IS ~一刀斎黙示録~ リメイク版   作:リバポから世界へ

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お久しぶりです。リバポから世界へです。

更新が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

理由は色々ありますが……期末テスト、レポート、夏季ゼミ、バイトなどです……。

何がGW明けぐらいには投稿するじゃ……。

今後も更新が遅くなることはあるかと思いますが、それでもという方は読んでくださると嬉しいです。



それではどうぞ!


第3話 「運命の日」

誘拐事件における対象の生存率は、24時間以内で70%と言われている。48時間で50%、72時間で30%。つまり丸一日が経過する度に20%ずつ、命の灯火は消えかけていくのだ。

そして最終的には……。この事実は誘拐、拉致事件における迅速な対応がどれだけ重大かを物語っている。

そして四十院神楽が拉致されてから、既に24時間以上が経過していた。

 

(生きててくれよ……)

 

朔哉は依頼とは関係無く、純粋に彼女の無事を願っていた。自分たちと同年代である少女の命が危険に晒されている。……はっきり言って、気分の良いモノではない。

 

『朔哉、そっちはどうだ?』

 

無線越しに誠一郎の声が流れてくる。

 

”四十院神楽は15番倉庫の中”

 

そう白状した片倉と未だに気絶している構成員たちを誠一郎に任せた朔哉は、倉庫一つ一つの影に隠れながら目的地まで移動していた。

途中、途中で見張りを見つける度に背後に回り込んで気絶させるのには少々苦労はしたが、事がバレないようにする為には仕方が無かった。しかしそれを繰り返したおかげで、大半の敵は朔哉にプラスティックカフで拘束され、地面に転がっている。その敵の数も思っていたよりかは少ないようだ。10人か……多く見積もっても15人が良いとこだろう。少し時間は食ってしまったが、漸くだ。漸く自由に行動出来るはず。

 

倉庫脇に隠れ、現在地をマップで確認していたところ、誠一郎から連絡が入ってきたのだった。

 

「大方は片付けました。間もなく目的地に到着する予定です。そちらは?」

車輌科(ロジ)の護送車がもうすぐ来る。あいつらに彼女たちを預けたら、応援に向かうよ。それまでは何とか一人で頑張ってくれ。くれぐれも油断はするなよ?』

 

”最後の最後が一番危険”。犯罪捜査や捕り物の基本のキだ。朔哉も誠一郎も、この教えに随分と助けられた思い出がある。

 

「了解です」

 

無線を切るとMP5を肩から外し、それを構えながら周囲を見回す。大分、近くまで来ているはずだ。

 

「14……15……あれか」

 

周囲が暗いため分かりにくかったが、マップ上の配置を便りにNo.15とペイントされた倉庫を見つける。やや離れた場所から双眼鏡で様子を窺うが―――――

 

「……馬鹿じゃないのか?」

 

呆れた口調で思わず、そう呟いてしまったのには理由があった。

シャッターの前に二人、武装した女が立っている。他よりも厳重に守っているのが、一目で分かってしまったのだ。あれでは、”ここに誘拐した女の子がいます”と言っているのと同じだ。あまり頭が回る方じゃない。ここにいるのは全員、素人に毛が生えた程度の奴らだけなのだろう。

成る程。実はここに来るまでも、違和感はあった。

朔哉が背後に現れた事に気付いた数人は、銃を向けるよりも逃げることを選択しようとしたし、倉庫街(ここ)を警備していた連中の陣形も、今になってみれば滅茶苦茶だと分かる。プロならば、仲間の数が露骨に減っていることに気付かないわけがない。

少し気は楽になったが、素人は……本当に予想外の動きをするのだ。武偵(自分)たちが想像する以上に。

朔哉は資料で読んだことがあるのだが、殉職してしまった警官や武偵の半数はプロではない素人に()られている。だから誠一郎も言っていたが、油断なんて出来やしない。

彼女たちに気付かれないように中に入りたいが、残念ながら他と同じように出入り口はあのシャッターだけだ。これ以上は騒ぎを大きくしたくなかったが、仕方がない。少々荒っぽいが、あの二人にも眠ってもらおう。

そう考えた朔哉は彼女たちの視線を避けながら倉庫の裏側まで回ると、静かに屋根によじ登る。音を立てないように正面まで歩いていき、シャッターの真上まで来ると―――――

 

(呑気な奴らだ……)

 

話している内容までは分からないが、ゲラゲラと品の無い笑い声が聞こえた。一人はショートカットで、もう一人は茶髪のポニーテールの女だ。彼女たちは世間話に夢中らしい。危機感の無い連中だ。自分たちの真上に脅威が居るのに、全く気付かないなんて。

朔哉はMP5を肩にかけ、代わりに腰のホルダーから日本刀『津田越前守助広』を取り外す。それを鞘ぐるみで構えると

 

―――――タンッ

 

彼女たちの目の前に飛び降りた。

 

「え……?」

「な、何……!?」

 

二人は何が起きたのか、一瞬では分からなかったのだろう。突然、目の前に武装している黒装束の男が現れたのだ。仕方無いのかもしれない。しかし、振り返った朔哉の目付きと状況から、自分たちに危害を加えるつもりだということは早々に理解できたようだ。

 

「だ、誰―――――」

 

見張りの1人。ショートカットの女が何かを言い終える前に……

 

 

ヒュッ―――――バキッ!!

 

 

瞬時に間合いを詰めた朔哉に一閃された助広。その鉄拵えの鞘が彼女の胴に叩き込まれていた。

音からすると、肋骨の2、3本は折れてるかもしれない。

 

「ひっ……!」

 

白目を剥いて昏倒する仲間を目にしたポニーテールは、恐怖心から手にしたアサルトライフルを朔哉に向けて構える。その行動は、ほんの少しでも勇気がある証拠なのか、それともただ無謀なだけなのか……。

しかし引き金を引くかどうか迷っていた彼女は、朔哉に十分な時間を与えてしまった。

刀の鞘をライフルの銃身に当てると、軽く巻き上げただけで彼女の手から弾き飛ばす。そしてライフルがアスファルトの地面に落ちるよりも前に、抜き放たれた助広の白刃がポニーテールの首筋に当てられていた。刃を照らした月明かりが、その切れ味の鋭さを物語っている。朔哉が腕を一振りすれば、彼女の首はライフルと同じく地面を転がることになるだろう。

 

「四十院神楽は中だな?」

 

低いが良く通る声で聞くと、女はコクりと頷いた。死の恐怖からか、ふるふると震えている。

 

「他には誰がいる?」

「あ、あの娘だけよ……」

 

首筋に刀を当てられているのだ。こんな状態で嘘を付くとは思えない。

 

「……そうか、ありがとう。おやすみ」

 

朔哉は刃をクルリと返すと、彼女の後頭部に向けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

「朔哉、遅くなったな」

 

手錠を掛けた二人を地面に転がしていると、間もなく誠一郎がやってきた。

 

「いえ、大丈夫です。奴らは?」

「ついさっき、車輌科(ロジ)強襲科(アサルト)が到着した。俺やお前がボコった奴らと一緒に護送車の中だよ」

 

パジェロを停めた方角を見ると、回転灯の光が確認できた。

 

「ああ、良かった」

「それで……」

 

誠一郎が大きなシャッターを見上げる。

 

「ここだな?」

「ええ。こいつらの証言が本当なら……ね」

「よし、シャッター壊すぞ」

「俺が先に行きます」

「了解、援護する」

 

そう言った誠一郎はM4の銃床で大きな錠前を破壊すると、両手でシャッターを開け放つ。無防備になった彼を守るように朔哉から中に飛び込んだ。

 

「武偵だ!」

 

薄暗い倉庫内をMP5に装着したフラッシュライトで照らすと、二手に別れて奥まで進む。

あれだけ厳重にを守っていたのだ。四十院神楽は必ずこの中にいるはず。そう確信した朔哉だが……目の前にあるのは薄汚れた段ボールと錆び付いた鉄柱だけ。段々と不安になってきたが、それでも諦めずに進んでいくと―――――

 

(……!!)

 

倉庫内の一番奥だ。

 

今よりもさらに暗く、ジメジメとした場所に1人の少々が倒れていた。

 

お嬢様学校の生徒らしい制服に艶やかな黒い髪。一目で分かる。彼女が四十院神楽だ。間違いない。

周囲を警戒しながら、仰向けに倒れている彼女に近寄る。

 

「クリア。先輩、見つけました」

「こっちもクリアだ。誰もいない。……生きてるよな?」

 

後ろから、誠一郎が不安そうな声を上げる。

朔哉は彼女の首筋に指を当てて、脈を測った。

 

―――――トクン、トクンと静かだが確かに反応がある。

 

「大丈夫、脈はあります……。四十院神楽さん! 分かるか!?」

「…………」

 

朔哉が彼女の身体を強く揺すって呼びかける。しかし……少しも反応が無い。

 

「意識不明か。ただ眠ってるわけじゃなさそうだ」

ミンザイ(睡眠剤)か何か、盛られたみたいです……!」

「とりあえず、病院まで運ぼう。ここから一番近いのは……武偵病院か。朔哉、彼女を」

「了解。……失礼」

 

朔哉は神楽の両手を縛っている縄をナイフで切ってやると左腕を神楽の背中に、右腕は彼女の両膝裏に回し、ヒョイと持ち上げた。所謂、お姫様抱っこという奴だが……状況が状況のために恥ずかしいだの何だのは言ってられない。

それ以上に戦闘によって出たアドレナリンで、そんなことを気にするのが馬鹿馬鹿しくなっていた。

 

強襲科(アサルト)2年の吉村です。対象の保護完了しました。脈は正常ですが、呼びかけても意識がありません。薬物を投与された可能性あり。直ちにそちらへ搬送するので、受け入れ態勢をお願いします」

 

インカムに向かって話す誠一郎に続いて外に出る。

パジェロまで戻ると武偵高の護送車がすぐ傍で待機しており、車輌科(ロジ)強襲科(アサルト)の生徒達が倉庫街全域にいたヴァルハラの乙女の構成員を収容していた。半ば無理矢理に叩き起こされた彼女たちは、誠一郎や特に朔哉を睨みながら護送車に乗り込んでゆく。

朔哉は彼女達とガンを飛ばし合う暇は無い。後部座席に神楽を横たえると、トランクから出した毛布を彼女の冷え切った体に掛けてやる。そして大急ぎで武装を解除し、助手席に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

ジメジメとした薄暗い倉庫に叩き付けるような寒さ。一人は武装しており、もう一人は昏睡状態。

斎藤朔哉と四十院神楽が出会ったのは、そんな最低最悪の環境だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-武偵病院 10:52 p.m.-

 

「大丈夫、命に別状は無いわ。後遺症も残らないでしょう」

 

治療室から出てきた救護科(アンビュラス)の教諭、矢常呂(やどころ)イリンの言葉に朔哉と誠一郎は胸を撫で下ろした。

 

「四十院さんは、あなた達が思ってるよりも軽症だったわ。一応、今日と明日ぐらいは入院してもらうけどね」

「……ありがとうございます」

 

二人がぺコリと頭を下げると矢常呂先生は話を続ける。

 

「彼女が打たれたのは極普通の睡眠薬ね。ちょっと強めだけど……」

「……そうですか。それで彼女……何時(いつ)頃、目を覚まします?」

 

朔哉の質問に先生は少しだけ考えた後に答えた。

 

「そうね、時間が時間だから……明日の朝になれば気が付くと思うわ」

「そうですか、良かった……」

「それじゃ、俺は保護者の方に連絡してきます。心配なさっていると思うので」

 

そう言い残すと誠一郎は、待合室にある公衆電話まで歩いていった。

武偵病院とは言え、院内は携帯電話の使用が禁止されてる。あまりその規則は守られていないようだが、流石に教諭の前でそれはマズイだろう。

 

「俺は今夜だけでも四十院さんに付いています。念のため」

 

そう言った朔哉に対して、矢常呂先生は眉を顰めた。

 

「それは他の子に任せて、あなたはもう帰ったほうが良いわよ?」

「いや、しかし……」

「丸一日、動きっぱなしだったんでしょ? その様子じゃ食事も睡眠も碌に取ってないんじゃない? 今は大丈夫でも、その内倒れちゃうわ」

 

先生に事実を言い当てられる。

昨日の夜から睡眠は全く取れてなかったし、食事はエネルギーバーを少しとコーヒー。そして栄養ドリンクをがぶ飲みいう不摂生のオンパレードだ。

一日の徹夜ぐらい、朔哉にとっては何でも無かったが……優秀な医師がそう言っているのだ。聞いておいた方が良いのだろう。

 

「そう……ですね。それじゃあ……」

 

(それに武偵高の教師は怒らせるとマズイからな……)

 

…………想像しただけでも恐ろしい。

 

「土日はゆっくりと休んでね? また月曜日に学校で会いましょう」

 

朔哉のクラスの担任でもある彼女が優しく微笑む。

 

「分かりました。……色々ありがとうございました。失礼します」

 

朔哉がペコリと頭を下げると矢常呂先生は、じゃあねと言って去っていった。

 

(…………)

 

先生にはああ言ったが……朔哉はやはり気になっていた。

武偵病院は通常の病院よりも安全な場所ではあるが、それでも完全ではない。万が一、ヴァルハラの連中がやって来ないとも限らない。

そのため、神楽が退院するまで24時間体制で警護が付くことになっている。だからこれ以上、自分が心配する必要は無いのかもしれない。

間も無く誠一郎も戻ってくるだろう。そうなれば、自分達はさっさと帰ることになる。

それでも、ほんの少し……顔だけでも見ていった方がいいのではないだろうか? そんな衝動に駆られた。

 

(少しだけ……少しだけだ)

 

そんな言い訳をしながら、朔哉の足は神楽の病室の前で止まっていた。

 

まだ意識は無いだろうが、念のためドアをノックする。

勿論、中から返事は無い。

 

「失礼します……」

 

スライド式のドアを静かに開けて、室内に入る。

 

ベットの前まで来ると、スヤスヤと規則正しい静かな寝息が聞こえた。ホッとした朔哉はベッドに横たわっている神楽の寝顔をまじまじと見つめる。先程よりも顔色は良いようだ。矢常呂先生の言っていた通り、この様子ならもう大丈夫だろう。

 

(……それにしても)

 

写真で見た時も思ったが……可愛い子だ。いや、可愛いというよりも綺麗だと言った方が正しいのかもしれない。

色白の肌に、閉じていても分かる切れ長の大きな目。後頭部でお団子に纏められた、流れるような黒いロングヘアー。

 

(……年下には見えないな)

 

もうすぐ卒業するのだろうが、本当に中学3年生とは思えない程大人っぽい。

 

正直言うと……朔哉の好きなタイプだ。

 

ふと先ほど、神楽を抱えた時の光景を思い出す。

女性と付き合うどころか、手すら握った経験の無い朔哉にとって……それは未知の感触だった。

知らなかった。女の子の身体とは、あんなにも華奢で軽く柔らかいものなのか……。

 

(……また、会えるだろうか)

 

……馬鹿馬鹿しい。

一瞬でも、そんな考えを抱いてしまったことに首を横に振って思考を正常に戻す。

 

場合にもよるが、大抵の依頼はそれが終わると依頼人や対象と関わることは無くなる。だから今後、朔哉が彼女に会うことは無いのだろう。

本来、朔哉達の仕事は拉致された四十院神楽を救出することであって、拉致犯を逮捕することではない。それは警察の仕事だ。それも済んでしまったからには、朔哉が彼女に会う理由など全く無い。

 

懐から一枚の写真を取り出す。これは神楽の父親から預かったものだ。

どこか旅行にでも行った時に撮ったものだろう。そこにはカメラに向かって満面の笑みを浮かべている神楽が写っていた。

 

「はぁ…………」

 

溜め息を吐いた朔哉は、しばらく眺めていた写真をテーブルの上に置くと病室を後にした。

 

「……お大事に」

 

武偵となって、それなりの数の依頼人や対象と接してきた。彼女もその内の一人に過ぎない。

 

そう自分に言い聞かせて。

 

 

 

 

 

病院から出た後、武偵高で任務の報告が完了した朔哉は誠一郎と別れ、ようやく自分の寮に戻ることが出来た。既に日付は変わっていたが、ルームメートである不知火亮はまだ戻っていないらしい。

 

依頼が完了して緊張感から開放されたのか、朔哉の疲労は限界に近づいていた。

それでもフラフラの体を引きづりながら、シャワーを浴び軽く食事を取ると自室のベッドにゴロリと寝転がる。

 

ふと、スマホの画面を起動させた。

 

今の今まで電話機能しか使っていなかったため、お知らせメールやらLINEやらが何通か溜まっていた。

その中でも朔哉の注意を引いたのは

 

(……緊急ニュース速報?)

 

画面をタッチしてニュースサイトを開く。見出しにはこう書いてあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『衝撃!! 史上初の”男性”IS操縦者発見!!』

 

 

 




いかがでしょうか?

個人的に神楽の容姿はアニメ版よりも原作9巻のイラストに載ってる、ISスーツ姿の方が好きです。今作はそれをイメージして書いていくつもりです。


あかん……その神楽ちゃんが未だに一っ言も発していない……。

マズイ……戦闘描写を書く能力が皆無に等しい……。これから、めっちゃ出てくるのに……。

これからも精進します!

暑い日が続いています。皆様、水分補給はした方がいいですよ。いやマジで。

今回も読んでくださって、ありがとうございました!

感想、評価募集してます! それでは失礼します。
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