IS ~一刀斎黙示録~ リメイク版   作:リバポから世界へ

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初めまして、リバポから世界へと申します。

この作品は凍結した「IS ~一刀斎黙示録~」のリメイク版となっています。

途中で執筆を諦めてしまい、申し訳ありませんでした。
設定をきちんと固められずに投稿し続けてしまった私の責任です。

リメイク版では質の上がったものを投稿してゆくつもりなので、これからも読んでくださると嬉しいです。



それではどうぞ!


プロローグ 「1868. 4.24」

『死』

 

どのように迎えるかはその人物次第ではあるが、いつかは誰にも訪れることだ。

 

畳の上で天寿を全うするか、犬畜生の如くのたれ死ぬか……。

 

少なくとも自分は後者であろう。

 

青々と茂る草の上。そこに倒れている着物姿の男は、そんなことを考えていた。

 

今まで自分が斬ってきた人間も、そんなことを感じていたのだろうか? だとすれば……自分の状況もある意味では因果応報なのかもしれない。

 

初めて人を斬ったのは19かそこらだった。

 

始めの数人は夢中で斬り―――――

 

それから段々と、何も感じないようになり―――――

 

それが過ぎた頃には、斬った人間が夢に出てきて魘されることが増えた。

 

今まで何人を斬ったのか。一々、数えてはいない。ひょっとすると、数えるのが怖かったのかもしれない。

 

それを自覚し始めたのは政権が返上された直後。ある浪士に指摘されてからだった。

 

それでも、迷うことは許されなかった。

 

新選組の三番組長として……御公儀のために、京の治安を守るために、ひたすら刀を振るい続けてきた。……多くを犠牲にしてまで。それが正しいのか、間違っているのか、考える余裕など一瞬たりとも与えられずに。

 

身体中の傷がズキリと痛む。彼の身体には刀傷、銃創、打撲痕が無数に有り、ズタズタに引き裂かれた衣服は真っ赤な血で染まっていた。

 

遠目から見れば、彼は周辺に倒れている敵兵と同じように……ただの亡骸に見えるかもしれない。唯一違うのは、かろうじてまだ息があるということだろう。それでも、このまま長くはないということは誰の目から見ても明らかであった。

 

死は怖くはない。もしも恐れを抱いていれば、(いくさ)が始まる前にとっくに逃げている。だが、彼にとって最も怖いのは……約束を違えることだった。恩義に報いるために今は……今はまだ死ぬわけにはいかない。

 

荒い息を吐きながら、地べたを這ってでも進もうとする。しかし―――――

 

(っ!?)

 

だんだんと身体の力が抜けて、今の今まで己を苦しめていた痛みも引いてゆく。それどころか妙な心地良さまで感じるようになった。

しぶといと言われ続けて来た自分も、どうやらここまでのようだ。最期の力を振り絞って起き上がり、その場に座り込む。そして背負っていた、豪奢な生地の刀袋―――――その中に入った大刀を傍らに置いた。

 

腰の両刀も脱すると、今までの出来事が走馬灯のように流れていく。

 

数えで25歳。あれだけの修羅場を潜った割には、長生きした方かもしれない。

 

(それもここまでか……)

 

無念だ……。せめて、自分を救ってくれた恩人と主君との約束だけは果たしたかった。

 

 

”俺がいる限り、新選組は終わらない”

 

”身命を賭してお仕えいたします”

 

 

そう誓ったのに……。

 

 

彼は、斎藤一(さいとうはじめ)は……悔しそうに俯いた。

 

 

 

そして………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『IS ~一刀斎黙示録~』開幕

 




今回はプロローグなので、かなり短めになりました。

この物語は「インフィニット・ストラトス」と「緋弾のアリア」のクロスになっています。どちらかと言えば、IS寄りですが、緋弾のアリアのキャラも活躍させる予定です。

新選組が登場する作品は多々ありますが、この小説の斎藤一は大河ドラマ『新選組!』の斎藤一のつもりで書きました。
『新選組!』の斎藤一は普段は無口で淡々と自分の仕事をこなしますが、義理堅い人間で受けた恩は決して忘れない人間です。新選組が出来る前、江戸で借金取りをしていた際に人を斬ってしまいます。その時、近藤勇に救われた彼は最後の最後まで恩を返し続けました。

描写に違和感があるかもしれませんがご容赦を……(笑)

「一刀斎黙示録」というタイトルの由来は浅田次郎さんの新選組小説「一刀斎夢録」から拝借しました。

黙示録と言うと終末的な展開などが思い浮かぶかもしれませんが、本来の意味は「隠されていたものが明らかになる」という意味らしいです。なので、この物語にはピッタリだと思いました。


それでは次回もよろしくおねがいしますm(_ _)m

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