サブタイの通り、アニメ1話の後編となります。気付いたらいつの間にかお気に入りも90件を超えていて驚きました。感動と同時にプレッシャーが半端無いです…f(^_^;
FGOと黒猫のイベントが重なってしまい、なかなか執筆の方が進みませんでした。このあと、FGOと黒猫のIDを活動報告に載せるので宜しかったらどうぞ。
活動報告にてアンケート実施中です。宜しければご参加くださいm(__)m
一度はロープが切れて、崖の下へと落ちかけたサトシとピカチュウは、そこへ飛んできた見知らぬポケモンに助けてもらった。
「良かったぁ…」
「ありがとうございます。さっ、研究所に戻って治療してもらおう」
ピカチュウは自分が噛んでしまった腕を優しく舐める。
「なぁんだ、噛んだことなら気にするなよ。オレは全然気にしてないからさ」
「なんだ噛んだことなら…?んっ? なんだかんだ…? んっ?いいのか?」
サトシの声に、何者かが轟音と共に巨体なメカで現れる。
「な、なんだ!?」
いきなり現れたメカに驚く。
「なんだかんだと訊かれたら!」 「答えてあげるが世の情け!」
「世界の破壊を防ぐため」 「世界の平和を守るため」
「愛と正義の悪を貫く」 「ラブリーチャーミーな敵役」
「ムサシ!」 「コジロウ!」
「銀河を駆ける、ロケット団の二人には」
「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ「本当に!?」ーーおわっ!?」
「あっにゃ~んてニャ」
男と女の二人組、更になんと喋るニャースがメカに乗っている。
「オダマキ博士、ピカチュウを狙って付きまとうロケット団です!」
「ロケット団? なにそれ」
「聞いたことないなぁ……」
「…兎に角人のポケモンを奪う悪い奴らなんです!」
サトシがロケット団のことを知らない二人に教えている横でアルスが一歩前に出てロケット団を見上げる。
「つくづくロケット団とは縁があるようだね。まさかカントーやジョウトだけに飽きたらず、ホウエン地方にまで手を延ばしているなんて思わなかったけど」
「知っているんですかアルスさん!?」
まさか自分以外にも知っている人がいることが信じられないのか、驚いた様子のサトシ。
「ああ、彼らとはカントーやジョウトを旅している時に何度か衝突してね。一番面倒だったのは、ジョウト地方に存在すると言う伝説のポケモンの一体、ライコウを捕まえようとしたことだね。普通にバトルして捕まえるのはいい。だけど集団で襲うこと、ポケモンをただ欲望のために、道具として扱うやり方には納得できなくてね。
捕まえることはできなかったけど追い払うことには成功したよ。急な助っ人が来なければ捕まえられたのに……」
彼の記憶にはシンオウ地方から幾度と遭遇し対立してきた、ある意味腐れ縁でもある相手とのジョウト地方での再会の光景が過る。
まさか彼女がジョウト地方に来て、更にロケット団に手を貸しているとは思わなかったが。
「くそっ! なんとかしてピカチュウを助けないと……」
しかし今のサトシの手持ちはピカチュウのみ。他のポケモンはホウエン地方に来る際に全てオーキド博士の研究所に預けてしまってここにはいない。オダマキ博士が持っているらしいポケモンも、あのメカからピカチュウを助けることは難しそうだ。何か方法はないかと辺りを見回して、先ほど自分とピカチュウを助けてくれた見知らぬ女性(?)に声をかける。
「あの! さっきはどうもありがとうございます。それと…ええっと……」
名前を聞いていないのでどう呼んで良いのかわからないサトシ。目を泳がす様子を見て察したのか微笑む謎の女性(?)
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕はアルス。
こんな見た目だけど立派な男だからそこのところよろしくね?」
「えぇっ!?アルスさんって男の人だったんですか!?」
普通に女性の人だと思っていただけに衝撃は大きかった。見れば、オダマキ博士も女の子も目を丸くして驚いていた。
「……まぁ大抵の人はみんな僕のことを男とは思わないよね。…うん、解ってはいたけど改めて言われると、こう…胸に来るものがあるね……」
ハハハ……と笑うアルスさん。しかしその笑顔はどこか影があった。
「ーーそれで? サトシ君は僕に何を訊こうとしたんだい?」
「はい。アルスさんのポケモンであのメカを壊してピカチュウを救出することはできるかなって訊こうと思ったんです」
フム…とメカを観察しながら考えるアルスさん。やがて答えが出たのかこちらに向き直る。
「正直に言えば可能だね。でもピカチュウの状態を見るにどうやら帯電症状に陥っているようだし、たとえ助けたとして、症状を軽くできても治すことができるポケモンはいないんだ」
「アルス君、と言ったかな? よくピカチュウが帯電症状だとわかったね。理由を訊いてもいいかい?」
「僕はこれでも多くのポケモンと関わってきました。中には電気タイプのポケモンもいましたし、その筋に詳しい人からピカチュウと同じ状態の症状を知りました。だから直ぐに解ったんです」
「そうか。ーーいや待てよ?『アルス』……何処かで聞いた覚えがある名前だな…。ーー!
まさか、君はーー!」
オダマキ博士は何かに気付いたのか、アルスさんを見てそれを口にしようとして、左手を挙げたアルスさんによって遮られる。
「……オダマキ博士、貴方が僕の何に気付いたのかは、今は問いません。ですがそれについてはまた後ほど、ということでお願いできませんかね?」
「あ、ああ…分かった。すまないアルス君」
「で、でもどうするの? このままだとピカチュウが…!」
今まで黙っていた女の子が声をあげる。
「いやあのままで良い。うまくいけばあのメカがピカチュウの体内電気を取り除いてくれるかもしれない。あの喋るニャースが言っていたことを聞くかぎりだとね」
そう言ってもう一度メカを見上げるアルスさん。
「あらら…どうやらあのメカでも、ピカチュウの体内電気を吸収しきることはできないみたいだね」
言われてメカの正面に付いているゲージを見ると、確かに限界に達しようとしていた。
そして橙色だったピカチュウの電撃はよく見るいつもの黄色い電撃と戻っていることにサトシは気付いた。
だがこの時サトシは気付いていなかった。少女の自転車が犠牲になっていることになど。それがかつて、共に旅を始めた少女の自転車を無断で借りて、同じようにピカチュウの電撃によって黒焦げになっていることになど、この時のサトシはまだ知るよしも無かったのだった……。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「オダマキ博士、ピカチュウの残留電圧が、通常値に戻っています」
「ふーむ。アルス君が言った通り、さっきのメカが体内の余分な電気を吸収してくれたんだろうな」
ロケット団の三人組が電撃によって空の彼方に飛んでいったあと、帯電症状による消耗と吸収されたうえの強力な電撃の使用から来る疲労で倒れてしまったピカチュウを、研究所に戻ってきて検査した結果、ジョシュウの言う通り正常な状態に戻っていることが分かった。
「良かったぁ……」
それを聞いて安心するサトシ。
「だが度重なる消耗とさっきの電撃だ。余りにも体力の低下が激しい。ここの研究所の設備では回復に時間がかかってしまうだろう」
「それなら僕のチルタリスの出番でしょう。僕のチルタリスならリフレッシュを使えるので、完全回復とは言えませんが、回復の速度を早めることも可能です。チルタリス、ピカチュウにリフレッシュをお願い」
モンスターボールを目の前に向ける。出てきたのは崖の下に落ちていく自分とピカチュウを救ってくれたあの綿の様な羽根を持ったポケモンだった。
チルタリスはその身体から光を出すと、ピカチュウを包むように光を送る。光に包まれたピカチュウは荒い呼吸を落ち着かせ、徐々に穏やかな表情に変わっていった。
「……凄いかも」
ハルカの呟きに、口には出さずとも、アルス以外のこの場に立っている人間全員が同意する。
「強力な力を持ったポケモンのリフレッシュなら、状態異常だけではなく体力の回復まで可能だと言うことは聞いたことがあるがまさか本当にそんなことが。この状態で安静にしていれば、明日には完全に回復していることだろう」
「それはそうとハルカちゃん。だいぶ待たせてしまってすまないね。最初のポケモン選ぼうか」
「ーー最初のポケモン!?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「このモンスターボールには、初心者用のポケモンが入っている」
ジョシュウを除く四人は別の部屋に移動すると、オダマキ博士が三つのモンスターボールを持ってきた。ハルカにはそれらが、博士が持っていた鞄に入っていたモンスターボールだと分かった。
「まずはーーキモリだ」
最初に手に取ったモンスターボールから出てきたのは、爬虫類を思わせる黄緑色のポケモン。
「水タイプですか?」
「いや、キモリは水タイプではなく草タイプだよ」
(どうみても水タイプのポケモンには見えないと思うけどなぁ……)
同じように見たことの無いアルスでさえ、さすがに水タイプのポケモンには思えなかった。
このキモリはハルカ曰く「睨んでくるからなんか嫌」とのこと。
「こいつがミズゴロウ」
次に出したのは、あの時水鉄砲をかけられた相手のミズゴロウだった。
「この子はさっきわたしの言うこと聴いてくれなかったからなぁ…」
と、やはり水鉄砲をかけられた苦い記憶を思い出したのか好印象ではない様子。初心者用のポケモンはどんなトレーナーの言うことでも聞くようにある程度育てられているので、あくまであの時はハルカの指示が正確ではなかったのが原因であるのだが。
「最後はこの娘、アチャモだ」
最後に残ったモンスターボールからは、見た目がまるで鳥ポケモンの様な、橙色のポケモン。初心者用ポケモンで草・水とくれば残りはおそらく炎タイプだろう。
「アチャモは炎タイプだ」
アルスか予想した通りアチャモは炎タイプのようだった。
アチャモはハルカに気付くと、足下に駆け寄って顔を擦り付ける。どうやらハルカのことが気に入ったみたいだ。
「この娘可愛いかも。欲しいかも!」
ハルカの方もアチャモのことが気に入ったようで、無事ハルカの最初のポケモンはアチャモに決まったのだった。
翌日。
ハルカは研究所の外で焦げて全く使い物にならなくなった自らの自転車をこれでもかと睨み付けていたが、現実は変わることなくそこにあった。
ため息を吐いたハルカは原因でもあるピカチュウに文句を言ってやろうとその場をあとに、ピカチュウが眠る部屋に向かった。
いざ部屋に前に到着し扉を開けると、部屋には気持ち良さそうに眠るピカチュウと、傍でずっと見守り続けてそのまま眠ってしまったのであろうサトシもいた。
その様子を邪魔するのも悪いとハルカはそっと扉を閉じてその場を離れた。
「どうだった、サトシ君達は」
再び外に出てきたハルカを待っていたのは昨日出会った女性の様な男性の、名前は確かアルスさんと言ったか。彼は頭にポケモンを乗せてこちらを振り返った。
「はい。最初はわたしの自転車を壊されたことに腹を立てて、どんな文句を言ってやろうと考えてたんですけど、でもいざ部屋に入ったらその気も無くなっちゃいました……」
「それで良いと思うよ。旅は自転車よりも自分の足で歩いてこそだから」
そう言って微笑むアルスさんを見ると何故か顔を赤くするハルカ。
(な、何だろう? あの人の笑顔を見たら、なんだか顔が熱くなってきたかも……)
熱くなった顔の熱を冷ますように“ブンブン”と左右に振るハルカは、研究所から欠伸をしながら出てくるサトシに気付くと彼に近づく。
「ピカチュウ、もういいの?」
「ああ、おかげでこの通り元気になったよ。これもアルスさんのおかげです。本当にありがとうございました」
「良いんだよ、僕は自分にできることをしただけだし気にする必要は無い。でも気持ちだけ受け取っておくよ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「二人とも、まずはポケモンセンターでホウエンリーグの参加登録をしなきゃいけないな。…ところでアルス君はホウエンリーグには参加するつもりなのかい?」
「はい。ホウエン地方にはそのつもりで来ましたから」
アルスの正体を知っているオダマキ博士は彼にもホウエンリーグに参加するのかを訊ね、アルスもその質問に肯定で返した。
「ポケモンセンターがある一番近い町はコトキタウンです」
「分かりました」
「…あ~あぁ、ひとりで歩いて行かなきゃならないなんて、不安よね~?」 ハルカは“チラッ”とサトシを見る。
「自転車があればな~?」
「ギクッ」
「…でもわたしの自転車、ピカチュウに壊されちゃったもんな~?」
「ピカッ」
「ねぇ、コトキタウンまで一緒に行きましょう。わたし道知ってるから」
「えっ?」
「良いの良いの遠慮しなくっても。行きましょうピカチュウ」
「分かった、一緒に行こうぜ」
「よしっ!…あっそうだ! 良かったらアルスさんも一緒に行きませんか?行き先は同じですし、アルスさんが一緒ならわたし達も安心できますから」
突然ガッツポーズをしたハルカは何か思い付いたのかアルスに迫り、サトシにしたものと同じ提案をする。
「そ、そう? ハルカちゃんとサトシ君が良いなら僕は構わないよ」
いきなり迫られて驚きつつもサトシが良ければと許諾する。
「良いですよ。オレもアルスさんがいてくれたら助かりますから」
「じゃあ二人とも頑張るんだぞ。アルス君も彼らのことを頼むよ」 「お気をつけて」
「はい、ありがとうございました」
「行ってきま~す!」
「はい、任せてください」
オダマキ博士とジョシュウに見送られて、一同は研究所をあとにした。
ピカチュウも元気になり、目指すはポケモンセンターのあるコトキタウンだ。果たしてその行く先にはどんなポケモンが、どんな出会いが待っているのだろうか。サトシとハルカの、そしてアルスの夢と冒険に満ちた新しい旅が今、始まったのである。
1話を読んだ感想。
ハルカ可愛い
BGMが良い
サトシ格好いい
アチャモあざとい
以上。