このすばのカズマさんがウィッチャーになって俺TUEEするみたいです 作:蒲鉾と竹輪
白昼夢のように光景が変わるとカズマは草原の小丘の上に立っていた。其処は、放射能に汚染されていない息を呑むような大自然、都会人ならばその美しさに感動したかもしれない。しかし、彼は地方出身者であるため、そこまでの感慨は持たないかも知れない。
どちらにせよ、カズマは転移してそうそうに周りの風景を楽しんでる状況にはなかった。前方、200mほどの距離で一人の男が刃渡り1mを超える大剣を武器に怪物と戦っている。おそらく、あのなんとか神が言っていたモンスタースレイヤー<ウィッチャー>だろう。ウィッチャーと戦っている怪物は、曲がった嘴に鷲の上半身に獅子の下半身と鬣を持つ色鮮やかな全長5mほどの怪物、いわゆるグリフィンだろう、しかも2匹だ。男は、防御魔法で攻撃を防いだり、鮮やかな身のこなしでグリフィンの攻撃を躱している。時折、火の魔法で牽制したりもするが劣勢は明白だ。なにせ、相手はグリフィンだ、熟練のウィッチャーでも空を飛ぶ巨体とその鉤爪には一対一でも油断ならない大敵であるのに2匹の番いのグリフィン相手では手数の差でウィッチャーといえどもジリ貧で敗北するのは目に見えている。
カズマは腰のガンベルトから.44マグナムリボルバーを取り出し左手で構える。もちろん片手撃ちだ。RAD汚染による変異、マッド・サイエンティスト共の人体改造、そして民兵組織での訓練とミュータントやレイダー、ロボットとの数多くの実戦を経験してきた彼にとって.44マグナムといえど片手撃ちで十分ピストルを制御できる。そして.44マグナムリボルバーはグリズリーやヘラジカを狩るのに十分な威力を誇っている。間違いなくグリフィンにも通用するだろう。カズマはリボルバーの撃鉄を起こしいつでも打てる状態にしておく。そして、右手には山刃を軽く握る。山刃とはマタギが使う刃物で簡単に言えば鉈に刃先のついた刃物だ。とにかく頑丈で、下草や枝を切り払ったり、得物を解体するのにとても便利だ。カズマは怪物の攻撃をいつでも防御できるように右手に装備しておく。ここまでの準備を手早く一秒以内に行うとカズマはウィッチャーであろう男に軽く駆け足で走りながら近づき大声で声を掛ける。
「そこのあんた!ウィッチャーだな?援護する!頭を低くしていろ」
カズマは、男との距離を50m以内に詰めるとグリフィンがウィッチャーを攻撃する瞬間を狙って怪物の頭部を狙う。怪物も攻撃の瞬間は隙だらけで加速装置を使う必要はない。引き金を引きシリンダーからマズルフラッシュが漏れ銃声が2発草原の小丘にこだまするとそれだけで怪物の運命は終わりを告げ、ウィッチャーを攻撃するときの勢いをそのままに、姿勢を低くしたウィッチャーの上を通り過ぎ草原の上を転がり躯を晒す。銃声を聴いたことにより驚いたのか、それとも番いを殺されたことに怒り狂ったのか、もう一匹のグリフィンは、攻撃の対象をカズマに変えてくる。カズマは冷静に考える。シリンダーの残りは4発相手が飛行していることを考えればムリに頭を狙わずに胴体を狙うほうが無難だろう。.44マグナムならたとえ打ちどころが胴体だったとしても4発もぶち込めばたとえ怪物であろうとただでは済まない。カズマはリボルバーを腰だめにして空から強襲をかけてくる怪物に4発ぶち込む。もちろん全弾命中だ。怪物は、カズマのはるか手前に落下する。怪物はタフなのかそれとも当たりどころが悪かったのか.44マグナムを4発喰らっても微妙に息があり、手足をピクピク震わせている。そのままほかっておいても死ぬだろうが、カズマは怪物の死角にはいるように怪物の後方に回り込んで右手に持った山刃を怪物の首筋につきたて止めを指す。コレは、死の苦痛から開放させる。彼なりの礼儀、優しさともいえる。放射能とミュータントにまみれた世界で数月過ごした彼はすでに平均的日本人的な価値観などは有していない。それどころか、命を奪う行為に暗い愉悦さえ感じるようになってしまっている。たとえそれが同じ人間であろうともだ。そんなカズマはウィッチャーに近寄り声をかける。
「普通に余裕だな。おい、あんた。大丈夫か?怪我していないか?」
ウィッチャーの男は息を切らし、地面に座り込みながら、カズマを警戒し睨み見つけながら好意的とは言えない無愛想な表情で話しかける。
「グリフィンの鉤爪で深手を追った。そこに落ちている袋から<春ツバメ>をとってくれ」
「わかった。<春ツバメ>ってなんだ?」
「ウィッチャー用の赤い霊薬だ。飲めば傷が治る」
「こいつか?ほれ」
ウィッチャーは、カズマから赤い霊薬を荒っぽくぶんどるとガラス瓶の半分ほどを飲む」
「鎖帷子に
ウィッチャーは、カズマの質問には答えず。大きく息を吐いた後、カズマの言動を無視し意図的に低い声色で話掛ける。
「あんた何者だ?それにそんなに彫りの浅い顔立ちの人間は見たことはない」
ウィッチャーは、カズマがあっさりグリフィンを倒したことで魔術師もしくは怪物だと警戒しているがメダルに反応はない。
「助けてやったのにご挨拶だな。俺はサトウ・カズマ、前が苗字で、後ろが名前だ。あんたは?」
「聞きたいのはそう言うことじゃない」
ウィッチャーの蛇のような目の瞳孔が見開き光輝く。そして、ウィッチャーは左手で三角形に印を結ぶ。彼が使った魔法は<アクスィー>と呼ばれるものでウィッチャーが使う簡単な魔術だ。効果は、一時的に相手を精神操作したり耄碌状態にすることができる。しかし、カズマの頭にはテスラコイルが入りっぱなしのため薬物、魔法問わずにその手のモノは通用しない。カズマは、魔術をかけられたことに気づきもしないままぶっきらぼうに再度質問する。
「こっちは、名乗ったんだからそっちも名乗るのが礼儀だろ?あんたの名前は?」
ウィッチャーは跳びはねるように起き、華麗なステップで2歩後退して間合いを取ると銀の剣に手をかけ<クエン>の印を結ぶ、<クエン>は防御魔法で、相手の攻撃を2,3回完全に防ぐシールドを形成する。シールドを貼り続けることもできるが30秒も貼ること出来ない。
「なぜ、効かない!!」
「あんた俺に何かしたのか?」
「お前は、悪魔なのか」
「いや人間だよたぶん。それよりも、助けてやった味方に対して失礼なんじゃないのか?もっと友好的に挨拶くらいはかわそうぜ」
カズマは、そう言って、ウィチャーが落とした霊薬<春ツバメ>を拾いおもむろに飲み干す。相手の警戒を緩めるためというか格好をつけるためにそういう行動を起こす。厨二病的ロールプレイだが完全に逆効果だ。
「霊薬って酒なんだな。クソマズイけどアブサンよりはイケるな。とりあえず食事にしないか?俺は何か燃えるもの集めてくるからお前は、竈を作ってくれ」
そう言ってカズマは藁と枯れ枝を集める。ウィッチャーは、その行動を無言で背負った剣に手をかけたまま見つめる
「見ていないで手伝ってくれ」
カズマは、テキパキと枯れ枝と藁を集め、石を積み簡易な竈を作ると倒したグリフィンに山刃つきたて肉を剥ぎ取り、小さく切って枝に串刺していく。彼が作ろうとしているのはグリフィンのケバブだ。
「ライターを持ち込むの忘れた。あんた火の魔法を使えたよな。竈に火をつけてくれ。俺はまだ魔法は使えないんだ」
ウィッチャーはカズマを睨みつけたまま小さく印を結ぶ<イグニ>と小さくつぶやき左手を軽く振ると竈に日が灯る。
「おお!カッコイイな」
カズマは感激しつつ、竈から少し離れた地面にケバブを突き刺す。直火で焼かないのは中までしっかり火を通すためだ。
「あんた、塩とか香辛料はもっていないか?このままじゃ味気ないからな」
ウィッチャーはカズマを睨みつけながら棘のある言い方で言い放つ。彼は、カズマの質問には答えない。
「人間は普通グリフィンを食べない」
「そうか?発光してるラッドローチよりマシだと思うけど?で塩はあるのか?ないんだな。まぁいいか」
はっきりいってカズマの基準はウエイストランドで過ごしたことにより大幅に下方修正されており、この世界においては完全にずれていると言わざるを得ない。てかこいつはすでにドラウナーを美味しそうとか言いかねないレベルの怪物なのだ。
「獣臭くて硬いけど、しっかり鶏肉しているな。しかも、RAD汚染されてないなんて最高じゃないか。あんたも食べるか?」
そういってカズマはウィッチャーにグリフィンのケバブを差し出す。ウィッチャーは、当然受け取らないが、彼の警戒心は多少溶けたようだった。
「食べないのか?まあいい。そういえばまだ名前を聴いて無かったな」
「俺は…」
現状、目指している方向性は異世界版山賊ダイアリーです。よってヒロインとか出てきませんたぶん。