どこでもドアをくぐり、待ち合わせしてるメンバーと顔を合わせた。
「明けましておめでとうございます、冬也さん。良くお似合いです、少し意外ですけど」
ほのかが船長の格好をしてる冬也お兄様に声を掛けた。
「ほのか、少しどころじゃないわ。正月にこの格好は意外を通り越して奇抜よ」
私が憎まれ口を叩いた直後、その場は大きな緊張感に包まれた。周りにいた人たちは全員白目を剥いて倒れ、ほのかや美月も気絶しそうになるのを、なんとか達也お兄様が支えた。
「って、覇王色の覇気はやめて下さい‼︎軽いテロになってますよ‼︎」
『いやぁ、やっぱこういうのはキチンとしておかないとね』
「そんな礼儀は初めて聞きましたよ‼︎」
まったく新年早々このおバカさんは本当に……。
呆れてると、西城くんが達也お兄様に声を掛けた。
「しかし、冬也さんは赤髪なのに達也は普通に羽織袴か。そこは麦わらなり白ヒゲなりバギーなりあるだろ」
「そんな所でツッコまれてもな」
「でも、よく似合ってるぜ。何処の若頭かって貫禄だ」
「俺はヤクザか」
「別にヤクザには見えないけど、羽織袴がそこまで様になる高校生は珍しい、ってことだけは確かだわ」
「ヤクザ者、というより与力か同心のイメージだね」
一歩遅れて、小野先生と八雲先生が口を挟んだ。
「あれっ、遥ちゃん。明けましておめでとーございます」
「明けましておめでとうごさいます、小野先生。達也さん、こちらの方は?」
西城くん、美月と挨拶した後、八雲先生を見ながら質問した。
「九重寺住職、八雲和尚。俺たちにはもしかしたら、忍術使い・九重八雲師の方が通りが良いかな?俺と冬也兄様の体術の先生だ」
「なるほど、だから日枝神社にしようって話になったんだな」
『へぇ、意外と博識なのな』
冬也お兄様が言葉をホワイトボードに書いた。そんな話をしながらお互いに自己紹介をしつつ、私達は本殿へと歩き出した。
本殿に上がると、ズラッと露店が並んでいる。というか、どっかで見たことあるスケット部の屋台があるし。どうやら、今回は焼きそばの屋台のようだ。桐原先輩や服部先輩はまだしも、十文字先輩はそこにいていいのかしら。
ていうか、冬也お兄様の分身もあそこでせっせと働いている。まぁいいわ、この際無視しましょう。
特に寄り道することもなく、階段を上って神門をくぐり、拝殿前の中庭に入る。ふと達也お兄様の方を見ると、何処かを見ていた。
「お兄様、何をご覧になっているのですか?」
その視線の先には、金髪碧眼の少女がいた。私は一瞬、不愉快になる。
「……綺麗な子ですね」
「お前ほどではないけどな」
「……いつもいつも、その手で誤魔化せるとは思わないでください」
『深雪、ニヤケてるぞ』
「うるさい黙れカス」
『………最近、妹が冷たくてツライ』
金髪碧眼の少女は、冬也お兄様を見ていた。冬也お兄様は気付いてるのかどうかは分からないが、ホワイトボードをしまうと、いつの間に始めていたのか、ギャラガを再開した。
*
冬休みが終わり、学校が始まった。交換留学によって雫の代わりにクラスに来たのはアンジェリーナ=クドウ=シールズ、という金髪の女の子だった。なんやかんやで、私が学校内を案内したり、その他諸々お世話することになった。
『で、なんでここに連れて来たわけ?』
放課後、私はリーナを連れて生徒会室に連れて来た。流石の冬也お兄様も、海外の生徒の前で暴れられるわけがないと、私は踏んでるわけだ。だって下手をすれば国際問題になるでしょ?
私は若干、ドヤ顔になりながらも冬也お兄様を指して言った。
「リーナ、あそこにいるのが司波冬也。この学校のアホアホ生徒会ちょ」
「トーヤァ‼︎」
直後、リーナが飛びついて、冬也お兄様の顔に抱き着いた。私もほのかも五十里先輩も中条先輩も吹き出す中、リーナは冬也お兄様に頬擦りする。
「久しぶり!会いたかったわよ!」
『おい、離れろ。来年まで投げるぞテメェ』
「えへへー。この前の神社の時だって、抱き着かないようにするので精一杯だったんだから」
『話聞いてる?それとも去年に投げられたいの?』
「ち、ちょっと!」
ほのかが口を挟んだ。
「な、何してるのよリーナ⁉︎」
「え?アメリカでの挨拶よ」
「ここは日本よ!離れなさいよ!」
「嫌よ。私はトーヤに会いたくてここに来たんだから」
「そもそも冬也さんとどういう関係なの⁉︎」
「それは……そう簡単には言えない関係で……」
『おい、ややこしい言い方すんな。投げるよホント、白亜紀に』
「そうよ、落ち着きなさいほのか。それで、冬也お兄様?どう言うことなのか……詳しく」
『落ち着け深雪。氷河期になってっから。五十里が死んでるから』
冬也お兄様に生き返らせてもらう五十里先輩。
『アメリカに俺の作った遊園地があるのは知ってんだろ?』
「以前、聞きました」
「何それ知らない」
『リーナはそれの常連さんなんだよ。遊園地建設中から色々と手伝ってもらったりしてたから知り合いになったわけ』
「そういうわけなのよ、お二人さん」
ニヤリと口を歪ませるリーナ。私とほのかのおでこに青筋が浮かぶ。
…………へぇ、上等じゃない。よろしいならば戦争だ。
「…………あーあ、これ俺に彼女いるってバレたらどうなるんだろ」
冬也お兄様が何か言った気がするが、聞こえなかった。