朝イチで書き上げたよ……誤字あったらごめんね……
「久々の、んーっ……はぁっ。休みだぁ」
オフ。休日。休み。美城ではどれだけ忙しくても最低月に週1で休みを取ることが出来る。しかし、アイドルのプロデューサーともなれば休日出勤によってその休みを使うことは滅多にない。だが、あまりに休みを取らないと上司から強制的に休みを取らされる。というか、気づいたら自分のスケジュールが2、3日休みになっているのだ。なっていた。美城は『有給?そんなもの取れると思ってるの?』なんて会社ではない、ホワイト企業なのだ。
察するに、専務とあの昼行灯の仕業っぽい。有給を全然使っていないことがどうやらバレていたようで、俺、俊輔、彰の3人が一斉に休みにされていた。確かに俺達以外にもプロデューサーはたくさんいるが、1番働いていたのは間違いなく俺達だ。その俺達を一斉に休みのして大丈夫なのか……それ以前にあいつらを律せるのか……あー、でもあの2人のことだ。どうせ何かしらの策があるんだろう。考えんのも疲れた。
「ねっむ……せっかくの休みなんだし、昼頃までぐっすりスヤスヤ眠ってやろうか」
そうと決まればベットに潜り込んで……( ˘ω˘ ) スヤァ…? 電話が鳴っている。なんだ、仕事関連でトラブルか? だから心配だったんだよ……
「もしもし、朝霧ですけど。楓のダジャレが寒いのなら全スルー。ラブライカの暴走には麗さんの特別メニュー。杏には飴。蘭子には黒歴史を自ら掘り返す。美嘉には早苗さん。文香は……ないな。加蓮には救急車でよろしく」
「お兄ちゃん、今二度寝しようとしてたでしょ。お昼ぐらいまで」
「あれ、加蓮? てか、なんで分かった」
電話の相手は加蓮はだった。
『お兄ちゃん、その家に盗聴器仕掛けられてるって知らなかったの? そこから全部聞こえてるんだよ』
「嘘だろ!? いつの間に!?」
サラッと不法侵入されてるってこと!?
「お前、それ犯罪じゃん……」
『何処かの偉い人の有名な言葉があるでしょ?「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」ってさ』
「それ何処ぞの這い寄る系のカオスな邪神さんの言葉なんだよなぁ……」
『まあ、冗談はこれぐらいにしておいて……答え合わせはこの後でね』
ピンポーンと聞き慣れた我が家のインターホンの音が聞こえる。それはいい。それはいいんだ。何が問題かって、その音が電話の向こう側からも聞こえるステレオ状態だということだ。
「マジか」
嫌な予感……というよりも確信をもって扉を開ける。そこには予想通り、加蓮が私服姿で立っていた。
「やっほー、お兄ちゃん。アタシだよ。遊びに来たから」
「加蓮、お前仕事はどうしたんだ?」
「お兄ちゃんが今日からしばらく休みだって聞いて、休みにしてもらった。なんか全然止められなかったんだよね。んで、今日はアタシが来たの」
「ふーん、なるほどな。……ん?」
なんか聴き逃せない言葉があったような気がするんだけど。
「
「うん、今日は」
「え、もしかしてそういうこと?」
「もしかしなくてもそういうことだよ」
そーなのかーと言いながらベットに潜り込もうとするも止められてしまう。
「何だよ」
「寝ようとしないの。買い物に付き合って欲しいなーって。あと、電話のマニュアルみたいなのって何だったの?」
「それはデートのお誘い? 何って、お前らのマニュアルだよ」
「そういうことだね。え、アタシ救急車呼ばれてたんだけど」
「気にするな」
「気になるよ」
「まあまあ……じゃ、行くか」
「むぅ……行こっか」
「行こう」
「行こう」
そういうことになった。
「そういえばさ」
「ん?」
訊きそびれていたことがあったんだった。
「なんで俺が二度寝しようとしたの分かったんだ?」
「ん~……なんとなくかな。大体お兄ちゃんの考えは読めるしね」
「うっそだろ」
「いや、ホントホント。文香さんとか楓さんとかもたまに突然反応してるし」
「お前らは何? 俺に対するセンサーでも搭載されてるの?」
ア〇サイトかな? 俺の行動に反応して自動でブレーキを(俺に)かけるのか。
「あー、割とそんな感じ。ピクってなるしね」
「マジか」
「マジで」
何でもないことを話しながら目的地もなく歩いていると、見覚えのある景色が目に飛び込んできた。
「お、ここって」
「アタシがスカウトを受けたところだよね」
ふと気になった。
「なあ、加蓮。今は楽しいか?」
「うん。あの時とは比べ物にならないくらいにね」
「最初はあんなのだったのにな」
「やめてよ、恥ずかしいな」
「すいません」
スカウトで街中を歩いていると、無性に目を惹かれる少女がいた。そこで、俺は少女に声をかけた。
「ナンパなら、どっかいってよ。そーゆーの興味ないから」
「いや、俺もナンパに興味はないんだが」
おっと、素の口調が漏れてしまった。
「ん、違うの。どちら様?」
「私は芸能事務所のスカウトで、アイドルのプロデューサーをしている者です」
自分で思う。俺に敬語って似合わないな。
「芸能事務所のスカウト? プロデューサー?」
「はい。貴女にはアイドルの素質があります」
「……初対面で流石に失礼かもだけどさ、アンタが敬語使ってるのすっごい違和感感じる。別に普通の口調でもいいよ?」
「いいんですか?」
「うん。アタシは別に気にしないし」
「じゃあ、遠慮なく」
あぁ……現場とかも彼女みたいに楽に接することが出来ればいいのに……
「アイドルの素質があるって……アタシがアイドルに?
ふぅん……アタシがアイドルねー。昔、病院のテレビでよく見てたなー、アイドル番組。ふふっ」
そこまで言って、彼女の顔はふと歪んだ。まるで何か嫌なことを思い出したかのように。そしてその顔には何処か見覚えがあった。
「あ……ごめん。やっぱいいや。アイドルなんて……そんな夢みたいなこと、叶うわけないから。声かけてくれたのは嬉しいんだけどさ、アタシには無理だから」
「どうしてだ?」
「だってアタシ、いろいろ最低最悪でさ……。今はもう、人生諦めムード入ってるんだよね。だから、バイバイ。悪いけど他探して」
去って行く彼女を俺は追えなかった。諦めたわけではない。彼女の話が何故か耳から離れなかったからだ。まるで……そう、何処かで聴いたことがあるみたいだ。
『あの子ね、遼哉が会いに行けなくなってから色々重なって参っちゃったみたいでね。身体が良くなってからもなんか人生諦めちゃったみたい。ビックリよね』
そうだ。何処かでも何も、まさにこの前聴いたばかりじゃないか。あんなことを言うのが何人もいてたまるか。
「今の加蓮じゃん……」
随分と可愛くなったもんだ。というか、あの時の面影しっかり残ってたじゃんか。なんで気づかなかったよ俺。加蓮も加蓮で何故か俺に気づかなかったし。あ、俺メガネかけて髪型変えてるんだった。
加蓮と分かれば尚更引けないな。
────────数日後────────
「よお」
加蓮を発見した。
「またアンタ……しつこいな」
「粘り強いと言って欲しいね。で、考えてもらえたか?」
あくまであの時が初対面だと振る舞う。
「嫌って言ったら嫌なんだってば! アイドルなんて、なれるわけないでしょ!? アタシはそんな人間じゃないんだから……」
「それでもアイドルにするのが、俺達プロデューサーの仕事なんだよ」
「それでわざわざ会いに来るなんて……アンタ、相当な変わり者だよね」
「否定は出来ないな。するつもりもないけど」
同期にも同級生にも変人だと称されているしな。
「アタシの何がそんなに気に入ったの? アタシのこと、何も知らないのに」
加蓮は俺の返事を聞かずに話し続ける。
「アタシ、加蓮っていうんだけど。小さい頃から病弱でさ。長く入院してたし、学校も休んでばっかで、友達も少なかったし。何かに、真面目に取り組んだこともなかった……。あ、でも何時も仲良くしてくれるお兄ちゃんみたいな人はいたなー。大好きだったんだけど、色々忙しくなったみたいで会えなくなったんだけどね」
「好きだったのか」
「うん。大好きだった。私の初恋」
面と向かって初恋だと言われた。めっちゃ恥ずかしいけど顔に出してはいけない。ここで顔を赤くしたら、ただのキモいヤツだぞ。
『だった』って普通の過去形なのか? それとも、もう好きじゃない的な過去形なのか。まあ、分からん。
「アイドルになるなんて、テレビの中だけの夢物語。報われない努力なんて、するだけ無駄でしょ。それに、アタシは、その価値も素質も実力も、何もないから……。それとも、アンタがそんなアタシをアイドルにしてくれるの? アタシ、本当に何もないよ。出来るっていうの?」
「アイドルの素質があるって言っただろ。それに、言ってたじゃないか。『私、病気が治ったらアイドルになる』ってさ」
「確かに言ってたけど、それは子供の時の話でしょ。……ん? なんでアンタがそれ知ってるの? それお兄ちゃんと話してた時の……」
メガネを外して紙を元に戻す。そして、あの時渡せていなかった名刺を取り出す。
「改めて自己紹介を。美城プロダクションアイドル事業部 浅葱遼哉だ。やっほー加蓮、お兄ちゃんだぜ?」
「お兄ちゃん!?」
ドッキリ大成功だぜ。
「いやあ、未だに俺のことを覚えていてくれたみたいで嬉しいよ。にしても面と向かって初恋だと言われるとは思わなかったけど」
「う……うわぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
一気に顔が真っ赤に染まった。そして抱きついてくる。
「いや、なんで抱きつく。普通は離れないか?」
「再開できて嬉しいのと、めっちゃ恥ずかしいから顔を見られたくない。この2つを同時に満たせる。素晴らしいじゃん」
「さいですか」
手持ち無沙汰なので抱きついている加蓮の頭を撫でながら待つ。すると、嬉しそうに顔を擦り付けてくる。猫かよ。いや、懐いてくれてるのは普通に嬉しいんだけど、子供の頃より甘えてきてないか?
「……ふぅ、堪能した。オニイニウム補充完了だよ」
「なんだその新元素」
「お兄ちゃんからしか摂取することの出来ない栄養分。摂取方法はいろいろ。一番効率的なのはキス。というわけで、お兄ちゃん。アタシにキスしていいんだよ?」
「しません。補充完了って自分で言ってたじゃん。……お前そんなキャラだった?
昔以前にさっきまでとは全然違うんだけど」
「大好きなお兄ちゃんの前では仕方の無いことなんだよ」
やだこの子怖い。
「そういえば大好き『だった』って言ってたけど……今は?」
「今は……もう」
「……そっか」
もう5年近く会えてなかったしな。恋心も冷めるわな……。ん?
なんで俺ガッカリしてんの?
「会えなかった分まで思いっきり拗らせて愛してる。具体的に言うと、再開出来たことが嬉しすぎてもうこの場で押し倒しちゃいたいレベルで愛してる」
「やっべ、逃げなきゃ」
「待って! 嘘だから。押し倒すとかは流石に冗談だから!」
「マジで身の危険を感じた。ホモって噂のプロデューサーに目をつかられた時と一緒のレベルで」
「ごめんってば。でも愛してるのは本気だから。」
「それは伝わった」
「文香さんは? まだ付き合ってるの?」
「いや、お互い忙しくなってな。双方合意で別れた」
加蓮と向き合う。
「さて、加蓮。アイドルになる気は「あるある!」いくらなんでも変わり身が早すぎませんかねぇ!?」
「諦めてたとはいえ夢だったし。それに、約束。私の夢を叶えてくれるんでしょ?」
そう言って笑った加蓮の瞳には俺への絶対的な信頼しかなかった。……ったく、敵わないな。
「おう、任せろ。お前を立派なアイドルにしてやるよ」
「あの時の押し倒したいって言われたことと変わり身の速さは今でも忘れられない」
「忘れて。いや、ホントに忘れて。お願いします、何でもしますから」
「ん? 今、何でもするって言ったよね?」
「んじゃ、麗さんに特別メニュー頼んでおくね」
流れるように土下座をしようとしていたので引き止める。
「街中で土下座するくらいに嫌か」
「だって、特別メニューなんて言うから!」
「うん、それに関しては正直すまんかった」
加蓮と歩く。
「それにしてもお兄ちゃん」
「ん?」
「今更なんだけど。約束、覚えててくれたんだね」
「……ああ」
その約束を思い出す。
「色々と進路で悩んでた時にお前との約束を思い出してな。言い方は悪く聴こえるけど、ちょうど良かったんだ」
「それでも嬉しいよ」
左手に温もりを感じる。見なくてもわかる。原因なんて隣で歩いている彼女以外ありえないから。加蓮の存在を確かめるようにギュッと握り返す。加蓮は、何時も凛や奈緒達と一緒にいる時に見せているものとは違う、柔らかい笑顔をしていた。
「ありがとうお兄ちゃん。夢、叶えてくれて」
「ばーか」
空いている右手で加蓮の頭を撫でる。
「まだ終わってねーよ。これからもだろ?」
「……うん!」
『ねえ、お兄ちゃん。私ね、病院が治ったら
『そっか……じゃあ俺は
『本当に?』
『ああ。約束する』
『約束だよ? 絶対
貴方は本当にアタシを迎えに来てくれた。アタシの
この前の次回予告とは全く違うよ!どんなのだろうって予想してた人はごめんね!
まだまだ続くんじゃ。
ところで、途中の
「行こう」
「行こう」
そういうことになった。
っての通じます?陰陽師(夢枕獏先生)のネタなんですけど……通じないか
次回予告
「……俺って休日……何してたんだっけ……」
「とりあえず書類をさくs……休みなのになぁ……」
誰でしょうね?(白目)
では、誤字報告感想評価などなどお待ちしてます。特に感想くれたらめっちゃモチベ上がる。