバイト行かんでええの?
「げ!? もうこんな時間!」
「アスナさん急がないと遅れちゃいますよ!」
「言われなくても分かってるわよ!」
アスナはご飯はええの? 戻ってから超包子で何か摘まむ? ほんならネギくんは? くー老師と修行してから超包子のお世話になります? 何や二人ともすっかり常連さんやなぁ。最近はウチのご飯食べてくれへんから寂しいで? って、あ、二人とも走って行ってもうた。うーんどないしよ。せや、それならせっちゃん所に持っていこうか。龍宮さんの分も持ってったら喜ぶかなぁ?
「せっちゃんおるー?」
「お、お嬢様!?」
「なんだ刹那。そんなに慌てる事か?」
二人ともまだ朝日が昇る時間なのに早起きさんやねぇ。アスナたちはバイトと修行に出かけてもうたから、朝御飯作ってきたんよー。一人分作るよりも、沢山作って皆で食べた方が美味しいと思うんよ。
「い、いや、そそその、私ごときが恐れ多い」
「刹那、毎朝それやっているぞ。いい加減観念したらどうだ」
「た、たつみた! ――くっ!」
あは、せっちゃん噛んどるでー。そーやって慌てとるせっちゃんもかわええけど、やっぱりウチとしては笑っててほしいねんな。そんで二人とも手洗ってご飯にしよか。今日は千草さんのところで貰ってきた京野菜を使ってみたんよ。龍宮さんは京の味には慣れへんかもしれんけど、せっかくの貰いもんやから食べてみてー。
「食事は傭兵の基本だよ。何だって食べるさ」
「そーなん? それって美味しくないもんでも食べるって聞こえるで?」
「た、龍宮! 貴様お嬢様の作った朝食が不味いというのか!?」
「そうは言ってないさ。十分美味いと思っているぞ?」
お、せっちゃん、そんなら味見してくれへん? はい、あ~ん。って、何でせっちゃん逃げるん? 美味しいって思ってくれてるやろ? そんなら味見してくれんと、ウチ……ショックでもう作れんようになってしまうかもしれへん。
「そんな事ありません! お嬢様の朝食は日本一です!」
「はい、あ~ん」
「むぐ!?」
よし、今日も平和や~。せっちゃんの餌付けも済んだし、龍宮さんも食べてくれとる。って食べ終わるの早いなぁ。もっと良く噛まんと身体に悪いで。アスナもネギ君も、エヴァちゃんの弟子入りテストが終わったらまた食べてくれると嬉しいんやけどなぁ。
「ですからここの前置詞と――」
うーん、ネギくん朝から修行してんのにタフやなぁ。授業中に眠くなったりせぇへんのかな? そういえばアスナも新聞配達終わってからせっちゃんに剣道習ってるんやったなぁ。眠くなったり……って寝てるやんか! アスナー授業中やでー? 大声は出せへんし頬っぺたつついてみよか?
「た、高畑せんせー。むにゃ」
アスナは夢の中まで高畑先生出てくるんやなぁ。むむ、もっと突いたらなんか言わへんかな? アスナの夢が気になってきてもうた。つんつん。アスナ君。今日はかわいいね。何て声もかけてみたらどうなるんやろか?
「え、えぇぇ!? そんな高畑先生! 私、その――あっ!?」
「アスナさん!?」
あ、アスナ~流石に反応しすぎや。教室の空気固まっとるで。ってまだ夢見とるん? 高畑先生はここにはおらへんよ? どこに行ったってゆーても夢は夢や。そろそろ座って授業に戻らへんとネギ君固まったまま可哀想やで? ってあかん。いいんちょがもう立ち上がってもうた。
「はぁ。まったくこのおサルさんは、ネギ先生の授業がそんなに眠たくなるのですか!」
「違うわよ! 高畑先生返しなさいよ!」
「何を言ってるんですの? まだ寝ぼけて――」
「むきぃーー!」
「ホホホホ」
あー、あかん。始まってもうた。食券の賭けもいつも通りや。んーどっちが勝つか?多分アスナやない?最近色々やっとるし、現実離れしてきてもうたからなぁ。っておたがい頬っぺた引っ張っとるだけやないか~。これじゃ決着つかへんで?
「皆さん落ち着いてー! やめてくださいー!」
ネギ君もテンパって来てもうたなぁ。誰か止めてくれへんかなぁ。具体的にはせっちゃんとか千雨ちゃんとか。ってせっちゃん微笑ましいものを見る目になっとる。よー笑うようになったなぁ。昔はこんな風に笑っとったのに最近は愛想悪なって心配しとったんよ。修学旅行は大変やったけど、ほんま千雨ちゃん達には感謝せんとあかんなぁ。
「ありがとな、千雨ちゃん」
「な、何だいきなり。つーか、この騒動は近衛にも責任あんだろ?」
「ウチはアスナ突っついただけやん」
「あぁ、そうかよ……。はぁ」
あらら、呆れられてもうた。でもホント感謝しとるんやで? なぁせっちゃん。とりあえず感謝の気持ちを込めて千雨ちゃんに笑いかけとこか。にこにこーって感じや。ってなんで千雨ちゃん目をそらすん? 追いかけたくなるやん?
「ちょ、マテ! 私を巻き込むな!」
「ええー、ええやん。ありがとな~」
「こっちも始まったぞー!」
「お、ま、え、らー!」
あははは、ほんま平和や~。こんなんが続くんなら、修行の大変さも苦にならへんな~。って、ネギ君泣きだしてもーた。ごめんな~。ほんま嬉しかったんよ。それにネギ君も沢山頑張ってくれたから、いつかお礼せんとアカンね。
「それではお嬢様。今日は小太郎も刹那もおるさかい。式神をつかった模擬戦と行きましょうか」
「はい! よろしくおねがいします、千草さん」
「お嬢様、敬語はあきまへんて言うたやないですか」
そないな事ゆーても、教えてもらってる立場やもんなぁ。将来は立場上偉そうな言葉使いせなあかんかもしれへんけど、今は千草さんにそうゆーのはしとうないんよ。ほんまは天ヶ崎先生とか千草先生とか呼びたいんやけど、そこまですると逆に怒られてまうからなぁ。ってあかん、修行中やった。
「それではお嬢様」
「うん、行くでー」
「ま、あいつらだったら俺も遠慮なく殴れるわ」
「小太郎、お前はもうちょっと精神修行が必要や」
コタ君はフェミニストやからなぁ。女の子殴れんてゆーのは紳士やけど、ほんま女の子に襲われてもーたら、千草さんがの言うとおりやね。それじゃ今日は式神の兵士を作って、二人と戦わせるんやったね。陰陽術は五行思想ゆーて、火、水、土、金、木。それから陰と陽を自然を照らし合わせた術や。ウチはあんまし攻撃的な術は向いてない言われてもーたけど、式神を作ったり、自然に干渉したり治療術なんかの方は向いてるらしいからそっちを中心に習っとる。
「そろそろ始めますえ、お嬢様」
「うん、いつでもええよ」
よし、そんなら呪符を出して魔力を込めようか。陰陽道は身体の内側の力。気ってゆーのを使って術にするんやけど、ウチの場合は魔力の方が大きいらしい。気と魔力の違いは、生命力とか体力を使って術や技にするか、精神力で生まれもった魔力の器に、身体の中と外の自然の魔力を循環させて使うかの違いらしい。よー分からへんけどね。
あかんあかん、話がそれてもーた。集中せな。今日は土の人形を作ってから、金の属性で強化してみよか。そしたら呪符に魔力を込めて~。……よし、このまま材料の土の山に呪符を張ってと。うん、出来が良いか分からへんけどとりあえず人型になった。大体ウチと同じくらいの大きさやね。そのままもう一つの呪符にも魔力を込めて、砂鉄の山にも呪符を張って~。……うん、これで完成や。
出来上がった式神は、なんとなく人間の形をしとる。手と足の攻撃する部分、それから間接とか胴体を鉄で覆って攻撃力と防御力を上げた感じやね。
「では行きます」
「よっしゃ、なかなか殴りがいがありそうや!」
「それじゃ双方とも、始め!」
まずはせっちゃんやな。ウチもコタ君みたいな子供よりは、実力も知ってて慣れとるせっちゃんのほうが遠慮せずにやれてええんやけど、子供だからゆーて手加減するのは、コタ君のフェミニストと同じやからなぁ。ウチもあんまり人の事言えへん。
とりえあず夕凪に気を込めてせっちゃんが迫って来とるから、防御させなあかんな。式神の腕を動かして防御や。うん、やっぱりせっちゃんの一撃は強いなぁ。魔力で強化した金属が少し剥がれてもうた。ってもうコタ君が殴りに来とる。連打されてもうたら、防戦一方や。どないしよ……。とりあえず、殴っとるだけやし頭突きでもさせてみよかな?
「痛ぁっ!こいつ硬!」
「当たり前や!目の前から殴り続けて反撃されへんと思わへんのかお前は!」
「そんなんゆーても、こいつ硬いで」
「アホか!お嬢様の魔力で強化された鉄人形やで!?簡単に砕ける思うな!」
うーん、ウチは思いっきり魔力込めろ言われたから、やっただけなんやけどな?でもまぁ、せっちゃんが従者として前衛をするだけじゃ、危ない時もある。ウチがある程度自動で動けて防御力の高い式神を何体も使役できるようになったら、その分せっちゃんだけじゃなくて、皆の助けにもなると思うんよ。
「ではお嬢様。いきます」
「ええよー」
「神鳴流、斬岩剣!」
せっちゃんの気を纏った剣が、ウチの式神の胴を狙っとるな。わざと分かり易く狙ってくれとるから、胴体に魔力を集中や。なんやかんやいってもせっちゃんは優しいなぁ。っと、あかんあかん集中せな。……うん、何とか守れた。金属が砕けてもうたけど、内側の土人形はまだ動いとる。
「よっしゃ!これで止めや!」
って、コタ君が来てもうた。あかん腕で防御や。コタ君の連続パンチが腕の金属を段々と削っとる。流石に一度、気を入れたせっちゃんの技を防いだから、式神に残った魔力が大分減ってもうたなぁ。まだまだもっと強うならなあなん。
「良し!倒したで!」
「負けてもうたー」
「いえ、見事でしたお嬢様」
「アホか刹那! 甘やかしてどないすんのや! 修行にならへん!」
「え、いや、しかし」
「しかしもかかしもないわー!」
あははは。皆仲がええね。今日は一体大きめのを作っただけやけど、小さいのを何体も作るときもある。千草さんみたいに、おサルさんって固定概念を作るよりも、まだまだ模索して色んな形を柔軟な術で作れるようになる方が今はええらしい。
「そういえばお嬢さま。今度あの小僧が、弟子入り試験を受けるそうやないですか」
「ネギ君の事やね。えらい張り切ってたなぁ」
「ネギ先生は西洋魔術の師としてエヴァンジェリンさんを選んだようでしたね」
「あの人か。まともに人の名前呼ばへん姉ちゃんやったな」
今頃くーちゃんのところで修行してるんかなぁ。あ、そういえば晩御飯どないするんやろ。また超包子かなぁ。いつも肉まんばかり食べとったら栄養偏ってまうで? ネギ君は成長期なんやからもっとちゃんと食べへんとなぁ。今度アスナにお弁当で渡して食べてもらおうかな?
「それ、見学できまへんか?」
「え? 多分出来ると思うけど何でやの?」
「千草姉ちゃん、西洋魔術師は嫌いやなかったん?」
「確かに嫌いや。けどな、今の時代はいつまでも毛嫌いしててもあかん。それに西洋魔術師の戦い方を見て、戦法や術を学び、弱点を学び取るのも立派な修行になりますのやお嬢様」
千草さん色々考えとったんやなぁ。てっきりネギ君には関わるなとか言われるんかと思ったけど、それなら一緒に見にいかへん? って、自分は見に行くの嫌ってそれじゃ意味無いやんか。ウチらだけで行って来て欲しいって、もしかして千草さん照れてたりするん? あ、赤くなったー。やっぱり照れてるだけやん。今度一緒に見に行こうな~? 嫌がってもダメや。長の娘の命令やでー。
「お嬢様! そういう時だけ権力を使わんといてください!」
「なんや千草姉ちゃん、お師匠の威厳が形無しやな」
「こんな時に使う威厳とちゃうわ! と、とにかく今回は行きまへん!」
ホンマ残念やなー。皆で見に行った方がきっと楽しいし、ネギくんの頑張ってる所を見て、千草さんにも認めて欲しかったんやけどな。でも今度はきっとやで? 皆頑張っとるんやし、今度何かあってもきっと大丈夫。みんなで笑って暮らしたい。平和な毎日を続けたいから、ウチも頑張れるんや。皆これからもよろしゅうな。