ポケットモンスター 僕、ちょっと旅に出ます(仮)   作:蝶々

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プロローグ 

 此処はシンオウ地方、カンナギタウン。その町にある一軒家で少年と少女が言い争っていた。

 

 

 

 

 「どうして急に旅に出るなんて言い出すの!?」

 

両手を思い切りテーブルに叩きつけた少女の名は“シロナ”。

 

 

 腰にまで伸びた金色の髪に黒のアクセサリーを付けた彼女の顔は「私とても怒ってます!」とありありと見てとれる。その音にビクッと驚く少年は困り顔で髪を掻くと。

 

 

 

 「…う~ん…なんて言えば良いんだろう?

 

怒らないで聴いてくれる…?」

 

 縮こまって上目遣いで尋ねる少年の名はアルス。横跳ねのある茶髪にまるで女の子の様な容姿の彼はシロナの方を窺う。既にめちゃめちゃ怒っていることには突っ込んではいけない。

 

 

 「……一応聴いておきましょうか」

 

 

 

 

 「なんていうかね? チャンピオンになってからだいぶ経つじゃない? でも正直退屈で仕方がないって言うかーー、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーぶっちゃけめんどくさくなったのでチャンピオン辞めようかな、と…………(汗)」

 

 

 

   ブチッ!と何かが切れる音がした。

 

 

 

 

               ーー訂正。

 

 此処はシンオウ地方、カンナギタウン。その町にある一軒にて少女が一方的に少年を怒鳴り付けていた。

 

 

 

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 「ーーで? 面倒くさくなったとかぬかしたことはこの際置いておくとしましょう。シンオウリーグの決勝戦でこの私に勝って、それからチャンピオンリーグでめでたくチャンピオンになった貴方がどうしていきなりチャンピオンを辞めるとか言い出したのか、もう少しちゃんとした説明をしてくれるかしら」

 

 

 

 「さっきも言ったけどさ、やっぱりチャンピオンになってから退屈で仕方がないんだ。そりゃチャンピオンになったばかりの頃は嬉しくて毎日が楽しかった。でもふとした時にさ、もうあの頃の様には戻れないのかなって。ポケモン達と旅をしていたあの頃にはって……」

 

 

 「強さを求めるのは止めてない。ポケモン達と過ごすのだって今でも毎日が楽しい。でもチャンピオンになってからというもの、行動の自由は制限されるしおいそれとバトルも出来ない。僕だけじゃなくてポケモン達も退屈そうにしてるよ。こんなことの為にチャンピオンになったのかって思った。だったらチャンピオンを辞めようって考えた。身勝手すぎるって思われても仕方がないと思う。ごめんねシロナ……」

 

 

 言いきったアルスは視線をシロナから外して彼に出来る精一杯の気持ちで謝罪をした。

 

 

 

 ーシロナ視点ー

 

正直最初は突然チャンピオンを辞めるとか言い出した彼に、その理由にそれはもうバクオングのハイパーボイスの如く怒った。

 

しかし彼の言葉を聴いていく内にその怒りは段々と落ち着いていった。

 

彼の気持ちはわかる。チャンピオンは誰しもが憧れる存在で誰しもがなりたいと思う。その為に彼らはポケモン達と旅に出る。けれどチャンピオンになってしまったらそこで旅は終わってしまう。

 

チャンピオンが故に束縛され自由を無くして、停滞した時を過ごすのが彼にとっても、彼のポケモン達にとっても許せなかったのだろう。だから彼はチャンピオンで在ることを棄て、再びただのトレーナーとして旅に出るつもりなのだ。

 

 

 

 

…本音を言えば彼には旅に出てほしくない。チャンピオンが急に辞めれば混乱を生むとかそういった事ではない。彼が自分の前から居なくなる事が嫌だというただそれだけ。

 

(小さい頃は私の後ろを付いて歩いてたのに気付いたら私の方が彼の後ろを追うようになってたのよね…)

 

 

カンナギタウンには子どもが少なく、私とアルスは自然と一緒にいることが当たり前になっていた。気付いたら彼を目で追うようになり、一緒に過ごすことが何よりも幸せだった。この感情が恋だと知ったのは旅に出る数日前。お婆ちゃんを含めて家族に旅の相談を持ちかけた時だ。

 

 

 “ひとりで旅に出るのが不安ならアルス君と一緒に旅に出ればいい”と。

 

 「誰かと一緒に旅に出れば安心だし、それに…好きなんでしょ? アルス君のこと」

 

 「うぇっ!? しょ、しょんなことにゃい! あぅぅ……///」

 

 

 「ふふっ、わかりやすい娘ねシロナったら。いっつもアルス君のこと頬を染めて目で追ってるんだもの。町のみんな、アルス君以外は全員知ってるわよ? アルス君見た目は女の子っぽいけど優しいからこのまま別々に旅に出て、知らない所でアルス君が他の娘を好きになっちゃうかもしれないわよ?」

 

 「っ! それは嫌!!」

 

 

 「それなら勇気を出して彼を誘わないとね♪」

 

 

 

 

 

 私はお母さんの言葉に勇気を出して彼に頼んだ。無事彼とは一緒に旅に出れたけど…その…なんていうか……。お母さんの言った通り、旅の途中で出会った女の子の何人かは彼に好意を持ってしまった。彼に好意を持つ私としては焦らずにはいられない。散々フラグを立てたのだ。きっと他の地方に行っても同じ様な犠牲者が出るに違いない。

 

 

 

 

 アルスは旅に出る、私はそれを止めたい。でも言葉だけでは、きっと伝わらない。

 

 

 

 「謝らないで。貴方の気持ちはよく分かった。…でも私は貴方に傍に居て欲しいから。

 

 

   ーーだからポケモンバトルで決めましょう? 貴方が勝てばもう私は止めない。でも私が勝ったら、貴方は旅に出ない……私の傍にずっと居てもらうから……」

 

 

 …無茶苦茶だろう、理不尽だろう。でもこれは私の意地だ。無茶だろうが理不尽だろうがそんな道理、私の無理でこじ開けてみせる。

 

 

 「覚悟しなさい、私は私の今持てる全てをもって貴方の最強を打ち破るわ」

 

 

 




次回はアルスとシロナのバトル回です。バトルの描写をうまく書く自信はありませんが、内容が薄くならない様に頑張ります。その前に設定をあげますが。
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