346のプロデューサー達の女難な日常   作:黒いファラオ

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セーフ!今回は遅刻してない!

てな訳で後編です。クオリティは期待してくれるな。


リボンの少女の恋愛観:後編

「にゃふふ〜、どうよキミィ〜。なかなか似合ってると思わな〜い?」

「おおお! これは俺の予想以上にいいぞ!」

「志希さん綺麗です……」

「でしょでしょ〜?」

 

 撮影当日。スタジオにはピンクのドレスを着た志希が立っていた。ウエディングドレスのようなものではなく、パーティドレスが一番近い例えだろう。彼女本来の猫らしさ――何処かでネコミミをつけたアイドルが無駄な対抗心を燃やした気がした――は消えていないが、そこに妖艶さともいうべきアダルティな雰囲気を醸し出していた。

 

「ホントに綺麗だよ志希。もともと可愛いのは分かってたけど、ここまで綺麗になるとは思わなかったよ」

「……むぅ」

「にゃはは……そこまで褒められると流石の私も照れちゃうよプロデューサー」

「それにしてもなんか着慣れてる感じがするな」

アメリカ(あっち)にいた時には何かとドレスを着ることもあったからねー。まさかこっちでも着るなんてー、思わなかったけど! あはははー!」

 

 ドレス姿の志希を褒め倒すプロデューサーに対して照れる志希とそれが面白くないまゆ。お互いがプロデューサーに対して好意を向けていることは分かっている。そのうえで志希はアドバイスを求めたのだ。

 

 モデルとしての先輩でありプロデューサーを愛する人としての先輩であるまゆに、魅力的に映る方法を。

 

「それじゃあ撮影に入るので一ノ瀬さん、よろしくお願いしまーす!」

「はいはーい! りょーかーいでーす! それじゃ、プロデューサー。あたしの可愛いとこばっちり見といてね! あ、その前に匂い嗅がせてー」

「あー、はいはい」

「フンフン……クンカクンカ……。んー! このドレスの新品です!って匂いもいいけど、やっぱりプロデューサーの匂いが一番落ち着くー! あ、行ってくるね〜!」

「おう、行ってこい行ってこい」

 

 志希を送り出した彰の隣にまゆがちょこんと椅子に座る。隣に座ってきたまゆを見遣ると、まゆも彰の方を見上げていた。まゆはプクーっと頬が膨らみ、いかにも私不機嫌ですっ。という顔をしていた。彰はそんなまゆの頬突っついて空気を抜く。

 

「なんだよ、どうしたまゆ」

「志希さんをベタ褒めでしたねぇ〜?」

「そら、綺麗だったんだから褒めるだろうよ」

「確かに綺麗でしたよねぇ〜……普段の志希さんになんか大人っぽさが加わったって感じです。あれでまだ成人してないんですよねぇ?」

「まだ18だったな」

「スタイルもいいですし羨ましいですぅ……」

 

 自分にはまだ絶対に出すことの出来ない魅力だ。彼女は子供っぽい一面がよく目立つが、18とは思えない色香をしっかりと持っている。

 

「羨ましいって……まゆももう16なんだから焦ることもないだろ。これからなんだからさ」

「それはそうなんですけどねぇ……」

 

 そう、焦ることはない。まゆは胸もちゃんと膨らんでいるし、女性らしい丸みを帯びた成熟した身体つきをしている。

 だが、年下で素晴らしいプロポーションをしている神崎蘭子やナターリア、同い年の北条加蓮や及川雫などに比べるとどうしても物足りないのではないかと彼女は感じているのだ。しかし、それは比べている対象が悪いというものだ。まゆもまだ成長期の真っ只中、将来性はまだ十分にある。

 78あるなら十分ではないか。同い年にはもう成長の余地など残っていない別のプロダクションのアイドルだっているのだ。くっ……

 

「志希さんはまゆにはない魅力を持ってますから」

「その代わり、まゆちゃんはあたしにはない魅力を持ってるでしょ? まあ、私とまゆちゃんの両方が持ってるものもあるけどね〜」

「あれ、志希どうした?」

 

 気づけば、ドレス姿の志希が2人の前にいた。何か不都合でもあっただろうか。等と理由を考えていると、カメラマンは若干申し訳なさそうに

 

「途中までは良かったんですけど、何か物足りなくなっちゃって……ですので、相手役をプロデューサーさんに手伝っていただけないかと思いまして」

「つまり、キミはあたしの王子様ってことだよ!」

 

 それではまゆをここに置いていってしまうがいいのだろうか。気になってまゆを見てみれば、笑って頷いている。

 

「まゆは大丈夫ですから」

「分かった。それじゃあ自分でよければ。着替えてきた方がいいですかね?」

「仕事用のスーツでは何か違いますしね。お願いします」

「分かりました。じゃあ、ここで待っててくれよ?」

「プロデューサーさぁん?」

 

 真面目な顔をしてまゆは彰を呼び止めた。何時になく真面目な顔をしているまゆに何かあるのだろうと彰も真面目な顔を向ける。

 

「まゆの時は、白のタキシードでお願いしますねぇ?」

「真面目な顔してくだらんことを言うな」

「大事なことですよぉ?」

「貴様最初からそれが目的でOKしたな?」

 

 

 

 

 

「ど、どうですかプロデューサーさん」

「おお……これは」

「まゆちゃんかわいー! お嫁さんだよお嫁さん!」

「うぅ……実際に着てみると結構恥ずかしいです……」

 

 志希の撮影が終わり、まゆの番になった。メイクが終わり、まゆが着てきたものは純白の、まさしくウエディングドレスだった。

 その破壊力は凄まじく、彰は何も言えなくなっていた。

 

「では、プロデューサーさん。2人で撮る時になったらまたお声がけするのでよろしくお願いします」

「あ、はい。分かりました」

 

 まゆが撮影に向かうと、横にいた志希がツンツンと横腹をつついてきた。

 

「おうふ、脇腹は弱いんだからやめれ」

「お、意外な弱点はっけーん」

「んで、どうしたのよ」

「プロデューサー……彰さんってさ、ぶっちゃけまゆちゃんのことどう思ってるの? 周りに人もいないし訊いてみる」

 

 志希はプロデューサーではなく、彰さんと呼んだ。プライベートの時にしか使わない呼び方だ。

 

「どう思ってるって? どっちもいいアイドルだと思ってるよ」

「そうやってはぐらかす。私たちが彰さんのことを本気で好きなの分かってるでしょ。あたしがさっき『キミはあたしの王子様』って言った時も反応してくれなかったし」

「あれってそういう意味だったのか?」

「気づいてたくせに」

「やっぱバレてたか」

 

 彰は困った顔をする。まゆや志希だけではない。他のアイドルも自分のことをプロデューサーや仕事の関係としての『like』の好きではなく、異性としての本気の『love』の好きでいる。

 だが、それに応えてもいいのか。美城専務が遼哉に恋愛を推奨していると言ったことは会社内に知れ渡っている。しかし、『はい、そうですか』と素直に従ってもいいのか。俊輔、遼哉、彰、美城プロダクションの3人のプロデューサーはみな同じことで悩んでいたのだ。

 

「好きでいてくれるのは勿論嬉しい。なんせ可愛い娘ばっかりだしな。だけど、その気持ちに応えられるのは一人だけになるだろ?」

「じゃあ、一夫多妻制の国に移住しよう!」

「いやいやいやいや、それもどうなんだよ」

「……まあ、あたしは彰さんがちゃんとあたしのことも大事にしてくれるなら愛人でもいいよ」

「志希、それは」

「だって、彰さんが一番信頼して大事にしてるのはまゆちゃんでしょ?」

 

 咄嗟に否定の言葉は出せなかった。

 

「彰さんは多分そんなつもりは無いんだと思う。でもさ、なんとなく分かっちゃうんだよね」

「志希……」

「これだけは覚えておいて。他の子に彰さんを渡したくない。負けたくない。でも……まゆちゃんになら正妻の座は渡せる。大人しく愛人になる。まゆちゃんは愛人とか許してくれないだろうけどね〜。ほら、もうすぐ彰さんの出番だよ。着替えてきてね〜」

「お、おい!」

 

 彰が何かを言う前に志希は衣装室に押し込めてしまった。扉を閉めた後の志希の顔はなんとも形容し難いものだった。

 

「いいんですか?」

「まゆちゃんにならって話だよ。勿論負けたくはないけどね」

 

 後ろに来ていたまゆの質問に振り返らずに答える。足音は聞こえていたからだ。

 

「それを言うならまゆちゃんはいいの? あたしは愛人でもいいって言っちゃったんだけどさ、まゆちゃんは許してくれないかもじゃん」

「勘違いしてるかもですけど、まゆは………………」

 

 

 

 

 

「お疲れ様でした。今日は色々とありがとうございます」

「いえ、大丈夫ですよ」

 

 撮影が終わり、事務所に帰ってきた。志希はそのまま帰ってしまったが、まゆは彰と一緒に戻ってきていた。

 

「……プロデューサーさぁん?」

「ッ!? あ、ああ、どうした?」

「私が訊きたいですよ? ずっと何か考え込んでますし」

「悪いな……」

「志希ちゃんが言ってたことで悩んでるんですよね?」

「……よく分かったな」

 

 彰は志希に言われたことをずっと考えていた。

 

「愛人でもいいなんて……そんな訳ないだろう。志希が俺に向けてた好意はまゆにも負けないぐらいだった。なのにあんな……」

「志希さんは私と同じなんですよ。1個を除いて」

 

 まゆは彰に背中を預けながら語りかける。

 

「プロデューサーさん……彰さんが他の子に好かれるのは構わないんです。それだけ、まゆたちの好きな人は素敵だってことですから。まゆと志希さんはここからが違うんです。まゆは志希さんじゃないのであくまで予想ですけど、志希さんは彰さんが幸せでいるなら自分が一番じゃなくてもいいと思ってるんです」

「…………」

「まゆも彰さんが幸せでいてくれるなら嬉しいです。彰さんが他の子に愛情を向けていてもいいんです。まゆのことだけ見ていて、他の子なんて見ないで。そんなことは言いません。いいえ、そんな彰さんは嫌です。まゆが好きになった彰さんは誰にでも優しく思いやれる人ですから。みんなのこともちゃんと大事にして欲しい。それでも……それでもまゆは彰さんの一番でいたい」

 

 まゆは途中から背中を預けるのではなく、彰の方を向いて寄り添っていた。

 

「今彰さんに選んで欲しいわけじゃありません。ただ、まゆの気持ちを知っていて欲しかったんです。多分志希さんもそのつもりで彰さんに話したんだと思います。彰さんがこれを知っている上でまゆも志希さんもアプローチすると思いますから、頑張ってくださいね?」

「……弱ったなぁ」

 

 そう言った彰の顔は憑き物が取れたようなすっきりとした顔だった。

 

「俊輔も遼哉もすっきりした顔してたし、あいつらも何かあったんだろうな。俺も負けてられないか」

「決心つきましたかぁ?」

「ああ。もう大丈夫だ」

「そうですか。今日はもうお仕事も終わりですし、私の部屋に寄って行きませんか? 一緒にお夕飯でも」

「ご馳走になろうかな」

「はい、腕によりをかけて作っちゃいますよぉ?」

「はは、楽しみにしてるよ」

 

そう言って話す2人の顔は実に晴れやかな笑顔だった。




おまけ

彰「そういえば、あの時(1話)持ってた縄はなんだったんだ?あれすごい怖かったんだけど」
まゆ「あれは、部屋で使うつもりだったんです。色々と荷物を固定するつもりで」
彰「てっきり俺を拘束するつもりなのかと」
まゆ「ひどいです彰さん!まゆをなんだと思ってるんですか!」
彰(ヤンデレだと思ってましたとは言えねぇ……)

先週は更新出来なくてすんません。久々にISを更新してました。更新報告などは活動報告の方でしてます。そちらを参照ください。さて、シリアスさんの出番は終了です。俺にシリアスさんは荷が重い……てなわけで、ほのぼのするよ

次回予告です

「おい、待て!それはダメだ!」
「そんな……こんなこと……」
「ボーッとすんな!彰にエマージェンシーだちひろ!」
「俊輔がまさか……」
「ホントにプロデューサーなの?」
「おいおい凛そんな顔するなよ。可愛い顔が勿体ないぞ?」

嘘とも言いきれません。まぁ、要約すると我らが武内Pに何かが起こります。こうご期待。

ではでは、感想評価誤字報告などよければお願いします!

P.S.出して欲しいアイドルをそれとなく呟くと、今後の話で登場するかもしれませんよ?
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